「行列」

 並んでまで食べるというのも、関東と関西では違いが見られる。

 大阪人は、安くてうまい所に行くけれど、並ぶくらいなら自分の舌を信じて別のうまい店を探すようである。
一方、東京人は雑誌や新聞で紹介されたからうまいに違いないと、すんなり受け入れる。
並ぶこと自体が好きな人が東京人には多いようだ。どこそこのラーメンを食べること自体が一種のイベントとなっているようである。並ばずにラーメンを食べることは、うまいラーメン屋にはあり得ないことだと思うのが当たり前になっている。並ぶからことラーメンがうまくなるのかもしれない。多分、同じラーメンであっても並んで食べたのと、並ばずに食べたのとでは感じるその味に違いがでてくるのではないだろうか。。。アンケートでも用意して実験してみたら面白いのではないだろうか?

 記号論的に言っても、うまいラーメン屋でラーメンを食べることが「並ぶ」ことにより記号化されているのではなかろうか。ちょうどこれは、観光地のおみやげに似ている。通常、街では絶対手に取ったり購入したりすることなどあり得ないものを観光地に行った時は手にとって見たり購入したりしてしまう。観光地のおみやげ屋で売っているものは一種独特な光を放っているように見える。これは、観光地をおみやげによって記号化しているものである。記号化されたおみやげを見ることにより、その時の思い出が蘇ってくるのである。つまり、「並ぶ」ことが「うまさ」を記号化しているのである。並ぶことによりうまさが引き出されると言っても過言ではないのではなかろうか。。。
 

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