新型購入までの道のり

私は初代プリウスを実に初期に購入したものの端くれである。当時私は、記者発表前から某所を通じてひそかに情報を入手し、綿密に購入計画を練っていた。そして、記者発表の翌日、トヨタに速攻で電話を入れ当時としてはかなり早期に予約までこぎ着けたわけである。(プリウシスト-1」を参照)

今回の新型プリウスの場合、さらに動きは早くなった。

一部のマニアの方から見ればあまり早いほうとは言えないが、昨年頃からコツコツと情報を入手し、虎視眈々と購入の時を伺っていた。2003年の4月になると、米国のモーターショーで新型プリウスのプロトタイプが発表されたが、この時点でターゲットの全容ははっきりしたと言って良いだろう。

ハイブリッド・シナジー・ドライブ=世界最高の燃費に、動力性能と居住性能の向上。

発表された新型の内容を見ると、思った以上にアグレッシブなモデル・チェンジのようである。トヨタの場合、革新的な1代目モデルが、徐々に牙を失って陳腐なクルマに落ちぶれていくことがあるが、今回のプリウスの場合はそうではないようだった。

まず、この一点で買う決心を付けた。むちゃくちゃな購入動機である。

7月になるとディーラーサイドからも様々な情報が入るようになってきた。このころまでには、プリウスマニアのHPに関わっておられる方々は、既に相当早い段階のトヨタ会館におけるオフ会で、米国仕様のプロトタイプを見学しておられた。ここ数年私はと言うと土日は精根尽き果ててたどり着くオアシスとなっているため、この手のオフ会は第一回目に参加して以来ご無沙汰してしまっている。やばい完全に出遅れている、と正直焦る。

さっそく、ディーラーの方から販売店用の事前教育マニュアルをナイショで(ここに書いたらナイショでないけど)コピーさせてもらい、じっくりと新型の検討を行う。良く読んでみると、想像以上に大変なハイテク装備満載の車である。こういう時代をリードする本物はまず初期に買って、時代の息吹を捉える。これが親父から受けついだ私の困った性分である。万難を排して買わねばなるまいと心に誓う(ちとおおげさか)。

その後、「正式予約は8/1以降になります」との情報を得るが、なんせその日まで海外出張で成田に着くのが8/1である。翌日にはまた九州の方の学会で話をしなければならず、そうこうしているうちに予約が遅くなって、納期が遅れてしまう。こういうクルマは最初に町に繰り出したもの勝ちである。こうなったら強行軍で8/1帰国直後に予約するしかない。担当の方に無理を言って帰宅後に来てもらい、無事正式予約を行った。カタログも試乗もなしに買うのだから、狂気の沙汰と思われる方もいるだろう。しかし、ハイリスクハイリターンを好み、世の中全てが機を見て勝負だと思っている阿呆だから、しょうがない。

この時までには、タイプGでツーリングセレクションにすることは決めていた。理由は、強化された足回り、最高レベルの空力にするためのエアロパーツ、そしてクルーズコントロールやVSC電動パワステ協調制御、ディスチャージ・ヘッドランプなどがどうしても欲しかったからである。ただし、Sだと35.5km/lの燃費もGツーリングでは30km/lになってしまう。さすがにこの点は若干気になった。

しかし、タイプGが10.15モードの燃費測定における基準乾燥重量1250kgを越えていたため、余分な負荷をかけて燃費計測が行われているとの情報を入手。おそらく実用燃費ではそれほどの悪化は無いと言うことになり、思い切ってGとしてみたわけである。(だが、GとGツーリングの差は扁平幅広タイヤによる燃費悪化効果のようで、ここら辺は実際にユーザーがデータを持ち寄って議論してみないといけないようである。)

その他、いつもの癖で DVDナビ(ボイスナビだし、なんと言ってもインテリジェント・パーキングアシスト機能は話のネタにつけなければならん)やら、なんやらとオプションを積み上げて、最終的には結構な出費となってしまった。この際毒くわば(?)皿までと、ETCまでついでに導入である。5年8ヶ月乗った初代プリの査定は事故歴有り、約5万1千キロの走行で18万。ほとんど新規資金で買うことになった。仕事柄環境問題にうるさいパートナーが、1/3ほど援助してくれることになり、少しはほっとする。

問題は色である。実は予約前に実に丹念にクルマの色を観察し、ほぼ「銀色」に決定していた。予約前日まで滞在していたアメリカには、今回のプリウスの色に似た色のクルマがあちこちに見られ、やはり新型は米国市場を主要なターゲットにしているなと感じた。米国ではブロンズや赤、緑っぽいメタリックのクルマも結構走っていて、かなりクールに見える。ただし、米国の抜けるような青空の下と、水墨画のようなやんわりとした日本の空気の中では、かなり色合いが違っるのではないかと思った。そして、それらの色の中ではやはりシルバーが一番無難に見えたわけである。

しかし、白とか銀色とかは日本であまりに多すぎる嫌いがある。特に銀は汚れが白よりは目立ちにくいし、最近の丸みと凹凸のあるデザインでは素晴らしい光沢を放つため、特に好まれて数多くなっている。他人(ひと)と同じではつまらないではないか、と言う一抹の気持ちを持ちつつ、予約に臨んだ。営業の方には同じ色の他のクルマに関する情報を仕入れてきて欲しいと頼んでおいたので、それらの色を見ているうち、ブルーメタリックがどうしても気になり始めた。営業の方の、「ブルーはきれいですよ。今のプリウスの紺よりはっきりした青ですから良いのでは?」という囁きが脳裏でこだまする。

実際、初代プリウスを買ったときのHPに、「VWゴルフのようなもっとビビッドな紺だと思ったのに残念」などと書いていたことを思いだし、これはやはりブルーにするしかないと決断。それからというもの、一体どんな色なんだろうと、毎日悩むことになるわけである。

さて、予約が済めばあとは登録と納車ということになる。今回は希望ナンバーを利用し、末広がりで倍々ゲームでプリウスが世界に普及することを願ってある番号を付けることにした。9月8日現在納車日は未定である。9月21-23日とクルマで旅行に行くので、それまでに納車して欲しいのだが、新日鐵やらブリジストンやら工場から火が出る始末。直接は関係ないものの、納車を待つ「プリウス狂」たちの悩みは深い。

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