連載コラム・藤子な瞬間


週刊FFMM 96号(2001/06/23)より




▼その9「まんが道(2)」

 現実の出来事や日常生活の中でふと「こんな場面がマンガにあったな」と思う事はありませんか。それが「藤子な瞬間」です。ここでは私が体験した「藤子な瞬間」を紹介していこうと思います。第9回も、前回に引き続き、「まんが道」です。

 もう数か月前になりますが、一人の藤子ファンが「ファン活動から離れ」ていきました。その人はメーリングリストへの投稿が特に多いというわけではなかったのですが、その1つ1つの文はとても心に残るものでした。中でも忘れられないのが、月刊藤子不二雄メールマガジン1999年9月号に投稿された文章です。私にとっては読むのが照れくさくもあり、誇らしくもあるというような文章でした。

 というところで話を元に戻します。その人が「ファン活動から離れ」ると知ったときに思い出したのが「まんが道」でした。
 満賀や才野とともにトキワ荘に集まった漫画家の中に、鈴木伸一氏がいました。ペンネーム「風田郎」、愛称「風(フー)ちゃん(「21エモン」に登場するチャンフー閣下は、ここから来ているんでしょうね)」、多くの作品に登場する小池さんのモデルになったあの人です。
 しかし鈴木氏はある日、アニメーターへと転進するため、トキワ荘を去っていきました。
 ファン活動から離れるのを見送る私の気持ちは、鈴木氏を見送る満賀や才野と同じだったのかもしれません。

<『まんが道』あらすじ>

 高校卒業後、一時就職したものの、まんが道を歩むために上京した満賀と才野。東京には日本中から まんが道 を歩み始めた若者が集まりつつあり、中でも「トキワ荘」という一軒のアパートには満賀と才野を含む多くの若き漫画家が集まっていった。今も続編の「愛…しりそめし頃に…」が連載中。
(隔月刊ですが)

<収録>

●愛蔵版「まんが道」全4巻(中央公論社)
●単行本「愛…しりそめし頃に…」(小学館)
 ほか

藤子不二雄メールマガジンのバックナンバー
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