2020.01.09
正月に再放送されたのを録画しておいて見た。なかなか良く出来ていたので、概要を記す。

●NHK再放送『神の数式』第1回(2013年放送)
 1920年代後半、ポール・ディラック。電子がスピンを持つのは何故か。実験データをまとめて数式を作るのではなく、数学的美を求める。美とは対称性。この場合はローレンツ対称性からディラック方程式を導いた。反粒子を予言。

  1930年代、ロバート・オッペンハイマー。ゲージ対称性に着目する。電磁気力の表現。素粒子の自己エネルギーの発散に直面。一時中断して原爆開発。朝永振一郎が戦時中に進めた繰り込み計算の研究。1948年。無限大は質量に組み込めることになった。電子スピンの g 値の精密計算に成功。

  1950年代、チェンニン・ヤン。陽子と中性子の共通点に注目。相互作用の式は陽子と中性子を入れ替えても変わらない筈だと考えた。非可換ゲージ対称性を与える。しかし、質量が許されなくなった。

●『神の数式』第2回
 1954年、ヤンの研究発表。質量の件をヴォルフガング・パウリに質問されて、困窮。

  1957年、ソ連が人工衛星。Co60からの電子を観察すると左巻きだけであった。弱い力は左巻きにしか働かない。鏡映対称性が破られている。左右が別々というカイラル対称性によって質量を持たない。L と R で別々のゲージがある。これらを独立させると質量をゼロにせざるを得ない。

  1960年代、南部陽一郎。自然界の設計図に対称性があっても、現実には対称性がなくてもよい。自発的対称性の破れ。強い力のカイラル対称性が破れて、クォークの左右粒子反粒子の対が出来る。この対が真空中には詰まっている。uL-dR~。真空に詰まったそれらの見えない対と絶えず相互作用することで、光速で飛べなくなる。

  1970年代、シェルドン・グラショウ。弱い力の質量問題。W+、W-、Z に分類。スティーヴン・ワインバーグが引き継いだ。ピーター・ヒッグスの1964年の論文に着目。真空を満たすヒッグス粒子との相互作用によって光速で飛べなくなる。グラショウも南部もスピルバーグも否定したが、2012年に実験で見つかってしまった。

●『神の数式』第3回:
 ブラックホールの中心を解明すれば、宇宙の始まりが判る。そこは無限大が発生する(ホーキング)。

  マトベイ・ブロンシュタイン:一般相対論と場の量子論を統一しようと試みた。スターリンによって国家への叛逆者として処刑された。

  1974年、ジョン・シュワルツとジョエル・シャーク。弦理論。
 点としての粒子が相互作用の粒子をやり取りする。粒子がぶつかる時に無限大が発生する。粒子が点でなく輪ゴムであれば潰れない。exp(i∫以降を弦理論で置き換えた。

●『神の数式』第4回:
 重力を伝える粒子の重さは 0 なのに、超弦理論では 0 でない。m=(10−4)/4。次元が 4 でなくて、10 であれば、 0 になる。シャークは34歳で自殺。

  カラビヤウ多様体。ミクロの視点から見れば隠れていた次元が見えてくる。

  マイケル・グリーン:超弦理論の検証。一般相対論と場の量子論が導かれた。496 という数が現れる。完全数。

  ブラックホールが蒸発する。ホーキング:粒子が動けないのになぜ熱が発生するのか?

  ジョセフ・ポルチンスキー:弦の性質。弦が沢山集まるとDブレーン(膜)が生じる。これがブラックホールの中心で熱を生み出す。中心が1点に見えるがこれは4次元だからであって、他の次元はその中で拡がっている。カムラン・バファによって計算されて、ホーキングの計算と一致した。2004年にホーキングが認めた。

  重力波検出、ブラックホール観測。


  <目次へ>  <一つ前へ>    <次へ>