2018.02.03
 夜会Vol.3『邯鄲』をDVDで見た。自ら作った歌を繋いで物語に仕立てた、という感じである。まだ夜会としての完成度は低いのだが、物語化への最初の試みである。「涙」、「トーキョー迷子」、「タクシー・ドライバー」という流れで、失恋した女がタクシーの中で泣きながら寝てしまう。ここからは夢である。「キツネ狩りの歌」、「僕は青い鳥」、「ひとり遊び」、「萩野原」、「キツネ狩りの歌」、の辺りまで、少女時代という感じ。「わかれうた」、「ひとり上手」、「さよならの鐘」、と続いて、女としての失恋経験である。ここで寸劇みたいにして、夢の中で目覚める。「LA-LA-LA」、「サーチライト」、「キツネ狩りの歌」、「サーチライト」、「B.G.M.」、ときて、「シュガー」、「黄色い犬」ではショーガールになっている。それから、「ふたつの炎」、「傾斜」、「二艘の船」、「殺してしまおう」&「雪」、と続いて、恋人の約束を待ち続けてそのまま老婆になってしまった自分を呪っている。しかし、最後に 「I love him」 という歌では、愛されることだけを求めてひたすら待つのでは何の危険性も無い代わりに生きていることの意味もない、ということに気づいて、見返りを求めずに愛するべきなのだ、と歌って終わる。随分と理屈っぽい歌詞になってしまった。待つ事の否定という意味では、Vol.5:『花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふる、ながめせし間に』と同じテーマである。

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