ドラえもんで学ぶ中国語


週刊FFMM 125号(2002/02/21発行)より



▼第七課 「死んじまえ」

 先週に引き続いての中国版ドラえもん(「[口多][口拉]A夢」または「机器猫」)名セリフ、その7です。
 なお「[ ]」の中は、合わせて1つの文字です。簡体字と繁体字が入り乱れますが、ご容赦ください。

 7回目は予告通り、引き続き「ヤカンレコーダー」(てんとう虫4巻)の悪口各種をとりあげます。

中国語蠢貨!
読み方チュン フオ!
chun3 huo4!

中国語膿包!
読み方ノン バオ!
nong2 bao1!

中国語該死的!
読み方ガイ スゥ ダ!
gai1 si3 de!

  アルファベットは中国語発音のローマ字表記法です。数字は音の高低を表す「声調」というやつです。1は高く、2は初め低く後高く伸び上がるように、3は低く、4は初め高く後低く上から打ち下ろすように、数字が無い場合は適当に軽く発音します。

 「蠢貨」の「蠢」は「愚か」「間抜け」「のろま」というような意味で、前回出てきた「笨」とほとんど同じ。「貨」は「やつ」「もの」という意味があって、人に対して使えば侮辱する意味になります。ちなみに「のび太の地底国」(てんとう虫26巻)に、ドラの「ばかだねえ。じつにばかだね。」というセリフがありますが、これは「蠢才。真是蠢才。」となっていました。「蠢才(チュン ツァイ chun3 cai2)」は「蠢貨」と同義です。
 「膿包」は見ての通り「おでき」。そこから「役立たず」「能なし」といった罵る意味にも使われるようです。
 「該」は「〜すべき」というような意味で、後ろに「死」が続いているので「くたばれ!」となります。「的」は前の言葉が「的」の後ろの語を修飾していることを表しているのですが、ここでは修飾されるものが省略されています。略さなければたぶん「該死的東西」なんて言うんでしょうね。「東西」は「物」という意味です。「我該死」って言うと、時代がかった大げさな謝罪の言葉になったりもします。

 これだけゴタゴタと書いてきて何ですが、悪口なんて元々細かい意味の違いなんかどうでもよくて、とにかく相手に負けない勢いで言った方が勝ちって気もします。ま、数多く知ってる方が有利ではあるでしょう。
 この二回で取り上げたうち「笨猩猩」は「ノーテンゴリラ」を訳すために作った言葉だと思いますが、他はいずれも罵語として辞書にも載っていますので、中国全土で通じると思います。本人のいないところでの独り言や、第三者を相手に愚痴るときの使用に留めることをお勧めしますけどね。

 最後に、日本語原版でのやりとりも紹介します。「ヤカンレコーダー」7ページ目 4コマ目。右から数えて四つ目までのフキダシが前回、左よりの三つのフキ ダシが今回取り上げたものです。数字はこの記事で取り上げた順です。

 1

よくばり(胖虎貪得無厭!)
いじわる(大壊蛋!)
うすらばか([イ鑁−金]瓜!)
ノーテンゴリラ(笨猩猩!)

あほ(蠢貨!)
くそったれ(膿包!)
死んじまえ(該死的!)

 文法の間違いや誤訳もあると思います。ご指摘、ご感想など、お待ちしております。

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