『カードキャプター さくら』 #69 の感想

初出

粗筋
クロウの生まれ変わりと名乗ったエリオル。 街の人達を魔法で眠らせ、さくらにこれを破ってみせよと迫る ──
概観
ライトやダークをさくら化するには本人の力ではかなり不足するから状況つくって後押しした、 という形なんだろうけど、おもいっきり無理矢理な論理にみえるのは、 なんといってもエリオルが急ぐ理由が描かれてないからだ。 せめてライトが魔力に飢えて死に掛けている描写や、 あるいはそれの裏として さくらカード化された時に街の皆を叩き起こすまえにさくらにたいして一礼すること (さくらカード化をライト自身が望んでいたという意味)が必要だろう ...
大物のリターンを発動させた直後にむりに急いで 6 枚も一気にさくらカード化すれば、 そりゃあライトやダークのような大物を変える力が無くなってても無理はなく、 ケロベロス、ユエ、小狼の力まで借りて変化させざるをえないとすれば、 それはエリオルの責任でしかない。

話の造りはさくらカード編の冒頭、 クロウカードが発動しなかったのをさくらが焦ったとこの裏返しとなる、 うまくさくらカード化しなくて焦る、というのが背景に置いてあるらしい。

それと、太陽がおかくれになるところ、円を円で覆っただけだが、 ただしく日食ですねぇ。月食のほうはヘンだけど。 全周魚眼レンズといい、絵は綺麗なんだけどねぇ、なんだけども ...。
やっぱ本筋の論理がヘンだと辛いわ。

さくらの論理
次から次へと魔力が投入されてくところだが、 さくらの論理が変なので、あおりくらって自己犠牲側までが浮いてる。
「(カードを)変えられなかったら、 二度とケロちゃんにもユエさんにも会えなくなっちゃう ...」
ではなくて、
「(皆が寝てしまってもケロちゃんやユエさんだけは無事だったのに さらに)ケロちゃんやユエさんにまで会えなくなっちゃう ...」
になってないとおかしい。 ここはベットが上がってるとこなんだから、すでに賭けた分について 諦めるか or ベットを上げるか、という形のとこで 自分の身を賭けようとする奴を止めるにはすでに賭けた分(すでに寝てる人達) について諦めてもいい ── という論理をとらないと自己犠牲に入る連中を止められない。 実際、「をいをい、すでに賭けた分はどーすんだよ」とユエに突っ込まれてる。
小狼
ラストで逃げたエリオルをケロベロス、ユエが追いかけ、 さらにさくらが追いかけたところで小狼が止めたトコ。 小狼は自分個人の目的のために "作戦行動中" のさくらを妨害したことになるだろうに、 こういう条件で「好きだ」つうてみても 存在意義をまったく感じないんですが。作為の塊のような脚本だなあ。

小狼のほうを横目で見ながら「大丈夫だよ」というんは、まあ、それが目的の演出なんだろうが それだけで一話もつはずなかろう ... つーか、気ぃ入ったさくらの表情はここだけで、 全体に表情の動かし方が荒い。

この話、この一言
(大丈夫。── ぜったい大丈夫だよ)
さくらの「大丈夫」のベスト version.

文字だけではここの感情は表現不可能だ ...


[アニメ感想のページへ] [『カードキャプター さくら』のページへ]