酸素をエネルギー源として、生体に取り入れることにより種々の活性酸素が発生します。通常は、この発生した活性酸素が、外部からの細菌やウイルス
の殺菌に活躍しているわけですが、過剰に出来てしまった活性酸素をそのまま
にしておくと、細胞に傷害を与えることになります。
そこで、体の中では、余分に発生した活性酸素から細胞を守るため、種々の
防御機能が働いています。この活性酸素からの防御機能をスカベンジャーと
言います。
スカベンジャーは、Scavenger(廃品回収業者、掃除夫、掃除屋をする)で、
文字どおり、体の中で生じた産業廃棄物でもある活性酸素を、無害なものに
変える働きをします。
スカベンジャーの働きは、3段階に分かれて、活性酸素・フリーラジカルからの
傷害に対し対応しています。
第一段階の防御
- 予防的抗酸化物によりフリーラジカルの生成を抑制
カタラーゼの働きにより過酸化水素を分解して水に変える。2H2O2 → O2 + 2H2Oグルタチオンペルオキシダーゼは過酸化水素や過酸化脂質を水やアルコールに還元する。2GSH + H2O2 → 2H2O + GS-SG2GSH + LOOH → LOH + H2O + GS-SGSODはスーパーオキシドを水と過酸化水素に変える。カロテノイドは一重項酸素の消去を行う。第二の段階の防御
- フリーラジカル捕捉型抗酸化物により生成したフリーラジカルを消去。
各種酵素の働きにより、フリーラジカルの生成を抑えても、生成されてしまったり、外部からフリーラジカルが入り込んでしまった場合、フリーラジカルが細胞を攻撃する前に捕捉し、連鎖反応を止める働きをする。水溶性の抗酸化物としては、ビタミンC、尿酸、アルブミン、ビリルビンがあり、水層のフリーラジカルを捕捉する。脂質層内のラジカルは捕捉することができない。脂溶性のビタミンEは脂質層のラジカルの捕捉をする。ラジカルを捕捉することによりビタミンEは消費されてしまうが、水層のビタミンCにより再還元され、元のビタミンEに再生され、さらにフリーラジカルの捕捉を行う。第三の段階の防御
フリーラジカルによって傷ついたDNA、脂質、蛋白等を修理、再生する。これには生体膜の過酸化脂質を除去する酵素として、ホスフォリパーゼA2、蛋白の傷害に働くプロテアーゼ、核酸に働くエンドヌクレアーゼがある。