季刊・東ティモール 1号(October 2000)

ニュース・ピックアップ


マンデラ、武器売却をスハルトと討議

 マンデラは1997年にインドネシアを訪問したとき、大統領官邸でシャナナと食事を共にし世界を驚かせた。その時の隠された議題のひとつは、南アの武器の売り込み。アメリカによる武器禁輸措置でインドネシアも売り手をさがしていた。中でも戦闘機、装甲車、銃などをマンデラは売り込んだ。結局、経済危機で購入まではいかなかったものの、これ以上先進国の武器禁輸が続くと購入の可能性はないわけではない、とはインドネシア政府役人のことば。(Indonesian Observer, Sep 5)

ファリンティルがPKFと共同行動

 ファリンティル(東ティモール民族解放軍)のメンバーでPKFとのリエゾン・オフィサーになっている十数人が、PKFの活動を武装して行うことになった。ただしあくまで案内役となるだけで、戦闘に従事することはできない。ファリンティルはPKFが地理にうとい、住民の顔が区別できないといったことが原因で、民兵対策を十分にできていないことを批判していた。(Kyodo, Sep 5)

バリボ事件の公文書公開

 9月12日、オーストラリア政府は、1974-76年の東ティモールをめぐる外務省打電記録を公開した。焦点となったのは、1975年10月16日、東ティモールのバリボ(ボボナロ県)にいたオーストラリアのテレビチーム5人がインドネシア軍の攻撃で死んだ、いわゆるバリボ事件について、政府がどれだけ知っていたかという点だ。公開された文書にはいわゆる政府の国防電波傍受局(DSD)が傍受したインドネシアおよびフレテリンの無線会話記録がなく、結局、政府が5人の死を知ったのは報道によってということになっており、肝心なところはわからない。(Sydney Morning Herald他, Sep 13)

偽札製造、ウィラントが依頼

 220万ドル相当の偽札製造疑惑で起訴されている2人の軍人の一人、イスマイル・プトラ(59)は、公判で、ティアスノ・スダルト将軍に頼まれてやったと陳述した。目的は東ティモールでの住民投票で統合派の資金を捻出するためだったと言う。ティアスノ将軍は現在、参謀総長に昇進している。プトラは「ティアスノはインドネシア銀行(中銀)がお札のシリアル・ナンバーを軍にくれたのであり、軍のため、国のためだと言った」と語った。そしてティアスノはウィラント総司令官(当時)が東ティモールでの作戦用に特別資金を捻出するよう彼に命じていたとも語った。(AFP, Sep 13)

バリボ事件、捜査再開

 UNTAETの警察部は、オーストラリアのテレビチーム5人が殺されたバリボ事件の容疑者を起訴するため、捜査を開始した。ポルトガル法の下では25年の時効が今年10月15日に来ることから、時間との競争になる。2ヶ月前、鍵となる証言者が数人あらわれ新しい証言を国連に行った。(Sydney Morning Herald, Sep 16)

インドネシア、4000挺のAK銃を購入

 インドネシアはロシアから400挺のAK銃を買った。8月には送られている。インドネシアはさらにMi-17ヘリコプターの購入も考えているという。ロシアの新聞「イズベスチャ」の報道。(BBC Summary of World Broadcasts, Sep 18)

CNRT常設評議会をボイコット

 フレテリンとUDTは、8月のCNRT大会で設置が決まった常設委員会(の9月21日の就任式をボイコットした。他の5団体、アポデティ、キリスト教民主党、労働党、社会党、コタは代表者を送ってきた。2政党のボイコットは、この評議会が「単なる見かけ倒しで実際の権限が何もない」ことを理由にしている。シャナナは「ドアは常に開かれている」とコメント。(Lusa, Sep 21)

PKF、民兵を連続して3人射殺

 9月24日、西ティモールとの国境から8キロほどの地点で、PKFのニュージーランド部隊と民兵が銃撃戦を行い、民兵1人が死亡。(Reuters, Sep 26)
 10月6日夜、ニュージーランド部隊はスアイの近くで武装した民兵を射殺した。(NZPA, Oct 7)
 10月25日、スアイ近くでニュージーランド部隊が民兵を射殺。(Reuters, Oct 25)

ファリンティル、民兵に発砲

 9月23日、アラスでポルトガル部隊とパトロールをしていたファリンティル兵士が民兵が銃を上げたのが見えたため発砲した。しかし民兵側から発砲はなかった。(Sydney Morning Herald, Sep 27)

メガワティ、特殊部隊を激励

 数々の人権侵害で知られる陸軍特殊部隊(コパスス)の設立記念式典で、メガワティ副大統領は、特殊部隊を追いつめようという昨今の傾向を憂慮し、部隊は自信をもつべきだ、そして国の統一を守り、分離主義を防ぎ、紅白旗を高く掲げるべきだとも語った。(Indonesian Observer, Sep 28)

インドネシアのNGO、西ティモールでの活動再開

 4つのインドネシアのNGOが10月4日、西ティモールでの難民支援活動を再開する意向を明らかにした。それらはアタンブア司教財団、イエズス会難民サービス、連帯財団、住民自助エンパワーメント。(AFP, Oct 4)

検事総長決まる

 コフィ・アナン国連事務総長は東ティモールの検事総長としてタンザニアの弁護士、モハメド・オトマン(49)を指名した。オトマンは昨年の住民投票後の暴力について国際的な訴追を行うことをもっぱらの任務とする。(新華社、10月4日)

ムニル、ライト・ライブリフッド賞

 国内人権委員会東ティモール人権侵害調査委員会のメンバーをつとめ、人権NGOも率いる活動家、ムニルがスウェーデンの「もうひとつのノーベル賞」と言われるライト・ライブリフッド賞(Right Livelihood Award)を受賞した。理由は「人権と軍の文民統制のための闘いに勇気をもって献身した」こと。他の3人との共同受賞で賞金の20万4600ドルの4分の1をもらうことになる。(Reuters, Oct 6)

パラリンピックにも参加

 10月18-29日シドニーで行われるパラリンピックに3人の東ティモール人選手が参加する。2人は重量挙げ、1人は陸上。国際パラリンピック委員会とポルトガル政府が費用を負担する。(Kyodo, Oct 7)

インドネシア人囚人の命が危ない

 3月末にベコラ刑務所に収監されたインドネシア人タルヨノはPKFによって腹部を撃たれており、先月、容体が悪化したため、国連職員が治療を理由に一時的な退所を請求していたが、ディリの裁判所は請求を却下した。東ティモールの刑務所で囚人が適切な医療を受けられず死亡するケースにならないかと国連職員は気をもんでいる。(Sydney Morning Herald, Oct 11)

ホルタ、外務大臣に

 10月19日、内閣はホルタを新しく外務大臣として迎えた。これで閣僚数は9人。ホルタは就任式でインドネシアとの関係改善を優先すると語った。(BBC, Oct 19)

国民参議会、拡大して36人に

 議会の役割を果たす国民参議会が10月23日から新しく36人としてスタートした。その面々が10月20日に発表された。13人が政党代表、13人が地方代表(13県ある)、7人が民間団体、3人が宗教組織。13人が女性。シャナナがその議長に選ばれた。(UN, Oct. 20, Lusa, Oct 23)

ティモール・ギャップ石油収入、300万ドル

 10月24日、UNTAETはティモール・ギャップのロイヤルティ収入が初年度(1999年10月-2000年9月)は300万ドルあったと発表した。予想された200万ドルより多く、教育・保健など優先分野に使用されるだろうとのこと。しかしこの油田は2001年以降は枯渇し、新しい油田が発見されるまで収入は見込めない。(AP, Oct 24)


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