一足先に公演中だった劇団四季公演『オペラ座の怪人』に併せ、2005年1月29日、ついに待ちに待った映画・AW版オペラ座の怪人が公開されました。運良く二つの作品を見ることが出来ましたので、ここで映画バージョンを中心に舞台との違いなど検証してみようと思います。映画に登場する役者さんはカルロッタ役のミニー・ドライバー以外は全員生歌です!撮影はあらかじめレコーディングしたものにもう一度改めて生歌で演技し、どちらかよかったほうを採用したらしいですよ。

ファントム(オペラ座の怪人)
as
ジェラルド・バトラー

クリスティーヌ・ダーエ
as エミー・ロッサム

ラウル・ド・シャニィ子爵
as 
パトリック・ウィルソン
舞台版では年齢が高い設定のファントムですが、映画版では3人の登場人物の関係をよりリアルにしようといった意図で30代の設定になっています。激情型で惹き込まれてしまうような色気を放ちまくっているジェリーのファントム…惚れました(爆)。歌声に賛否両論あったようですが、私は彼の訴えかけるような『演技的』歌い方に大変感動しました! 撮影当初は16歳から17歳だったというエミー。実際のクリスティーヌの設定とほぼ同年齢だったので、とてもリアルでした。17歳とは思えない美しい歌声には本当に脱帽です!幼い頃にオペラ出演して歌っていた実力は折り紙付だったと思います。怯えてばかりいた少女がファントムを受け入れていくまでの過程がとてもストレートに伝わってきて感動しました!。 劇団四季舞台では短髪だったラウルですが、映画版では貴族であることを強調するためかロン毛になってます(笑)。パトリックの地毛ではないらしいですが(^-^;。映画版ラウルは舞台よりもめちゃくちゃアクティブで見応えがあります!舞台経験豊富なだけあってその美しい歌声にウットリでした(^-^ゞ

もう一度申し上げますが、ネタバレ満載です!戻る方は今のうち〜♪


オープニング

オークション会場から始まるのは舞台と同じです。年老いたラウルが車椅子に引かれて廃墟となったオペラ座へ入っていくのですが、この老ラウルのシーンは全てモノクロで描かれているのがとても効果的だと思いました。普通は現代がカラーで過去はモノクロですからね。それにしても、この老ラウル…かな〜り老け込んでます。年上のはずのマダム・ジリーのほうがとても毅然として若々しく見える!このあたりの描き方からしてラウルの人には言えなかった心労というのが偲ばれます。ちなみに演じているのはパトリック・ウィルソンだとか!そうとう長い時間メイクにかけただけあって言われなければ絶対同一人物だとは気付きません(笑)←彼の親ですら分らなかったらしい(^-^;;  あと、猿のオルゴールですが…映画版はものすごく精巧に出来ていて気味の悪さすら感じさせます。舞台バージョンの猿のオルゴールは『かわいい』イメージだったのでこのあたりもちょっとビックリしました。シャンデリアが上がっていくところでテーマ音楽が流れるのも舞台と同じですが、シャンデリアを上から引っ張って上昇させてる人がいたりして妙にリアルでした。それと同時に廃墟だったオペラ座に風が吹き抜けて過去の煌びやかな会場になっていく様(モノクロからカラーへ)は実に見事!全身に鳥肌が立つのを感じました! 
当時のオペラ座にはたくさんの人がひしめいていて雑然としています。これは舞台バージョンでは描けなかったところですね。オーバーチュアも時間をかけています。ALWが新たに書き加えたオリジナルの音楽が流れていてよりドラマチックになっていると思います。

舞台ではこんな感じ
オープニングのオークション会場。ここから始まるのは同じですが、ハンニバルのポスターが落札された時点では
既にラウルは到着済みでオークションに参加しています。とにかくこの時の舞台はとっても暗いので、マダム・ジリーがその場にいることは何回か観ないと分りません(笑)←声で分る。シャンデリアが上がると同時に舞台全体にかけられていた黒い幕がサーッっと上がって一気に過去へ戻るという演出は舞台独特のもので、オーバーチュアと同時にシャンデリアは会場の一番上に吊るされていきます。ここは何回観ても鳥肌が立ちます。映画で描かれていたオペラ座の裏方のざわつきは舞台では描かれず、オーバーチュアが終わると同時にカルロッタが現れ歌い始めます。
ハンニバル〜Think of Me

オペラ座の裏方がざわついている中、カルロッタ主演の『ハンニバル』稽古が始まります。このカルロッタを演じているミニー・ドライバーはあのアカデミー賞を取った『グッド・ウィル・ハンティング』に出ていた女優さん!彼女、ジャズシンガーとしても名前を知られていたらしいのですがさすがにオペラ歌唱は難しかったらしく登場人物の中で唯一吹き替えを使っています。映画と舞台の違いを感じたのがこのカルロッタのキャラクター設定。舞台に出てくるカルロッタはオペラ歌手らしい立派な体格(笑)の人が多いのですが、映画版カルロッタはものすごく細身!!あの細い身体からオペラの声が出るんだろうかってくらいグラマーです(^-^;;; ワガママな性格も基本的には同じですが、映画ではかなり誇張して描かれていました。どちらかというとコメディエンヌっぽい…それでいてちょっと品が落ちるといった感じだったかな(苦笑)。舞台版カルロッタも我侭ではあるのですが、高貴なプライド感が漂っていてもう少しお上品です。舞台バージョンになれていた私は最初ちょっとこの映画バージョンのカルロッタに違和感を感じてしまいました(^-^;;。ハンニバルのもう一人の主役であるピアンジですが、映画版ではほとんど脇役に徹しており尚且つ情けないキャラクターと相果てました(苦笑)。オペラ歌手らしい素晴らしい歌声であることはいいのですが、ハンニバルのクライマックスに出てくる象さんに乗り損ねて被り物も落としちゃって結局象に乗らずに素の頭のままでフィニッシュ(爆)・・・・情けなさ過ぎるぞ!映画版ピアンジ(笑)。舞台版では演出家に口答えしたり最後はカッコよく象にまたがってポーズしたりと威厳のあるオヤジだったので、このあたりのギャップにもちょっとビックリでした(^-^;。
そのリハーサル中に支配人の二人がやってくる
(鉄屑業じゃなくてスクラップ・メタルだ!と主張しているアンドレがめちゃカワイイ!) のは同じですが、ラウルもここで初登場するのは映画オリジナル演出。あと、カルロッタが一度リハーサル中の不手際に怒って帰ろうとしてしまうのも映画オリジナルの演出です。あれを見て、「あれ?アリア歌わないで帰っちゃうの?」と思った舞台観劇経験者は私だけではないはず(笑)。とにかくカルロッタはかなりの『自己中』に描かれているため、スタッフからの評判も最悪です(苦笑)。二人の支配人に『あなたは素晴らしい!』と煽てられるだけ煽てられた後に『Think of Me』を歌い始めるのですが裏方さんたちは耳ふさいじゃってて聞く気なし(^-^;。自己陶酔で歌い続けるカルロッタの上にハンニバルの巨大垂れ幕が落ちるのは舞台と同じですが、その落とす時にちゃんとファントムの気配があるのは映画ならではですね。ひっかかってるロープみたいなのをガラッと外す謎の人物描写があるのですがここかなり好きです!この事件に怒ってしまったカルロッタはここで本当に役を捨てて帰ってしまいます。慌てふためく二人の支配人に『クリスティーヌに任せては』と提案、そしてクリスティーヌのガラコンサートへとつながっていきます。このクリスティーヌの衣装が・・・まんま『エリザベート』なんですよ(笑)。ミュージカルをよくご覧になる方はあの衣装にビックリしたのでは(^-^;; 今まではハンニバルの初日だと思っていたのに、全く関係ないようなあの洋装・・・で、映画版のセリフをよく聞いてみると『初日』ではなくて『ガラコンサート』とのこと。う〜ん、そういうことか!ビックリしたぞ(笑)。それにしてもエミー・ロッサム!歌がとっても素敵です(^o^)。あの歌唱力なら『エリザベート』も行けるのでは!でも個人的にはハンニバルのコーラスガールやってるときのエミーのほうが可愛くて好きだなぁ(^-^)。
ところで、このクリスティーヌが歌っているシーンの中で
カメラが地下深くにもぐるシーンがあるのですが、初めて観たとき私はこのシーンを見て雷に打たれたかのように大感動してしまいました!!クリスティーヌの歌を地下の一番深いところでちゃんとファントムが聴いているんですよ!!ファントムとクリスティーヌの結びつきみたいなものを感じてしまって涙が出そうになりました。あんな暗いところで一人孤独に聴いているのかと思うと・・・切ないです(T_T)。ラウルがクリスティーヌに気がつき『ブラボー』と叫ぶのは舞台と同じですが、映画の叫び方はひかえめです(笑)。舞台ではもっと大興奮していて一緒に観ている二人の支配人に『おい、落ち着けよ』となだめられてるくらいなので(笑)。ただ映画版ではクリスティーヌが歌い終わらないうちに席を飛び出して彼女の楽屋へ急いでいるので、それはそれで熱いラウルなんですけどね。それにしても映画版ラウル・・・長髪・・・苦手でした(爆)。最初は本当に受け入れられなかったんですが・・・それが、何度も重ねて映画館に足を運んでいるうちに『貴族らしくてアリだ!』と思えてしまった・・・回数が慣れにつながったわたし(笑)。コンサート終了後にカルロッタたちのもとへお付の人がやってきてその成功を知らせ、カルロッタが悔しさのあまり失神するという楽しいシーンも映画ならではで好きですね。

舞台ではこんな感じ
ハンニバルのシーン、まずはラウルの登場の仕方が違います。
ラウルはハンニバルのリハーサルには顔を出しておらず、二人の支配人がリハーサル中に『私たちにはパトロンがいますから』と自慢げに話すんですよね。ムシュー・レイエは映画では指揮者としての色が強かったですが、舞台では演出監督に徹していてけっこう細かいところを注意しまくってます。ピアンジが歌い始めたところで『ローマの発音が違う!』と厳しい指摘をしますが、映画ではちょっと腰の引けてるレイエだったので口を挟むのを支配人たちの登場で完全に阻まれてしまってます(笑)。映画バージョンのほうがカワイイです。このレイエの登場によって「これはリハーサルだったんだ」と観劇者に気付かせる演出になっています。ちなみに彼が指揮をしているシーンは舞台ではありません。ピアンジはリハーサル中もけっこうカルロッタに気を遣っていて『好き好きビーム』を彼女に発しています(笑)。彼女の文句にいちいち頷いて一緒に怒ったりしてますからね。映画版ではピアンジにいつもくっついているミニピアンジみたいなキャラがいますが(笑)舞台に彼は登場してません(笑)。それから、前支配人は映画版ではオーストラリアに逃亡するといっていますが、舞台ではフランクフルトに逃亡することになってます(^-^;
Think of me は映画ではガラコンサートになっていますが、舞台ではちゃんとハンニバルの舞台初日をクリスティーヌが勤めていたようです。というのも、
衣装がハンニバルの流れを汲んでいるんですよ。まさに劇中歌といった感じですが、背景に動物がいたり天使がいたりといったものはありません。後ろに何のセットも無いままクリスティーヌは歌い躍っています(^-^;。舞台版で好きなのは突然指名されて歌い始めたクリスティーヌがマダム・ジリーとメグ・ジリーの補助を受けながら本番衣装に早代わりして歌い始める演出です。これはかなり感動的!ちなみに、クリスティーヌに代役を最初に提案するのは舞台ではメグ・ジリーです。メグが初めに『クリスティーヌ・ダーエがいいと思いますわ』と切り出し、マダム・ジリーがそれに続いて『ちゃんとした先生にしっかり稽古をつけてもらっているんです』と駄目押し推薦します。映画ではクリスティーヌは優秀なコーラス・ガールという扱いでしたが、舞台ではいつもボーッと夢を見ている感じでダンスの動きが遅れたりしてマダム・ジリーに注意されてばかりいたので、ここで主役になるということに観客は『大丈夫なのか?』という印象を持つように演出されているんですね。
Angel of MusicLittle Lotte/The Mirror

ガラコンサートに成功したクリスティーヌは小さな礼拝堂で火をともし、そこでファントムの『素晴らしかった』という声を聞きます。この礼拝堂がとっても素敵でステンドグラスもあるんですよ。この部屋だったらファントムの声が聞こえてきても不思議じゃないなって感じ(笑)。メグがクリスティーヌのもとへやってきたとき、クリスティーヌは自分の過去の生い立ちを彼女に語るシーンがあります。舞台ではいまいちクリスティーヌの過去が謎だったのでここでけっこう納得。メグはクリスティーヌが夢みたいなことを語っていることを訝しがり礼拝堂から連れ出しますが、この様子を上からブケーが見つめているのがちょっと不気味…。このシーンを見て『ブケーが怪人の真似事をして恐がらせているのか?』と思った客もいたのでは?(笑)。控え室に帰ったクリスティーヌをマダム・ジリーは優しく迎え入れます。映画版のマダム・ジリーってなんだか母性を強く感じるんですよね〜・・・舞台ではものすごく厳しいバレエの先生だったのでそのあたりのギャップに最初の頃はちと混乱した私です(苦笑)。『あの方も喜んでいるわ』とクリスティーヌに黒いリボンのついた薔薇を渡すマダム・ジリー・・・この薔薇の存在は映画のみの演出で「=ファントム」ということを表しているのですがこれが実に効果的でした。舞台では薔薇は一切登場しませんからね(^-^;;。 その薔薇を見つめている時にやってくるのがラウル。子供の頃の思い出を語りながら入ってくるラウルにリハーサルの時に気付いてもらえ菜かったクリスティーヌは覚えてもらっていたことに無邪気に喜んで彼を迎え入れます。このシーン、『リトル・ロッテ』とか聞いていて痒くなるような言葉が次から次へと出てくるんですけど(爆)、ここは日本語で聞くよりも英語で聞くほうが受け入れられます(笑)。やっぱり英語の方がスマートですねぇ。再会してまもなくすぐに食事に強引に誘うところは映画も舞台も同じ(^-^;; でも去り際の「エヘッ」とかいう笑い声・・・何度聞いても笑えて仕方ない(笑)。パトリック・ラウル・・・なんか変だけどかわいいかも。
ラウルが出て行ったそのすぐ後、
謎の手が外からクリスティーヌの楽屋に鍵をかけます。それを見つめるマダム・ジリー・・・ここも映画独特の演出ですが、私はけっこう好きです。舞台ではラウルが戻ってきた時に扉が開かないことになっていてそれはファントムの魔法というふうに理解していたのですが、映画ではなぜ扉が開かなかったのかが明らかになってますね。姿こそ映っていませんが、ファントムが外から鍵をかけていたことは明白(笑)、そしてそれをマダム・ジリーが容認していたのも明白(笑)。ただ一つ疑問なのが、楽屋外にはあんなに大勢の人がいたのにラウルが出て行った時にはファントムが鍵を平気で掛けられるほど誰もいなかったこと(苦笑)。これこそファントムのマジックか!!?? で、一人になったクリスティーヌにファントムの怒りの声が聞こえてくるのですが、映画版のほうがものすごく威嚇している感じで迫力がありました!この第一声を初めて聞いた時・・・アントニオ・バンデラスのイメージを引き継いだファントムだなぁと正直思いました。エビータでチェを熱演していたバンちゃんはものすごくロックで演技的な歌い方が魅力だったのですが、それと似た空気をすごくジェラルドに感じましたねぇ。ALWの求めていたファントムのイメージに妙に納得してしまった私です。ただ、最近四季の歌の上手いファントムに慣れてしまっていたのでCDからこの映画に入っていたらもしかしたらジェリーのファントムにしばらく違和感を感じてしまっていたかもしれません。そういった意味で、映画で初めて彼のファントムに出逢えて本当に良かったなと思います。『こっちへおいで』と差し出す手、超セクシーです!!囁くような甘い誘惑の言葉・・・その声に私も惹き込まれました。本当に鏡の向こうへフラフラと行ってしまうような催眠効果のあるような歌声・・・素晴らしいですっっ!!このシーンで既に私はジェラルド・ファントムに夢中になってしまったのでした(笑)。激しさと優しさと・・・その感情が見事に歌に乗っているジェリーが表現したのは『演技的』要素の強いファントムなのです。

舞台ではこんな感じ
ハンニバルが終わったあと、舞台のカーテンコールに応え終わったクリスティーヌにマダム・ジリーは労いの言葉をかけます。でも舞台のマダム・ジリーは大変厳しく、メグを始めとする他のコーラスガール(バレリーナ)達には
『今夜のあなた達は全然ダメ!』容赦ないダメ出しをします(笑)。そんな厳しい練習をかいくぐってクリスティーヌについて行くのがメグ。二人でクリスティーヌの楽屋へ入り『エンジェル・オブ・ミュージック』が歌われるのです。映画に出てきた小さな礼拝堂は舞台には存在していません。この楽屋でクリスティーヌはハンニバルの衣装からメグに手伝ってもらいながら白いドレスガウンに着替えるのです。ちなみに、クリスティーヌがファントムの声を聞くのはメグが話しかけてくる直前なのでタイミング的には映画版と同じですね。楽屋でクリスティーヌと油を売っていた(笑)メグでしたが、すぐにマダム・ジリーがそこへやってきて彼女に『早く戻って練習しなさい!』と厳しい言葉を浴びせます。厳しいマダム・ジリー・・・なんですがなぜかクリスティーヌには甘く、『あの方もきっと喜んでいることでしょう』と優しい言葉をかけます。映画ではここで薔薇の花が登場するのですが舞台では言葉のみということで(^-^;;。
楽屋で一人になったクリスティーヌの元にラウルが現れるのは映画と同じですが、映画では
セリフの部分も舞台ではほぼ歌となって表現されています。帽子を2分で取ってくる、というラウルが最後に『かわいい、ロッテ』と言いながら去っていくのですが、ここはどうも日本語で聞くといつもこそばゆくて(爆)。絶対英語の方がスマートに聞こえるよなぁ(^-^;; ラウルが去った後に『もう昔の私たちじゃない』とつぶやくクリスティーヌ、そこへファントムの怒りの声が入ります。四季では最近オペラ系の役者さんを使っているせいか、怒っているファントムもなんだかクラシカルに聞こえてくるんですよね〜(笑)。それはそれで私は好きなんですけど。ただ、ファントムが鏡の向こうにボーッと見えてくる演出は映画よりも舞台のほうが美しくて好きです。これは是非一度実際にご覧あれ!
The Phantom of the Opera 〜 The Music of the Night

このミュージカルの一番有名な曲『The Phantom of the Opera』が流れるのがこのシーン。あのテーマ曲に乗って吸い込まれるように鏡の奥の世界に入っていくクリスティーヌの官能の表情がなかなかイイです!ファントムの差し出された手に恐る恐る自分の手をゆだねていくあのアップも好きだなぁ〜。映画だとこういうシーンがクローズアップできるから楽しめますよね。で、そのクリスティーヌを扱うファントムがまた優しいんですよ!まさにジェントルマン!セクシーな魅力を放つジェラルドのファントムだからなおさらそう感じてしまうのかもしれないけれども、彼のクリスティーヌに対する愛情の深さがうかがいしれてなんだか泣けてきます(;_;)。ボート乗り場にたどり着くまでに何度も振り返ってクリスティーヌに気を遣ってるんですよね〜。私もあんな人に手を取ってさらってもらいたい…と思ってしまったほど(爆)。それにしても地下室に黒い馬がいたことにはビックリしたぞ(笑)…っていうか、どうやって馬を地下に入れたのかな(^-^;;。まぁ、クリスティーヌを丁寧に馬から下ろすファントムが素敵だからいいんだけど(^-^ゞ。ボートシーンは舞台とほぼ同じ形ですね。クリスティーヌが前に乗って歌ってて、ファントムが立って漕いでいる図式(笑)。最初ちょっとバランスが悪いのかボートが左右に揺れてる気がしましたが(爆)、上手いこと乗り切ってましたね。舞台では下は板なので安定性があるけど、実際水の上であれを撮影するのは大変だっただろうなぁ〜。ちなみに、地下室の美術はけっこうリアリティに凝っていて主に『地下の暗いイメージ』をメインにしてましたが、舞台版は『本当にここは地下か!?』と思うような美しい幻想的な色使いになっているんですよ。だからあの『ローマの休日』に出てくるような真実の口っぽい顔(笑)とかは舞台ではお目にかかれません(笑)。イメージとしては舞台のほうがきれいだから好きかもしれないけど、こういった地下の暗さをイメージしたリアリティもいいなぁなんて思ってしまいました。このボートを漕いでいる時のジェラルドの表情がまたカッコイイ!!クリスティーヌに向かって神経質に恍惚とした表情で『Sing for Me!』と叫んでいるのも好きだなぁ〜。あのシーンってファントムがクリスティーヌの歌を初めて間近で聴いているから、彼自身その興奮を押さえられないんですよね。舞台では何となく歌のような台詞回しに聞こえるのであまりファントムの興奮があまり伝わらなかったんですけど、映画ではそれが非常にストレートに伝わってきてよかったと思います(^-^)。
ボートで自分の隠れ家にクリスティーヌを連れてきたファントムは、彼女にその熱い想いを切々と歌い上げます。陸に上がった時の
ジェラルド・ファントムがバサーッとマントを脱ぐシーンがまたたまらなく素敵です!!初めてこれを見たときかなり惚れました(笑)。歌いだしの音はジェラルドに合わせているのか低く入っていたので最初ちょっと違和感を持ちましたが、何回か見るうちにあの歌い方もありだなぁと思えるようになりました。ジェラルドは決して『上手い』歌ではないのですが、なんというか、心に切々と訴えかけてくる歌声に言い知れぬ感動を覚えました!!そして動き・・・クリスティーヌに触れるときのソフトな感じがまた素晴らしい!時に激しく、時に優しく語りかける彼の歌声には魔力があるぞ!特にジーンときたのはクリスティーヌの手を取って『Touch Me,Trust Me』と歌っているところ・・・クリスティーヌの手がファントムの顔に触れたときの彼の表情がものすごくイイッッ!!愛しい人に触れてもらっているという言葉にしがたいファントムの感動がビリビリ伝わってきました。そして、あの問題の(苦笑)クリスティーヌそっくり人形の前にたどり着くわけですが、これを見せるときのジェラルド・ファントム・・・ものすごく満ち足りた表情なんですよ。逆にそれがものすごく切なく映るんですけどねぇ…。で、クリスティーヌは気絶しちゃう(^-^; そんな彼女をさっと抱きかかえるファントムもまたカッコイイ!!さらに惚れた(笑)。貝殻のようなベッドに彼女を寝かせる時に最後まで愛しそうに彼女の頬に触れているファントムがまたものすごくセクシーなんですよねぇ・・・ため息ものです。それにしても最後の『Night』の歌声・・・よく声が伸びてましたねぇ〜。まあ、編集で何とかしたのかもしれないですけど、あれがジェリーの本物の声だとしたら賞賛に値する伸びですよ!
メグがクリスティーヌを探しにくるシーンは映画オリジナルで、ここで
鏡の謎があっさり解けてしまいます(笑)。この映画、ずいぶんとファントムの魔法じみたことを徹底的にリサーチしてバラしちゃってるよなぁ(^-^;;。しかしこのメグが探しにきたのはクリスティーヌが連れて行かれてどのくらい経った頃なんだろう? すぐなのかな? 舞台版でも気になっているのですが、クリスティーヌはいったいどれくらい眠っていたんでしょうねぇ。この時間軸が未だに謎だったりします(^-^;。目を覚ましたクリスティーヌは何故か裸足になっているし(このあたりは詮索しちゃいけないんだろうけど 爆)机に向かって曲を書いている時のファントムがまたセクシーでカッコイイ!!更にここで惚れる(爆)。仮面をはがそうと彼の顔に触れているクリスティーヌなのに、ファントムは自分を愛してくれて触れられていると思って、ものすごい満たされた表情をしているのがなんだか切ない(この表情がまた超セクシー!壊)。仮面をはがされた後の怒りようといったら、もう、すごいですよ!さっきまでの紳士とはまるで違った獣のようなすさまじさ。ジェリーはこのシーンでスタッフから「できるだけ彼女(クリスティーヌ)を恐がらせるように」と言われていたようで、文字通りの大熱演をしたのですがあまりのジェリーの迫力の恐ろしさにエミーは本気で号泣してしまったとか(^-^;; 仮面を返すときに化粧が流れ落ちるほど涙を流しているクリスティーヌはまさに演技を超えて本気で恐がって泣いていたようです(笑)。ちなみに、予想外にエミーが号泣したのを見てジェリーは「どうしよう・・・」とオタオタしちゃったそうですよ(笑)・・・か、可愛いぞ!! でも、このシーンは私も思わずウルッときてしまうんですよ、恐いからじゃなくて(^-^; ファントムが切なくて。仮面をとった彼女を罵っているんだけど、次第に彼の中に悲しみが湧き上がってきて『こんな醜い姿でも美しいものを求めているんだ・・・密かに、密かに』(映画の訳では『美女』となっていますが、ここでは絶対に『美』というのが正しいと思われます)と泣きながら歌うんですねぇ(T_T)。そしてクリスティーヌに「やがて恐れは愛に変わると信じている」と告げるんだけど、それは本当に彼が心から望んでいる願望であるだけに心情を思うとものすごく泣けます(;_;)。うずくまっているファントムを見て抱きしめてあげたくなっちゃいましたよ〜…。舞台ではこのシーンに泣く事は無かったんだけど、映画では切な過ぎて泣けてしまいました。
ファントムがクリスティーヌを地上に戻すことを決意した後に、
老ラウルのモノクロシーンが入ります。もちろんこれは映画オリジナル。猿のオルゴールを持って車に乗り込み去っていく老ラウルをマダム・ジリーが見送ってます。ラウルよりもマダム・ジリーのほうがけっこう年上のはずなのですが、その見かけは完全に逆転してます。パンフのパトリックのインタビューにもあったけど、ラウルはそれだけ心に思い荷物を抱えながら生きていたってことなんですよね。それがあんなに老けてしまうなんて…哀れだ(涙)。でもマダム・ジリーの若々しさにもビックリではあるんですけど(^-^;;

舞台ではこんな感じ
The Phantom of the Operaでクリスティーヌが鏡の中へ入っていくシーンでは、映画のからくりにもあるとおり
鏡がガラガラっと開いています(電動で 笑)。地下室へ行くまでの道のりはファントムとクリスティーヌが舞台を行ったり来たりすることで表現されていますが、何回かダミーが登場してテンポアップしています(笑)。初めのうちはどれがダミーか暗くてぜんぜん分らないんですけど何回か見ているとわかるようになります(笑)。さすがにこの過程で馬は登場してません(^-^;;。ボートに乗っているシーンではスモークの中からいくつものキャンドルが浮き上がってきてとってもキレイで幻想的なんですよ。ここは舞台でなければ味わえない感動があります!( ちなみに舞台版ファントムはシルクハットをかぶっています)。で、隠れ家にボートで到着したと同時に『Music of the Night』が歌われます。この時のファントムの第一声はものすごく高いです。歌の内容とかはほぼ同じなのですが、隠れ家のセットは映画とはずいぶん違います。映画ではファントムの孤独な世界を象徴するかのように色々な私物やら人形セットやら(笑)が置かれていてるのですが、舞台のファントムの隠れ家は非常に殺風景といいますか・・あるのはマント掛けと作曲用のオルガン、机、椅子、そして鏡が1つかな。この鏡の中に花嫁クリスティーヌがいてクリスティーヌがそれを覗いた瞬間にそれがバーッと手を広げて出てきて彼女は気絶してしまいます。映画ではちゃんと花嫁クリスティーヌ用の部屋があって、それを観ただけで彼女は気絶しちゃいましたけどね(^-^;。ちなみに舞台では花嫁クリスはダミーの役者さんが演じています。あの人形っぽい演技はとても大変そうで見るたびに「すごいなぁ」と感心してしまう私。
ファントムの仮面をクリスティーヌが取ってしまうシーン、映画ではファントムは彼女の存在に気がついていましたが舞台では
作曲に夢中になっていて(オルガンをひいて無我夢中で作曲してます)全くその存在に気付いていません。まさに、不意をつかれて突然仮面をはがされてしまったんですねぇ・・・哀れ(;_;)。仮面を取られた時の怒りの迫力は役者さんそれぞれによって違いますが、最近は皆さんここにかなり力を入れているようで、舞台版でも迫力と悲しさは伝わってきますよ。クリスティーヌから仮面を返してもらったファントムがクリスティーヌを地上に戻すと決意。そのシーンの後にブケーの悪ふざけが入ります。映画ではメグが隠し扉の中に入っていったのをマダム・ジリーに引き戻され、ダンサーの部屋へ戻った時にブケーの悪ふざけシーンが入っていますね。このタイミングが違うのでブケーをしかるマダム・ジリーのセリフも若干変わってきているようです。映画では『縄で首を絞められないように注意しなさい』と叱られているのに対し、舞台ではクリスティーヌをファントムが地上に帰している姿が後にある時点でブケーが悪ふざけをしているので『彼に見られた!地獄の手が迫る』とブケーに死の宣告とも取れる言葉を吐き捨てます。
ちなみに・・・映画予告の時点ではファントムがクリスティーヌに向かって
『一緒に行こう、君は私が一生守る』という字幕が出ておりましたが、実際にそんなことを言うシーンはどこにもなくて・・・(爆)、あのシーンの真相は『行かなければ、地上の奴らが君を探している頃だろう』ということを言っているんですよ(^-^;; 全然意味合いが違うじゃん!!そりゃ、予告のセリフのほうが感動的ではありますけど・・・実際はもっとシビアです(笑)。まぁ、本編では直ってたからいいですけど・・・試写会とかってあのまま流したのかな?っていうか、いまだにあの誤った訳がテレビで流れること自体問題かと(苦笑)。
Notes/Prima Donna 〜 イル・ムート

ガラコンサートの後消えてしまったクリスティーヌに混乱する二人の支配人があれこれ騒ぎまくる、本編のなかでも楽しいシーンです。映画版の支配人二人、なかなかいい味出してて好きですねぇ(^-^)。威厳ありそうなのにどこかコミカルなフィルマンとモジャモジャ頭(笑)がかわいいアンドレ。ファントムの手紙に憤慨している時も息がぴったりです♪そこへ同じくファントムからの手紙をもらったラウルやらカルロッタやらが駆けつけひと悶着(笑)。特にカルロッタの手紙を読んだ後の支配人二人の表情が絶妙!「ここでカルロッタを怒らせたら大変だっ」と目と目で語り合ってるその間がめちゃくちゃイイのです!そしてそこへ更にマダム・ジリーに届いた手紙。『君たちに最後のチャンスを与えよう』というセリフからファントムの隠れ家の世界へ画面が展開するのですが、このあたりの演出がまたいいですよねぇ。舞台では声のみの出演だったファントムが実際に隠れ家で自分の作り上げた人形の世界を操っている・・・。イル・ムートの配役をカルロッタからクリスティーヌに変更するようにといっている時の、人形の頭を交換させながらニヤリとほくそえんでいるファントムがまた素敵・・・(笑)。普通ならここものすごく怪しいシーンのはずなのにジェラルド・ファントムにはそう感じさせない魅力があります。それにしてもあの手紙の封・・・ドロドロの赤い汁は蝋!?そこに髑髏マークの型を押し込んで完成(笑) やっぱり怪しさ満点です(^-^;;
この手紙を聞いて怒り心頭なのが
『言葉を話さない小姓の役に』と言われてしまったカルロッタ。それを必死になだめて『カルロッタが主役です!』と説得する二人の支配人たち(笑)。この言葉を聴いて舞台ではピアンジがすかさず「もう手遅れだ!」と彼らを戒めるのですが、映画では非常に影が薄く何もセリフが無かったのがちょっと寂しかったかも(苦笑)。カルロッタの後にいつもいるんだけど、目立った愛情表現してないんですよねぇ・・・映画版ピアンジ。二人の支配人のおだてに乗って結局は主役を引き受けるカルロッタの表情がまたカワイイ(^-^)。裏方からはものすごく嫌われてる彼女なのですが、な〜んか憎めないんだよねぇ。で、イル・ムートの伯爵夫人のメイクアップをしていくのですが、舞台では観られなかった場面なのでとても興味深かったです。あのすごい衣装とメイクはこうやって作られていったのかぁ〜と納得。ちなみにピアンジ・・・メイクアップ中のカルロッタの後で密かにラブコール送ってるシーンがありました(笑)。そんな控えめじゃなくてもっと大っぴらにアピールしろよ〜(爆)。そうそう、カルロッタの衣装手伝いをしながら二人の支配人が『女優は扱いにくい』と呟いているのですが、ここでカルロッタのピンクの靴に入れられた酒を飲むフィルマンがめちゃくちゃイイです!!そして準備が出来た役者達が歌いながら舞台に向かっていくのですが、小姓の衣装を着て不安げな表情を浮かべてるクリスティーヌがものすごくカワイイ!あんな表情してたら男だったら『守ってあげたい』とか思っちゃうんだろうなあ(笑)。で、最後に舞台の上に勢揃いして『プリマドンナ、歌え』と大合唱します。外で待っているファン達も、オペラ座の裏方も、登場する役者全員も、皆で合唱しているので大迫力ですよ〜!何気にクリスティーヌも一緒に歌ってるしね(笑)。このナンバーはオペラ座の怪人の中でも私的にはかなりお気に入りナンバーなのですが、それにしても映画字幕、ここは良く頑張って要所要所を押さえたなと。声が何重奏にもなるのでとても全部は訳し切れませんから(^-^;; 舞台でもそれぞれのセリフを聞き分けるのは至難の業です(笑)。
舞台だとなんだか『怪しげなオペラ』という印象しかなかったイル・ムートですが、映画版のイル・ムートシーンは大変見応えがあってかなり好きなシーンとなりました。まずなんといっても
イル・ムートを観劇している客席の様子が分るのがいいです。舞台ではイル・ムートを観ている客は私たち自身なので(笑)。このオペラが観客にどのような印象を与えているのかが今回の映画を見てよく分りました。当時の人たちはこういった奇抜なものが好きだったんだなぁとか、このオペラは笑っていい作品なんだなとか(笑)、色々な発見がありました。5番のボックス席から見ているラウルも笑ってみてますしね(笑)。で、ダンナがいなくなった瞬間に小姓に化けていたクリスティーヌ演じるセラフィーモが衣装を脱ぎ捨て本来の姿になるのですが、このときのカルロッタとの親密演技がなかなかかわいいです。この様子をオペラ座の高いところから眺めていたファントムは自分の思い通りになっていないことに腹を立て、まずはあけて置くように忠告した5番のボックス席に座っているラウルを威嚇。このときファントムの姿はシャンデリアの陰に隠れてて客席や舞台からは見えないようになっているのですが、それでもその立ち姿は非常に美しい!このファントムの声に思わずクリスティーヌが「Its him」と言葉を発してしまったことにカルロッタは「ちび蛙は黙って!」とののしり、楽屋にあった喉の霧吹きで調子を整えた後再び歌おうとします。ファントムはこの隙にオペラ座の裏へ入ってしまうのですが、この立ち去り際なんかも影を背負っている感じでカッコイイんですよねぇ・・・。で、カルロッタは何故かファントムが言ったようにカエル声になって歌えなくなってしまう。舞台ではファントムの魔法によって声が出なくなってしまう演出になっていますが、映画ではなぜカルロッタがカエル声になってしまったのかのカラクリが描かれています。舞台が始まる前に舞台袖においてあった喉用霧吹きを、謎の黒手袋人物が別物と取り替えてるシーンがあるんです!舞台では「謎」だった部分ですが、映画ではその理由付けがちゃんとあるのでなんか目から鱗って感じでした(笑)。カルロッタが歌えなくなった後、二人の支配人が舞台に上がりクリスティーヌが主役になることを客席に告げて慌しく3幕バレエが始まりますが、このドタバタが映画では非常に喜劇的に作られていて面白かったです。急な出来事でバタバタする裏方、慌てふためく指揮者レイエ、そしてこの様子を客席は爆笑しながら見ているんですねぇ。で、一緒になってラウルも笑ってるんですよ、この時点でも彼はかなり余裕かましてます(笑)。
こんなドタバタが舞台の上では起こっている最中、オペラ座裏では
壮絶な追いかけっこが展開されています。ここ、ものすごくスリリングなんですけど映画のなかでもかなり好きなシーンの一つでした。ファントムの影を感じて探っているうちに、逆にファントムに追い詰められてしまうブケー。ブケーが顔面蒼白状態で後ろを振り向いた時にファントムの顔がヌッと現れるシーンは何度見てもドキッとします。このあたりの演出がとても上手いなぁ〜。逃げるブケーを追うファントムはとてもスピーディーな動きをしてるんですよ、それがまたカッコいいんだなぁ〜。ブケーを追い詰めてロープで彼の首を絞めているジェラルド・ファントムの表情が・・・ブケーには非常に申し訳ないのですが・・・(爆)・・・めちゃくちゃカッコイイ!!!!そして立ち去るときのあのマント捌き・・・カッコエエっ!!(壊)。いや〜参りました(笑)。

舞台ではこんな感じ
フィルマンとアンドレは映画ではオペラ座入り口の階段のところで歌っていますが、舞台では
彼らのオフィスで歌っています。ナンバーの名前もズバリ『支配人のオフィス』となっております(笑)。支配人二人の元にラウルやカルロッタたちが駆けつけてくるのは舞台も映画も同じですが、ピアンジは舞台のほうが威厳があります(笑)。支配人二人が『カルロッタが主役です』と言った後に冷たく『もう手遅れだ』と言い放ってカルロッタに寄り添います。いつもカルロッタの味方だ!と舞台版のピアンジは主張していてなかなか逞しいんですよ〜。こっちのピアンジのほうがいいよなぁ(^-^;。で、映画ではカルロッタは一度外に飛び出そうとしてクリスティーヌのファンに遭遇してしまいますが、舞台ではひたすら支配人のオフィスでカルロッタが騒ぎ立てております(笑)。支配人のオフィスの中でカルロッタはイル・ムートに出演することを承諾してしまうんですね・・・単純です(^-^;;。「プリマ・ドンナ」のナンバーは6人による6重奏が大きな魅力です。映画では一番最後に出演者全員が歌っていましたが、舞台ではカルロッタ・ピアンジ・アンドレ・フィルマン・ラウル・ジリー・メグのみで歌われています。映画ではクリスティーヌも歌っていますが、舞台のこの光景になれているのでなんとなく違和感を感じますね。そして最後の「プリマ・ドンナ、歌え!」のフレーズの後で舞台では自分の忠告を無視しようとする彼らにファントムの怒りの声が聞こえてきます。『忠告を無視すると恐ろしいことが怒るぞ!』という威嚇がまた迫力あります。この怒りの声の後に6人は再び『(プリマ・ドンナ)歌え!』というフレーズが入りますが、映画ではファントムの声が聞こえてこなかったのでこの部分はありませんでした。
イル・ムートは舞台ではけっこう忠実にカルロッタの声がおかしくなるまで
真面目に上演されています。カルロッタの演じる伯爵夫人の夫役は映画ではピアンジになっていますが、舞台では別の役者さんが演じているんですよ、ピアンジよりもずっと細身の役者さんで(笑)。低音がすごいのが印象的です。途中でファントムが『5番のボックスは開けておけといったはずだ』と怒りの声を発するシーンは舞台ではなかなか面白い演出になっているのでぜひご覧になってみてください。舞台の上部にファントムが実際に現れるので要注目!カルロッタの声がカエルになるのはファントムが『カエルとはお前のことだ』と言った直後の出来事で、映画では一度楽屋口にカルロッタは引っ込みましたが舞台ではファントムのセリフの直後に急に「ホゲェ」(笑)となってしまいます。これは明らかにマジック以外の何物でもありません(爆)。舞台版ファントムは徹底的にミステリアスなのです!ブケーを追い詰めるシーンは3幕のバレエを踊っていてる時のバックの垂れ幕にファントムの影が映る形で表現されます。マントをバサバサさせてる姿や首を絞めている様子など、全て影で表現されているのでここはなかなか見応えがありますよ。ただ、ブケーの死体が・・・最近どうも簡素化されている気がしてならない(爆)。もっと頑張って作ってほしいぞ、美術さん(^-^;;
All T Ask of You

ブケーの首吊り死体が落ちてきた後、クリスティーヌとラウルはオペラ座の裏階段を駆け上って屋上へ出ます。舞台では二人の声で屋上に出ることを表現しているのですが映画ではその過程がちゃんと描かれていました。それにしてもクリスティーヌ・・・ファントムのことを『あの目は千人の人をも殺しかねない』とか言ってるんですね(爆)。たしかにファントムはブケーを殺したけど、そこまで言うか(苦笑)。まぁ、舞台でも『殺人鬼』とか『死神』とかかなり過激なことを言っておりますが(^-^; 彼女のこんなセリフを聞くたびにファントムが哀れに思えてしまいます。
このナンバーはラウルとクリスティーヌが愛を誓い合うナンバーでとっても美しい旋律なのですが、いかんせんファントム贔屓の私は今まであまり好きなシーンではなかったんです。
ファントムのことを忘れて二人でいちゃいちゃするなんてけしからん!と(笑)。ところが不思議なもので映画でこのシーンを観たとき・・・不思議と涙があふれてしまったんです(;_;)。二人のラブシーンはあまりにも美しく、そして二人の歌の旋律が心の琴線を揺さぶるんですねぇ。エミーとパトリックの歌声にもものすごい魔力があるぞ!特にクリスティーヌがファントムのことを恐怖の対象として語っていたのに、「だけど、醜いながらも彼は美しさを求めていた、彼の歌声は私を満たした」と語りだすところなんかかなり泣きのツボ入ります(;_;)。しかも、ファントムがすぐ近くでそのやりとりを隠れて見ているから切なさ倍増!暗くて表情がよく分らないシーンもあるのですが、そこに存在している姿全体が泣いているのが分るんです(T_T)。身体全体で悲しみを表現しているジェラルド・ファントム・・・あれはスゴイですよ! 二人がキスをした瞬間のなんともやりきれないと顔を背けたときなんか見ているこちらも辛すぎて胸が痛みまくりです(T_T)。で、ラブラブになった二人は屋上からオペラ座の中へ戻ろうとするのですが、ここでラウルはクリスティーヌに「アイ・ラブ・ユー」と告げますが・・・やっぱり日本人でこのセリフを聞くよりもネイティブでこのセリフを聞いた方が自然ですなぁ(笑)。クリスティーヌは馬車を呼ぶように言いますが舞台版ではなんだか唐突に『すぐに馬車を呼んで頂戴』とか女王様めいていたクリスティーヌに違和感を感じていたのですが(苦笑)、映画では舞台が終わった後二人で馬車に乗って行きましょう、みたいな意味合いがあったのでこちらのほうが自然だなぁと感じましたね。
二人が去った後、
クリスティーヌがラウルと愛の誓いをする時に落とし忘れ去られていた薔薇の花(映画の宣伝でよく見られた象徴的シーン)を孤独なファントムが拾い上げますが・・・この『絵』がまた美しい!!薔薇の拾い上げ方一つとってもジェラルド・ファントムはめちゃくちゃ美しいのです・・・。そして『音楽を与えたのにこの仕打ちはどういうことだ・・』と悲しむのですが、歌声が・・・声が・・・泣いてるんです〜〜(T_T)。悲しみをこんなにストレートに伝えられるジェリーって本当に素晴らしいと思いますよ。そして『彼は彼女の歌声で恋に落ちてしまった』とも言うんです・・・。最初はこの意味がイマイチよく分らなかったのですが、よく考えてみるとクリスティーヌに歌を与えたのはファントムだと彼は信じていて、その彼の教えた歌声にラウルが恋をしてしまったわけですよね・・・。これはファントムにとっては大打撃でしょう、こんなはずじゃなかったと。その二人の歌声がファントムの頭の中に響いていて、絶望の悲しみから怒りへと感情が変化し薔薇の花びらをむしってしまうのですが、この悲しみから怒りへの移り変わりの表現がジェリーはすこぶる上手い!!!もう、手に取るように分りましたもん、ファントムのどうしようもない怒りが。屋上の端っこにあった大きな像の上にのぼって『このファントムを怒らせた日を後悔させてやる!!』と叫ぶシーンも実に上手く撮影されています。怒りのファントムをガーッと上に映したかと思ったら最後のところでこんどはサーッと下に落ちていく感じで映しています。ちょうど舞台ではこのあとにシャンデリア落ちがあるので、おそらくその名残みたいなものをあのカメラワークで表現したかったのではないかと勝手に想像したりして(笑)。
舞台で言えばちょうど休憩時間にはいるところですが(笑)、そのためのクールダウンとしてか映画では老ラウルがスワロフスキーの宝石を見つめながら屋上でクリスティーヌと愛を確かめ合った日のことを思い出すシーンが入っています。
宝石を見つめる老ラウルがなんだかとっても切ないんですよね・・・(涙)。

舞台ではこんな感じ
ブケーの首吊り事件の後ラウルとクリスティーヌは屋上へ逃げますが、その
逃げる過程は舞台では描かれていません。混乱する舞台の中央で二人の支配人が『事故・・・事故なんですぅ』と途方にくれた後に屋上シーンが出てきます。映画では雪が降っていてとても寒そうでしたが、舞台版では極めて快晴で夜空の色がとても美しいです。映画版で逃げている時に歌われていた歌は屋上に着いてから始まるので、映画を意識しているとこのシーンが長く感じてしまうかも(^-^;;。映画では3日もかけたというキスシーンというだけあってかなり濃厚でしたが(笑)、日本の舞台はけっこうあっさりしてるかも・・・お国柄ですね(^-^;。で、ファントムはどうしているかというと・・・二人のラブシーンの間は彼の姿は舞台上では見られません。しかし、二人が去った後にけっこうすごい仕掛けがあってこれはなかなか見物ですよ〜。まさかあそこからファントムが出てくるとは!と最初は私も驚いた口なんで(笑)。クリスティーヌとラウルの歌声が響いているシーンでは舞台版ファントムは耳をふさいで『消えろー』と言わんばかりに苦しんでいるのですがこれがまた切なくて泣けます(T_T)。そして『これほどの辱めを決して許さないぞ!』と怒り爆発で舞台上段から冒頭で客席の上に昇っていたシャンデリアを『ゆけーー!』の絶叫とともに落とします。これ、本当に落ちてくるんですよ、上からワイヤーつたって!この迫力は是非とも生で体験してください!!!私は舞台版のイメージが強かったので映画でファントムが怒った後にシャンデリアが落ちないのが最初ものすごい違和感でして(苦笑) 「なぜ落とさなかったんだろう」とクライマックス寸前まで悩んでおりました(^-^;; ちなみに・・・舞台版ではクリスティーヌはちゃんと『イル・ムート』の伯爵夫人の役を演じていたようで、シャンデリアが落ちる寸前にあの伯爵夫人姿でカーテンコールに応えているシーンがあります。ファントムはその彼女めがけてシャンデリアを落とすんですねぇ。クリスティーヌはラウルの間一髪の救助で助かりそのまま皆舞台袖に逃げて休憩時間に入ります(笑)。

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アイコンはUS公式および韓国公式サイトより拝借しました