▼その1「未来ドロボウ」 |
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現実の出来事や日常生活の中でふと「こんな場面がマンガにあったな」と思う事はありませんか。それが「藤子な瞬間」です。ここでは私が体験した「藤子な瞬間」を紹介していこうと思います。第一回はF先生の少年SF短編から「未来ドロボウ」です。
私は中国人と話す機会が多くあります。先日、小渕恵三前首相が亡くなったときなど、彼の業績についての話になりました。私の評価は「私の記憶にあるここ20年の首相の中でワースト1、2を争う」です。理由は「国旗国歌法や盗聴法など、国民の人権を軽視するような法案を次々と通したこと。また、多額の国債を発行して今後に大きな負担(借金は基本的に我々の税金で返済することになる)を残したこと。その国債などで得た資金の使い道が気に食わない」などです。
この時、ふと思い出したのが「未来ドロボウ」です。私が将来(納税するという形で)返済することになる借金が、首相の現在の人気を買うために使われたような気がしたのです。「未来ドロボウ」のストーリーとは少し離れるのですが「そうか、オブチは私の未来で自分の人気(現在)を買っていたのか」と思うと、未来を盗まれたような気もするのです。 |
<『未来ドロボウ』あらすじ>経済的理由で高校進学が困難になった少年と、成功して財をなした大脳生理学者の老人。少年は老人の金銭的に豊かな生活を、老人は少年の若さを欲し、利害が一致。二人は老人が開発した装置で体を交換することに……。 |
<収録>
●SF全短編3巻「征地球論」(中央公論社) |
藤子不二雄メールマガジンのバックナンバー
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