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2005年3月11日

 新宿にて、アイアムデビッド、きみに読む物語、復讐者に憐れみを。本日も、やっぱり飯抜きでした……。それから、そろそろ私にも花粉の症状が出てきました、今年はストナリニで乗り切るぞ!

 アイアムデビッド、世界的ベストセラーの映画化とのことですが、まずびっくりしたのが強制収容所のお話でした。私は当初、二次大戦時のユダヤ人収容所だと思っていて、観光(新婚?)旅行の米国人がイタリアにいるのに、収容所から逃げてきたことを言えなかったりして、呑気にもおかしいなあと思っていたのですが、これは共産主義国の政治犯の収容所だったのですね。予告編で、終戦後にも沢山収容所が存在したという件りがあったので、終戦直後の過渡期のお話だと思い込んだのが、勘違いの原因でした……。
 内容は、その収容所を脱走した少年が、母親のもとに戻るまでの一人旅を描いたロードムービー。少年の冒険物語としての要素が強くて、冒頭のスリリングな展開から、パン屋で危機一髪のところを逃れたり、火事から女の子を助けて暫く屋敷に滞在したり、訳の分からないままワインを届けたり、優しいお婆さんに助けられたり、というエピソードが続いて行きます。色々な仕掛けがあって、例えば、イメージに出てくる女性がお母さんで、身を守ってくれたヨハネスは、実は(恐らく)お父さんだったのですね。あれは、石鹸を発見された時に射殺されている訳ですから、冒頭、逃亡する時にいた彼は既に亡霊だった訳です。柵の外に鞄を用意してデビッドを逃がしたのが守衛さんだったというのも、意外なお話でした。船員と再会するのはちょっと御愛嬌かな、ロードムービーらしい件りではありますが……。ハッピーエンドまで惹き付けられて見てました。原作も面白そうですね、少年冒険活劇は好きなので、読んでみたくなりました。
 ちょっと気になったのですが、船員のところで有耶無耶にして英語を使うのは、ちょっとズルですね、ちゃんと各国語を使い分けた方が良かったと思いますが(少年向けの映画でもありますから、分かり易くしたのでしょうが)……。収容所の記憶にわななく様子も後に残りました。
 ガラガラのシネマスクエアとうきゅう、いい映画なのに、ちょっと残念でしたね……。

 きみ読む、出会い、愛情を深め、身分が違ったり戦争があったりして一時引き裂かれそうになりますが、格好のお相手が決まっていた彼女が純愛を貫く彼のもとに結局は戻って行くという、典型的とも言える恋愛映画のストーリー展開を、老いてアルツハイマーにかかった彼女を介護する彼が、物語として読み聞かせるという作りで、感動を盛り上げてくれました。しかし最後は一緒に逝ってしまう、ちょっと違うけど『黄昏』を思い起こしました、これはハッピーエンドなのでしょうね……。
 一番印象に残ったのは、お母さんが昔の彼を見に連れて行くところ。泣き出しちゃって、あれは暗に婚約を破棄して彼の元に戻りなさい、と勧めているとも取れますね。初体験のシーン、新しい家に彼女が戻ってくるところ、数分間だけ記憶が戻るところ、なども印象に残りました。間に戦争が入っているのですが、他の映画では考えられないくらいさらっと流していましたね、最近リバイバル上映されている『ひまわり』を、逆に思い出してしまいました。
 二次大戦当時のアメリカの雰囲気が上手く表現されていて、その部分は良かったと思います。女の子はみんな、ウィザースプーンみたいでしたね(^ ^) スピルバーグの『1941』でも観覧車が大きく扱われていましたが、当時の流行りモノだったのでしょうか。しかし、今はあんな観覧車、安全基準云々で絶対無理でしょうね、ベルトすらなかったんじゃないかしら?
 主演男優は、『完全犯罪クラブ』や『16歳の合衆国』などの彼なのですね、今迄は小さい作品で見ることが多かったですが、今後はメジャーでも活躍して欲しいものです。監督は、ローランズの息子さんだそうですね。ジェームズガーナーは久し振りかしら?
 最後、リピーターを誘うChemistryのフィルムが少し入ってたのは、私は余計だと思うがなあ(^ ^)

 復讐者に憐れみを、実は『反則王』の男優さんと、『吠える犬』の女優さんという、奇しくも私の好きな韓国人男優女優ベストワンの共演でした(相変わらずのニッチ志向です(^ ^))。彼女は相変わらず独特の雰囲気で、本作では手話やセックスシーンまで披露して、頑張ってくれましたね。
 最初の内は、誘拐した子と遊んでいる描写などがあって、こんな悲惨なストーリー展開になるとは思いませんでしたが……。お姉さんが自殺してからは、これでもかこれでもかと続く流れ。『オールドボーイ』も凄かったですが、こちらは淡々と復讐劇を進めて行く筋運びで、驚嘆しました。耳の聞こえない人が主人公で、タケシの『あの夏……』のように、BGMを極力使わずに台詞を抑え、環境音を大きくして、かえって引き付けられて見てしまいました。アップを多用し、場面の切り替えや構成、編集を工夫して、内容とマッチさせた演出で、成功していました。
 中でも電気を使うのは面白かったかな、ちゃんと罠を仕組んで待ち構えている辺り、良かったですね。冒頭の工場や、場末(?)のアパートの描写、臓器売買のおばさんなども面白かった。それから、『子猫をお願い』にもありましたが、あれは恐らく韓国の低所得者層の集落なのですね。川辺のシーンは、お姉さんを埋葬し女の子が溺れるところも、途中訪れるところも、最後のところも印象に残りました。最後は、解雇された他の仲間が来たのかと一瞬思ったけど、違ったのですね。
 細かいことですが、切れた足下にメダカが泳いでいたりして、あ、韓国にはまだメダカがいるんだなあと思いました、結構こういう細かい描写は後に残ったりするものです。