渋谷にて、アビエーター、猟人日記、蕎麦を手繰って、サーティーン/あの頃欲しかった愛のこと、大統領の理髪師。すっかり暖かくなり、日なたを歩く際は強い紫外線を感じるようになりました。
本日は、どこの主催なのか分かりませんが、「渋谷で映画を見よう」というサービスデイ。1本1000円で見れる他、スクラッチカード(枚数限定)で当たれば、前売り券が貰えるというサービスがあり、渋谷で纏めて見て来ました(ちなみに、カードは全部外れました(^ ^))。ほとんど眠気も来ず、ゆっくり渋谷を回れた1日でした。
その代わり、スパイダーフォレストは見逃しになりました……。
・
アビエーター、レオ+スコセッシの前作よりは良かったですが、それでも今一歩「傑作」というのには届かない印象でした……。
潔癖症という特徴は、ニコラスケイジの『マッチスティックメン』などでもあったけれど、本作では精神を病むための小道具として使われている感じがして、もう一つ入り込めませんでしたね。まあ分かり易いのは良いのですが、試写室に引き蘢ったり、指紋の付いたグラスから我慢して水を飲んだりという描写から、迫力や説得力が伝わって来ませんでした……。それから、委員会のシーンは、『ゴッドファーザーII』といういい先達がいる訳ですが、本作ではTVの撮り方のようで、先達に比べ数十分の一程度の迫力しかなかったと思います……。特に、この2点がひっかかりましたね。
しかしその他の部分は、結構面白かったですね。湯水のように金を使う経営者にプラスして、完全主義の映画作家、発明家、飛行機の設計者という主人公を、カメラや資金の調達だとか、自らテスト飛行をして速度記録にチャレンジしたりだとか、大学教授をお抱えにして査問を乗り切るだとか、雲を探すだとかのエピソードを交えながら、スケール大きく描いていましたね。後半、航空会社の経営のお話が中心になってきて、映画製作の話はどこかにいきましたが……。ブランシェットは良かったですね、助演女優賞、納得です。ジュードロウも、ちょい役ですが、気の利かない間抜けな役者という美味しい役で出てましたね。
もう少しやってると思ったら、結構早く終わってしまって、余り入らなかったのかと心配です……。
・
猟人日記、全体的にイギリス映画の雰囲気を満喫出来た1本で、まずまずでした。
リンボウ先生のエッセイで読んだことがありますが、これがイギリスの運河なのですね。船の外に出て初めて身体を交わすシーンなど、しっとりとした感じがして、良かったなあ……。あんな風に船の中に住んでいるのですね、淡々と身体を洗ったり風呂に入ったり、上陸(?)してパブで飲んだりする様子など、生活の描写も面白かった。女性の遺体を巡る謎を絡めて話が進んでいく訳ですが、何というか、「生きること=不幸なこと」、そしてその不幸を家族で分かち合うというというようなイギリス映画特有の価値観がシッカリと下敷きにあり、最後の救いのないオチまで、作品世界に浸っていました。ユアン、作家になる夢破れ、手近な女性にすぐ手を出し、最後は中途半端に諦めてしまうという、だらしない男の役柄でしたが、好演してましたね。
それにしても、イギリスの英語はいつ聞いても面白いですね、思わずマスターしたくなるナマリです(^ ^)
・
サーティーン/あの頃欲しかった愛のこと、所謂「デビュー」を果たした女の子が、ドラッグや置き引きなどの犯罪に染まり、アメリカの一般家庭が崩壊していく様子を描いて、秀逸でした。
イーヴィの役をやった女優さんの、13歳の時の実体験に基づいているそうですね。最近見た映画の中では『ミーンガールズ』が良い対象で、ファッションリーダー的グループが、その際どいファッションなどで憧れの的になっているという背景は同じですが、あちらでは一寸戯画化して描かれていた家庭の様子などが、リアルな現実感を伴って描写されていました。お母さん役をやった女優さんは、本作でオスカー候補になったそうですね、良かったです。「リスカ」は、以前23で夜回り先生の話をやっていた時に見たことがありますが、癖になる気持ちが分かったりする……。
子供の友達とはいえ、家族の中に他人が入って来て、ずーっと居候を続けるのは、日本では考えられないことですね。いずれにせよ、ブッシュ政権支持者は、好まない映画に違いない……。
・
大統領の理髪師、架空のお話ではありますが、「古き良き時代」の韓国の姿なのでしょうね、優しい気持ちにさせてくれる映画で、秀作でした。
時の政権を訳も分からず持ち上げて、不正選挙をやって票を埋めに行ったリ、ツイストを踊ってベトナム戦争に従軍したり、字が読めず四捨五入を原則にしたり、といった、何だかニヤニヤしてしまう内容が続いていき、最後は目を削って足が立つ、ファンタスティックなオチで締めくくっていました。マルクス病の件りなどは韓国というより中国的世界観に近いように思いますし、訪米のCGはちと『フォレストガンプ』みたいでしたけど、まあ良いでしょう。妊婦をリアカーに乗せてぐるぐる回るところなど、韓国映画にお約束の描写でした。
私の大好きな主演男優さん、気の弱い、そして人の良いアボジを良く演じていました。『オアシス』や『ペパーミントキャンディ』の女優さんも、脱がない役で普通のお母さんを演じて、良かったですね。
『フェーンチャン』や『バーバー』など、床屋さんは寡黙なイメージがあるのかしら、でも良く喋る人もいますよね! 私も近所の床屋に行く際、よく映画の話をしたりしますね、映画の好きなお兄さんで(^ ^)
|