1年間に得た所得金額の合計額から所得控除額を差し引き、その金額をもとに計算した税額があるときは確定申告をしなければなりません。

　ただし、サラリーマンは毎月の給与や賞与から所得税が源泉徴収され、12月に年末調整で過不足額の精算が行われるため、次に該当しない限り確定申告の必要はありません。

1. 給与収入が年間2,000万円を超える人

2. 給与所得や退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える人

3. 給与を2か所以上からもらっていて、年末調整をされなかった給与の収入金額と給与所得や退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える人

4. 同族会社の役員やその親族などで、その会社から給与のほかに貸付金の利子や不動産の賃貸料などの支払いを受けている人

5. 給与について災害減免法の適用を受けている人

6. 家事使用人などで給与の支払いを受ける際に所得税を源泉徴収されていない人

　確定申告をする必要がない人でも、次のような人は、確定申告をすれば源泉徴収や予定納税で納めすぎた税金が戻ってきます。

1. 源泉徴収された配当や原稿料などの収入が少額で、その他の所得も少ない人

2. 年末調整を受けたサラリーマンで次に該当する人
   • マイホームをローンで取得した人 　　　
   • 多額の医療費がかかった人 　　　
   • 年末調整のときに申告もれがあって控除を受けなかった人 　　　
   • 災害や盗難にあって被害を受けた人 　　　
   • 特定の寄付をした人 　　　
   • 特定支出額が給与所得控除額を超える人

3. サラリーマンで、年の中途に退職し年末調整を受けなかった人

4. 予定納税をしたが確定申告の必要がなくなった人

5. 退職所得者で、源泉徴収された所得税について特別減税の適用を受ける人

　確定申告は、所得があった年の翌年2月16日から3月15日までの間に行います。確定申告をしなければならない人が、申告期限内に確定申告書を所轄税務署に提出しなかったり確定した税金を納付しなかったときは、加算税や延滞税などが徴収されることになります。
　なお、還付を受けるための申告書は2月16日前でも提出できます。また申告期限後であっても5年間は提出できます。

　所得税の確定申告書は、通常の場合には「一般用の申告書」を使って申告します。「一般用の申告書」は、青色申告用と白色申告用の2種類があります。しかし、次の場合には「一般用の申告書」は使わず別の申告書を使います。

1. 給与所得者の還付申告用の申告書
   

   　サラリーマンで年末調整を受けた人のうち、他に申告する所得のない人が、雑損控除や医療費控除、寄付金控除、住宅取得等特別控除、政党等寄付金特別控除などを受けて源泉徴収税額の還付を受けるときに使います。また、年の中途に退職し年末調整を受けなかった人もこの申告書を使います。なお、この申告書を使用できる人でも「一般用の申告書」を使うことは差し支えありません。
   

2. 公的年金等のみの人用の申告書
   

   　公的年金等の雑所得以外に申告する所得のない人で、雑損控除や小規模企業共済等掛金控除、寄付金控除、住宅取得等特別控除、政党等寄付金特別控除などを受けない人が使います。なお、この申告書を使用できる人でも「一般用の申告書」を使うことは差し支えありません。
   

3. 分離課税用の申告書
   

   　青色申告用と白色申告用の2種類があり、次の人が使います。

   • 分離課税の土地建物等の譲渡による譲渡所得のある人
   • 分離課税の土地の譲渡による事業所得や雑所得のある人
   • 分離課税の株式等の譲渡による事業所得や譲渡所得のある人
   • 山林所得のある人
   • 退職所得のある人
   
   

4. 損失申告用の申告書
   

   　青色申告用と白色申告用の2種類があり、次の人が使います。

   • 平成10年分の所得金額が赤字の人（原則として青色申告者のみ）
   • 雑損控除額を平成10年分の所得金額から控除すると赤字になる人　
   • 繰越損失額を平成10年分の所得金額から控除すると赤字になる人　
   • 居住用財産の買換えの場合の譲渡損失額を平成10年分の所得金額から控除すると赤字になる人

　確定申告をする場合、税額は次の4段階で計算します。

1. 各種所得の所得金額の計算
   

   　所得を10種類に分けて、各種所得の所得金額をそれぞれ計算します。
   

2. 課税標準の計算
   

   　各種所得の所得金額を合計します。なお各種所得に赤字の所得があるときは、その赤字の所得は黒字の所得から差し引きます。また前年以前に発生した繰越損失があるときは、その繰越損失額もここで差し引きます。
   

3. 課税所得金額の計算
   

   　課税標準から基礎控除などの15種類の所得控除額を差し引いて課税所得金額を計算します。
   

4. 納付額または還付額の計算
   

   　課税所得金額に税率を掛けて税額を算出し、算出税額から税額控除額や特別減税額を差し引いて申告納税額を計算します。さらに既に納めている源泉徴収税額や予定納税額を差し引いて、確定申告で納付すべき税額または還付を受けるべき税額を計算します。