「知性はどこに生まれるか」の方はダーウィンの研究を引用しながらアフォーダンス理論について語ったものである。正直言って良く了解できない。確かにこう言う見方も出来るだろうが、知性の作用を個々の要素に分けて論じることも出来ると思われるし、実際そう言う風にしか語れないのではないか?身体や環境が重要な要素であり、脳とそれらの相互作用が知性であると言ったところで当たり前ではないかという気がする。

    ダーウィンというのは随分面白いアプローチの研究をしていると言うことを教えてもらった。ミミズの研究とか、植物の運動の話とか。しかしまあ、アフォーダンスの理論の本質は動物にとっての環境を動物の立場から見ることであろう。その時単なる従来の科学で捉える概念とまったく異なる概念で個々の環境が記述されることになる。問題はその捉え方が客観性を持つかどうかと言うことであるが、ギブソンはそれは種の内部では客観性を持つものだという。ヒトにとっての椅子と猫にとっての椅子は異なるアフォーダンスを持つのは当然であるが、ヒト同士、猫同士ではほぼ同じアフォーダンスとして認識されるという。まあそうかも知れない。何しろアフォーダンスというのは、身体の働き方が環境を認識するというものの様だから。もっとよい本を翻訳中ということなので、しばらく待とうと思う。

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