活性酸素とフリーラジカル


私たちが普段呼吸している空気の中には、酸素が約20%ふくまれています。

酸素はきわめて効率のよいエネルギー源なので、現在地球上の生物のほとんど

は酸素を体の中に取り入れることにより、エネルギーに変えて生命活動を行って

います。このエネルギー源として利用した酸素から、産業廃棄物として排出され

るのが、活性酸素にあたります。

現代の社会で、なにか生産活動を行えば、必ず産業廃棄物がでます。

その処理能力が追いつかなくなると、公害が生じてきます。

体の中でも同じ事が言えます。通常、活性酸素はその殺菌能力で、外部からの

細菌やウイルスを攻撃し、我々の体を守ってくれる働きをしていますが、なんからの

原因により、活性酸素が大量にできてしまうと、正常な細胞まで破壊され、それに

よりさまざまな病気の発生の原因となります。

一口に活性酸素といっても、色々な種類があります。

定義

活性酸素の定義としては、「われわれが呼吸する大気中の酸素よりも活性化された、

酸素、およびその関連分子の総称」であるといわれます。

そのなかで、不対電子を1つまたはそれ以上有する、分子、原子をラジカル(通常、

フリーラジカルとラジカルは同じ)と呼びます。

一つの細胞は分子から構成され、さらにその分子は原子核と電子で出来ています。

通常、電子は2つが対をなして安定した状態にありますが、時としては対を成さず

1つだけが離れて存在する場合があり、そのような状態のときには、非常に不安定

で、反応性に富み、生体分子を攻撃することになります。

不対電子を持つもの(フリーラジカル)

  •  HO・   ヒドロキシルラジカル
  •  HO・  ヒドロペルオキシルラジカル
  •  LO・  ペルオキシルラジカル
  •  LO・   アルコキシルラジカル
  •  RS・   チイルラジカル
  •  O・ スーパーオキシド
(・)がついているのは電子が対を成さない、不対電子が生じたときの記号


不対電子を持たない非ラジカルなもの

  •  1    一重項酸素
  •  H  過酸化水素
  •  LOOH  脂質ビドロペルオキシド
  •  HOCI   次亜塩素酸
  •  O    オゾン

不対電子を持つラジカルなものと、非ラジカルなものの影響の違い

同じ活性酸素と言われるものであっても、その種類によって活性の大きさが

異なります。また標的分子が変わればその活性の度合いも変わってきます。

さらに、標的分子が同じ場合でも、ラジカルなもとと非ラジカルなものでは影響の

大きさがかなり違ってきます。

例えば、LO・ (アルコキシルラジカル)と (一重項酸素)は不飽和化合物に

対して同じような活性を持っていますが、一重項酸素の場合、1分子の脂質を酸化

してヒドロペルオキシドを生成して反応は終わります。この場合は、あくまで1対1の

反応で終わります。ところがアルコキシルラジカルの場合、脂質と反応すると

連鎖反応がはじまり、何分子もの脂質を酸化して細胞に大きな傷害を作ります。

このように、ラジカルなものの方が、細胞に対する影響が大きいと言えます。