新宿にてまたの日の知華、急いで渋谷に回ってベルリンフィルと子供たち、蕎麦を手繰って、約三十の嘘、恍惚。視聴率47パーセントというサッカー北朝鮮戦をフッて、いちにち映画を見ていた私でありました(^ ^)
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またの日の知華、鳴り物入り(?)のカルテットキャストには、違和感を感じることこそなかったけど(昔の生徒が、違う役者なのに先生と気付くところを除いては)、ちょっと偏りがあったかな? 後の方の女優さん程良くて、逆に言えば若い方は今一つだったかと……。最後は、溝口の西鶴一代女などを連想させる筋運びで、桃井辺りは中々の出来でした。
目立たないけど、被写体の捕らえ方や構図、カメラ、それに照明などは素晴らしかった、ドキュメンタリー出身の監督だけあって、リアルな、あるいは自然な描写方法を、身に染みて知っているのかな、と感じましたね。慣れない新人監督が一寸ヒネッたり、奇をてらった表現方法を取ったりするのと好対照で、この点は好感を持ちました。ただし、学生闘争や浅間山荘をこんな風に背景に使うのは、一寸古びた手法かしら……。
TV『温泉に行こう』の彼が雰囲気ピッタリの役で出ていたのは、ちょいと嬉しかった(^ ^) エピローグの純君は、いきなり終わってしまった印象でしたね、もう少し盛り上げて欲しかったかな……。
ところで雪印のマーク、既に懐かしかったですね(^ ^)
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ベルリンフィルと子供たち、よくある舞台作りのメイキングですが、あのベルリンフィルが、しかも何と素人の子供達と、というところが見所の1本でした。これまでの同種の作品、例えばイーモウがオペラをやったのなどと比べると、舞台作りというよりも、子供達の成長過程の描写に重きが置かれていたでしょうか。また、経営のお話が少しありましたが、この不況、そしてドイツという特殊事情の中、大衆化しようと随分頑張っている印象も受けますね。クラシックをポピュラーにやるアンドレ・リュウなども連想しましたが、影響があるのでしょうか……。
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約三十の嘘、手品という小道具を使って、もっと手の込んだ、クリスティーのオリエント急行を思わせるような、スケールの大きなどんでん返しが見られるのかなと思っていたら、鞄を摺り替えるという意外に小さなトリックで、ちょっと期待外れだったかな……。人物を隠すための絶好の小道具である着ぐるみも、折角ですからもっとミステリアスに使っても良かったのに、と思ってしまいましたが。
二人がオッパイちゃんに迫るところで、残りの二人のどちらかだなと分かり、椎名がのど飴を探すところで、あ、椎名かなと思い、妻夫木と中谷がどう絡んで来るか注目する、という流れだったかと思います。しかし、椎名がオッパイちゃんに事前に指示していたということは、妻夫木がヘタッてしまうことが予め分かっていたということで、「カラクリ」的に面白かったのはその程度かな。のど飴も、何かのトリックに使われるのかと思っていましたが……。でもまあ最後は、こういう映画だったんですね、と納得しました。
ところで、富山は私の現在の田舎ですが、JR西日本なんですね、それにしても田舎の風景でした(^ ^) あの豪華な寝台特急はいいですね、あんなのがあるんですね。のんびり旅行できるといいだろうなあ!
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恍惚、現在私の好きな女優ランキングでケイトブランシェットなどと共に1、2を争うエマニュアルベアールと、マリアカラスのファニーアルダンの丁々発止、両方とも相変わらず凄い演技で、しかし最後には、実はドパルデューも良かったんだなあ、と分かる仕組み(?)になっていました。
意外な落ちではありましたが、途中から画面の切り替わりがフェードアウトするようになり、その頃には「あ、またルシネマの嘘の映画だったのかな」などと(^ ^)、薄々と、そして段々とハッキリと分かって来ましたね。見終わった後で考えると、ベアールが家庭の中に入り込み過ぎていたんじゃないかと思いますが、嘘に嘘を重ねていた訳ですから、しかし彼女の妖しい魅力に免じて許しましょう、劇中でも、アルダンは彼女の魅力に惹かれていた訳ですから……。
しかし、本作もそうですが、最近のフランス映画は出てくる面々が段々固定されてきた印象がありますね、『8人の女たち』以降、女優陣は特に……。あまり見ない俳優さんの映画も、見てみたいものです。
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