2022.12.14
(12.18に私的考察を追加した。
その中で、感染リスク、感染致死率、ワクチン関連死報告数の年齢依存性を順次追加していって、ワクチンの功罪を評価したのであるが、長くなったので、この項からは削除して、12.30 に別途小論文にまとめた。)

ワクチン後遺症についての全国医師の会が行った11月23日の記者会見は2時間近くあって、なかなか全部観るのが大変だった。重要なことはほぼ網羅されているようである。ただ、記者は数人しかいないようである。ワクチン禍の報道は各社自主規制しているように見える。『日経ビジネス』は結構正直に報道しているようである。

・・・荒川央(ひろし)博士の説明も録画上映の形で中に入っていた。重要なので要約しておく。
『mRNAワクチンの危険性についての荒川央(ひろし)博士の説明』
・・mRNAワクチンでは、細胞内にウイルスの遺伝子の一部(スパイクタンパク合成部)を入れることで、ウイルスのスパイクタンパクが作られてそれが細胞表面に提示されて、免疫系が細胞を攻撃すると共に、この抗原(スパイクタンパク)が認識され、抗体が作られる。
・ワクチンは筋肉注射されるが、一部はいろいろな臓器にも入り込んで、免疫系による不必要な攻撃(自己免疫疾患)を受ける可能性がある。
・また、これはコロナ感染と同じであるが、作られたスパイクタンパク自身が血液凝固による血栓症等を起こすことが知られており、とりわけスパイクタンパクは脳関門を通過するので、脳疾患を引き起こす可能性がある。
・乳幼児に対しては、作り出されたスパイクタンパクが「自己」と認識されて記憶されてしまう可能性があるので、将来に亙って感染しやすい免疫系を持つ可能性がある。
・これらの可能性が実現するかどうかは個人差や体調によって決まる。ワクチンで感染と同じようなことが起きるということは、そういう体質の人についてはワクチンを打つのではなく、出来るだけ隔離して感染しないようにすべきである。

・・・記者会見の目的は「乳幼児・子どもコロナワクチン」を推奨することへの反対声明とワクチン後遺症の実情周知である。
・・・日本で
mRNAワクチン後遺症が知られるようになったのは2021年の末だそうである。ワクチン接種後にいろいろな症状が出ても病院で相手にされないので、特定の医師の元に患者が集まるようになって、これは問題だからというので、100人位の医師が結成した会だそうである。会長は北海道の藤沢明徳医師。
・・・症状が多様な為、試行錯誤的にいろいろな治療法が研究されてきた。漢方がもっとも効果的だそうである。それに付随して症状も整理されてきて、荒川央博士の説明したような機構だろう、ということになってきたらしい。解剖してもワクチンが原因であると特定することは困難であると言われてきたのだが、ワクチンあるいは感染そのものによる体内で起きる変化(血栓とか、、、)が整理されてくると、ワクチンを疑う根拠が出来てくる。そういうことで、厚労省も関連を認め始めているが、まだなかなか壁が厚い。
・・・新たに追加されたのは、5月11日の厚生労働省アドバイザリーボードに提出された資料が元になって推定されているものである。この資料(今探したが見つからない)は2回のワクチンを接種した人としなかった人について、10万人あたりの新規陽性者数を年代別に比較したものである。従来厚労省は感染確認時にその人がワクチン接種したかどうかを確認できなかった人をワクチン未接種者としてカウントしてきたために、未接種者の方が感染者数が多いという結論を出していたのだが、海外での例を引いた指摘によって、未確認者は未確認者の分類に入れた為に、感染者数があまり変わらないか、やや接種者の方が多い、という結論に変わった。勿論これは基本的にはワクチンの感染予防効果が消えたためであるが、接種者の方が多いということの説明として、
藤沢明徳医師によって、ADE抗体とか抗原原罪といった機構が推定されている。(ただし、数値を見ると有意差があるとは言えないので、説明する意味があるかどうか?)ワクチンによって自然免疫が抑制されるようになる、とまでは言い切れないのではないか、と思うが、少なくともコロナ感染よりもワクチン後遺症の方が深刻となる場合があることは否定できないだろう。
・・・政策としてワクチン接種を積極的に推進しているのはカナダ、米国、日本だけだそうである。一番最初にワクチンを打ち始めたイスラエルでは3回目接種を始めて死者が出た為に以後ワクチンは打っていない。真面目に4回も5回もワクチンを打っている国は日本だけである。政策を自らの判断で切り替えることの苦手な国である。国民の我慢強さが災いしているのか?

参考動画(これも2時間位ある)は厚労省に対する諸先生方と患者達の追求状況である。
『11月25日「新型コロナワクチン接種と死亡事例の因果関係を考える」勉強会(参議院)』

・・京都大学福島雅典博士の話。この人はウイルス学者である。厚労省に対してかなり怒りを表していた。ただ、威圧してもあまり説得性はないだろう。

・・・使われた資料の一部についての私的考察
・・p.5を見ると、ワクチン接種者数に対する関連死報告数比はほぼ 0.0015% となっている。(関連疑い死亡者数を接種回数で割った値である。ただし、接種回数の元データにあたってみると、1回目の接種はカウントしていないようである。死亡事例数は1回目も2回目も同程度なので、厚労省に倣って、カウントすべきではないかと思われるが、約2倍になる程度なので、そのままにしておく。)これがp.6のような接種日基準での経過日数分布を持っている。この分布だけを見ると報告された死亡がワクチン接種に起因するように見える。しかし、考えてみると、これは死亡者全部の分布ではない。死亡者の内で医師がワクチンに関連していると判断した者だけを表示している。その関連しているという判断には当然ワクチン接種日から近いという事実が使われているから、その判断基準によって見かけ上ワクチン接種日に近い日のカウントが多くなっているという見方もできる。言い換えると、ワクチンとは関係なく突然死しても接種日に近ければワクチン関連死と判断されるかもしれない。この(厚労省の?)疑いを払拭するには、勿論解剖などをして、ワクチン特有の兆候が見られるかどうかを調べることが重要であるが、実際には(意図的かどうかは判らないが)殆どなされていないし、今更解剖することはできない。しかし、全ての死亡者についてこのような経過日数分布を得ることが出来て、接種日に近い処にピークが出来れば、ワクチン起因の死亡比率がそのピークの背景部分からの立ち上がり方(背景との差分)で推定できるはずである。それが可能かどうかの判断には、背景部分、つまり日本人の日々の死亡確率に対してどれくらいのピークなのか、という見積りがまず必要になる。
・・日々の死亡確率に換算するには、全数に対する比にしなくてはならないから、目視で人数を読み取ると、ワクチン翌日でのピーク日における死亡確率が150/687×0.0015%=0.0003% となる。これと比較すべき確率は平常時における死亡率である。日本の年間死亡率は1%程度であるから、1日に換算すると、0.003% となる。つまりピーク(ワクチン接種翌日)において10%程度死亡者数が多くなるということで、これが(個別の原因を特定することなく)統計的に優位な差として検出できるかどうかは微妙な処である。ただ、死因としてワクチン関連可能性のない場合(事故死とか)を除けばもう少し検出可能性が上がるだろう。また年代別にすれば多少容易になるかもしれない。いずれにしても、全死亡届と全ワクチン接種記録とを個人を特定して結び付けなくてはならないので、個人情報保護の壁がある。
・・ところで、現状でのコロナ感染者の死亡率(致死率)は 0.2~0.1% 程度である。ワクチン接種者と非接種者それぞれの一定期間における感染確率を a,b として、感染による死亡率を0.15%、ワクチン接種による死亡率を0.0015%であるとすると、ワクチン接種者の死亡確率は a×0.15%+0.0015%、ワクチン未接種者の死亡確率は b×0.15% であるから、b-a>0.01 であれば危険を承知の上でワクチンを打った方が良いということになるだろう。ワクチンの有効性は感染波一つ位の間である。b や a のオーダーは、第7波での感染者数(約11,700,000人)から人口で割って見積もると、0.09 位である。例えば、a=0.08、b=0.1 (ワクチン有効率=20%)であれば、打った方が良い。ただしこれは全人口を単純に平均化した結果である。年齢層別にデータを調べなおさないと明確な答えはでないだろう。その検討結果は別途小論文にまとめた。
・・福島先生の資料 p.16 には2021.09.01の「第50回新型コロナウイルスアドバイザリーボード資料2-6」からの表が引用されている。年代別に分けてワクチン未接種、1回接種、2回接種の感染者に対して、その感染による死亡確率(致死率)を表にまとめている。
・一番大きな特徴は若い年代に比べて高齢者の致死率が桁違いに大きいことであるから、このように年代別にしないと比較が難しいのである。そのことは表の 注)に書いてある。にもかかわらず、全年代に亙る感染者数と死亡者数それぞれの総和から割り算をして致死率の数値を表に載せていて、誤解を招く。
・この時期(7月)ではワクチン接種者数そのものが高齢者に偏っている為に、未接種者の総和には若い年代が多く含まれて、接種者の総和には高齢者が多く含まれる。これらから単純に平均の致死率を計算すると、未接種者の致死率は若い年代の致死率に近くなり、接種者の致死率は高齢者の致死率に近くなる。つまり同じ条件でのワクチン有無による致死率の比較にならない。有名な「シンプソンのパラドックス」である。福島先生も誤解されたようで、トータルで見ると、ワクチン接種によって致死率が上昇している、という結論を述べておられた。残念である。

・・死亡確率以外の要素としては、ワクチン後遺症が感染後遺症と比べてどうなのか?ということである。mRNAワクチンの場合は感染と比べて有害なスパイクタンパクが多く作られるのではないか、という心配がある。こちらの方も重要だろう。また、ワクチン接種を繰り返す事で、自然免疫が弱くなって、長期的には感染しやすくなる、という意見もあるので、検討する必要があるだろう。
(私的考察はここまで)

・・他、福島博士は論文をいくつか挙げていた。
Clinical cardiovascular emergencies and the cellular basis of COVID-19 vaccination: from dream to reality?
mRNAワクチン特有の副作用の生理機序の説明と報告のレヴューである。
Innate immune suppression by SARS-CoV-2 mRNA vaccinations: The role of G-quadruplexes, exosomes, and MicroRNAs
mRNAワクチンが自然免疫を弱める効果について論じている。

・・高知大学佐野栄紀名誉教授(皮膚障害について)。患部にスパイクタンパクの集積が確認されているという事なので、ワクチンが原因であることは否定できない。彼としては、まずはこの事実を、
ワクチン接種前の必須情報として、国民に広く知らせるべきではないか?ということである。

・・名古屋大学小島勢二教授の超過死亡の話。コロナ感染死以外の部分がワクチン追加接種と相関している。日本、韓国、ヨーロッパ各国のデータでもそうである。(2021年までのデータではワクチン2回接種と超過死亡が逆相関していた。)少なくともオミクロン株に対しては、ワクチン追加接種が感染だけでなく死亡をもたらしている可能性が高いことを示唆している。厚労省にきちんとした統計解析を要求している。

・・・少し前のNHKの報道であるが、アメリカでの取り組みが紹介されている。ワクチン接種者の事後調査(ワクチン安全データリンク「VSD」)を行っている。日本では行っていない。
個別の原因を特定することなくワクチン有無のデータから統計的に優位な差として検出しようとする試みであり、特定のワクチン有害事象の有無についての判断がなされているが、COVID-19の死亡については全原因死亡に比べては少なすぎて、統計的有意差を出すには恐らくサンプル数が不足するだろう。

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