〔 俺が隊長 〕
−act.07:落ちる大地は星の華−





「コンディション・イエロー発令! パイロットはブリーフィングルームにて待機せよ。
 ジュール隊長とミネルバクルーはブリッジへ!」
管制のあわてた声が、ボルテール内をアラートと共に響く。

「落ちている? ユニウスセブンがか?!」
ブリッジから戻ったイザークの言葉に、ディアッカが驚きの声をあげた。
「あぁ。詳しいことはわからんが、動いている。それも、地球へ向けてな。」
ジュール隊には、ユニウスセブンの破砕活動任務が与えられた。

「ジュール隊長、自分も出ます。」
「私も!」
「俺に見てろって言うんですか? 聞きませんよ。」
ミネルバから来たルーキー3人は、自分だけブリッジを出て行ったイザークを追いかけた。

「ミネルバでは上官の命令に、部下が逆らっていいのか?」
ピシっと言ったイザークに、ディアッカが頭をかかえた。
「イザーク。かっこいいけど、それ、お前が言われたセリフ。」
砂漠の虎の受け売りだった。

「いいじゃん。戦争するわけじゃないんだし。みんな自分の機体あるし。」
「そうですよ。あんな大きい物壊すんですから、一機でも多い方がいいです。」
とニコルに的確なことを言われて、イザークに反論する言葉はない。
「なら、ミネルバのルーキーは破砕活動にあたり、ジュール隊の指揮下に置くものとする。」
が絡むと、イザークの切り替えの速さは天下一品だ。
「いいか! 命令は絶対だぞ。」
全員を見回して、イザークがふんぞり返っていった。
「俺が隊長だ!」


「手際よく動けよ。時間は無限にあるわけじゃないんだ。」
イザークの言葉に、緊張した面持ちで「はい」と答えるルーキー。
ディアッカととニコルは、すでにそれぞれメテオブレーカーを持ったザクに指示を出していた。
「OK! あと少し打ちこめば、割れるよ。」
が次のメテオブレーカーを取りに帰投しかけたとき、コックピットにちらりとブルーの機体が映った。

「あたしのアビスーーーーっ!」
、スペシャル機熱、再発。
というか、アビスコンプレックス。

「ミネルバか?!」
「どうしてあの艦が・・・?」
破砕活動を行うモビルスーツが、一瞬その動きを止めた。
そのとき通信がオープンで開かれ、場違いなカン高い声が響いた。

「みなさぁ〜ん。ごきげんようですわぁ〜〜。」
「ラクス様・・・・。」
いや、髪飾りが星形。
彼女はミーア・キャンベルだ。
となりには冷たいほほ笑みの本物が、ちゃんといる。

「わたくしたち、ここで慰霊活動しておりまして、最後に打ち上げ花火でも、と思いましたの。」
「そうしたらぁ〜、爆薬を仕掛けすぎてしまったみたいでぇ〜。」
画面の向こうで同じ顔が「ね?」とか言い合っている。
ってことは、ユニウスセブンが動いているのは、あんたらのせいなのかっ?!
思ってみても、誰も言えない。

「わたくしのメンバーもお貸しいたしますわ、ジュール隊長。」
ラクスの申し出に「要りません」という言葉が、喉元まで出かけるイザーク。
「それから役立たずでグズですが、嫌がる彼も無理矢理ザクに乗せました。使ってあげてくださいな。」
一方的に言うだけ言って、通信がオフになる。
そしてミネルバが遠ざかる。
見学かよ、おいっ


「割れたゼー! グーレイト!」
ディアッカの声に、自分たちの任務を思い出す。
忘れてはいけない。
今はユニウスセブンを砕かないと、地球が滅亡する。
と、ジュール隊の通信回線に、聞き覚えのある声が割り込んだ。

「だがまだまだだ! もっと細かく砕かないと!」
ミネルバのルーキーには、聞き覚えのない声。
しかしジュール隊の面々には、よく知る懐かしい同期の声。

「「「「 アスラン?! 」」」」

「・・・・久しぶりだな。」
イザークは青筋を立てて怒鳴りつけた。
「貴様、こんな所で何をしている?!」
イザークの言葉に、アスランは顔面蒼白で答えた。
「・・・・あそこに残った方が、もっと恐ろしい・・・・。」

会話によって中断している破砕活動。
見かねたシンが声をかけた。
「ちょっとジュール隊長ぉー? おーい、おかっぱさ〜ん!」
どさくさにまぎれてとんでもないことまで言っている。


みなさん。
ユニウスセブン、落ちてますよ?



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【あとがき】
 はい。アスランです。
 本当なら一番にミネルバルーキーと出会う彼が、ここではビリです。
 イザークにシンにアスラン。・・・めちゃくちゃになりそうだ。
 ちゃんがアビスを手に入れる日は、来るのか?!(たぶんこない)