イザークに促されるままに、長いすに寝そべりポーズをとった。
一度描きはじめてしまえば、イザークの手が止まることはなかった。

イザークのアイスブルーの瞳が、のすべてを見つめている。
は真剣な顔で、自分を見つめるイザークを見ていた。

直接肌を触れ合わせること以上に、官能的な時間だった。










〔 海に眠る船に、あなたに。 〜PHASE.15〜 〕










まるで悪戯を隠すように、の絵をアスランの金庫に閉じ込めた。
明日にはアメリカに着く。
はもういない。

イザークもも姿を消した、これが理由。
「説明ができないのならせめて、この絵を残していくわ。私はもう、自由なの。」
は人差し指を唇に当てて、イザークに告げた。




***




二人は、これから起こることは何も知らない。
これが最初で、最後の触れあいになることを知らない。
それでも、この記憶があったから、は今まで生きてこられた。

愛する人に、愛された記憶。

それがなければ何度、後を追ってしまおうとしたかしれない。
ただ、一度だけの記憶。
それでも、生涯一度だけの、大切な二人の『記憶』




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