2004.09.21

       昨日は休日で、新幹線を使って長野まで行き、奥志賀高原ホテルまで行った。そこの小沢征爾がアドバイスしたという森の音楽堂というのがあり、長谷川陽子が演奏する、というので聴きに行った。たまたまVISAの企画で宿泊セットが安かったのである。最初は車で行こうと思っていたが、地図を調べるとなかなか苦労しそうなので列車にしたのである。長野からコンサートバスというのが出ていて、満員であった。年4〜5回のコンサートシリーズになっている。確かにバスがないとどうしようもない。山に入ったらあちこちにゲレンデがあって、もう着いたかと思うとまだ先、という具合でどんどん奥に入っていく。何しろシーズンオフであるから、帰りの足がちょっと心配になったが、定期バスが長野電鉄の駅まで出ていた。森の音楽堂というのはホテルの敷地でゲレンデに向かう途中のちょっとした盛り上がりのところにあり、ちょうどモンゴルのテントが木で出来ているという感じである。形は六角形で、天井は斜めに切ったようになっている。どう詰めても300人くらいしか入れない。周囲が全て木のせいか、丸いせいか、やや音が籠る感じがする。

       長谷川陽子はピンクの花柄のワンピースのような衣装で何だか天使みたいであった。曲目はストラビンスキーのイタリア組曲で始まり、なかなかの熱演であった。その次がまたカサドの無伴奏チェロ組曲で情熱的なソロ。休憩を挟んで一転し、シューベルトのアルぺジョーネソナタ。この時伴奏のピアニストが始めて目立った。寺嶋陸也という作曲もする若い人である。なかなか控えめではあるが切れ味の鋭い知的なピアノである。サンサーンスの白鳥は実に微妙な音使いでとても感心した。先日のトロールの森でのとは大分格が違う。最後にショパンの序奏と華麗なるポロネーズで、まあ派手な曲である。拍手喝さい。席がうまく通路にはみ出していたので全身をずっと見ることができた。この人は身体が小さいせいもあるが全身を使って弾くのでとても見ていて感動する。やはり力強く弓を弾くときは前もって大きく息を吸い込んで止める。また力を抜こうとするときは息を吐きながら弾いているように見える。一気に吐いてフレーズを切るときもある。これらの呼吸動作の時に歯を食いしばったりしていると自然にシーという感じの音がでてしまう。それがまたチェロの音と入り混じって独特の迫力となるのが面白いところもある。終わってから軽いパーティーでみんなの質問に答えてくれた。着替えると黒装束の元気な普通の女の子である。やはり最後に残る印象は正確さであろうか。プロだから当然ではあるが、その決まり方はやはりすごいと思う。修練である。

       ホテルは四方を山に囲まれた中の起伏のある平原にあって、確かにアルプスの少女ハイジの世界であった。庭には大輪のマツムシソウが透明な青で沢山咲いていた。

       帰りはバスで湯田中まで出て長野電鉄で小布施に行き、町を散策した。BUDというジャズカフェがあって面白そうだったがあいにく休みだった。LPレコードが沢山と古いステレオシステムがあった。北斎舘を見て枡一酒造の裏にある蔵部という寄り付き料理店でお昼を食べた。蔵を改造した店で調理人たちが半纏姿できりりとしている。料理はなかなかのものであった。隣の小布施堂で栗菓子を買って栗アイスを食べた。本当に栗の沢山入ったアイスクリームでおいしかった。帰りに穀平で味噌を買った。

       ということで今日は休暇を取ったのである。なかなか充実した休暇であったと思う。

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