季刊・東ティモール 1号(October 2000)

<活動報告>
あれから1年  2000年夏・大阪で訴える

大阪東ティモール協会 七芽なな


 暴行、虐殺、放火、破壊、略奪、誘拐---いずれも24年に渡るインドネシア占領下においてまるで日常茶飯のごとく繰り返されてきた行為であるが、これらすべてが一斉絨毯爆撃のように襲った住民投票後の3週間で、東ティモールは作戦名のとおり、まさに焦土と化した。
 あれから約1年を経た今年8月26日、ピース・ボートの招きでフォクペルス(東ティモール女性連絡協議会)のアナ・パウラ・マイアさんとヤヤサン・ハック(人権団体)のマリオ・カネラスさんが来日。マリオさんが2年前に学生生活を送っていた日本を訪れる日をパウラさんは前々から夢見ていた。
 2人は29日に大阪で記者会見および現地報告を行い、国際社会は、新しい国造りに向けた復興・開発援助の陰で、インドネシアが24年間続けてきた人権侵害の罪をうやむやにしてしまわないよう監視を忘れず、国際法廷開設を支援してほしいと訴えた。
 世界中から人が来るようになって生じている新たな問題のうち、女性が直面していることの1つとして、外国人による性的搾取があげられた。インドネシア兵は武器と暴力を用いて東ティモール人女性を性的奴隷にした。今、国連や平和維持軍その他様々な職種の駐在外国人が紡ぎ出すお金と甘い囁きが東ティモール女性のお腹を膨らませている。本国に妻をもつPKF兵士と結婚した娘の話を聞きに行ったフォクペルスのメンバーは、母親から「定期的な送金のおかげで生活が楽になって何が悪い。余計な口をはさまないでくれ」と追い返された。
 ヤヤサン・ハックはホテル・オリンピアで行われている買売春を調査している。数ヶ月あるいは数年先には自分の国へ帰ってしまう相手とわかっていて親密な関係になることはまったく個人の選択であり、誰かがやめろと言えることではないけれども、それが親を助けたり、自分たちが生きる術としての選択なら、この先数多く生まれてくるであろう白い肌や黄色い肌の子どもたちは幸せだろうかとパウラさんは言う。そんな中、ベロ司教はコンドームの使用禁止を呼びかけた。いつでもどこでも安全なSEXをという西洋的合理主義に反発するカトリック教会の姿勢をあらわしているのかもしれないが、すでに多くの女性がその潮流のただ中に巻き込まれている現実を認識すれば、東ティモールの教会とNGO間の意見交換および協力関係が必要と筆者は思う。
 ついでに住民投票開票1周年にあたる9月4日、ワヒド大統領あて声明文を、大阪東ティモール協会、アムネスティ園田グループ、ノーニュークス・アジアフォーラム並びに有志で在阪インドネシア副領事に手渡した。声明文中、西ティモールに拘束されたままとなっている約12万人の東ティモール「難民」が自由意思により自らの将来を決定できること、その結果帰還を望む人たちに安全なルートを迅速に確保すること、民兵の即時解散・武装解除、住民投票前後に限らず、それまで24年間のインドネシアによる東ティモールの人々に対する人権侵害および人道に対する犯罪を裁く国際法廷設置に協力すること、とくに遡及的責任追及禁止原則のすべての法への無条件適用をもりこんだ修正憲法28条が8月の国民協議会で採択された結果、自らは決して責任を認めようとしないインドネシア軍あるいは国家の責任者たちに対する責任追及の機会を封じることのないよう求めた。
 その後領事館前で有志10数名による街頭行動に続き、独立への闘いの途中でなくなった人々に対する追悼と、インドネシアおよび東ティモールにおける正義と平和を願う祈りを行った。これからも東ティモールの人々が自決権を行使できた日までの歴史を忘れることなく、東ティモールの人々による東ティモールの人々のための国造りを見守っていきたい。


|第1号の表紙|

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