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何で美郷町に?

どうして美郷町で暮らし始めたのか???

就職してから変わり始めた人生観

 埼玉で生まれ、埼玉で育ち、首都圏の会社に就職してしばらくは大した望みも無く何も考えず淡々と日々を楽しく生きていました。電機メーカー系の技術職になったのは「将来自分で何か製品を作りたい」と。ドラえもんの秘密道具を作ってみたかったんですよね、当時は^^;

 就職した年に厚木にある親会社工場へ出向となり、実家の埼玉から神奈川県相模原市での一人暮らしを始めました。相模原市からの交通としては南北に国道16号線・東西に国道246号線という主要幹線道路がありまして…ここが慢性的に大渋滞する道路。通勤に使っていた小田急線も通勤ラッシュは激しくて、どうやって空いている座席に真っ先に飛び込むかを考えるような毎日はとても疲れます。当時私は「車なんか無くても電車と自転車で大概の事は出来る」と思っていましたが、そんな環境であちこち動き回るのに不便さを感じるようになり、足として管理維持費の掛からないバイクに乗るようになりました。今もバイクは私の大事な趣味の一つです。

 バイクに乗るようになると行動範囲が一気に広がり、行きたくてもなかなか行けなかった所に色々出掛ける様になりました。屋久島・四国・北海道・甲信越・東北…都会の喧騒を抜け出して緑広がる山奥へと風を切りながら走っていくのが楽しくて、「将来いつかは緑豊かな田舎で暮らせれば幸せだろうなぁ…」と思うようになりました。でもそれはあくまで余生を過ごすならという前提でして、田舎で具体的にどうやって生活していくのかとか具体的な方策も無く情報も集めるでもなく、ただ漠然と考えるだけの事でした。

 それでも、将来は絶対に田舎暮らしを…と考えるようになったのは確かです。


仕事への行き詰まり・転勤・事故・入院…決断

 仕事を何年も続けるうちに、だんだん色々な行き詰まりを感じて考えるようになりました。職場は楽しい同僚が一杯居て皆良い人ばかり。稼ぎも自分の能力以上の給料を貰っている…それにも関わらず、です。
 私の勤めていた電機業界は、同業他社メーカーと競争しながら常に最新技術を生み最先端の新製品を造り、それを消費者に買っていただくことによって成り立っています。それは何より人間が「もっと便利で豊かな生活を送りたい」という願望があり、それを実現する手段として電気製品が重要な役割を果たしているからこそのことです。

 でも、その昔高度成長期「テレビ・冷蔵庫・洗濯機」が三種の神器としてもてはやされた時代から更に月日は流れ…電気製品も「コレが無いと生活出来ない必需品」よりも「別に無くても良い趣味嗜好品」の方が今や市場では大部分を占めメーカーの利益もそこから成り立っています。電機業界に限らず、辺りを見回せば特に無くても生活に支障が無いものが世の中には溢れています。

 要らない物をより高性能化し、必要の無い付加価値を付け、ありもしない虚像をイメージとして植え付け価値があるように見せ付ける…そうやって自分達の生活を維持するために市場を維持拡大する事する。。。年が経つにつれてどうしてもそうとしか思えない自分がそこに居ました。造っているのは後でガラクタになるしかない製品ばかりで、今を維持するためにだけそれは存在する…自分はそれにしがみついて生きているのではないだろうか。。。
 自分がしたいのはそんな仕事じゃない。本当の『人の幸せ』に役に立つような仕事がしたい。人間味のある生活が送りたい。電気製品だけじゃない、世の中にはもう不必要なモノが溢れている。本当に必要なのはモノじゃなくてまっとうな暮らしじゃないのか…

 そういう疑問を抱え、しかし年が経つにつれ増す仕事の負荷・責任に考える気力も沸かず時間も無くどんどんと重圧に押しつぶされつつ。。。どうにかしなきゃ、どうにかならないか…と考える日々が続き。。。


 そんな頃、バイクで転倒事故(自損)を起こしました。左膝を強打し、外来治療では殆ど回復しなかったので内視鏡手術まで受けることになり、1週間ほど入院する事になりました。

 それで入院期間中に考えることにしたんです。今までの人生、これからの人生、自分が何をしたいのか、自分に何が出来るのか…どうすれば実現可能なのか、その為に何を調べたら良いのか、どんな事をしていけば良いのか、等等。

 そうして出した結論が、
 ・今のままの仕事で生活していくのは精神的にも肉体的にも限界。
 ・人生そんなに長くないし、今の生活をしていても稼ぎも先も見えている。仕事を続けられなくなるのは時間の問題。
 ・それならいっそのこと、田舎暮らしの実現を前倒しして検討し、実行可能なら実行する。
 ・田舎で暮らすためには自分が出来る仕事が欠かせない。自然好き=林業を中心に検討して探してみる。
 ・ただ自然好きだけじゃ説得力が無いから、この際色々自然環境について勉強してみる。


 こうして検討を始め、退院の翌月には退職して田舎への再就職活動をする決断をしました。
 その半年後には、美郷町での生活を始めることになったのです。


決まる時は、思いがけず急に決まるもの

 美郷町の事を初めて知ったのは、就職活動で説明会があるからと島根県江津市へ行った時です。

 自然環境を保全し後世に伝える仕事として林業がしたい、移住先は簡単に挫けても帰れない・訪れたことの無い土地の方が自分に向いているし偏見抜きに1から学ぶという観点で西日本が良い、林業は夏の下刈りが一番ハードな仕事なので出来れば暑すぎず・冬場雪が降っても仕事が出来る環境というと山陰は良さそう・住環境の希望は山間でそれなりに大きい川の流れているところ、海が近いと尚良し…とその頃までには考えはまとまっていました。その上で東京でのガイダンスで島根ブースで話を聞き、江津市での説明会の話を聞いたのです。

 江津市での説明会で一番懇意にして下さったのが、当時森林組合の人事担当をしていらしたYさん(今現在、私の直接の上司です)。正直あまり色よい回答は貰えなかったのです。「住む場所があるかが問題」「過去Iターン者を大量に受け入れたことがあるが半数は辞めてしまったという実績があるので慎重にならざるを得ない」…しかし最後に「役所で定住担当の方が居るところもあり、直に役所で担当の方に話を伺ってみたらどうだろうか」と。そこで美郷町の場所を聞き、江津から江の川沿いに車を走らせて美郷町役場まで赴いて話を伺いに行ったのです。その時の江の川流域の景色の良さが私の好きな山間に流れる川のイメージにピッタリで、こういうところで暮らしたいなぁ…と思わせられました。

 その日は役場の担当の方は留守だったのですが、担当の上司のTさんが応対して下さったのでYさんからお話を伺った旨を話し、「美郷町に住みたいのですがどうにかなりませんか?」と。住むところは役場の担当の方が斡旋してくれるかもしれないし住むところがあるのなら採用も考えないでもないという話をYさんからはされていました。
 そういう話を役場の方として、その頃は会社を辞めて実家に戻っていたので実家に戻りました。


 それから10日以上経ちましたか…いい加減音沙汰が全く無かったのでこれはダメだったのかな、江の川は良い所だったのになぁ…と次の候補地へのアプローチの準備をしていた頃、美郷町の担当の方から連絡があり

 「森林組合の方が面接をしたいという事なんですが、数日中に来てもらえませんか?」

 正直、そんな急に言うことですか?埼玉から島根までって遠いのに???って思いましたが、逆にこれは縁があるって事なのかな…と思い再度美郷町まで出掛けました。面接って事なのでしっかりスーツを着込んで…^^;

 そして面接の結果、採用していただけるというご返事を貰うことが出来まして、同日に役場の方と空き家の見学をし、美郷町に定住することになった次第です。何と言うか、電光石火の早業ですね^^;


「自分が好きだと思える環境で無いと長続きしない」「縁を大事にする」

 美郷町に決めるまでに、美郷町を訪れた回数は上記の通り2回しかありません。それでも決めたのは一連の活動の中で「自分が好きだと思える環境で無いと長続きしない」「縁を大事にする」という2つの言葉を実践しようと思ったからです。

 「自分が好きだと思える環境で無いと長続きしない」は、自分から進んで新しい環境に身を委ねる訳ですから何処か自分の好まざる受け入れられないような事が含まれていると挫折のきっかけになり得るからです。正当と思える理由があれば人間って挫折したがる生き物ですから。候補にしていた島根の中で、美郷町は「ここは良いところだ」と直感的に感じた土地です。それにやりたい仕事もある、住居もある。そういった点で文句をつける理由はありませんでした。

 「縁を大事にする」は、田舎暮らしのポイントの一つとして「地域のコミュニティにどう溶け込んでいくか」というのがあります。ある意味土足で彼らの土地に押し掛ける訳ですから、彼らに望まれているのか望まれていないのかはかなり重要なポイントだと思います。十分な資金があるのなら勝手に土地建物を買ってそこで暮らすというのも手法的には十分可能ですが、多分余程の人格者でなければ総スカンでしょう。金の力で解決出来ない事はあります…それを補うのが人の力です。困ったら誰かが助けてくれる、何かあったら皆で何とかしようとする。そういう環境で生活しようとするなら、人との縁は大事にしなければならないでしょう。それに私が美郷町に住めるようになったのは多少なりともこの土地が私に縁を与えてくれた、そう思ってもいます。


 今のところ、生活に苦しんでいるということはありません。以前から無駄遣いが多かったですから、それを切り詰めさえすれば生活レベルを落とさずにやっていけます。そもそも無駄遣いで買うものって、大体のものは不必要なものでしたから^^;
 欲しいものは、まずは一緒に生活してくれる人…嫁さんですね。家族を持ちたい。それと、もっと田舎で暮らしていると実感出来るような家。今は集落の住宅街に住んでますが、ちょっと外れたところの民家に住みたい。あと、自分で維持管理できる山林。山の幸で幾ばくかの小遣いを得られたり、居るだけで楽しめるような裏山を創りたい。

 この3つを死ぬまでにどうにか叶えられれば良いと思っています。それが私の今の願いです^^;



美郷町ってどんなところ?

美郷町の見所は?

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