1999.10.21

      また汽車の中で河合信和の”ネアンデルタール人と現代人”を読んだ。このところ10年で人類の起源について確定した事が多いと思った。霊長類と類人猿が分かれたのは500万年前。アフリカが東西に分断され東側が乾燥を始めて2足歩行を特徴とする霊長類が現れた。何故2足歩行かは諸説があり明らかでない。骨盤や脊椎でその区別は明瞭である。2足歩行のためには大腿骨の付け根が出来るだけ骨盤の中央に寄る事が必要であり、これは出産の困難を引き起こす。したがって子供は早産になる。脳の成長はより長く続くようになる。

類人猿からヒト属が分かれるのが250万年前である。これは石器の使用で特徴付けられる。気候的には氷河期に入り森林がサバンナに変わり、肉食獣が支配し始める。森林から追い出されたヒトは死肉を漁る事で生き延びたと思われる。石器は残された肉を切り取るのに必須であった。脳の拡大は肉食に伴なって起こり、出産はますます早くなり、幼児として育てられる期間が長くなる。このことが20万年前に言語を操るクロマニヨン人を発生させたと考えられる。われわれはその子孫であり、これらの類人猿は化石でしか存在しない。今までに17種である。そのうち8種がヒト属である。これら全ての進化はアフリカで起こった。何回かアフリカから中近東ヨーロッパ、アジアに展開しているが、クロマニヨン人の展開が最後で、そのまま白人、黄色人種となった。残ったのが黒人である。しかしこれらの区別はたかだか10万年前からであり、遺伝子的にもそれぞれの人種内の変異の方が人種間の変異より大きく、明確に人種の区別は言えない位である。現代の人類は驚くほど均一である。

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