本日、恵比須にてビフォアサンセット、銀座に回って故郷の香り、渋谷に戻ってカツ丼を食い、ソンフレール/兄との約束。翌日仕事の都合で早出なので、早く切り上げたのですが、各開始時間が心地よく開いていて、雨の東京をユックリ3本回れた一日でした。
アナコンダ2や渋谷物語は見逃しになりました、こんなにこーんなに映画を見ているのに、見逃してしまうのは何故かしら?
・
ビフォアサンセット、素晴らしかった! パリの街並を背景にした男女二人の会話劇が、リアルな時間軸で進行していくという展開を、最近の仕事の疲れが残っているので眠気が来ないようにと、一生懸命英語を聞きながら見てました。私は前作の『恋人たちの距離』を見ていないのですが、十分楽しめましたね。
パリの風景に触発されるように自然な形で、時に下ネタ系のジョークを含めながら、会話が進んで行きます。お互いが自分の現在の境遇やこれまでの生活を相手に語っていくのですが、織り交ぜられたジョークや嘘が、最初の内は自分を飾るための願望的なものだったのが、次第に本質的な自分、本心を曝け出すための小道具として使われるようになっていく辺り、秀逸でした。踊る彼女がフェードアウトしていくラストは感動的でした、最近見た映画のラストの中ではピカイチで、ジンとしてしまいましたね。
カフェを誉めたり、観光船も悪くないといった会話も面白かった。少しはにかんだような表情のイーサン、そして男運の悪いNGO活動家の女優さんは私は今迄余り見ていないのですが、二人とも良かったですね。
・
故郷の香り、中国の山間部の、一般庶民の生活の描写がまず素晴らしい。美しい風景も印象的でしたが、人々が生きるための活動が、皆愛おしく感じられました。わらの上で話をしていて、自然と手でナワをなってたりとか……。特に料理や食事の様子、否、食材が全て美しかったと思います、あちらでは生活全てに食材が浸透しいている感じがしますね。でも、TVはないのか、ほとんどの家にTVがあるのに、という台詞がありましたが、中国でもこんな生活は、少し「昔の風景」になりつつあるのかな、などとも感じました。靴などを投げ捨てる、あれは河なのかな、水辺の描写も印象的でした。音楽も良かったですね。
中国の食事シーンは、『活きる』などにもありましたが、日本とちょっと違っていて面白いですね。本作でも、おかずを人の皿に乗せていく描写がありましたが、所謂取り皿という概念がないのかしら、おかずの皿を全員で共有するような感じなのですね。それから、『思い出の夏』で、丁度こんな中国の田舎にイーモウの映画が来るシーンがありましたが、劇団なども定期的に回ってきて、庶民の娯楽になっているんでしょうね。
主演は『藍色夏恋』の二人だそうですね、彼等もそうですが香川も良かった、こういう映画で外国の人間がやると、どうしても嘘臭くなるきらいがありますが、自然と作品の雰囲気に溶け込んでいましたね。『鬼が来た』で中国映画には馴染みもあるのでしょうし、笑顔で酒を煽る演技など面白く見ました、適役でした。でも、予告編で、香川が身ぶりで二人を連れていけというシーンを入れていたのは、少し興醒めだったかな、知らないで見ていたら、最後にジーンと来ていたと思いますが……。
・
ソンフレール/兄との約束、誰にでもいつかは訪れる「死」を、静かに描いていて、見応えがありました。冒頭のおじいさんのお話が最後のオチになり、海に入っていったのですね……。最後の弟一人のシーン、ジンときましたね。
海辺で静かに語り合うシーンや、病院のシーン、同性愛のシーンなど、印象に残りました。全身の毛を剃る様子をずーっと撮っている描写など特に、ドキュメンタリータッチになっていたでしょうか。主演男優さんはかなり減量して役作りしたそうですが、『インティマシー』を撮った監督のもと、肉体と、そこに宿る命というものが、非常に生々しく迫ってきましたね。他の命を愛おしむことが出来るようになる、そういう作品だと思います。
実は、直前に食事をした際に冷たい水をがぶ飲みしたからか、お腹が痛くなって困りました……。
|