2025.10.15
岩井圭也原作テレビドラマ「永遠についての証明」前後編を録画で観た。なかなか良かった。3人の青年の絡み合う話は他にも結構あったなあと思うが、これは天才数学者と学生時代に共に研究した二人の数学者の話。
証明ということなら、僕も物理の勉強や研究でもやっているので、何となく気持ちは判るのだが、数学者の仕事における証明というのは、その論理の繋がり方が非常に複雑で、見通しをつけること自身が難しいものなんだろうなあ、と思った。根気強く次々と新たな発想で証明を試みる必要がある。数学的な脳の持ち主は論理的に明示できなくても、直観で正しさが実感できるようである。それが天才ということで、何とかの問題、というのは天才数学者が正しいと直感した定理を具体的に証明しなさい、ということである。
主人公の天才数学者、三ツ矢瞭司(杉野遥亮が熱演、実に良かった)は、論理をち密に追える二人の同級生、熊沢勇一と斎藤佐那の助けを借りて自分の直観で正しいと思った沢山の定理を証明し、それらをつなぎ合わせて「ムーンシャインの一般化」を証明して一気に名を挙げたのだが、手伝った同級生二人は全体を俯瞰したわけではなかったので、それほど評価されなかった。共同作業することに喜びを発見した三ツ矢瞭司は、次のチャレンジ、「コラッツ予想」を3人でやろうと持ち掛けるのだが、彼らは別の道を歩む。その後、三ツ矢の「ムーンシャインの一般化」の論文中に自明とした定理が自明でないことが発見されて、それをロシアの数学者が証明して、彼が完成者となった。直感だけでは駄目だよ、と言われて落ち込んだ。
気を取り直して「コラッツ予想」に取り組むのだが、一人で苦悩し、アルコールに手を出して、肝炎で亡くなった。彼の残したノートを米国で実績を挙げた熊沢勇一が託されて、その考えを辿って学会発表する。そんなことをやるよりは手の届く範囲で着実な仕事をこなして名を上げる方が良いと諭されたのだが、名誉よりも大事なものがあり、それは友情であり、数学の楽しさであると言う。その気持ちはよく判る。:::コラッツ予想、プルヴィス。埃。弦理論。庭と森と空がつながる。フラクタルのように、スケールが異なっていても同じ原理が成り立つ、という発想。