先プリウス時代(2)

そうこうしている内に、日経のホームページで驚くべき記事を見た。トヨタが世界初の量産型ハイブリッドカーを200万円ぐらいで発売するというのだ。その記事には、トヨタの損益分岐点が500万円のところ、普及をはかるために出血大サービスをするというのだ。もとよりお買い得品には目のない私だ。近くのダイエーでも、自分の納得のいくコストパフォーマンスを示すまで、商品購入を控える(要するに値引きを待つ)のである。なんだかわからんが、これで俄然プリウスと言う物に関心が出て来た。

それ以来あらゆるカー雑誌、インターネット情報を調べ、トヨタハイブリッドシステムの概念から、ニッケル水素電池のメモリー効果まで調べ尽くした。そして、プリウスというクルマが調べれば調べるほど、自分の希望に合致していること、そしてこいつが「ただものでない」ことが判ってきたのだ。

そして、記者発表の日、プレス用の資料とカタログまで手に入れ、さらにその先進性に目を見張った。そこには、新たなパッケージング、省エネ機構、通信対応機構など様々な点での革命が記されていた。THSは実はプリウスのほんの一部を示しているのすぎなかったのだ。私は、このクルマが本当にトヨタから出ると言うことが、どうしても信じられなかった。

こうなったらもう買ってみるしかない。かつて、「人気車を手に入れるには、発表される前から予約を入れること」と言うのをどこかのカー雑誌で見たことがある。見たこともないクルマに判を押すとなると、清水の舞台から飛び降りるのに等しい。でも仕方がない。ここで後れをとっては、いつ納車になるかわからん。すぐにトヨタお客様相談センターに電話だ。

「トヨタお客様相談センターです。」

「もしもし、トヨタですか?(そう向こうがいっているんだから、間抜けな質問だ)」

「はい、そうです。」

「プリウスを予約したいんですけど、できますか?」

「プリウスですか、少々お待ち下さい。・・・予約は出来ることになっておりますので、お近くの営業所にご連絡いただくことになります。失礼ですが、どちらにお住まいですか?」

「東京練馬の光が丘です。」

「それでは、大泉の東京トヨタにご連絡下さい。」

「大泉ですか。遠いですね。」

「いや、それほどではないと思いますよ。(名古屋にいるはずなのに、光が丘に来たことがあるらしい)」

「他では取り扱っていないのですか?カローラ店とか?」

「あいにくトヨタ店のみでの取り扱いになります。」

「そうですか。じゃあ、大泉の東京トヨタに連絡してみます。」

その後早速東京トヨタ大泉店に電話し、プリウスを予約したい旨伝えたところ、早速その週末担当者が自宅を訪問してくれることになった。

なんと値引きはゼロ!

約束の土曜日、所長さんと若手の営業のお兄さんがみえた。ここで、我が家はパリで買ってきた「マリアージュ」の高級紅茶を出した。「月刊自家用車」と言う本で、営業さんの印象を良くしておくと、値引きが期待できると書いてあったからだ。

ところがいざ話が進むと、向こうから「ここで普通はお値引きはいくらとなるんですが、このクルマは全く値引きはございません。」と宣言されてしまった。先手を打たれると言うやつである。「マリアージュ」の高級紅茶が判らなかったのかも知れない。

競合車がないから、それをぶつけてねばるわけにも行かず、「ずいぶんお安く売っておられるようですから、仕方ないですね」と心にもないことを言って、ハンコを押してしまった。ナビパッケージで、埋め込みチャイルドシート、フロアマットをつけて、総額で¥2,704,285。これなら、マークIIが買える。なんか失敗したかなぁ〜、と言う気が頭をよぎる。まぁ、後で付属品でサービスしてもらえばいいと、自分を慰める。

「納期はどうなっていますか?」と聞くと、「遅くとも2月ぐらいまでには入ると思います。」何で10月に注文出して、12月から売り出すクルマが2月になるのか全く解せない。しかし、もうこの時は「まな板の鯉」状態なので、「出来るだけ早くして下さいね」と言うしかない。きっと一般ピープルには後回しなんだろうな、とますます不信感をいだきつつも、一応笑顔で営業の方々を見送った。

続く

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