粗筋
街に室内プール施設が出来た。さくらはみんなで出かけ、
隠れてついてきていたケロベロスをロッカーに戻そうと皆から離れた時、
プールに大波が押し寄せた ──
概観
「さくら」らしい小品でした。クリームソーダ〜ケロベロスの話から奈久留が桃矢に
ひっついてきているところまで一つのコンテクストにきっちりはまって。
最初のうち少し絵に手抜きが感じられるのが気にかからないでもなく
「またか...?」と思ったけど、
さくらがウォータースライダーからひっくりかえった水中のシーンがよくできてたので
力配分的にはおっけーだと思う。
ところで、「泳ぐことができるようになった」というネタを
「泳げるようになってたから助かった」という形で主筋に組み込むなら、
小狼とエリオルの会話「つねに冷静に ...」も
どうにかして主筋に組み込んでおいてほしかった。
「さくら」という話に在る嫌味
ただ ── 「さくら」という話を積極的に嫌うことがあるとすれば
この話はそれに直結するようなトコがあった。
負の感情をもたせて話に厚みをもたす役割を担う小狼とエリオルの扱いが
この話では軽すぎる。利佳やさくらの正の感情の力押し
(「フォームもきれいだし」「さくらちゃんのおかげだよ」 etc.)
とのバランスが崩れてて、一種、仮面舞踏会的な嘘臭さを感じた。
カメラのフォーカスに意志統一感がなくてさくらを映す時に小狼視点から見てるのに
小狼を描写する時には
さくらからカメラを回してるせいだな。両者の観察力が対等なら問題ないが、
「さくら」の場合はさくらが「ぼんやり」なので
これをやると負を担当する小狼の心理描写が薄くなる。
今回、この一言
「佐々木さん。泳ぐこと、嫌いになってしまいましたか ...?」
「え? ── ううん、ちょっと恐かったけど」
... ラスト数分前まで「山崎君の嘘って最後まで聞かないと気になるよね」
になるかと思っていたんだけども。
感情表現とはこうありたい、というエリオルのセリフだった。
これがあるなら奈久留とエリオルのやりとりは必要ないと思うけど、
ま、しょうがないやね。
[アニメ感想のページへ]
[『カードキャプター さくら』のページへ]