「蜘蛛女のキス」 再演 in青山
<1回目>
日 時 : 1998年 5月30日 (土) 12:30開場 / 13:00開演
場 所 : 青山劇場 (渋谷・表参道)
座 席 : 1階 H列35番(かなりいい席!) →S席 ¥12000
<2回目>
日 時 : 1998年 6月3日 (金) 13:30開場 / 14:00開演
場 所 : 青山劇場 (渋谷・表参道)
座 席 : 1階 N列37番(当日券!) → S席 ¥12000
<3回目>
日 時 : 1998年 6月6日 (土) 12:30開場 / 13:00開演
場 所 : 青山劇場 (渋谷・表参道)
座 席 : 1階C列5番(端だけどすごい前席) → S席 ¥12000
<4回目> - 東京千秋楽 -
日 時 : 1998年 6月7日 (日) 12:30開場 / 13:00開演
場 所 : 青山劇場 (渋谷・表参道)
座 席 : 2階B列39番(ちょっと遠かった) → S席 ¥12000
青山再演を観ての感想 (舞台演出面など)
もう、待ちに待った公演でした。思えば初演を観てからずーっとこの瞬間だけを待っていたんですよねえ。でも、某ミュージカルを青山劇場で観たとき、あまりにも役者さんの声が聞こえなかったので始まる前までけっこう不安だったんです(私はそのミュージカルではじめて睡眠してしまった(爆))。それに、初演のときの劇場よりも広いというのもちょっとした不安要素。殆どが監房の中の二人のお芝居なのであまり広すぎてもちょっと違和感があるかなあと思っていました。
が・・・5月30日、待つこと1年半の幕が上がったとき、それまでの不安がイッキに消滅してしまいました(笑)
不安どころじゃありません、もう麻実さんの第一声が聞こえてきた瞬間から違う世界に行ってしまってました、私(笑)
やっぱり私はこのミュージカルが好きなんだあ!!ということを始めっから思い知らされましたね。
まあ、でもここで不安要素だったことについて一考察述べてみますと・・・
まず、会場の広さについてですが見ていて違和感を感じませんでした。まあ、私があまりにも入れ込みすぎて観ていたせいかもしれませんが(^^;)
オーロラのダンスシーンなどはかえってスケールが大きく見えてよかったと思ってます。それに囚人が脱走するところなども大きくてちょっと揺れてる(^^;)鉄格子が違った意味での迫力を感じられたり(^^;)、とにかく、不安要素でも素晴らしい作品事体がそれを超越してしまった!と思いました。(まあ、これは私個人の感想で、他の方から見れば不満に思うこともあるかもしれないですけどね)
もうひとつの不安要素だった声の響きの問題。これはもう、まったく問題なし!! ときたまマイクの声が入らなかったりするハプニングがありましたが(ちなみに6月3日の昼公演、市村さんのマイク音が一瞬抜けたことがありました(^^;))、それでも聞こえる!
とにかく俳優さんのセリフのひとつひとつがよく分かったというのが本当に嬉しかったことです。やっぱり、感動舞台はこうでなくてはですよね!
(ということは、私が睡魔に襲われたあの舞台はいったいなんだったのだろうか・・・・(苦笑))
というわけで、こうして後から考えてみても私の始めの心配は嬉しいことに全部帳消しになったのでした。
1年半ぶりにこの作品と再会して、改めてすごい!と感じたのは(全部なんですけど)舞台美術です。牢獄の話がほとんどなのに、あの凝った舞台美術の配置はいったい・・!
特に幕開きの鉄格子が一面にパーっと広がるところなんかは4回観て4回とも鳥肌が立ちまくってました(@O@)
とにかくセットと音楽が見事に調和しているんですよねえ。そしてなんといってもこの作品の魅力は照明美術!!今までここまですごい照明美術を用いた作品があっただろうか!!!
初演を観たときも身震いしましたが、この青山公演を観たとき、それ以上の衝撃を受けました。特にオーロラが歌い踊るシーン。ここに出てくるセットはほとんどなし。後ろには鉄格子。それなのに見事にショーアップされたあのセットの様な照明はいったい!!!
改めて観て本当にすごい作品なんだなあ、ということを再認識しました。私が今公演で一番心にグサッときた舞台照明はラストのモリーナの映画館ですかねえ。初演を観たときは全部が全部あまりにも素晴らしすぎて、これといったものをあげられなかったのですが、今回の青山再演であの映画館の照明を観たとき、涙がボワッとにじんでしまいました。この感動はいったい・・・・もう、言葉にできないくらいすばらしいと思ってしまったんですよね。
きっと、舞台の話の内容が分からなかった方でも、あの舞台照明美術には驚き、感動したのではないでしょうか。
舞台美術で初演よりもちょっとだけレベルダウンしたところもあります。ツアーバージョンになったために鉄格子が自動で動かなかったんですねえ(笑)
ここの鉄格子を動かすところで看守さん達(遠藤さんと笠原さん)がところどころで活躍されてました(^^;;)
でも、私は5月30日に観た時点ではこれに全然気がつかなかったんです(^^;;)
もう再会した嬉しさでそこまで見てなかったんですよ。
一緒に行った友人は私の目が充血していたとまで言っていましたので(笑)
家に帰って、某通信においてその事実を知ったくらいです。(2回目以降はさすがに気がついたのですが)
まあ、一つだけちょっと難癖つけると・・・ヴァレンティンの歌う「その次の日」のときに二人の看守がゆっくりと鉄格子を動かしているのはちょっと違和感感じたんですけどね(^^;;)
でも、結局は気にならなかったかな(どっちなんだ>自分(爆))。
それから、生のオーケストラではなかったこと。もしも生のオーケストラだったら、きっと、この1.5倍以上は感動できていたかもしれないですね。生オケだと、やっぱり音の迫力が違うし、なんだか楽器も一緒に歌っているという感動もあるんです。ツアーバージョンなので、カラオケになってしまったんだと思いますが、日本最終と銘打っていたのでせめて生のオーケストラの完璧版で締めくくって欲しかったなあ・・・というのはあります。でも、カラオケでも充分堪能できる舞台だったので、個人的にはすごく満足しているんですけど。
青山再演を観ての感想 (俳優さん)
前に「舞台装置がちょっとレベルダウンしている」と書きましたが、その事が気にならないくらい素晴らしい舞台にしてくれたのが、この作品の出演者の皆さんです!! 初演に観たときはただただ「素晴らしい!」でしたが、再演に当たって再び彼らの姿を見たとき、「ああ、会いたかったんだよー!!」と懐かしさに心の中で叫んでしまいました。そう、登場人物一人一人がとても親近感の持てるような人物に見えたんです。もう、毎日でも会いたい・・・と、本気でそう思ってしまいました。(現に、6月3日は衝動的に行ってしまいました(笑)本当は予定に入っていなかったんですが、無け無しのお金をはたいて・・気がついたら当日券を買っている自分がいました(^^;))
まず、麻実れいさん。お若い!!その美しさはどこから・・・!それにオーロラのときの素晴らしいプロポーションはいったい!!と、もうそのお姿だけで感動することしきりだったのですが、もっとも印象的だったのがオーロラのダンスです。動きがとってもシャープでしなやかになっているし、なによりご本人が心の底から楽しんでダンスをしているというのがビシバシ客席まで伝わってきました。特に、「極楽鳥」のラテンのダンス。すごい!!!圧巻!!!腰の振りや、ステップ、なによりもう体中からエネルギーが放出状態。4回観ましたけど、1度として気を抜いたダンスを見たことがありません。もう、なんど私も舞台に駆け上って一緒に踊りたいと思ったことか(笑)
とにかくめちゃくちゃパワーアップしてました!麻実さんのダンス!
ダンスだけではなく、蜘蛛女の不気味さもまたパワーアップしてました。存在感その物自体が大きくなってました。
そして市村正親さん。青山再演で再び市村モリーナを観て思ったんですが、やはりこの方は「モリーナ」をやるために生れてきた俳優さん!といっても過言ではありませんね。その舞台に立っているのは、市村さんでなくて「モリーナ」そのもの。この再演を観て改めて再認識しました。で、今回気がついたんですけど、オーロラの後ろでモリーナがそれに合わせて一緒に踊っているのですが、そのなんとも動きが軟らかなこと!オーロラのダンスも華々しくて注目していたんですけど、今回は後ろの市村モリーナの動きにもけっこう注目してみてました(笑)
演技面についてですが、モリーナって実はすごく強い人なのかなあ・・・ということを感じさせられました。オカマっていうと「弱々しい」というイメージか湧くんですけど、市村さんのモリーナはただのオカマじゃない。社会に適合できなくて悩んで悩んで・・・それでも心のどこかではそれを打開しようという強い意志が潜んでいる・・・。今回強くそのことを感じました。だから、ラストでヴァレンティンのために命を捨てるシーンはもう、すっごく見てて辛かったです(;_;)
毎回ここでは涙流しましたねえ。
それから、ナンバーについてですが、初演よりもまた更に感情がこもっているように思いました。きっと初演はかなりの興奮状態であまり覚えていなかったからかもしれないんですけど(笑)。「彼女になれたら」のナンバーがこんなに泣けるものだとは!
聴いていてすっごく切なかったです。やはり奥が深い!市村モリーナ!!
(ちなみにハプニングとして、モリーナがかけたオーロラのポスターがはずれてしまった日があるとか。私はその現場に遭遇してなかったのですが、どんなだったか観てみたかったなあ(笑))
で・・・・、この青山公演で一番成長したなあ!と思ったのが宮川浩さんです。初演でも充分素晴らしかったんですが、今回は演技面をさらに研究されたようで、麻実さん、市村さんと並んでも引けをとらなかったですね!
でも青山で久しぶりに看守に連行されて登場した宮川さんを観て「ああ!宮川ヴァレンティンだぁぁぁぁぁ!!!」と感激してイッちゃってたんですけど(爆)。まず、演技面でいうと拷問にあった直後のうめき声からしてすごいです。もうその苦しみ方がかなり迫真に迫ってました!
あとモリーナとの始めのいがみ合いのところ。初演のときはけっこう素直に歌っていらっしゃったのが・・・・青山再演からはセリフを言うがごとくの歌い方(ちょっと表現がおかしいですけど(爆爆))になっていたんです。だから、ヴァレンティンの苛立ちといった面が明白に表現されていてすごくよかったと思いました。苛立ちだけではなく、脅え、悔しさ、悲しみ、楽しさ(これはあまりなかったのですが)・・ヴァレンティンのひとつひとつの感情がすごくダイレクトに伝わってきて、そのたびに私は要所要所で彼に感情移入してました。表情もすごくよかったんですよねえ。
歌に関しては、もう、言うことなしですね、とか言いながら、やっぱり言いたい(笑)・・・・歌声の素晴らしさに加えて、何か歌の中に魂というか訴えてくるものをすごく感じました。私のいちばんのお気に入りは「その次の日」だったんですけど(ここも更に歌い込まれていて聴くたびに涙流してました)、今回新たに素晴らし一っっ!!と感動したのがマルタを想って歌う「マルタ」。この歌って、こんなに切なくて泣けてくる歌だったのねーーーっ(爆涙)状態に陥りました、本当に。これもやっぱり宮川さんの演技力がアップしたってことですよね。青山公演では、1幕始めのモリーナと言い争いをするシーンで、ずーっっっと同じ怒鳴り声をあげていた宮川さん。特に千秋楽は絶品でした! どこからそんなパワーが出るんでしょうねえ(@_@)
所長の高品さん、まったく危なげないですねえ。日々恐ろしさが増していた感じです。今回改めて思ったのが、囚人達をいたぶっている(^^;)ときとモリーナの映画の中のときのギャップ。思わず笑っちゃいますねえ、映画の中の所長さんは(笑)
お母さんの大方さん、またまた温かさがアップです。まさに理想の母!けっこうお年がいっているのにあの声が出るとは本当に素晴らしいと思います。モリーナとのシーンでは本当に涙なくしては見られないって感じでした。強くて優しいお母さん・・・あの味はきっと大方さんしか出せないでしょうねえ。パンフレットのコメント「日本最終公演に一入の寂しさを感じる」に、大方さんのこの作品への想いをしみじみ感じました。
看守の遠藤さんと笠原さんのコンビ。息もピッタリ!なんだか一心同体!?って感じがしました(笑)
特に遠藤さんの「おうおうおう!」の脅し文句は迫力でした(^^;)
笠原さん、改めて見るとすごい体格いいんですねえ。特に二の腕が素晴らしい。。。。(^^;)
モリーナの映画館のなかでの遠藤さんがやけにはじけていたのが笑えました。笠原さんは終始落ち着いた感じだったかな。むしろ、拷問を加えたりしているときのほうがすごかったかも(苦笑)
でもでも、ほんとうに「蜘蛛女のキス」のキャストの皆さんに会えて嬉しかったぁぁぁぁ!!!
青山再演を観ての感想
(アンサンブル)
このミュージカルはアンサンブルの人が全員イケテル!ということを再演で改めて思い知らされました。とにかく、歌って踊って演技ができる! しかも、日を増す毎にパワーアップしていくんですねえ・・・彼らは!! ダンスはできても歌はイマイチ・・とか、歌は歌えてもダンスがイマイチ・・という方々もいるのですが、少なくともこのミュージカルに出演されているアンサンブルの皆さんはオールオッケー(なんか古臭い言い回し(爆爆))!!
主演の俳優さんが完璧なだけでもすごいのに、アンサンブルの人たちの実力も完璧なものでした。
が、ガブルエル役の津田さん。とてもいい歌声だったしきれいな通る声でよかったのですが、初演の森田浩貴さんと比べるとちょっと物足りない感じがしたのが残念でした。演技プランについてはこの再演から変えたのでしょうが、(初演のガブリエルはもうちょっとモリーナに優しかったんですよね(^^;;))
そのぶんもう少し何か訴えてくるものが欲しかったなあとおもいました。でも、東京千秋楽の頃にはずいぶん安定してきて「ガブリエル」っぽくなってたので、やっぱりすごいなあと思ってしまうのでした(^o^)
アンサンブルのひとりひとりまでこの作品の魂がこもっている! やっぱりすごい作品なんですねっっ!!