ドラえもんで学ぶ中国語


週刊FFMM 119号(2001/12/16発行)より



▼第五課 「ごめんね」

 中国版のドラえもん(「[口多][口拉]A夢」または「机器猫」)の名セリフ、その5です。なお「[ ]」の中は、合わせて1つの文字です。簡体字と繁体字が入り乱れますが、ご容赦ください。

 5回目はセリフがポンポンとテンポ良く出てきて私が好きな「ヤカンレコーダー」(てんとう虫4巻)から、最後のコマの謝るセリフ各種をとりあげます。自分が間違っていたら、素直に謝りましょう。

 ところでこのヤカンレコーダーという道具、ヤカン型をした録音機で、吹き込んだ言葉が入ったシャボン玉が出てきて、それを割ると再生されるという物なのですが……どういう目的で発明されたんでしょうねぇ。取っ手があるので持ちやすいとはいえ大きくて携帯性は悪いし、録音したシャボン玉も保存するには場所をとるし、何より一度割って再生したらそれっきり。

中国語対不起!
読み方ドゥイ ブ チィ!
dui4 bu4 qi3!

中国語請原諒!
読み方チン ユエン リァン!
qing3 yuan2 liang4!

中国語別生気了,我認錯。
読み方ビエ シェン チィ ラ,ウォ レン ツオ。
bie2 sheng1 qi4 le, wo3 ren4 cuo4.

 アルファベットは中国語発音のローマ字表記法です。数字は音の高低を表す「声調」というやつです。1は高く、2は初め低く後高く伸び上がるように、3は低く、4は初め高く後低く上から打ち下ろすように、数字が無い場合は適当に軽く発音します。

 「対不起」は「ごめんなさい」や「すみません」という意味で最も普通に使われる言葉です。これだけ知っていれば十分という気もします。
 「請」は「〜してください」と頼む言葉で、「原諒」は「許す」という意味なので、「請原諒」は「許してください」。
 「別」は「〜しないでください」、「気」には「怒り」と言う意味もあり「生気」は「怒る」なので、「別生気了」で「怒らないでください」。「認」は「認める」、「錯」は「錯誤」の「錯」で「間違い」というような意味。というわけで「我認錯」は「私が間違っていました」となります。

 普通の生活では「対不起」だけしか使わないと言ってもいいです。「請原諒」だとかなり大げさで、よほど怒らせたり迷惑をかけたりした場合でないと使わないでしょう。あるいは、ちょっとした交通違反を警察にとがめられて、見逃して欲しい時なんかには使うかもしれません。
 「認錯」も普段の生活で使うには大げさです。裁判の時に被告人が言うかも知れませんね。テレビの時代劇でお白州(中国だから日本のお白州とは違いますが)に引き出された下手人が言ったりします。「認」の代わりに「知(ジィ・zhi1)」でも意味はほぼ同じ。また「錯」の代わりに「罪(ズイ・zui4)」と言ってもほぼ同じ意味です。
 てなところで、状況と相手の怒りの程度に合わせて、上手に謝るとしましょう。時には謝らずに「自分の方が正しいのだ」と貫き通す必要もあるかもしれませんが。

 最後に、今回取り上げた場面の原版でのやりとりも紹介します。一口に謝ると言っても、いろんな言葉があるものですね。こういう類義語を使い分けるってのは、特に外国語の場合は難しいものだと感じています。ついつい、一番基本的な言葉(謝る時は「対不起」)一本槍になってしまいがち。

のび太ごめんなさい。
ゆるして。
かんにんね。
ドラこんなにあやまってるから、
ゆるしてあげたら。

 文法の間違いや誤訳もあると思います。ご指摘、ご感想など、お待ちしております。

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