2023.11.05

    天気が良くて結構暑い。お昼過ぎに安芸区民文化センターホールに出かけて、『あきクラシックコンサート フルーティッシモ!』を聴いてきた。あきクラシックコンサートというのは若い人の発表の場として、安芸区が企画しているシリーズで、無料である。根石照久さんはもう若くなくなったので去年で引退しているのだが、今回は若いフルート3人(朴美瑛ぱくみよん、五十川佳子、藤山沙希)とピアノ(吉川絢子あやこ)というグループで、フルートの魅力を判りやすく伝える、というコンセプトの演奏会である。選曲はその趣旨に沿っていてなかなか良かった。

・ライヒャの『四重奏曲ニ長調op.12第一楽章』はフルート4人の美しい合奏で、最後まで印象に残った。単純なテーマがフーガ風に展開されたりして、和声が美しい。フルートの美音が楽しめた。

・A. プライアーの『口笛吹きと犬』は朴さんのピッコロとピアノで、馴染みのある楽しい曲。テクニックの正確さが際立った。

・J.S. バッハの『無伴奏チェロ組曲第1番よりプレリュードとメヌエット』は根石さんのバスフルート独奏。フルートでも息継ぎが大変なのに、バスフルートではなおさらである。結構苦しそうであったし、息継ぎ前の音が短くなるので、ちょっとどうかなあ、と思った。テンポを守ることに拘らずにゆったりと歌った方が良かったのではないだろうか?

・M. マウアーの『グリニッジの夜』は初めて聞く現代曲で、しばしばコンクールの課題曲として使われるらしい。根石さんがアルトフルートで吹いた。これは素晴らしかった。今回の演奏会では一番印象に残った。ネットで検索すると、根石さんのバスフルートでの演奏が見つかった。

・Ch.M. ヴィドールの『組曲』は朴さんのフルートとピアノ。3人の中ではやはり朴さんのフルートが一番安定していて、自在感がある。

・P.I. チャイコフスキーの『くるみ割り人形より』(高下二郎編曲)は朴さんのピッコロ、五十川さんのフルート、藤山さんのアルトフルート、根石さんのバスフルート。音域も広くなって、高音と低音の掛け合いも面白くて、なかなか楽しかった。

・G. カッチーニの『アヴェマリア』(西澤佳代編曲)は朴さんのフルートと藤山さんのアルトフルートとピアノで、これはまあ名曲である。ただ、アルトフルートがもう少し目立ってほしかった。

・八木澤教司の『パフェ・パラダイス!』は五十川、藤山、根石のフルート三重奏で、軽い楽しい小品という感じ。

・W.A. モーツァルトの『きらきら星変奏曲』(エンゲル編曲)は4人のフルートとピアノで、それぞれの音色がうまく絡まっていて面白かった。最後の方はひとつのフレーズを数音づつ4人でリレーのように吹いていて、流石と思った。

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