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2005年4月4日

 恵比須にてビューティフルデイズ、神保町に回り父と暮せば、新宿に戻って運命を分けたザイル、蕎麦を手繰って、エターナルサンシャイン。今度は日曜が休みになってしまい、満員の映画館に行くのは避けたいので、できれば平日に沢山見ようと、最近暖かくなってたのに本日急に冷え込んだ東京を、グルリと廻って頑張って見てきました。眠気もほとんど来ず、ユックリ見れた一日でした。

 ビューティフルデイズ、いやあ良かったですね、久々の胸キュン映画でした! 最初の虐待が分かるシーンから、大抵こういう展開(彼と友達とどちらか選ぶという)になるのは分かっていたけれど、ヤキモキさせておいて、最後はハッピーエンド。70年代の恋云々という台詞がありましたが、こういう恋のお話は良いものですよ、昔見た小さな恋のお話映画を思い出しました。
 チンタも可愛いらしかったけど、切れ長の目の彼も良かったですね。インドネシアだそうですが、御当地の雰囲気も良かった、リノリウム張りの床、アフロヘアーにサングラスの彼、清楚な制服、瓶のコーラなどなど、作品の内容と相まって、全体的になんだか懐かしくなってしまいました。冒頭の、壁にイラストを貼るシーンもそうですが、バスケットのシーンでキャラクターグッズの団扇で扇いでいたりして、日本のアニメの影響もかなりありそうですね。ピンクの靴とか、お化粧やファッションショーのシーンはお約束のところ。でも、家の中の様子は皆綺麗で、ギターを弾いたり、自家用車で通学したりしていたけれど、御当地の所謂上流階級の人達なのかしら? パソコンはありましたが、さすがに携帯やデジカメはなさそうですね(^ ^) 最後は「マイガ、マイガ」と言ってたのかしら、英語はどの程度入っているのかしら? インド映画など見ていると、日常会話の中に突然英語が出てきてビックリすることがありますが……。「ンガ」という言葉は覚えましたね(^ ^) 「取り残され型」のオチのラストも良かった(^ ^)
 私も子供の頃は良く詩を書いたものです。最近でも、折角映画館通いをしているのだから、映画俳句を作ったり映画館をスケッチしたりしようと思っているのですが、中々重い腰が動かない(^ ^)

 父と暮せば、私は舞台を見ていないので、映画として素直に楽しめました、素晴らしかったです。舞台を見ている人は、多分舞台と比べてどうとかいう話になるのでしょうが、却って見てなくて良かったかも知れません。私も『笑の大学』の時は、舞台の方が何倍も良いものだから、映画には苦言ばかり呈してしまいましたから……。
 原田もりえちゃんも中々で、『トニー滝谷』に続き、良いりえちゃんが2本続けて見れましたね。広島弁も良かったし、最後の笑顔には、もう体中がジンジンきてしまいました。「生きとって申し訳のう」、これはピカだけではなく、10年戦争を生き抜いた人が共通して持つ、素直な感想かも知れません。私の世代は、戦争を直接に体験しておらず、親兄弟や親しい人を戦争で亡くすことなどもないものだから、実感として戦争を本当に理解することは出来ないのでしょうが、その理解を助けるのは、こういう芸術作品だけなのです。雷が恐くなったりとか、剃刀を置かないとか……。最後は、見上げるとドームだったという不思議な雰囲気、秀逸でした。しかし、最後の浅野君が三輪バイクに揺られる被爆地の様子のCG、ああいうのは入れなくて良いのですよ。
 私がガキの頃は、まだ授業で戦争体験を語ってくれる先生がいたものです。夜の空襲では田圃に逃げたそうですね、焼夷弾がヒューッと落ちてくるのが分かる、ひょいと避けると、泥の中にボトンと落ちて不発になるのだそうです。戦闘機で並んで飛んで、人さし指を曲げ伸ばししてモールス信号を送り、会話をするとか、そんなことを話してくれた先生がいたなあと、思い出に浸ってしまいました。

 運命を分けたザイル、いや、凄い映像でしたねー。氷壁、氷河、新雪雪崩、そしてそれらに孤独に挑む人間、その雪焼け。お互いの様子が分からず、遭難してからは20分置きの目標を立てて少しずつ進む、そのもどかしさ。出てくる時、何だか寒くて、自分が脱水症状になったような気がしてしまいました(^ ^)
 でも、登山が好きな人の気持ちも分かるなあ、面白いのでしょうね、体験したいのでしょうね。しかし、遭難後何日か滞在したのなら、少し探しに行ってくれてたら……、と思いましたが、皆さんもそう思ったと思いますが、そうもいかないのでしょうね……。

 エターナルサンシャイン、いや、面白い映画でございましたね。頭の中の記憶をいじるという、カウフマンらしい脚本で、『マルコビッチの穴』の系列、いや続編とも思える内容でした。
 記憶が消されていく様子、そして消されないように逃げ回る様子がまず面白い。冒頭は普通のラブストーリーのようで、あれ、こんなのでいいの?、と思ってましたが、記憶を消されながら二人の恋愛の様子が描かれていくというユニークな描写が続き、ウィンスレットが子供の頃の記憶に逃げ込むことを提案した後は、もうハラハラドキドキの世界。そして、ダンストなど記憶を消す側の様子が平行して描かれていきます。最後は、冒頭の描写に戻るという、ドグラマグラなどを連想させるような作りで、まあこの世界に浸って楽しみました。
 豪華出演陣も凄かった、特にジムキャリーは良かったですね。いつものようなコミカルな味付けではないけれど、やはりどこかに可笑しみがあるという、作品の雰囲気にあってました。自由闊達な女性を演じたウィンスレット、『ネバーランド』に続き好演。気の強そうな雰囲気のあるダンストも、最後はピッタリの役柄で良かったです。ただ、アンダーウェアを盗んだりと記憶をなくす依頼者の弱味に付け込むいい加減な若者を演じたイライジャウッド、ちとミスキャストじゃなかったかしら?