2005.10.15

コンセール・マロニエ21
       コンセール・マロニエ21は今年は、ピアノと木管楽器である。

今日9月11日(日)はフルートの予選があったので聴いてきた。16人である。3人選ばれた。観客は関係者以外では僕だけであった。バッハの無伴奏パルティータからサラバンドが必須で、もう一曲は選択である。シューベルトの萎める花による変奏曲、タファネルの魔弾の射手による幻想曲は知っていたが、ジョリヴェのリノスの歌は知らなかった。なかなか迫力のある曲である。サラバンドは人それぞれ解釈が異なる。良く消化している人はやはりバロックの原則を守りつつ表現を豊かにしている。こうして演奏の良し悪しが判断できるというのは、プラトン流のイデアがあるからであろうか?ハルモニアと名づけられた何やら音楽のあるべき姿というものがそこはかとなく現れかけては消えるような気がする。考えてみれば、こうしたコンクールが成立するのも何か理想的な演奏の姿が審査員の頭の中にあるからだろう。西洋音楽の伝統とはそういうものである。邦楽のように流派が沢山出てくることはない。僕は 泉 真由 さんと 小松崎 恭子 さん と  梶川 真歩 さんが良いと思ったのだが、泉さんと小松崎さんは外れた。特に 泉 さんのリノスの歌は2重人格的な曲想の交替を実にうまくバランスを取りながら演じていて、始めて聴く現代曲なのに聴き入ってしまったのだが、残念である。選択曲はテクニックの欠陥が現れやすい曲なのでいろいろと細かいところをチェックされたのであろう。

       ジョリベの「リノスの歌」はギリシャ神話から題材を得た曲。アポロに音楽で闘いを挑んだリノスの勇ましくも悲しい曲です。と説明にあった。パユの20世紀フランス曲集「巴里の誘惑」に入っているということなので、一度聴いてみたい。バイオリニスト吉原葉子のホームページに丁寧な説明があった。

     10月16日(日)

コンセール・マロニエの本選会を聴いた。ピアノが7名、フルートが3名、クラリネットが1名、ファゴットが2名。それぞれ大曲(木管楽器は全てモーツァルトの協奏曲を全楽章ピアノ伴奏で吹く。)なので時間もかかるし、聴く方も疲れる。やはりこういう演奏会で人を引き込むだけの演奏をするのは、指が動くだけではなかなか難しいのだなあ、と思った。そもそも緊張していて、殆どの人がどこかで小さなミスをしていたが、それよりも多分日頃の練習での表現の深さが殆ど出せていないのではないかと思う。

     管楽器部門1位はファゴットの常松真子。僕には田作幸介の方が魅力的だったが、最後の方でちょっとミスがあったのがよくなかったのであろう。2位には芸大4年生のフルート梶川真歩が入った。確かに指は廻るし、カデンツァも目新しかったが、あまり音が出ていなかったと思う。予選の時にはジーンズに赤い上着を羽織ってなかなか格好よかったが、本選ではモーツァルトの良さが感じられない演奏だった。もっともモイーズの有名なレコードと比較してしまうからかもしれない。3位にはクラリネットの齋藤郁穂が入った。この人のクラリネットは表現が豊かで僕は一番良かったと思う。もう一人が高校生のフルート上野博昭で音が素直に出ていてしっかりしていたが、最後にちょっとミスがあった。

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