季刊・東ティモール No. 2, January 2001

<連帯運動>

APCET IV、東ティモールで開催


報告・青山有香(東京東チモール協会)


夢に見た東ティモールでの開催

 昨年11月29-30日、東ティモールのバウカウで、第4回アジア太平洋東ティモール会議(APCET4)が開催された。
 94年以降隔年で過去3回、フィリピン、マレーシア、タイで行われた同会議は、毎回開催国のインドネシア寄りの非民主的な政府から妨害を受け、逮捕され強制送還される参加者もいた。
 そういった歴史的背景をもつ同会議が、独立が決定し、インドネシア軍(TNI) の脅威から開放された東ティモールで実現するとは、前回会議の時点で誰が想像出来ただろう?「過去1、2年がいかに東ティモールにとって大きなものだったか、改めて思い知らされる」と、同会議のオープニングで、CNRT議長シャナナ・グスマオ氏は感慨深く述べた。

厳しい独立への道

 しかしご存知の通り、いまだ東ティモールの現状や将来は磐石ではない。
 国連暫定行政機構(UNTAET)や各「人道援助団体」は往々にして官僚的で、現地社会との不和の問題が表面化している。インドネシアが去った今、国連は東ティモールの「新植民地化」をしているとまで言う者もいる。外国人がドルを使い、彼等自身が持ち込んだ豪華水上客船やスーパーマーケットで「リゾート気分」を楽しむ一方、東ティモール人の殆どはまだ飢えと戦い、失業率も約90%と依然として高い。また、首都ディリと地方との発展の差も大きいが、政治中央部のUNTAET、CNRTはそれについて何もしないと、地方在住者は不満をもらした。
 一方、西ティモールのキャンプには、まだ約13万人の難民がTNIを背景とする併合派民兵らの脅威の下におかれている。併合派民兵らはいまだ東ティモールの独立を認めず、同地での権力の掌握を虎視眈々と狙っている。
 今秋、初の総選挙が予定されているが、「国づくりはどうすべきか、安全保障は?」といまだ模索中である。

APCETも活動内容を調整

 長い間、東ティモールの自決権(独立)のため闘ってきたAPCETも、軌道転換する時が来た。APCET4は、「独立国家東ティモールの建設:草の根レベルと市民社会の強化」をテーマとし、東ティモールの真の民主化のためどうすべきか話し合った。アジア諸国、豪州、欧米そして東ティモール人あわせて約150人以上が2日間に渡り議論した。
 長年に渡る他者からの支配の歴史に終止符をうち、国として成立する道を模索する東ティモール。これまでとは違う難問がその目の前には山積みだ。彼等自身の自治により社会を再建し、真の民主国家となるため国際社会は謙虚になって支えるべきだ。それが贖罪となるのだから..... APCET4は、そう訴えていた。

APCET IVの決議骨子 

 
・APCETは、IMF(国際通貨基金)、世界銀行、UNTAETが、東ティモールの独立を自らの「新植民地主義」、搾取的経済のため利用しないように監視し続ける。  
 
・UNTAETに要求する

1)2001年秋に予定されている総選挙で、東ティモールの全政党(併合派を含む)に公開討論やメディアへのアクセスを認め、選挙が抑圧を受けずに行われる保証をすること。
2)(昨年9月の人権侵害を調査する)UNTAETの重大犯罪調査部を整備し、正義と和解のシステムを効果的なものにすること。
3)政策決定、実施など東ティモールの行政運営全般で、より多くの東ティモール人を入れて効果的な政策決定をすること。 
4)都市部に集中している復興用建築資材と基本的生活物資を直ちに地方部に行き届かせること。

・国際社会に要請する

1)虐殺、破壊などに携わったTNI、民兵らを裁く国際戦犯法廷を直ちに開催すること。
2)西ティモールにいる帰還を希望するすべての難民に早急に対処すること。これは、TNIやインネシア政府にも要請する。
3)昨年9月の反人道犯罪者の全てが裁かれるまで、TNIへの援助、協力はいかなるものも直ちに停止すること。
4)国連は、東ティモール自身が東西境界線周辺の安全管理を十分に行えるまで当該地域を防衛し続けること。
   
・ASEAN(東南アジア諸国連合)に要請する

ASEANは、その域内諸国への「内政不干渉政策」の建前論をやめ、域内の民主化、人権と正義を積極的に擁護、支援すること。

 以上のことに関して、2002年まで特に以下3つの国際キャンペーンを実施することを提案する。

・西ティモールの難民の帰還への対処。
・東ティモール人による政策決定運営が、より多く行われるようにすること。
・東ティモールについての国際戦犯法廷を民衆の手で開くこと。そこでは、インドネシアの不法占拠した24年間全ての人権侵害が裁かれるべき。


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