大蟻食式語学修得法を実践する。


<地球も歩き方>と帯の惹句が踊る新刊「外人術」の中の「語学をどうしよう」で大蟻食流の語学修得術が披露されてます。これを実践してしまおうというのがこの頁のテーマです。

だらだら語学学校なぞ通っても時間の無駄。赤ん坊のように覚えた言葉は赤ん坊のようにしか使えない。文法を覚え一定数の単語を覚えるまでの三箇月は家で集中的に仕上げる。ここまでが第一ステップです。


第五日 実に2カ月ぶりでしょうか。この間、実際にドイツ語圏に旅行してきまして、正に「実践」してきました。これについては追々触れるとして、今晩開いてみるのは、小塩節著の「グリム童話をドイツ語で読む」(21世紀図書館)という本です。「メルヘンには真理がある」とゲーテも言ったそうですが、グリムのドイツ語を読み解きながら基本文法、訳読法を学ぶという趣向です。グリム兄弟というのはなかなか面白い生涯を送ったようです。兄ヤーコプ・グリムは1785年の生まれで、弟ヴィルヘルムは1786年の生まれです。彼等が半世紀にわたって童話集を完成させた時代は正にナポレオンの時代で、ドイツはフランス軍によって踏みにじられ悲惨な衰退期を迎えていた時でした。兄ヤーコプは外交官でもあったそうで、なんとウィーン会議にも出席していたんだそうです。メッテルニヒとも当然、面識が会ったことになります。


第四日 今夜は先日買ったビデオ、DIE DEUTSHE WOCHENSCHAUというナチス・ドイツの戦時中のニュース映画が材料です。1943年2月18日にゲッベルス宣伝大臣( Dr.Joseph Goebbels)がベルリンのスポーツ・パレス(Berliner Sportpalast)で国民総決起を促す為に行った大演説(Die große Rede)が収録されています。ま、演説がストレートに理解できれば、そうとうな実力なんでしょうけど、英語字幕に頼るしかありません。後半、「総力戦を望むか?」「総統を信じるか?」といった10の質問を満員の聴衆に投げかけるんですが、拍手喝采の果てしない連続で、そこだけで実際は1時間かかったそうです。これを完全収録したCDまで出てます。


第三日 これはずいぶんさぼりました。文字どおりの三日坊主でございましたが、再開第一日めは「速わかりドイツ語」スーパー・ミニ事典(博文館新社)をぱらぱらとめくってみます。50のテーマにわかれて関連ある単語が整理されてます。Herbert von Karajan war ein berühmter Dirigent.(カラヤンは有名な指揮者でした)なんていう例文が載ってます。die Musik(音楽)、die Musiker(音楽家)、das Konzert(コンサート)、der Konzertsaal(コンサートホール)、die Symphonie(交響曲)、die Partitur(スコア=総譜)、die Note(楽譜)、die Komposition(作曲)、Lieben Sie Brahms?(ブラームスはお好き?)。


第二日 今日も「動詞の現在人称変化」の続きですけど「不規則変化動詞」というのがあるんですね。これも三つ代表例が挙げられてます。schlaf-fen(眠る)型、geb-en(与える)型、seh-en(見る)型です。-e,-st,-t,-en,-t,-enにつく語幹がduとer(sie,es)が主語の時、なんと幹母音の部分がa→ä、e→i、e→ieという具合に不規則に変化するそうです。はいはい。続いて「単数名詞の格変化」です。ようするに名詞が男性名詞、女性名詞、中性名詞に分かれるものだから定冠詞と不定冠詞も変わってくるという訳ですね。試しにCDを引っぱり出してみて見てみましょう。フリッツ・ライナーがサンフランシスコ響を振り、フラグスタートがブリュンヒルデを、ロッテ・レーマンがジークリンデを歌ったWAGNERの楽劇「DIE WALKÜRE」第二幕というCDがぱっと目につきました。これは女性名詞な訳ですね。さてノルマは終わったことにして、他の本もちょっと見てみましょう。「ドイツ語の入門」(白水社)では、今日やった冠詞、名詞の性別が最初に出てきます。まあ、このへんはどっから始めても同じなんでしょうが「ドイツ語が面白いほど身につく本」(中経出版)はもっととっつきやすいです。文法の基礎は三章まで出てきません。まずはドイツ語に慣れよとばかり、すぐに役立つ単語、形容詞などを挙げてやさしく紹介してます。

第一日 まず最初に出てくるのが「主語になる人称代名詞」です。ドイツ語もフランス語と同じように二人称が二通りあって「君は」にあたる親称のduと「あなたは」にあたる敬称のSieがあるんですね。このSieは文頭でも文中でも大文字で始まるんですが、「彼女は」または「彼等は」の三人称のsieも文頭にきた場合は大文字で始まるから区別がつかなくなる訳です。これは動詞の形を見て区別しなさい、とのことで、お次は流れとして「動詞の変化」が出てくるんですね。これが「語幹+語尾」の不定形の型として四種類並べられてます。すなわちkomm-en(来る)型、arbeit-en(働く)型、heiß-en(〜と呼ばれる)型、sammel-n(集める)型です。語尾の形が全部違うんでやっかいです。しかし、このくらいでびびっていては先は長い。気にせず前進しましょう。パットン将軍の「ガソリンあるかぎり前進せよ。(ただし、抵抗激しいところは迂回せよ)」これですね。極意は。面白いのはドイツ語には英語の進行形にあたる用法がなくて現在形で両方を表すんですね。今日の最後は、「定動詞の位置」です。S+V型はいいとして、これがひっくりかえる場合、副詞とか目的語などの文成分が文頭にきた時には定動詞Vは必ず文の第2番目に来るという特徴があるようです。




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