僕はそれほどラジオが好きなわけでもないのだが、振り返ってみると、ずいぶんとお世話になった。
子供の頃(1950年代)、村ではラジオが結構普及していたように思う。電気屋さんに作ってもらっていたらしい。真空管方式で、5球スーパーが標準だったが、当時は放送局も少なくて、あまりノイズ源も無かったので単純な3球でも十分使えた。僕のお爺さんは毎日ラジオで浪曲、落語、漫才を聞いていて、僕も一緒に楽しんでいた。床屋に行くと大相撲中継を流していて、客同士が賭けをしていた。友達とは野球中継や「少年探偵団」を聞いていた。大晦日のイベント「紅白歌合戦」は家族で楽しんでいた。兄の一人がラジオを作り始めて、僕も見様見真似で作った。半田ペーストや絶縁材のベークライトの焦げる臭いや電源トランスが過熱したときの臭い、稀に起きる220ボルトによる感電、アルミのシャーシーを削る音、、、。そして丸暗記した回路。ラジオだけでなく、その頃は廃棄される希少資源(かまぼこ板とか缶詰の缶とかミカン箱とか糸駒とか、、、)を使って遊び道具は何でも自分で作っていた。現在では大きな環境問題を引き起こしている石油系プラスティックはまだ見かけなかった。
1960年代、中学生になると、廊下の片隅に勉強机を構えて、自作のラジオでプロ野球中継を聞いていた。殆どが巨人戦だった。トランジスターラジオが登場したのは多分その頃だろうが、まだ素人では自作できそうにもなかった。京都で予備校通いをしていた頃(1966年)には、買ってもらったトランジスターラジオで、毎日 NHK の英語番組を聞いていた他、普及し始めた FM放送ではビートルズやショパンの音楽をよく聞いていた。まだ家庭でのステレオ再生装置は一般的ではなかったから、新しい音楽はほぼラジオから流れてきた他、ジャズ喫茶で聞いていたのである。深夜の「ナベサダとJAZZ」もなかなか良かった。当時、ポップスの殆どは英語圏由来だった。日本語では音韻構造上ポップスが出来ない、というような事が真面目に議論されていたのであるから、隔世の感がある。
さて、朝のラジオをどうするか?まずは、スマホラジオをタイマーで使えないか、と思って調べたら、radiko では出来ることが判った。しかし、NHK第一にしたいので、らじる★らじるではどうかと思ったのだが出来ない。でもその内改良されるかもしれないと思って、NHK に問い合わせてみた。その計画は無いそうである。。。
((その後、リアルタイムであれば radiko で NHKの放送が聞けることが判った。だから radiko の ONタイマーを使うことが出来る。(radiko の 「profile」から設定出来る。なお、iphone の radiko ではできない。)ただし、設定の仕方に注意が必要である。OFFタイマーの方も設定しておかないといけないが、OFFタイマーの「繰り返し」を ON にしておかないと、一回限りで OFFタイマーが解除されてしまっていつまでも鳴り続ける。もう一つの注意としては、スマホの節電スリープに入ってロックされると radiko も動かなくなるので、予め radiko を止めるときに「バックグラウンドに切り替える」としておかなくてはならない。しかし、このバックグラウンド起動状態というのは、スマホをいろいろ使っているといつの間にか解除されていることが多い。それを避けるためにはいろいろな設定を変えなくてはならない。元に戻せなくなりそうなのでこれは諦めた。))
結局、居間でラジオ体操をタイマーで流したり、カープ中継を聞くために使っていた小型の ONタイマー付きラジオ(RAD-S800N: 設計製造は Tecsun)を寝室専用にすることにした。電池切れが心配なので、5Vの ACアダプターの替わりにスマホ充電器(5000mAh)を繋いてみた。同じく5Vの筈なのだが、しばらく鳴ると切れてしまう。繋ぎなおすとまた回復している。理由はよく判らない。充電用だから電圧が高めなのかもしれない。スマホ充電器は充電池寿命がほぼ尽きた SONYの Walkman には使えたのだが、これはスマホ充電器を本来の充電用電源として使っているからだろう。( 後に調べると、これはモバイルバッテリーの「オートパワーオフ」機能による。ラジオのように使用電流が小さいと充電が終了したと判断して、勝手に切れてしまう。過充電防止のためである。ニッケル水素電池は 1.2 V なので、4個直列にすれば 4.8 V となって丁度良いので、現在ではそうしている。)そこで、電力を消費するスピーカーを使わなければ良いので、イヤホン端子に、昔買っておいた、SONY のイヤホンスピーカーを繋いだ。枕元であれば十分聞える。この SONY のイヤホンスピーカーであるが、製品番号が無かったので調べてみたら、何とこれはイヤホンケースであった。中には本物のイヤホンが収まっている。MDR-EX36SC だった。ケースがスピーカーボックスの役割をしていて、箱共鳴を利用してイヤホンの音を増幅している。SONY らしいアイデアである。既に販売終了していて、他には類似製品は無い。単にイヤホンを適当なケースに入れればこれくらいの音になるだろうと思って、いろいろなケースを試してみたが、なかなか大きな音にはならない。それなりの音響設計がなされているらしい。さすが SONY。。。
(( 2025.08.01 ほぼ半月後であるが、実験結果が出てきた。ラジオの外部電源端子に Ni-MH電池4本を直列に繋いだ結果、一日1時間半づつの使用で、15日目に電池残量が 0 となった。今までずっと電池駆動で使ってきた経験からいうと、ちょっと早い感じである。電池の容量を 2000mAH と仮定して逆計算すると、22.5時間で割って、90mAの消費電流だったことになる。
そこで、実際に消費電流を測定してみた。電池ボックスの陰極と電池の陰極との間に、絶縁フィルムを挟んで2つの銅線を入れて、それをテスターの電流計に繋げばよい。電源コードの切れ端を使えば簡単に道具が出来る。結果であるが、ラジオのスピーカーで聞いた場合、標準音量設定10では 40-50mA、音量15では 40-80mA だった。これはアルカリ乾電池3個の場合も外部電源端子に繋いだ Ni-MH電池4本の場合も同じであった。このラジオの仕様書によれば、イヤホンを付けて使った場合には電池の寿命は1.3倍位長いというので、これだと、実際の電池容量が1000mAH位だったということで、Ni-MH電池はうまく使えないのかなあ、と思ったのだが、念のためにイヤホンを付けて測定してみると、70-90mAも消費していた。これだと、逆に、電池容量が1800mAH位で、電池が新品の eneloop単3なので妥当である。
ともあれ、イヤホンの方がスピーカーよりも電力を沢山消費するというのは意外だったので、家にあるいろいろなイヤホンを付けてみたが同じだった。仕様書といえども素直に信じてはならない!イヤホン端子からアンプ付きスピーカーの入力に繋いでみると 40mA で、これは音量に拠らない。だから、上記のイヤホンケーススピーカーを使うというのは藪蛇ということが判った。
ちなみに、古いアナログラジオ(SONY CFM-175TV)で、同様にアルカリ乾電池4個直列で調べてみると、消費電流は70-90mAで、イヤホン(モノラル)に繋ぐと 70mA となって、こちらは常識通り、イヤホンは電力消費が非常に小さい。だから、DSPラジオ RAD-S800N の場合はイヤホン出力回路に何か問題があるのだろうと思う。
一晩寝て、その原因を考えてみた。そもそもイヤホンというのは磁場の中のコイルに流れる交流によって駆動されているから、抵抗は低い。直流を流すとコイルが片方に寄ってしまうので、流してはならない。交流に対する抵抗をインピーダンスというのだが、大体が 8Ω 位である。ひょっとして、このラジオ RAD-S800N ではイヤホン端子から直流が出力されているのではないだろうか?と疑いを持って実際測定してみると、何と左右チャンネル共にテスターで 2.2V が検出された。 イヤホン接続時での電圧を測定してみると 0.5Vしかない。これは出力回路にイヤホンの抵抗の 3.4倍の内部抵抗があるからである。(イヤホンというのは大体がインピーダンス 8Ω程度であるが、直流抵抗はどれくらいだろう?ネットで調べると、一般的にはイヤホンのインピーダンス値と直流抵抗値はほぼ一致するものらしい。直接測定しようとしたが、僕の古いテスターはこういう低い抵抗値の測定ではあてにならない(30Ωと出てきた)。確認するために、アルカリ乾電池を直接つないで電流測定をしたところ、150mA 流れたので、大体 10Ω位だろう。)起電力 2.2V がかかるのはイヤホンと内部抵抗の直列抵抗(大体 44Ω位ということになる)であるから、電流は大体 50mA 位になる筈である。実際に再生時に直接電流計を挟んでみると 25mA 流れていた。とりあえずはこちらを信用するしかないだろう。両チャンネルで 50mA だから電力で書けば、110mW。他方電源電池の消費電流のイヤホンによる増加分が 30mA位だから、これを電力で書けば、150mW となってほぼ一致している。このラジオの為に釈明しておくと、なにしろ10年前から使っているものなので、何らかの劣化によってこうなったと思われる。))
ラジオ体操の方に使っていたラジオを寝室に廻したので、これはsimカードを付けない古いスマホでやることにした。「時計」アプリはいつもバックグラウンドで動いている。だから、「時計」アプリによるアラーム音を任意の音楽にしておけば、毎日定時に音楽を流すことができる。ラジオ体操の音源は YouTube で見つかる。OFFタイマーが5分刻みなので、音楽ファイルに無音を追加して10分にした。なお、iphone の時計アプリでも同じことが出来るが、こちらは OFFタイマーが無い、というか 15分経過すると自動で止まるようになっている。だから、この場合は音楽ファイルを15分にする。また、iphone の場合、音楽ファイルは .m4a 形式で、しかも .m4a を強制的に .m4r に変える必要がある。その上で、CopyTransManager というフリーソフトでパソコン側からファイルを追加することになる。もうひとつ後で気づいたこと。iphone のアラーム音は 15分経過すると止まるのだが、しかし、アラーム自身は ON 状態になっていて、これは手動で止めないといつまでも続く。だから、翌日のアラームは鳴らない。アンドロイドでのアラームは OFF までの時間設定ができるので、そんなことはない。ほっといても毎日鳴る。