ワールドカップの顔と顔

 またも陳腐な企画ですいません。
 いよいよ日韓共催ワールドカップが始まります。今回は日本半催ということで、一般マスコミの盛り上がりもはなはだしく、朝日新聞ですら全参加チームの登録メンバー表をとじこんでくれるほどです。前回のときはネットで検索したあげく、アラビア系や中国系の難読名はどうしても読めずに困ったことを思えば、ラクになったものです。残念ながら朝日新聞はフルネーム書いてくれていませんが。では、この朝日新聞版に準拠して、「ワールドカップ、珍名さんいらっしゃ〜い」をとりおこなっていきたいと思います。

 まずは日本と同じH組から。
 難敵ベルギーのキーパーはデブリーヘル。DFのデブックとのコンビネーションはどうでしょうか。はたしてゴールに、ボールを押し込む隙間が空いているでしょうか。……ってこの選手は「北斗の拳」にしばしば登場する猛烈デブのザコ敵かい。なに、デブリーヘルがやられたって、控えにはちゃんとヘルプールがいます。MFにはホールという選手がいます。最初から穴があいているようです。油断してはならないのが、DFのバンビュイテン、バンデルヘイデン、バンケルコーベン、バンミールのバン軍団。なにしろバンといえば、「星〜ぃ、守りはまかせておけ〜ぃ」の代名詞ですから。
 傷痍軍団ロシアにはオノプコとかピメノフとか可愛い名前の選手もいるのですが、どうも人材難のようです。
 かつてのkasumiさん(27時間)を超える大遅刻や万引き騒動ですっかり株を下げた感のある(重要な注釈。kasumiさんは大遅刻で有名なだけで、万引きは私の知る限りやっておりません。個人の名誉のためにひとこと)アフリカ軍団の一角、チュニジア。早くも二次リーグ進出を諦めたか、トラベルシなどという観光気分の選手がいます。それを羨ましく思うジェラシ選手。マルズキという選手もいますが、ベルギーのデブコンビを見てどう思うのでしょうか。

 その大遅刻軍団カメルーンはE組にいます。エトーという選手は日系でしょうか。ジョブ選手は日本でJリーグを訊ね歩くのでしょうか。DFにはカラ、ソングというコンビがいますが、やっぱり日本では真っ先にカラオケボックスに行ったのでしょうか。中津江村にはカラオケの施設があったのでしょうか。そういえばニュースで見ましたが、中津江の宿泊場のレストルームにサッカーゲームがずらりと並んでましたが、はたしてサッカー選手はサッカーゲームをするのでしょうか。仕事でやってることを遊びでやる気になれるのでしょうか。謎だ。
 悩まずにE組を続けましょう。ゲルマン軍団にはビアホフという旨そうな選手やそのつまみによさそうなノイビル、バラックというかわいそうな選手、ヤンカーという関西出身の選手がいますが、いまひとつ統一感がない。予選で苦労したのもそのへんが原因でしょう。
 アイルランドの監督はマッカーシー。ぜひとも二次リーグに進んでベルギーを倒し、「赤い悪魔狩り」をやってほしいものです。ただ、GKにギブンという気前のよさそうな選手がいるのが気がかり。動きが悪そうなストーントン、国を間違えたホランド選手もいますが、ここはリード選手の活躍を待ちましょう。
 E組のカヤの外、といった感のあるサウジアラビアですが、おまかせください。ワールドカップは勝ち負けだけじゃない。世界中の選手が一堂に会する貴重な場でもあるのです。というわけでGKのデアイエ選手。それに恐るべきは、A・D・ドサリ、A・K・ドサリ、O・ドサリ、Ab・ドサリと揃ったドサリ軍団。サウジが勝ちさえすれば、「ドサリと大量得点!」のスポーツ新聞見出しはあなたがたのものです。

 遺恨試合やらフーリガンの暴動やらで「死のグループ」とおそれられているF組。筆頭のイングランドにはいきなりダイアーという不吉な選手が。バット、ベッカム、ミルズ、ブリッジ、シーマンという選手たちも、「バットでぶん殴ってからカミソリで切り裂いて臼でひいてミンチにしてやる。橋から突き落としててめぇは土左衛門だぜゲハハハハ」という隠されたメッセージなのかもしれません。
 対するアルゼンチンにはウサイン、ベロン、シメオネ、キリゴンザレス、バティストゥータ、チャモ、カバジェロという選手がいますが、これも、「うぜぇんだよこのアングロサクソンどもが! ナメとったらシメたるぞ。錐でぶっさしたところにバイキンつっこんでチャボの餌にしたろか、それとも川に流されてカバの餌になりたいか」という隠されたメッセージなのでしょう。
 中立国家のスウェーデンは、このような血なまぐさい争いは好きではない。ヘドマン選手のように気持ち悪がっているのもいます。
 ナイジェリアは、ババンキダという素晴らしい名前の選手を欠いたものの、ババヤロは健在です。オコロンコのように、イングランドとアルゼンチンの泥試合に怒っている選手もいます。ヨボ選手は何歳なのでしょうか。グラウンドで倒れたりしないか、ちょっと心配。

 イタリア楽勝が予想されるG組ですが、珍名ではクロアチアが一歩抜けた感があります。なにしろ、ヨジッチ監督の元、シミッチ、シムニッチ、ジブコビッチ、シャリッチ、シエリッチ、ラパイッチ、スタニッチ、ボクシッチ、ブラオビッチ、オリッチのサッカーっち軍団は今回も健在です。ッチがつかない選手はクロアチア代表にあらず。バシリのように子分扱いか、ソルドのように売られてゆくか、コバチのようにオマケ扱いです。
 しかしイタリアも、マテラッツイのようにクロアチア独走に待ったをかけます。トンマージ選手はフォーメーション覚えられるでしょうか。ココ選手の示す位置へちゃんとパスを飛ばせるでしょうか。
 エクアドルにはポロソ選手が。パスをちゃんと受けられるのでしょうか。しかし大丈夫、二人もいるアジョビ選手が「なに、ちょっと遊んだだけさ」と慰めてくれます。チャラ選手は「今度キメてチャラにすればいいさ」と励ましてくれます。なんていいチームなんだろ。
 メキシコにはヒトリオ、ブランコの両選手がいます。なんとなく夕暮れの公園でたったひとりブランコをこいでいる姿を連想します。エレジー入ってます。早くも一次リーグ敗退を予想しているのでしょうか。

 ちょっと長くなりすぎたので、韓国側のチームは手短に。
 フランスにはマケレレという不吉な選手。アンリと驚いている選手もいます。そら、ジダンも地団駄踏みたくもなるだろうさ。
 セネガルにはトラオレと主張している選手がいます。好調の阪神タイガースにあやかっているのでしょうか。でも隣でチャウと否定している同僚がいます。
 ウルグアイの監督はプア。悲しいですね。おまけにGKがお金をカリーニ。仕事にアブレウ。私はだれかにお金をモラレス。ビセラ、レンボと並んだ選手名が、ついビンボに見えてしまいました。
 デンマークは同じA組のウルグアイに金をせびられ続けているのか、監督のオルセン以下、ソーレンセン、クリスチャンセン、ヘンリクセン、ラーセン、N・イエンセン、グラベセン、C・イエンセン、ニールセン、ミカエルセン、ポールセン、ヨーゲンセン、マドセンと、みんな揃って「せん、せん」と断りつづけています。
 スペインの監督はカマチョ。それが嫁はんにバレロン。嫁はん怒ってモリエンテスのカシリャスの木で私をバラハ。もうWヤングの真似はやってられルケ。
 美作でキャンプを張って有名になったスロベニアは、ダバノビッチ、シメウノビッチ、ミリノビッチ、アチモビッチ、パウロビッチ、ザホビッチのビッチ軍団が健在。ブライッチらの「ッチ」も準構成員とすると圧倒的多数を占めるが、侮れないのは監督のカタネツ以下、ネメツ、オステルツのツ軍団。虎視眈々と次回に向けての多数派工作を狙う。
 パラグアイはいまひとつ。サンタクルスとアクニャの聖悪コンビに期待を託す。
 南アフリカはソノ、イサ、プレ、ズマなどいさぎよい名前が並ぶ。前回、モコエナと組んでいい味出していたムケレレ選手は出ないのか。その代わり、ノンベテという大酒呑みが参加。ムカンシとフォーチュンの過去未来コンビにも期待。
 ブラジルはカカ以外たいした名前がない。いつも思うのだが、ここの選手は名前をよくばり過ぎだと思う。ロベルトカルロスなんて、ロベルトかカルロスのどっちかだけでいいじゃないか。他にも、ロケジュニオール(ロケかジュニオールにしなさい)とか、アンデルソンポウガ(アンデルソンかポウガにしなさい)とか、ジウベルトシウバ(ジウベルトかシウバにしなさい)とか。ジュニーニョパウリスタなんて、あまりに長いため、朝日新聞はこの選手だけひとつ小さい活字で印刷してるじゃないか。自分の長い名前によって、どれだけ世界の印刷所のおじさんが困っているのか、ブラジル人は考えたことがあるのか。
 トルコにはユミトオザトという選手がいるのですが、日系の小里弓人さんでしょうか。いや、ひょっとしたら小里ユミさんかも。その人きっとオカンがイルハン。ユミトダバラとトゥガイ。いかん、またWヤングが憑依した。
 コスタリカにはギマラエス監督とチンチジャ選手の男性器コンビ。そういうのは放送コードに引っかかるので、山城新伍にならって、ワンチョペと、そう言ってください。
 アメリカはアリーナという、なんとなくなつかしい名前の監督のもと、エイグース、ビーズリー、ジョーンズ、ウルフといった海陸猛獣カルテットが売り物。え、ビーズリーじゃなくてグリズリー?
 韓国はほとんど漢字でどう読んでいいかわかりませんが、ひとりだけ「車ドゥリ」とカタカナで書かれた選手が気になります。はっ、ひょっとして「車通り」の駄洒落?
 ポルトガルにはベトという、いちどマークしたら離れないDFがいるのでご注意を。ヌノゴメスでフィーゴ。そういうことはコウトの中でフレシャウト。カネイラでバイア。いかん、またWヤングが。


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