怪獣談義

「怪獣図鑑なんかで、ぜんぜん番組と関係ないことが書いてることがあるだろう」
「ときどき妙な裏設定が書いてあるんだよね」
「あったあった。怪獣ツインテールはエビのような味でおいしいとか」
「食ったやつおるんか」
「グドンは食ってたでしょう」
「いや。人間で」
「まさか怪獣に『どんな味ですか?』とインタビューするわけにもいかんよな」
「シルバー仮面だったっけ。ドミノ星人はパンの味がするとか」
「なぜピザの味じゃないんだ」
「ミニラって、ぷよぷよしてて、食うとうまそうなんだがな」
「いや駄目だよ。親父がゴジラだぜ。どう考えても汚染されてるよ」
「ゴジラの仲間は、みんな駄目ですね。ラドン、モスラ、アンギラス、レッドジャガー」
「レッドジャガーはロボットだから、もともと食えんぞ」
「モスラの幼虫は、ちょっと食指が動くんだがなあ」
「いや、俺はやはり、小美人をこうつまんで、酢味噌につけて踊り食いで……」
「それやると猟奇方面の話になるからやめなさい」
「エビラはうまそうだけど」
「いや、あれは食いでがない。上半身デブで尻尾が小さい。食えるのは右の鋏だけだ」
「エビ・カニ系の怪獣は、どれもうまそうですね」
「ええと、ザニカ、キングクラブ、ビラ星人、ガンザ……」
「バルタン星人は?」
「微妙なところだなあ」
「ダリーは?」
「あれ、ダニでしょう」
「ううむ、でも、松坂慶子の血を吸った奴なら、俺は食う」
「また猟奇方面だ」
「ガメラは?」
「あれも放射能系だからなあ。それに最近のシリーズを見てると、ますます食えそうな気がしない」
「ギャオスもギロンもまずそうですね」
「ガメラシリーズで食えそうなのは、バイラスのゲソくらいかなあ」
「バルゴンはいいですよ。ずん胴でお肉がみっちり詰まってそうな感じが」
「ガッパは?」
「なにせカッパだからな。食うと不老長寿になるかもしれん」
「昔から悩んでたんですけどね。マタンゴ、あれ、うまかったら食いますか」
「食うとマタンゴになっちゃうからなあ」
「でも、松茸やトリュフなんか目じゃないくらいうまい。もうメチャメチャにうまいということになったら、誘惑に負けずにいられるかどうか」
「そんなことで悩むなよ」
「肥料が人間だからなあ。うまいかもしれんなあ」
「また猟奇系になってきた」
「あと実際問題として、毒ガス怪獣とかヘドロ怪獣とか、あんまり食う気がおこらんのだな。ヘドラとかモグネズンとか」
「実際問題なんですか?」
「ヘッピリムシ怪獣のキングマイマイもお断りですね」
「ステゴンとかシーボーズも、食うところないぞ」
「やっぱりジラースとか、オクスターとか、人里離れた綺麗な湖に棲んでるようなのがいいよな」
「オクスター、うまそうだな。あれ、牛ですもんね」
「同じ牛でもカウラはやめた方がいいな。蟹江敬三が変身したから」
「エレキングも湖育ちだけど、あれもいいですか?」
「あれは幼虫がうまそうだ」
「ああ、カミキリムシの幼虫みたいな格好した」
「あれを頭から尻尾まで串刺しにして、タレを塗りながら焚き火で炙って食うとうまいだろうな」
「キャンプ料理の極致ですね」
「飼い主、怒らんかなあ」
「そしたら飼い主のピット星人も食っちゃう。あれの顔は堅い殻みたいだけど、べりべり剥がすと中にミソが詰まってる。これがうまいんだ」
「ちょっと猟奇っぽいなあ」


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