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2005年2月24日

 本日銀座にて、五線譜のラブレター/DE-LOVELY、サスペクトゼロ、ライフイズコメディ!/ピーターセラーズの愛し方。新宿だと、10分も間が空くと蕎麦を手繰ったり牛丼をかっ込んだり出来るのですが、銀座だと中々そうもいきませぬ。15分程度ずつ空いたのですが、本日も飯抜きになりました……。

 五線譜、歌も良かったですが、ファンタスティックなオープニングから続く、映画としての出来が素晴らしい! 最近の伝記映画の中では、例えば『ネバーランド』などと比較しても、少し上を行っていたように思います(見終わった直後だからかも知れませんが)。
 音楽家なので、音楽を効果的に使えているのが大きいですね。最初のクラウンの歌の辺りは、また普通のミュージカル仕立ての映画なのかなと思いましたが、それ以降、重要な事件ごとに、代表作をバックに流しながらドラマチックなシーンを展開していくという、映画的な工夫が凝らされていて、他では中々お目にかかれない味わいがあったと思います。結婚後、ブロードウェイで成功し、妻とは一旦離別、落馬という大事件があって寄りを戻しますが、その裏には同性愛者の苦悩がずっと流れているという、伝記的な各要素と、映画的工夫が上手くマッチしており、成功していました。しかし、『ナイトアンドデイ』に、あんな背景があったとは……、あのシーンは迫力がありましたね。細かい会話の端々、創作風景や、パーティで即興的に歌を歌うシーンなどに、芸術家らしい雰囲気が溢れていたのも嬉しかった。
 主演の二人は共に良かったですね、特にジャドは秀逸でした、今迄で最高の演技でしたね。男優の方は、私は『卒業の朝』が印象深かった人です。この二人だからこそ、セクシャルなシーンが全くないのに、深い愛情を表現し得たように思いますね。

 サスペクトゼロ、連続猟奇殺人モノと超能力モノを合わせたような内容で、主演の三人のイメージとマッチした、独特の雰囲気を醸し出していました。しかし、宣伝では『セブン』を引き合いに出していたようだけど、私はそれ程でもなかった印象です。前の五線譜が殊の外良かったので、気楽に見たら、冒頭ちと眠気が来ちまいました、すいません……。
 特に、厳しい表情で前を見据えながらシャカシャカとデッサンを描き、無気味な雰囲気を醸し出し、しかし最後は涙ながらに死を願うキングスレーは、本作の役柄にピッタリでありました。この人、最近では『砂と霧の家』や『サンダーバード』で顔を見ましたね。禿頭から恐そうな見かけですが、優しいおじいさん役などやると良さそうな気もします、本作の役などは勿体無い気が、私などはしてしまいますが……。『マトリックス』の女優さんと主演男優も、イメージピッタリでありました。
 ミッシングの牛乳パックは、他の映画でも見たことがあるけれど、アメリカではそういう事件が多いということなのでしょうね、それが本作のモチーフに繋がったのでしょう。しかしあんな風に、奥さんのいる、普通の家庭を持っている人が、屋根裏部屋で、あんなに悲惨な事件を起こすのでしょうか、それが恐かったですね……。

 ライフイズコメディ、まずはピーセラの役者さんがソックリでした、身体の形の作り方とか、表情、演技の仕方など、在りし日の彼を思い出しました。この辺りの最近の技術(?)は、かなり向上しいていると思いますね、未見ですがレイなども良いと言う話を聞きます。
 しかし、描かれたエピソードのどの程度が本当なのか分かりませんが、全体的にピーセラの人間性が短絡的に書かれているような気がして、それが少し気になりました。最初の辺り、ソフィアローレンに参ってしまったり、子供の玩具を壊して子馬で償ったりする辺りなど、気難しい芸術家で、お金が出来てしまって、自分を持て余しているという描写とも取れますが、笑いが背景にあるからか、単に少し足りないというか、「天然」のような人間とも取れてしまいます。お母さんやキューブリックになって心情を吐露するのは、こう考えて欲しいという自分勝手な内容な訳で、そんな描写がかえってそう思わせるのかも知れません(でも棺桶に入るシーンなどは面白かったですね)。
 最初の奥さんとのなれそめが描かれていないのも少し気になりましたが、意図的にカットしたのでしょうか。色んな相談をする描写がありましたが、あの通りだとするとかなり母性愛の強い女性なのでしょう、エミリーワトソンがぴったりでした。シャーリーズセロンも生き生きしてました、彼女自身も楽しんでやれたような役柄でした(^ ^)
 『ピンクパンサー』の監督との確執や、『チャンス』の資金繰りの話などは、面白かったですね。『ピンクパンサー』は、私は『3』でピーセラがノソノソする様子が面白くて、シリーズ中で一番良かったように覚えてますが……。『007カジノロワイヤル』の件がありました、水野晴郎さんが大好きな映画だと言っていましたが、実は私も大好きです(^ ^) それから、私は何故か『チャンス』は見てないのですよ、今度見てみます……。
 若い人はニブンなんて知らないでしょうけど、私は大好きな役者ですね、演じた役者さんも雰囲気が似ていて良かったな。でも、ローレンは似てなかったですよね、胸以外は……(^ ^) これって、ローレンに敬意を表して、わざと似てない人を使ったのかしら?
 本日の中では、一番デキが良かった印象なのは五線譜でしたが、個人的に色々思い入れがあったのはピーセラの方で、帰りながらニブンの思い出などに浸ってました。こんなことも、時々あります(^ ^)