レドベリ(Ledberg)にあるルーン石碑の片面(提供「Runes&Vikings」管理者Warhornさん。心より感謝申し上げます)

ビルギット・ソウヤー博士によれば、息子と妻からその父であり夫である男を記念して立てられたと推測される。

242cm。三面にルーン碑文が彫られている。

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足の下には左を向いている四つ足の獣が描かれ、恐らく犬か狼と思われます。

一説に依れば、それは犬であって狼ではない、ということですが、もちろん真偽のほどはわかりません。

一方、その裏面には次のような図が描かれております。

この裏面はフェンリス狼に足を噛まれているような図となっているのです。

また、さらに下には足を失ったように見える戦士の姿が描かれております。

この絵は、明らかに最初の絵に描かれていた四つ足の獣に足を噛まれている場面を描いております。

これは、恐らく、ラグナロクに、フェンリス狼に噛まれて死んでしまうオージンを表していると思われます。

マン島のカークアンドレアス(アンドレアス教会)にある、明らかにフェンリス狼に足を噛まれているオージンを描いたと思われる10世紀の石碑とよく比較され、そっくりの構図は、やはりラグナロクにフェンリス狼に殺されるオージンを表していると思われます。

ラグナロクには、オージンはフェンリス狼と対峙し、狼に噛まれ、絶命すると、『巫女の予言』(55節)やスノッリの『エッダ』には描かれているからです。

つまり、アイスランドのスノッリが記した『エッダ』や、一説にはノルウェーで作られたと言われる『巫女の予言』で語られる、オージンとフェンリス狼とのラグナロクにおける戦いは、スウェーデンのこの地でも、イングランドとアイルランドの間に位置するマン島でもよく知られた神話のエピソードだったことが伺われるのです。

このように、生きた神話として話の伝播が行われたことの証拠と見ることもできましょう。

現代の私たちには推測するしかありませんが、北欧からブリテン諸島にかけて、同じ文化を共有する人々がいたとはっきりとした証拠の一例と言えます。

 

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レドベリ教会敷地内にて。

オェステルイョトランド ルーン石碑181番(Ög 181)

 

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