| リスク管理 |
金利や為替などが市場の変化により、デリバティブの価値が変動し、それに伴って損失が発生するリスクをいいます。一般事業会社にとっては最も重要なリスクですが、大手銀行などではリスクを定量的に測定するVaR(バリュー・ アット・リスク)と呼ばれる手法が導入されています。
取引企業の倒産等により契約どおりの取引ができなくなるリスクです。このリスクは金融機関にとって重要ですが、リスクの測定手法として カレント・エクスポージャー方式 等の導入が進ん でいます。
取引の事務処理が過誤やコンピュータ・システムの欠陥などにより迅速性や正確性が損なわれることによって損失を被るリスクです。
市場の流動性が欠如することによって取引に支障が生じ、損失を被るリスクです。
取引の法律面での不備によって損失を被るリスクです。
一つの金融機関の破綻により連鎖的に他の金融機関の破綻にまでおよび金融システム全体の安定が損なわれるリスクとされています。 このリスクは政策当局・監督機関が対処すべき問題ですが、金融市場での相互依存性が高まっており、デリバティブ取引の拡大によりリスクは増加していく可能性があります。
G30(Group of Thirty)はアメリカの民間調査団体で、1993年7月にデリバティブに関する報告書「デリバティブ 慣行と原則」が公表されました。
BIS(国際決済銀行)のバーゼル銀行監督委員会は、先進10か国の銀行監督当局と中央銀行によって構成される国際機関ですが、1994年7月に「デリバティブ取引に関する民間金融機関のリスク管理ガイドライン」が公表されました。
大蔵省金融検査部より1994年11月に 「デリバティブのリスク管理体制の主なチェック項目」が公表されています。
日本銀行考査局より1995年4月に「デリバティブ取引に関するリスク管理チェックリスト」が公表されています。
上記のガイドラインは金融機関(ディーラー及びエンド・ユーザー)を対象としたものですが、一般事業会社では特に次の点がポイントとなります。
なお、日銀がエンド・ユーザー用に示した次のチェック・ポイントが一般事業会社にも参考になると思われます。
デリバティブ取引の時価情報開示の制度化が進展とともにリスク情報の開示についての関心も高まっています。
95年3月期より都市銀行を中心にリスク情報の公表が始まり、一部の銀行ではVaRの手法で定量化した市場リスクの開示を行っています。リスク情報のディスクロージャーにより、「市場によるチェック・メカニズム」を通してー市場が、高いリスク管理 能力を備え、経営状況も優れていると判断すれば株価や資金調達コス トに反映され、逆に体力を上回るリスクを取り、かつリスク管理が不十分であると判断すれば株価の下落や資金調達コス トの上昇等を余儀なくされるーリスク管理のレベルが全体として向上し、金融市場の安定にも寄与し得るものと考えられます。