酒後日記

 

 ううむ。ここは・・・私の家か。

 12時か。もう昼だな。

 確か、帰り着いたのは3時半だったから・・・まあ寝たか。

 足が痛いぞ。豆ができている。

 昨日は・・・赤羽で終電になったんだよな。12時半頃か。埼京線で3駅だ、歩いたれ!とかいって歩いて・・・3時間か。確かタクシーでも3000円かかる距離だよな。

 足も痛いわな。おまけに日本酒の一升瓶を2本ぶら下げて歩いたし・・・肩も痛いぞ。

 金は・・・2万ほど減っている。これなら昨日は、ちゃんと飲み代を払ったようだな。

 ちょっと減り方が多い気もするが。

 確か途中で、神社にお参りした覚えがあるな。

 ついふらふらと入ってしまったのだ。

 あそこでお賽銭を・・・いやいや、私は根が吝嗇なのだ。酔っぱらったら、ますますケチになるはず。そんな無駄金、使うはずもない。

 なんだって歩いたんだろう。

 やることが極端だよ。

 先月もこのくらいわけわかんなくなったよな。その時は気が付いたら家までタクシーで帰っていたのだ。

 まだまだ終電まで間があったはずなのに、何でタクシーに乗ったんだろう。奇怪だ。

 1万円かかったよ。

 おまけにあのときは、財布を落としてしまっていたのだ。

 幸い、私は陰気でみすぼらしい性格なので、へそくりと称して本に1万円札を挟んだりしていたので、それで何とか払ったが。

 おまけにひどい打撲傷があったのだ。それから1週間、ビッコを引いていたほど。

 喧嘩でもしたか、それともオヤジ狩りにあったか、財布が見つかるまで悩んでいた。

 どうも最近飲酒後の行動が我ながら自信がもてない。やはり年か。

 でも、むちゃくちゃな行動といったら、やはり大学時代だよな。

 ある年の学園祭の打ち上げコンパは最悪だった。

 その年はサークルの雰囲気が悪かった。執行部を反主流派が非難したり、酒を飲んでは吉田たくろうの「人間なんてララララ・・・」を絶叫しながら機関誌を破いたり。

 その鬱憤がコンパで炸裂したのだ。

 いや、喧嘩はなかったが、全員が泥酔してしまった。会場の澁谷から大学寮まで15分ほどの道のりだが、出発した20人ほどの軍勢が無事帰り着いたのは5人という、インパール作戦もかくやという悲惨な行進になってしまったのだ。

 道に迷ったわけではない。迷おうとしても迷いっこない。なにしろ、途中の道程に力尽きた学生が点々と、まるでヘンゼルとグレーテルが道しるべにまいたパンのかけらの如く、ばらまいてあったのだから。

 ヘンゼルのパンくずは小鳥に食べられてしまったのだが、学生の道しるべも永遠ではなかった。警察が次々と収集していったのだ。翌日留置所で目覚め愕然とした学生は、5人や6人ではきかなかったという。

 まあ、今は家に帰っただけましか。

 それにしても、成長の家のパンフレット、これは一体どこで手に入れたのだ。


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