No.54

        オーストラリアによる難民受入拒否


この点については、NPRが最近これを2回採り上げたことから、
8月15日のこの欄で紹介した。

NPRは更に8月17日にも再報している。

オーストラリア政府が、Manus島の方の収容所(テント村の写真付)を
閉鎖することにしたと伝える(「日程も、どう処理するかも不明だが」としている)。

オーストラリアを含む144か国が加盟している国連難民条約
(1951 Refugee Convention)の下では、
難民と認定したら、「元の国(地)に送還してはならない」とのルールがある。

オーストラリアは、難民を送還しない代わりに、
入国させないで、ソロモン海の北の孤島のテント村に収容してきた
(難民はおろか、アジア系などの入国希望者も、水際でストップする政策のようである)。

ガーディアン紙(5月17日付)は、国連が、一番新しい51件について、
「このオーストラリアの処置を違法
(illegal)とした」と伝えている
(オーストラリアは、国連人権委員会の委員席を手に入れたがっているが、
それにマイナスに働くとしている)。

一方インドネシアは、このオーストラリアの態度を非難している旨を
インターネット上に出している
(「サインしておきながら、条約を守らないのか」と言っている)。

先のNPRによれば、オーストラリアの最高裁は、
去る2月に自国政府による難民の孤島での収容方針を合法とした。

一方、パプアニューギニアの最高裁は、
4月にオーストラリアによる難民の収容を違憲、違法とし、
彼らを囚人
(prisoners)として扱うことは、その「人権を蹂躙するものだ」
と判断しているという。

NPRは更に、オーストラリア駐在のロイターの特派員で、
実際に島を訪れ、難民らに面会した人の話として、
「難民の中には、もう3,4,5年も、ずっと閉じ込められた生活のため、
精神的におかしくなり、自殺を試みるものも多い」と伝えている。

始めに記したように、Manus島の方は閉鎖すると言うが、
もう1つの島Nauruの方では、ガーディアンが、2000以上(半分は子供に関するもの)の
悲惨な報告を出している。

NPRはこれにつき、オーストラリアの政府は、
「Nauruはオーストラリアではない」としか答えないと伝えている。


                               2016年8月15日