2010.09.08
      泉原さんのコンサートに行ってきた。ここからは市バスの北8で行ける。La Muse というレストランで夕飯を食べた。妻は野菜カレー、僕はビーフストロガノフ。美味しかった。円い建物の中央が空いていて、周りをぐるぐると坂道が上り、途中からメインホールと小ホール(ムラタホール)に入るようになっている。ホールは丸い空間で天井は低い。壁の装飾が京都らしく格子である。

      泉原さんのスタイルは音楽を構造的に捉えていて、個々のフレーズの感情的意味合いを正確に表現する。それにあった音色も、その他、、まあ当然ではあるが、それがいかにもコンサートマスターらしく徹底している。まるでパントマイムを見ているような演奏である。強く惹きつけられた。曲は、リムスキー・コルサコフのオペラ金鶏による演奏会用幻想曲、ブラームスのヴァイオリンソナタ3番二短調作品108、ショーソンの詩曲作品25、R.シュトラウスのヴァイオリンソナタ変ホ長調作品18、アンコールはモンティのチャールダーシュと最後にグノーのアヴェ・マリア。一番感銘を受けたのはブラームスである。ブラームスは苦手だったのだが、音楽の展開を手に取るように表現してくれたので最後まで付いていけて、何やら未知の世界を見たような気になった。何という才能だろうか。

      帰りのバスは北8まで時間があったので、4番で洛北高校まで行ってから北大路を歩いた。夜の散歩15分である。

2011.02.05
      京都駅に出かけて伊勢丹で寺田順三展を見た。可愛くてお洒落なイラストと絵本。こういう人、やはり才能というしかない。地下のモーツァルトで急いでサンドウィッチを食べてから地下鉄で四条まで行って、京都芸術センター。昔の小学校の建物を利用している。それにしても立派な建物である。今日は講堂で京都市交響楽団メンバーによる室内楽である。ここでやるのは初めての試みである。ヴァイオリン3、ヴィオラ1、チェロ1、コントラバス1、オーボエ1、チェンバロ1(これはトラ)。

      最初の曲はチャイコフスキーのアンダンテ・カンタービレ(弦楽四重奏2番)。最初なのでやや硬かったがすぐに乗ってきた。

      2番目に全員でヴィヴァルディーのオーボエ協奏曲RV455。オーボエの高山さんは美しい大きな音を出すがやや繊細さに欠けるところがある。でもまあ元気のよいヴィヴァルディーでよかった。ヴィヴァルディーの音楽は調性というのはこんなものですよという感じ。

      その次のハイドリッヒ作曲のハッピーバースデイ変奏曲はパロディー音楽みたいで面白かった。バッハ風、モーツァルト風、ドヴォルザーク風、、、と続いて最後がジプシー風である。泉原さんを見ているだけでも楽しくなる。ところで、チェロの渡邉さんは音楽大学には行ってないようであるが、京響の古株である。なかなかしっかりした音楽的なチェロを弾く。

      次の曲はブリテンの意欲的な作品で、オーボエ四重奏のための幻想曲 Op.2 である。チェロの不規則なリズムがヴィオラ、ヴァイオリンと受け継がれ発展していく中、オーボエがゆったりとしたメロディーを対置させる。この対話とも何とも言いようの無い並走は、しかし要所要所でドキッとするぐらいの繊細な符合を見せてまた離れていく。現代に蘇ったポリフォニーである。聴き入ってしまった。CDがあればもう一度聴いてみたい。

      最後はヴィヴァルディーの四季から冬と春。聴きなれすぎた曲ではあるが、目の前で聴くと新鮮である。泉原さんが身を乗り出して弾くので、何だか魔法にかけられそうだった。

      アンコールはモンティのチャールダーシュで、これは泉原さんのお得意らしい。最初のG線の音はフラジュレットというのだろうか、かすれた様な低音で趣がある。その後の乗りの凄さは圧巻であった。何回も拍手で呼び出されたが、ここまでであった。もう一つアンコールでバッハの無伴奏でも弾けば最高だったのだろうが。

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