日記のやめかた

 突然ですが、本日をもちまして「雑文日記」は終了させていただきます。永らくご愛顧ありがとうございました。
 1998年の年末より始めたこの日記も、ほぼ一年半続きました。この間、雑文の世界にも色々なことがありました。雑文を書いて発表する人の数もたいへん増加しました。「雑文速報」や「雑文リング」など、さまざまな形で自己の雑文をアピールする場もできました。こうした諸情勢にかんがみ、「雑文日記」の役割はひとまず完了したと考え、ひとまず発展的解消を

 いかんいかん。なんだこの大上段な書き方は。政党の分裂や市の合併じゃあるまいし、諸情勢にかんがみてどうする。発展的解消してどうする。だいたいなにが発展的なのだ。解消に発展的もあるものか。なにが保守党だ。なにがさいたま市だ。だいたいこの日記に役割なんぞあったのか。もうちょっと、素直に書けないものか。自分に正直に。

 一介の雑文書きが雑文の批評めいたものを書くことについては、快く思わなかった方も多いのではないかと思います。これは批評ではない、他人の雑文をネタに好き勝手書いているだけなのだ、という弁解を頼りに、今まで続けてきました。でも、「雑文日記に取り上げられたい」「紹介されて嬉しい」などと書かれると、正直いって嬉しかったのです。しかし、凡人が妙に持ち上げられると哀れなものです。そのうち、いつの間にか、「この文章は是非紹介しておかなければ」などと思っている自分に気づいたのです。いったい何様のつもりでしょうか。神の視点にでも立ったつもりでしょうか。このような慢心に気づくにつれ、私は

 正直にも程がある。こんな身も蓋もない告白文読まされたって、読者が不快になるだけではないか。てめえはルソーか。ルソーはてめえの歳にはな、もう「人間不平等起源論」で全仏に名が知られ、おまけに三人も私生児を生ませて、全員孤児院に放り込んでいるんだぞ。どうだ、真似ができるか。
 ええと、日記をやめるとき、他の人はどんなふうに書いているのだろう。この際まねっこしてみよう。

 私は悪くないのに、攻撃的なメールを送ってこないでください。私を批判しないでください。私だけが悪いんじゃないんです。私だけがやったことじゃないんです。私は繊細なんだから、怒られると鬱になるんです。自殺するかもしれません。そしたらあなた、殺人者ですよ。私が悪くても怒らないでください。うっとおしくてしょうがないので日記やめます。

 嘘はいかん。別に攻撃的なメールなんぞ貰ったことないし、トラブルでやめるわけじゃないんだから。いちおう私の日記は、得票数は毎日ゼロから三票のあいだをゆく、清く正しく貧しい日記だったのだから。だいたいこの文章は居直ってるぞ。

 2chに住む密告者により「雑文日記」は削除されてしまいました。

 だから、嘘は駄目だってば。ジオの方は別にエロサイト指定されてるわけでもないし。

 いつの間にか「File not found」の言葉だけを残して消えていった日記の、いかに多いことか。桜のように儚く散ることこそ、日記の本質なのかもしれません。
 しかしこの桜、反面では妙にしぶとかったりします。「日記やめます」と言った癖に、何食わぬ顔で戻ってきた人もまた、いかに多いことか。日記名を変えて再登録、作者名を変えて再登録、シンパ集めて自分のファンクラブ結成して再登録、などと、すっかり虫に食われて茶色く変色してるのに、いつまでも幹にしがみついている花びらも数多く見受けられます。そのため桜全体の見栄えもたいへんに悪くなったり。よっぽど樹液が甘いんですかね。

 これはやめる方が書く文章ではないな。

 あら、ネズミさん、何か言いたいことがあって?
 「やめるでチュウ」

 いいかげんにしなさい。

 橋本といっしょに引退します。

 橋本も武藤みたいに、「謎のモンゴル人レスラー、ハシフ=カーン」として再登場するのでしょうか。

 阪神が弱いので日記やめます。

 不条理ネタかい。

 明日に向かって いつでも行くのさ
 今 夕日にさらば告げて
 また 新しい夜明け 迎えに行こう

 さよならコンサートかい。タイガースが違うぞ。今の人知らないって。歌詞をパクるのはやめなさい。

 散る桜 残る桜も 散る桜

 句までパクリですか。

 散る桜 残る桜は 姥桜

 その程度変えたってパクリなんだってば。だいたい誰のことを言ってるんだ。

 大団円

 嘘。


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