東ティモール・ニュース

1999年5月後半


5月16日
Australian-AP
アラタス、準軍組織リーダーに警告

 アラタスはバリでの会議で国連派遣団に対する暴力を自制するように、準軍組織リーダーに求めた。
 「彼はわれわれに国連チームに対して迫害、脅迫をしないよう求めた」とバジリオ・アラウジョは言った。ただ国連スタッフが中立的な立場をとらなかったら、彼らもまた危険にさらされるだろうと語った。
 一方、国連の東ティモール派遣団のスポークスパーソンとなっているデイビッド。ウィムハースト(David Wimhurst)は、国連警察部隊が派遣されたら、準軍組織を武装解除するのはインドネシア治安当局の責任となる、と語った。そして「この(投票の)過程は、武装したギャングが住民を迫害し、撃っている間はできない」と語った。

5月17日
インターネット情報
最近の情勢、現地から

5月13日
バウカウ県

 準軍組織のサカが745大隊に向かって発砲した。745大隊メンバーが1人死亡、サカメンバーが2人が負傷。
 しかし別バージョンによれば、745大隊とサカが一緒にコパスス(インドネシア軍特殊部隊)の「赤い家」を襲撃した。そこでは罪もない人たちが迫害されていたとのこと。

5月16日
ロロトエ・マリアナ地方

 インドネシア軍がバックアップして準軍組織がファリンティルと関係あったとされる住民を襲撃。彼らは(ファリンティル?)は2人の兵士と準軍組織メンバー1人を拘束した。兵士は殺されたが、誰が殺したかは明らかではない。遺体は軍にある。
 またトノ・スラトマンに近い筋から、400人のインドネシア軍兵士を送りマリアナで作戦を展開するとの情報をえた。これに対し、ファリンティル司令官は攻撃はしないと言っている。
 マリアナの県レベルのインドネシア軍司令部はLucas, Angeloという2人の教師を逮捕した。マリアナでの迫害は続いている。

5月16日
ディリ

 アイタラクがメティアウット地区を襲撃し、家を放火し、住民の金を盗んだ。今や住民はホームレスになっている。インドネシア軍はそばにいたが何もしなかった。警察も到着したが何もしなかった。

5月17日
UDT Media Release
さらなる準軍組織の暴力

 先週末、アツァベ地方のアタラ村で少なくとも25人の住民が準軍組織によって、刀で殺された。準軍組織は各戸を訪問してインドネシアへの忠誠を誓うよう強制して回っているが、その途上で5人が刀で斬られたと伝えられる。そして村人たちが森に逃げたとき、それをおいかけてさらに20人を殺したということだ。
 ドミンゴス・ソアレス神父はディリに行って国連チームにアタラ村へ行くよう求めているもようだ。

5月17日
AFP, Dili
準軍組織、ディリでまた攻撃

 住民によると、16日(日)午前10時ごろ、ディリの東部にあるメティアウット( Metiaut)地区の家々を準軍組織が襲撃した。住民は事前に避難していたので死者はいなかったが、襲撃したのはアイタラクだと考えられている。
 オーストラリアのAPの現地記者、マルティンクスによると、海岸脇のレストランにいた国連スタッフとオーストラリア人外交官が襲撃の巻き添えになったらしい。
 マルティンクスは、武装組織はM-16銃、ピストルで武装し、10軒ぐらいを手入れして10軒ぐらいを略奪したと言っている。国連スタッフら9人は警察が到着するまで現地で釘付けになり、ディリに戻ることができなかったと言う。
 国連チームのデイビッド・ウィムハーストはAAPに対し、「国連はこの一件をインドネシア政府に言うだろう。これは和平プロセスを不安定化へとつながる治安の欠如のひとつの例となるからだ」と語った。
 この襲撃は、準軍組織リーダーたちがバリ会議から帰って直後のことだった。

5月16日
New York Times
インドネシア、ボランティア医師を追い出す

 オハイオ州アルトンのダン・マーフィー医師(54)は、この間、ディリのモタエル・クリニックで、市民の犠牲者の治療などにあたってきたが、16日(日)東ティモールを出た。彼はインドネシア軍が準軍組織を支えていることを強く非難していた。すでに準軍組織による暴力で100人以上が死んでいる。
 クリニックは準軍組織やインドネシア軍から脅迫電話を受けていた。その結果、クリニック側は何度か患者を安全な民家へと移すことを余儀なくされてきた。
 「私は就業ビザをもたなかったが、当時、そうした許可をえるメカニズムだって存在しなかった」
 そういって彼はシンガポールで3日以内にビザがもらえることを希望している。おそらく準軍組織の政治部門が彼を追い出すよう当局に圧力をかけたと思われるとも語った。
 バジリオ・アラウジョは彼が国際社会にインドネシア軍とインドネシア政府をディスクレジット(信用を失墜させる)するようなウソをひろめていたと言って非難してきた。
 15日(土)国際赤十字で働くために三人のオーストラリア人医師が到着した。現地の病院で外科医として働く。ダン・マーフィー医師が不在の間、別なオーストラリア人医師がモタエル・クリニックの穴を埋める。
 バリから帰ったバジリオ・アラウジョは「今はわれわれは投票について自信をもった。さらなる暴力行為をはたらなかいよう自制するだろう」と語った。

5月17日
AP, Dili
国連チーム、準軍組織を非難

 国連東ティモール援助団(UN Assistance Mission in East Timor: UNAMET)のスポークスパーソンとなっているデイビッド・ウィムハースト氏は、60人の民兵がディリの60マイル南にあるアタラ村で「残虐な襲撃」を行ったと語った。そしてUNAMETは、インドネシア政府が秩序を回復し民兵グループを監督下におくと約束したことを守るよう要求するつもりだと語った。
 彼は「若い東ティモール人が襲撃者から逃れて森に入っていった。彼らを銃をもった者たちが追いかけ、発砲して、住民を殺害した。数はわからない」と言った。 ウィムハースト氏は、インドネシアの治安部隊は民兵グループに対して行動をとらなければならない、「インドネシア政府のことばだけでは不十分だ」と語った。

5月17日
ディリ、ロイター
メティアウット地区の襲撃事件

 ディリのある住民によると、16日(日)ディリのメティアウット地区が準軍組織に襲撃され、女と子どもはみな丘の方角に逃げたが、男たちは近所を警備している。地区には50世帯が住んでいた。またディリのビダウ地区でも日曜日に襲撃があったと住民は言っている。

5月17日
Lusa, Jakarta
アタラ村襲撃はパンチャシラ団?

 国連東ティモール援助団(UNAMET)がディリから発したリリースによると、約60人のTim Pancasila(パンチャシラ団)の武装した者たちが日曜日にディリ南100kmのアタラ村を襲撃した。一方、抵抗勢力は死者を20人以上と言っている。

5月17日
Reuters, Canberra
国連難民高等弁務官

 緒方貞子国連難民高等弁務官は、国連安保理に対し、インドネシアと東ティモールで大量の難民が出る可能性があると警告を発したと、ジャハンサ・アサディ氏(地域の高官)が語った。

5月18日
The Australian
バジリオ、国連を非難

 国連東ティモール援助団(UNAMET)はインドネシアに治安管理を求める声明を発表したが、それについて統合派のスポークスパーソンであるバジリオ・アラウジョは、国連が中立的でないと非難した。国連の声明は、同じ日曜日にボボナロ県フィリリでおきた独立派ゲリラによる3人のインドネシア兵殺害についてふれていないと言うことらしい。

5月17日
AFP, Jakarta
日本の特使、ハビビに要請

 日本からの特使、登誠一郎氏はハビビ大統領に、インドネシア軍が東ティモールでの安定を保証するよう要請した。

5月18日
Kompas, Dili
日本の調査団

 日本の調査団と会ったトノ・スラトマン大佐は、国連がパンチャシラ団がアタラ村を襲ったと発表したことを遺憾だと語った。大佐によると国連はまず治安当局に説明を求めるべきであって、もしその正確さもチェックせず発表されるようなら、治安を守ることに失敗するだろうとのことだ。

5月17日
ソリダモル
インドネシア軍は麻薬を使っているかも知れない

 ソリダモルが東ティモール民族解放軍の第3地区司令官、ファルル・ラテライ司令官と連絡をとったところ、5月17日、マナトゥトゥ県ラレイア郡で、マドミ(自治決死隊)というサルスティアノ・ダ・ソウサ率いる統合派武装組織が独立派とみられた2軒を襲撃し、二人を殺害した。
 殺されたのはAlberto (28), Dominggus de Jesus (28)の二人。武装組織は非常に残虐で、インドネシア軍から与えられた麻薬を使っているのではないかと考えられる。
 こうした麻薬はジャワでも学生デモに対峙するときなど頻繁に使われている。
 ファルル司令官は国連が警察官をもっと派遣してくれることを望んでいる。インドネシアの警察は、武装組織が住民を殺したり略奪したりしていても黙っているだけだという。

5月18日
Lusa, Jakarta
ゲリラがインドネシア軍兵士を殺害

 18日(火)インドネシア警察の発表によると、日曜日、ゲリラが3人の兵士を殺害し、一人に負傷をおわせた。ゲリラはディリの南西にあるイピリリット村で兵士たちを待ち伏せしていたという。

5月18日
Lusa, Jakarta
35000人の女性、子どもがキャンプに収容

 インドネシアの女性に対する暴力に反対する会がこの5月1日から9日にかけて東ティモールでおこなった調査によると、インドネシア派武装集団による暴力で35000人の東ティモール人女性・子どもが軍隊式の難民キャンプに収容されたと推計される。
 この報告書は17日(月)に国内人権委員会に提出された。難民の98%は女性と子どもで、インドネシア軍と民兵がきびしく警備しているキャンプに収容されており、宗教者以外の外部の人との連絡がほとんどできない。
 人権団体などはキャンプを訪れるのにディリ警察の許可を求めなければならない。またキャンプは衛生、食糧、医薬品について「おどろくべき状況」にあるとも述べている。
 難民たちは早朝起きてインドネシア国旗を掲揚し、軍隊式の訓練に参加しなければならない。

5月18日
ABC
アイタラ村死者増える

 ディリの人権団体(ヤヤサン・ハック)に村からの目撃者が伝えたところによると、日曜日の襲撃の死者は32人にもなるとのことだ。もしこれが正しいと、リキサ虐殺以来の死者数となる。
 目撃者はヤヤサン・ハックに12人の確認された死者の名簿を渡した。彼らはインドネシア軍とインドネシアの諜報機関、新しくできた統合派武装集団が一緒になってアイタラ村で発砲したのに当たったものだ。
 目撃者は少なくとも20人が村近くのコーヒー農園にあると考えられると言う。

5月18日
South China Morning Post
コーヒー収穫難しい

 コーヒーの収穫期は今だが、エルメラの村々では、10代の少年や中年の男たちは山へ逃げてしまって、女、子ども、老人たちが豆を摘んでいる。
 エルメラでは紅白鉄隊、赤龍隊といった準軍組織はコーヒー農家をターゲットにし始めた。
 先週、教会や地方政府役人によれば、ファトゥボロ、リサポテ、マソサエの各村の近くの農園で合計20人ぐらいが殺された。
 「彼らはこの地域の独立支持派の人たちをみんあ殺そうという計画なのだ。夫たちはみな山へ逃げてしまい、誰もが恐れてしゃべろうとしない」 ある地方の役人の妻は言った。
 地域の人々は、民兵たちはコーヒーの収穫に損害を与え、コーヒー農家の経済的な自立を阻もうとしていると考えている。エルメラは西部ではもっとも独立派の強い地域だ。
 若者たちは準軍組織にかり出されている。準軍組織は貧しいコーヒー農民、失業者、軍と関係のある地元のごろつきなどからなっている。
 「彼らは国連が到着する前に準軍組織のメンバーを増やしたいのだ」とあるエルメラ県庁の役人は言った。
 国連はこの地域にはプレゼンスがない。
 ファトゥボロ村のある男は、地下組織(独立派)と関係があるとして準軍組織につかまり、今ではインドネシア軍の地域の司令部に毎日出頭しなければならないと語った。
 ファトゥボロ村にいたとき、ある住民が私の手に犠牲者を書き記した紙をおしつけて行った。
 そのリストには5人の名前があり、もっとも若いのはセバスティアン・ソアレスという17才の生徒だった。父親を手伝ってコーヒー豆をとっているところを準軍組織によって撃たれたと言う。
 土地の人は私に去れと言う。もうすぐ準軍組織のトラックがやってくるからだ。

5月19日
Sydney Morning Herald, Dili
村人虐殺、死者32人に

 ヤヤサン・ハックによれば、アタラ村の死者は32人にまでなった。最初は12人とのことだったがこれは村の中で殺された人で、その後コーヒー農園で20人以上が殺されたということだ。
 攻撃は日曜日の朝始まり4時間半続いた。農民たちによれば攻撃したのはパンチャシラ団とインドネシア軍兵士、SGI(合同諜報本部)だったという。
 コーヒー農園では逃げる人々が撃たれたが、中には女性も含まれていた。
 アタラ村で殺された人たちの中には以前から準軍組織がねらっていた宗教の教師などが含まれている。
 アタラ村の襲撃の背景としては、かつてこの地方の王だったギリェルメ・マリア・ゴンサルベス(かつては統合派)が90年代中ばに統合への支持をひきさげたことにあるのではないかと思われる。王のあとを追った住民たちが今度はターゲットにされたというわけだ。
 北側沿岸部にあるバトゥガデの住民たちは、先週網をあげたら人間の肉体の残りと宝石が見つかったことから、大きな魚は食べなくなってしまっている。
 一方、ダン・マーフィー医師は火曜日にディリにもどることができて、仕事を再開している。

5月14日
BBC Summary of World Broadcasts
RDP Antena 1 radio, Lisbon, 14 May 1999
ファルル司令官、国連合意を批判

 ファリンティルのナンバー3になるファルル司令官が、国連合意を批判した。批判点はインドネシア軍に治安管理をまかせたところ。ファリンティルはインドネシア軍が撤退しない限り、武装解除しないとも言っている。

5月号
Catholic New York
オコナー枢機卿、東ティモール人の訴えを聞く

 リキサ虐殺の被害者と統合派の暗殺リストにのせられている大学教師が、ニューヨークまで旅をし、オコナー枢機卿に米国教会からの支援を求めた。
 フランシスコ・デ・ジェスス・ダ・コスタはテトゥン語で、「私はリキサの虐殺の目撃者です。大勢が殺されるのを見た」と語った。
 またビンセンテ・ソアレス・ファリアは東ティモール大学の教師だが、ベロ司教が自分の身の安全のために海外に逃亡することをすすめたと語った。 この会見の通訳をつとめたのはコンスタンシオ・ピント。

5月18日
MateBEAN, Dili
ディリでまた示威行為

 18日夕方、ディリ西部のアロル地区(Kampung Alor)で武装した民兵たちが発砲した。住民に向けて発砲したのか、警告の発砲なのかわからない。
 教会筋によるとマウバラの軍司令部には20人ぐらいの若者が拘束されている。何人かのシスターによると、彼らはすでに殺された可能性もある。地域の軍司令部の司令官に加えて、マウバラの郡長もこの事件の背後にいる。シスターたちが郡長をたずねたとき、郡長はシスターには囚人の面倒をみる権利はない、などと言った。

5月19日
Lusa, Washington
米議会、650万ドルを了承

 18日(火)米議会は東ティモールの投票に対して650万ドルを拠出することを了承した。

5月19日
AFP, Jakarta
東ティモールの総選挙キャンペーン

 東ティモールでも19日(水)インドネシアの総選挙キャンペーンがはじまった。しかしディリでキャンペーンしているのは月星党(イスラム系)だけで、イスラム社会党、国民党・マルハエン戦線がそれぞれラオテン県、リキサ県でやっている。

5月19日
BBC Summary of World Broadcasts
Diario de Noticias, 18 May
レアンドロ・イザーク

 統合派の指導者たちが報道陣に言ったところでは、バリの会議には独立派から20人ぐらいが参加していたとのことだが、実際にはレアンドロ・イザーク1人だった。しかも彼はシャナナから意見を言うことも何かを承認することも権限を与えられていなかったので、単なるオブザーバーとして参加したにすぎない。
 「会議はよかった。アラタスは国連合意を提示した。私は治安に関する覚書については知らなかった。インドネシアが住民の自由と治安に責任をもつことが合意されたと知って驚いた。それは鶏小屋の監視をきつねに頼むようなものだ」
 彼はそう言った。また、彼がアラタスに現状を話すと、アラタスは「私が内務大臣だったら、そういうことはおきないはずだ」と語った。アラタスはできるだけ早く自宅に帰るように言ったが、彼は警察署に帰ると答えた。

5月20日
CNN
武装民兵がさらなる訓練

 20日(木)国連のスポークスパーソン、デイビド・ウィムハースト氏は声明を発表し、アツァベの町で民兵の一団が訓練を受けているのを見たと述べた。彼と行動を共にしていたロイターのカメラマンは、民兵たちはインドネシア軍の制服をきた人物によって軍の駐屯地で訓練を受けていたと言っている。

5月19日
MateBEAN, Dili
闘争民主党の旗、焼かれる

 19日(水)午後、ディリにあるインドネシアの闘争民主党の事務所にひらめいていた旗やその他の党宣伝用装飾品が放火された。突然やってきて放火して帰ったという。闘争民主党のあるメンバーは、東ティモールのステータス・クオ(現状)を維持しようとする者が民兵を使ったのではないかと話している。

5月20日
AFP, Jakarta
国連団、準軍組織の作戦に警告

 UNAMETは20日(木)、国連スタッフがアツァベで作戦の訓練をしていた準軍組織を目撃したとして、東ティモールのインドネシア軍当局に警告を行った。国連団として2つめの声明となる。
 声明は「訓練活動によって、民兵たちが本日(水曜日)エルメラ県での作戦を準備しているとの懸念が強まった」としている。
 最初の声明に対しては、現地のインドネシア軍司令官トノ・スラトマン大佐が不満を表明したのに加え、ウィラント総司令官も国連は警察にアドバイスを与えるだけのはずで、それ自身として行動を起こす立場にないと警告した。
 しかし国連側はその第2の声明においても、唯一信頼できる話としては依然として自治派武装集団が6人を殺害したというものだ、と応酬している。また声明は、東ティモール民族解放軍が3人の兵士を殺害したこともふれている。

5月20日
Indonesian Observer
ウィラント、国連に怒る

 ウィラント総司令官は、国連の文民警察官はインドネシアの警察にアドバイスを与えるのであって、投票に「介入」してはならないと警告を発した。そして文民警察官の数はまだ決まっていないけれども、必要以上のものであってはならないとも述べた。
 一方、シャナナはインドネシアがこの23年間におかした人権侵害などについては、「この闘争の最後には、われわれはすべてを調査する。そして殺人者と戦争犯罪者を罰するため国際的な法廷に問題を持ち込むだろう」と語り、インドネシアの罪を許さない方針を明らかにした。

5月20日
Lusa, Jakarta
インドネシア警察増強

 インドネシアはナミビア、カンボジアなどで国連派遣団との経験をもつ警察官を東ティモールに派遣する。

5月20日
Lusa, Jakarta
国連人権特使、東ティモールへ

 20日(木)国連人権高等弁務官の特使、ソリ・ソラブジー氏が東ティモールに到着する。水曜日、ジャカルタでインドネシア政府の要人と会見したのち、ルサのインタビューに答え、ディリ以外ではバウカウ、リキサなども訪れたいと語った。
 「何の解決のきざしも見えない現在の状況を憂慮している。誰が悪いのかは別として、状況には不満だ」と語った。

共同通信ニュース速報
05/20 08:25 共: 東ティモール女性が初来日 性暴力被害など訴える

 インドネシアへの帰属問題をめぐって揺れる東ティモールの女性たちがこのほど来日、今月下旬まで各地で講演を続ける。招いた日本の支援団体によると、亡命者を除き東ティモールの女性が来日して公の場で話をするのは初めてで、「インドネシア軍によるレイプなど性暴力にさらされている東ティモール女性の被害実態」を訴えている。
 十九日夜、大阪市内で講演した「東ティモール女性連絡協議会」のマリア・ドミンガスさん(39)は「女性も独立の戦いをしてきた。レイプで生まれた子供たちをどう育てていくかなど、独立できても問題は残る」と指摘した。
 講演では、マリアさんの夫が一九九一年、インドネシア軍の発砲により約百八十人が死んだとされる「サンタクルズの虐殺」の際に逮捕。政治犯として七年間投獄され、昨年暮れに釈放された実体験も紹介された。
 「政治犯の妻は親族からも差別される」と話すマリアさん。インドネシア軍によるレイプ被害者や同じ政治犯の妻らを支援するため九七年、十五人の仲間と協議会を立ち上げ、スハルト政権下でも女性の抑圧を告発する活動に取り組んできたという。
 マリアさんは二十日から二日間仙台で、他の仲間も長野、福岡、札幌などの各都市で今月末まで講演の予定。

5月21日
Sydney Morning Herald, Atsabe (East Timor)準軍組織訓練、現場を見られる

 国連の調査チームがインドネシア軍兵士が民兵を訓練しているところを見かけたことで、インドネシア政府による投票に際して軍の中立性を保証するとの約束に疑いが生まれている。
 訓練では33人の警棒で武装した民兵がインドネシア軍の迷彩服をきた兵士の指導を受けていた。その写真を同紙カメラマンのジェイソン・ソウスが撮った。
 東ティモールの国連スポークスパーソン、デイビド・ウィムハースト氏は、民兵の訓練は5月5日の国連合意違反であると語った。
 「合意ではすべての民兵の活動は停止しなければならない。誰もがキャンペーンをすることのできる安全な環境がなければならない。民兵の積極的訓練は合意違反だ」と語った。
 国連チームは民兵の道路封鎖によってアタラ村に到達することができなかった。また同行した警察は、民兵が国連を含む「外国人」に対して警告を発しているので夜は移動しない方が安全だと警告した。
 ウィムハースト氏は、「当然ながらわれわれがここで見たことはすべて直接ニューヨークに報告する。ここでは当局と論じ、ニューヨークはインドネシア政府と適切な方法によって問題を論じることになる」と言っている。

5月21日
Sydney Morning Herald, Atsabe (East Timor)
準軍組織、国連に対して警告

 アタラ村の6人の殺害事件について国連チームは調査しようとアツァベへ向かったが、アツァベに到着すると、現地のインドネシア軍当局から、治安上の理由からアタラ村へ行くことは不可能だと告げられた。
 アタラ村はアツァベから12km離れており、車で45分かかる。 国連のスポークスパーソン、デイビド・ウィムハースト氏はインドネシア人の付き添いに先へ進む許可を求めたが、無駄だったばかりか、驚くべき知らせを聞かされた。
 パンチャシラ団(アタラ村の殺害に関与の疑い)がアツァベの軍司令官に、国連スタッフを含む「外国人」は歓迎しないとの警告を発したということだ。
 国連チームは結局、ディリへ引き返すしかなく、アタラ村の事件について直接に見聞することはできなかった。

5月21日
Sydnye Morning Herald
by Hamish McDonald
欠陥のある投票は大惨事のもとだ
東ティモール人が迫害されているのを見過ごしてはいけない

 ティヌス・マウボイは外国人記者が西ティモールのクパンについたとき、彼らを熱心に助けようとする笑顔の「学生」だった。当時のポルトガル領ティモールとの国境へ行く車をさがしてあげようというわけだ。クーデターがあった1975年8月のころだ。
 しかし車の所有者はみな修理中だとか、別な人と契約したとか、出払っていないと言い、国境への唯一の路線バスはすでに出発してしまっていた。ミニバスの運転手はさらなる乗客は一人でもお断りという風だった。しばらくすると、土地の宗教関係者が、その学生はインドネシアの内務省諜報機関の回し者だと、静かに教えてくれた。当然といえば当然のことだった。
 今週、ティヌスのことを思い出したのは、インドネシア軍が、国連東ティモール援助団(UNAMET)の200人の文民警察官一人一人に現地の警察官を付き添わせると言ったときだった。
 国連スタッフの中にはインドネシア語を話す者もいるだろうし、ポルトガル語を話す者もいるだろう。しかしおそらく誰もテトゥン語はわからないだろう。現地警察官なるものが何を提供するか、想像に難くない。それは突然のロジスティックス上の問題、歪曲された通訳、外国人がいなくなったあと現地住民がどうなるかということについての密やかな警告、といったものだ。
 しかし今や、国連団に対するサボタージュは、最初の人権侵害調査がどうなったかを見ると、もはやあのときほどにやんわりとしたものではないかも知れない。それはハビビ大統領がハワード首相にした誓いの3週間後、インドネシア政府が国連に対して行った保証の2週間後に起きたことだからだ。
 ダウナー外相がインドネシア軍の中の「ならず者分子」がハビビの表向きの政策に逆行することをやっていると言ったのは正しい。 そのならず者分子とは、ウィラントのことだ。民兵による独立派指導者に対する攻撃が続き、インドネシア軍が単に身を引いているだけでなくそれを助けてすらいるという証拠によって、ウィラント将軍がそれを承認していないという言い方はますます信用されなくなっている。
 もしウィラントが望めば、ウダヤナ司令官であろうと東ティモール司令官であろうと、民兵を弾圧することはできるはずだ。そうしんければ彼らの首をすげかえることだって。オーストラリア政府は、ウィラントは1月27日の閣議に出席し、東ティモールに独立を与える選択肢の決定に参加していたのだから、それを受け入れるだろう。
 ウィラントの軍隊は明らかに、東ティモール人を迫害してインドネシアの中の自治を選択するようし向けている。ジャカルタを訪問している外国の指導者の中には、おそらく東ティモール人の3分の1は独立を望んでないという議論を繰り返している。したがって自治がかろうじて賛成多数となった場合、それは信頼できる数字とされるだろう。UNAMETは違うかも知れないが、国連が欠陥だらけの投票を承認してきたことはよく知られている。
 これをすっきりした解決だと見ている人もいる。しかしそれはまちがっているばかりか、われわれとインドネシアの関係にとっては大惨事となるだろう。かなりなオーストラリアの国民がそれに賛成しないだろう。ボイコット、市民的不服従といった事態がかつてない規模で発生するのではないか。

5月21日
The Australian
インドネシア、国連を非難

 20日(木)インドネシア外務省は、東ティモールの国連団がバイアスがかかっており、インドネシアの民兵の名をおとしめようとしたとして批判した。インドネシア外務省報道官は、「国連職員によるバイアスがあると思われる。彼らは紛争について調査するために派遣されてはいない。もし彼らが報告をつくるのなら、それはバランスのとれたものでなければならない。それは私にはインドネシア派の集団の名をおとしめようとする一方的な報告のように思われる」と語った。

5月21日
Jakarta Post
シャナナは東ティモール人指導者と面会できる

 20日(木)ユヌス・ヨスフィア情報相は、シャナナがラモス・ホルタを含む海外にいる東ティモール人指導者と面会できるとする決定を発表した。ただし面会はジャカルタに限る。

5月20日
AFP, United Nations
国連予算は5300万ドル

 20日(木)コフィ・アナン事務総長は5300万ドルの予算を東ティモールでの投票について示した。そのうち4570万ドルを総会に了承を求めたが、これには文民警察官費用は含まれていない。文民警察官のためには740万ドルを新たに必要とする。
 派遣団長はイアン・マーティン(イギリス人)がつとめ、217人の国際スタッフ、 4000人のローカルスタッフが投票の実施にあたる予定だ。

5月21日
AFP, Jakarta
ファリンティル、インドネシア軍兵士を殺害

 21日(金)インドネシア警察は、独立派の東ティモール民族解放軍が、インドネシア軍兵士1名を殺害、別な兵士1名と民間人1名を負傷させたと発表した。 警察によれば、11人からなる武装した集団がバウカウのファトゥレティ地区にあるルイス・ダ・コスタ曹長の家を、水曜日夜襲撃して彼を殺害し、ジョゼ・ディアスという兵士とそこにいた民間人1人を負傷させた。集団は刀やライフルで武装していた。
 またインドネシア軍はファリンティルが日曜日にボボナロで3人の兵士を殺害し、1人の兵士を負傷させたと非難している。
 一方、国連支援団のスポークスパーソンは、インドネシア軍司令官たちの抗議に対して、「私は国連を代表しているのであって、私が報道機関に伝えたことは有効であり、また現場の事実にもとづいたものだ。プレス・リリースの内容は私の責任(の範囲)だ。私は国連の正式な特使であり国連の手続きにしたがって動いている」と反論した。

5月21日
Lusa, Jakarta
和解会議、ジャカルタでまた

 マヌエル・カラスカラォンは、統合派・独立派両者の和解会談がジャカルタで6月 14日に行われることを明らかにした。この会談は20日(木)のヨスフィア情報相とシャナナの会談で決まった。
 一方、ヨスフィア情報相はシャナナの国外移動を許さなかったが、外国から東ティモール人指導者が来ることを許すことにした。彼らの安全はインドネシア政府が保証するという。時期については明言をさけたが、8月8日よりは前ということらしい。

5月21日
Lusa, Jakarta
2人の容疑者がつかまる

 16日(日)にあったとされる東ティモール民族解放軍によるインドネシア軍兵士の殺害・負傷事件について、その容疑者2人がインドネシア派の青年たちによって警察に突き出された。
 二人はアイレウのバス・ステーションでつかまったが、手榴弾とナイフ、書類をもっていたという。彼らは警察に突き出され、尋問を受ける。

5月21日
Lusa, Macau
ポルトガル外相、インドネシアの合意不遵守に懸念

 21日(金)マカオでポルトガルのガマ外相は、インドネシアが国連合意を「尊敬していない」ことについて懸念を表明した。外相はすでに国連事務総長に対しインドネシアが合意を遵守するようすべての必要な措置をとるよう要請したとも語った。そしてポルトガルは脅迫・迫害といった環境の中での投票実施は受け入れないと述べた。
 「われわれは茶番劇を承認するつもりはない。真の意見聴取のみを支持する。インドネシアは、民兵をつかって脅迫によって意見聴取を行うことで、国際社会と国連を欺くことができるなどという幻想を抱くべきではない」 と強い調子で語り、アラタス外相にはインドネシア軍を説得するよう求めた。

5月21日
ロイター、ジャカルタ
インドネシアによる一方的投票日変更

 21日(金)インドネシア政府は一方的に突然、投票日を1日繰り上げると発表した。理由は8日が日曜日でキリスト教では安息日にあたるため、それを尊重するというものだ。
 しかし国連のスポークスパーソン、マノエル・デ・アルメイダ・シルバは、国連はインドネシア政府の発表を無視し、投票を予定通り8月8日に行うと述べた。
 「事前には協議はなかった。合意された元々の日程でやっていく」と彼は言った。
 ポルトガルのガマ外相も、日程は国際条約に記されており、一方的に変えることは出来ないと語った。

5月22日
Sydney Morning Herald, Dili
人権高等弁務官特使、軍の中立性に疑問

 ディリを訪問している国連人権高等弁務官特使のソリ・ソラブジー氏は、「私が受ける報告はどれもみな、元気づけられるようなものはない。(インドネシア軍は)統合派集団をひいきしており、ただひとつの観点だけを支持していると人々は感じている」と言った。
 自治を唱道する横断幕がたくさん掲げられているのに、独立を唱道するものがひとつもないというのは奇妙だ、とも言った。
 また統合派武装集団による最近の脅迫については、「これらの声明は非常に挑発的で、ほとんど独立に投票すれば報復を受けると言わんばかりだ。しかしこれに対して何の対応もなされておらず、それが困ったことなのだ」と語った。
 さらに「もしインドネシアの法律が武器携帯を許さないものなら、警察と軍隊の目の前でその法をおかす者たちを逮捕するのに何の困難もないと思う」と言って、武装集団が免責状態になっていることを批判した。

5月22日
Sydney Morning Herald
国連、被害者優先的態度を弁明

 国連の高官は、国連の東ティモール支援団が独立支持グループに対してバイアスを見せているというインドネシアの主張はあたっているとしながらも、それはインドネシア派武装集団から民間人を守るために必要だと語った。
 国連は、国連の行動が東ティモールがインドネシア領内の自治州案に反対するようしくまれているとか、ファリンティルの攻撃を無視しているというようなインドネシア外務省の主張は正しくない、と述べた。
 また国連は東ティモールにおけるインドネシア軍の行動を調査する権限がないとか、村々を事前に通告なしにおとずれることはできないといったインドネシア外務省の主張も拒否した。
「こうした訪問こそ、事務総長が判断をくだすにに必要な種類の調査だ」と語った。 そして「武装した民兵が、たとえそれが独立派の民間人であろうと、民間人を攻撃しているのと、ファリンティルが武装した兵士を攻撃しているのをまったく同列に見ることはできない。この二つのあいだには明らかに質的な違いがある。ある程度は、われわれは武装した民兵問題についてはバイアスをもっている。しかし、東ティモール人が十分に情報を提供され自由な投票を行えるチャンスをえるという好ましい結果を作り出すことに照らして、バイアスがかかっているとは誰もいえないはずだ」と語った。
 国連はインドネシア軍の民兵訓練について、インドネシアに正式な抗議を行うことはないだろう。
 国連高官たちは外交的にこの問題にあたろうとしている。しかしコフィ・アナン事務総長は、月曜日には、安保理に報告しなければならない。おそらく彼はインドネシア軍が虐殺を防止できないでいることについても懸念を表明するだろう。

5月20日
MateBEAN
統合派、国連スポークスパーソンを非難

 統一・民主主義・正義フォーラムの議長で統合派部隊司令部参謀のヘルミニオ・ダ・シルバは、19日(水)、ディリで、国連支援団スポークスパーソンのウィムハースト氏の活動は三者会談の決定から逸脱していると非難した。
 「(アタラ村への)一行の中に、東ティモール大学の独立派の学生が通訳でいた。それは統合派を不利にするものだ。これまで、外国人の存在はいつも独立派の連中が操作をするのに利用されてきたからだ」

5月24日
ロイター、ジャカルタ
アラタス、投票日変更釈明

 アラタス外相は、ムラディ法相の投票日変更アナウンスは、インドネシアの国連・ポルトガルへの提案であり、決して一方的に決めたことではない、と釈明した。やはり理由はそれがキリスト教の安息日にあたるからというもの。
 一方、統合派リーダー、バジリオ・アラウジョは、海外の東ティモール人指導者、とりわけラモル・ホルタがシャナナを訪問することに反対すると述べた。 

5月24日
Indonesia Observer
人権高等弁務官特使、人権団体と会う

 ソリ・ソラブジー特使はヤヤサン・ハックのアニセト・グテレスと昨日会談した。

5月20日
Australian Financial Review
準軍組織メンバー7人逮捕か?

 アラタス外相は昨日、インドネシア軍・警察が準軍組織を取り締まるために何もしていないとの批判に応えて、マヌエル・カラスカラォン氏宅襲撃事件のあと、7人が逮捕されていると語った。詳細は明らかにされていない。

5月24日
Dow Jones Newswires
シャナナ、和解会議を提案

 24日(月)シャナナは6月14日頃にバリかジャカルタで、統合派・独立派をまじえた和解のための会議を行いたいとの意向を明らかにした。

5月24日
Dow Jones Newswires
国連、武装解除を要求

 ソラブジー特使は、すべての東ティモール人が国連監督下でインドネシア警察に武器を渡すという案にハビビ大統領が同意したと語った。

5月25日
Sydney Morning Herald
ダウナー、ハビビに反論

 ダウナー外相がインドネシア軍が統合派武装集団を支えている点について批判したことにつき、ハビビ大統領が証拠があるなら示すべきだと反論していたが、ダウナー外相はさらに、それに反論を行った。
 「われわれは繰り返しインドネシア政府に対しこの点については申し入れた。彼らはわれわれの立場を知っている。ハビビ大統領だって、それらのやりとりの記録のことを知らないはずはない。しかしながら、われわれは、メディアを通じてではなく、政府のチャネルを通じてインドネシアとの関係を続けていくつもりだ」と語った。

5月25日
Sydney Morning Herald
ウィラント、軍に責任はない

 アラタス外相は、ウィラント司令官を訪れ、ディリにいるジャーナリストたちが書いた記事のコピーを見せて「彼らが書いているものを見てくれ。なぜこうなるんだ」と言ったら、ウィラント司令官はそれらの記事を信用しない、部下にチェックしてみると答えたと語った。
 アラタス外相は「ひどいことがおきていないと言っているのではない。それは起きている。しかしわれわれはそれを克服しようと努力しているのだ。しかし双方に責任があるのであって、お互いに闘っている。お互いに挑発している」と語った。

5月25日
Sydney Morning Herald
オーストラリア警察、さらに募集

 オーストラリア連邦警察はすでに50人を3ヶ月の東ティモール派遣のために選んだが、その後、さらに100人を募集していることを明らかにした。
 これは第2派遣団、第3派遣団を想定してのことで、投票後もさらに6ヶ月の派遣を継続して行うつもりらしい。
 1994年国連のハイチでの平和維持に参加して以後初めて、オーストラリア連邦警察は武装する。連邦警察は1964年以来、約2000人が7カ所の紛争地域で平和維持活動に従事してきた。警察側は、平和維持に参加した場合、軍人と同程度の年金と障害などの場合の医療補助を求めている。
 国連文民警察協会オーストラリア支部長のデニス・パーシー氏は、「東ティモールはもっとも危険な任務のひとつだと思う」と語った。

5月25日
Sydney Morning Herald
国連カーゴ、到着

 24日(月)最初の国連輸送機がバウカウ空港に到着した。ロシア製のイリューシン 76が25トンの通信機材、備品などを運んできたのだ。
 一方、バウカウのバジリオ・ド・ナシメント司教は、統合派武装集団による暴力が蔓延していると語った。
 「独立運動はもはやなくなった。インドネシア軍がその存在を許さないからだ。一番重要なことは自由な環境をつくることで、これは国連だけが保証することのできるものだ」と司教は語った。
 司教はまた、インドネシア派武装集団が投票はインドネシア内自治を認めるための形式にすぎないと説明して回っており、住民はそれに混乱していると語った。
 そして独立運動家たちは彼の住居から殺されるのを恐れて出ようとしない、とも語った。
 司教は、もし自由な雰囲気があれば、住民は独立に投票するだろうと語った。 バウカウの正義と平和協議会のイリディオ・グスマオ氏も「バウカウでは心理的な迫害はあるが、武器によるものはそれほどではない。どの家も紅白旗(インドネシア国旗)をかかげているが、それは生きるためなのだ」と語った。
 バウカウ空港では、国連派遣団の安全保障担当補佐、イアン・ヤング氏が「ニューヨークと直通の線をもつことになる」と語った。

5月24日
AAP, Jakarta
マヌエリト殺害犯人逮捕

 東ティモール警察署長ティンブル・シラエン大佐(警)は今日、先月17日(土)にマヌエル・カラスカラォンの息子マヌエリトの殺害に関わったとされる6人を逮捕したと発表した。
 マヌエリト殺害の容疑者によれば、統合派武装集団のリーダーエウリコ・グテレスに指示されたと言う。グテレスはそれを否定している。警察は彼らを刑法にしたがって訴追する予定だ。
 また警察は、4月6日のリキサ教会襲撃事件に関連して15人を逮捕した。
 一方、エルメラでは11人の独立派の住民が逮捕された。集団埋葬地で10人の遺体が発見されたことに関連してのことだ。ただこれについてはティンブル大佐は、「まだ十分な証拠がなく容疑者かどうか決定していない」と言っている。
 さらに警察は4月9日と10日のディリでの事件についても、10人を尋問しているが、まだ容疑者が確定していない。

5月24日
AAP, Jakarta
文民警察の権限など

 アラタス外相は今日、文民警察について、逮捕や武力を行使する権限はないと語った。ただ武器を携帯することが許されるかどうか、まだ検討中だとも語った。

5月24日
BBC Summary of World Broadcasts
Al Pais, Madrid, 21 May 1999
ホルタ、スハルトをピノチェト風に訴追

 ジョゼ・ラモス・ホルタはスハルトをジェノサイド(民族虐殺)の罪で逮捕し、彼の莫大な財産を差し押さえるための訴訟の準備を進めている。すでに3人のノーベル平和賞受賞者、オスカル・アリアス(コスタリカ)、リゴベルタ・メンチュ(グアテマラ)、アドルフォ・ペレス・エスキベル(ブラジル)かの賛同を得、スペイン、米国、英国、オーストラリアの弁護士たちが準備に入っているという。「難しいケースになるだろうが、われわれは21世紀を独裁者の免責に対する闘いで幕を開けたい」と語った。

5月22日
Deutsche Press-Agentur
インドネシア軍は偽札を使っている

 シドニーの東ティモール人コミュニティーの担当をしているアントニオ・アルベス神父は、東ティモールから戻り、今日、インドネシア軍が偽札を統合派武装集団に与えていると語った。そして同じ通し番号のついたルピア札を報道関係者に見せた。 

5月14日
Publico, Jakarta
準軍組織リーダー、シルバ・コスタのインタビュー

 ヘルミニオ・ダ・シルバ・コスタ(Herminio da Silva Costa)は最近、戦闘的な統合派武装集団の指導者のひとりとして急浮上している。アメリカの記者によると、彼はインドネシア軍から独立派殺害の許可をもらったと豪語している。彼はその後そうは言っていないと否定しているが、本紙(プブリコ)とのインタビューでは、自分が武装集団をつくり、どんな命令でも出せると語っている。

本紙:インドネシア軍が独立派殺害の許可を出したのはいつか。
コスタ:私はそんなことは言っていない。私はアメリカ人の記者が雑誌にそう書いたのは知っているが、それは正しくない。
本紙:アラン・ネアンとは実際にしゃべったのか。
コスタ:何回かしゃべった。彼はアメリカ人だとは言っていたがスペイン語を使っていた。彼はスペイン語で質問し、私はポルトガル語で答えた。だから彼は誤解したのだ。
本紙:彼に何と言ったのか。
コスタ:東ティモールの状況、フレテリンの攻撃からどう身を守って来たかだ。
本紙:ネアンはあなたを13ある民兵組織のリーダーだと書いているが。
コスタ:正しくない。リーダーはジョアォン・タバレスだ。
本紙:あなたの地位は。
コスタ:私はいつも背後にいた。1998年8月、インドネシア軍・警察が東ティモールから撤退すると聞いたときに、自己防衛のため民兵組織を作り始めた。
本紙:つまり民兵組織の設立者のひとりだということか。
コスタ:そうだ。
本紙:あなたの民兵組織との関係は。
コスタ:影響力があるとだけ言っておこう。ほとんどすべての司令官を知っており、命令を出すことができる。
本紙:どういう命令か。
コスタ:あらゆる種類の命令だ。
本紙:ディリ攻撃の命令もしたか。
コスタ:していない。あれは誤解から生じた失敗だった。
本紙:誤解とは。
コスタ:あの日曜日、市場で問題が発生した。独立派の活動家が何人かあらわれ、われわれの支持者を攻撃した。その結果、フレテリンがディリを占拠したとのうわさが広がり、民兵組織の司令官たちが私に攻撃すべきかどうか電話をかけてきた。私はこれはうわさでありだめだと言った。しかしリキサからの民兵は私に電話をかけず、許可もないのにディリにやってきた。われわれは最初の5台のトラックを止めようとしたが、他の連中がディリに入った。彼らがまちがいをおかしたのだ。だから彼らは今武装解除されている。
本紙:リキサの民兵は武装解除されているのか。
コスタ:そうだ。2時の時点でね。
本紙:誰によって。
コスタ:われわれとインドネシア軍だ。
本紙:アラン・ネアンはあなたがディリ攻撃の責任者だと言っているが。コスタ:それはうそだ。私はジャカルタにいた。
本紙:リキサで民兵組織が教会を襲撃し、50人を殺したのは疑いようのない事実だ。
コスタ:民兵組織は教会を襲撃し2人を殺害した。彼らはこちらの3人を前日に殺していたのだ。これは戦争だから、われわれはあまり騒がなかった。攻撃されたから攻撃したまでだ。しかしわれわれの知る限り、死んだのは2人だけだ。
本紙:しかし50人以上死んだとの目撃証言がある。
コスタ:私が知っているのはわれわれの側の3人とフレテリンの2人だけだ。
本紙:民兵組織が民間人を襲撃していると言われているが。
コスタ:フレテリンはこの23年間、統合を支持する者たちを攻撃してきた。今、フレテリンは協力者とともに統合派の者たちをターゲットにして攻撃している。われわれは単に防衛しているだけだ。そして虐殺があったなどと言っているのだ。問題を起こしているのは彼らの方なのに。しかし彼らは今やわれわれのわなにはまったのだ。
本紙:わなとは。
コスタ:彼らは独立がもう確実だと思って、森から出てきてディリとバウカウにやってきた。彼らは今やこの二つのポケットに入ってしまって、森には誰も残っていない。
本紙:もし森に誰も残っていないのなら、どうして彼らは民兵組織を攻撃できるのか。コスタ:これら2つの町には彼らは細胞(地下支援グループ)をもっていて、フレテリンは住民にわれわれを攻撃するよう命令するのだ。そして反撃がなされる。しかし彼らは今や(われわれの)コントロール下にある。
本紙:CNRTはファリンティルが解散したことを否定している。彼らはシャナナの命令をまっている。
コスタ:じゃあ、出てきてもらおう。
本紙:住民投票のキャンペーンにあなた自身も参加するのか。
コスタ:われわれは平和と対話を支持する。われわれはシャナナに何度も対話を呼びかけた。住民投票ではある者は勝ち、ある者は負ける。そして平和はやってこない。
本紙:あなたは(住民投票に)反対なのか。
コスタ:ここで重要なことは人々だ。政治家ではない。苦しむのは人々だ。政治家は数えるほどしかおらず、彼らは自分たちの利益を求めている。だからわれわれは対話を望んでいるのだ。戦争を終わらせるには対話で合意に達するしかない。ジョゼ・グスマォンはわれわれに話をすべきだ。もし合意が達成されれば、われわれは51%の勝利を受け入れる用意ができるだろう。彼らは49%をとったかも知れない(意味不明)。
本紙:それはどういう意味か。
コスタ:未来の(自治)政府の議会の議席のほとんど半分を彼らにやるという意味だ。本紙:もし住民投票の結果が独立と出たら。
コスタ:もし住民投票が行われても、90%がわれわれを支持するだろう。ジョゼ・グスマォンとの合意で51%の勝利などというのではなく、90%の勝利をおさめるのだ。
本紙:人々が自治を拒否する可能性はないのか。
コスタ:ない。しかしもしそうなれば、プロセスはさらに今後23年間続くことになる。なぜなら新たな選挙が行われ、戦争が続くからだ。だからわれわれはジョゼ・グスマォンに対話を求めている。ポルトガルの大統領、首相にも彼に説得をしてもらいたい。対話しか平和への道はない。
本紙:どうしてシャナナのことをジョゼ・グスマォンと呼ぶのか。
コスタ:彼の洗礼名がそうだからだ。シャナナというのはゲリラ名で、敵をゲリラ名で呼ぶことはありえない。
本紙:あなたのゲリラ名は。
コスタ:アフォネソだ。
本紙:それはどういう意味か。
コスタ:ポルトガル語の訳語はない。太陽を引きずりおろす、太陽を動かすことのできる男、といったような意味だ。つまり何でもできる男ということだ。

5月25日
Lusa, Washington
国際東ティモール連盟、事務総長に書簡

 国際東ティモール連盟(IFET)は、現在の東ティモール支援団ではインドネシア派武装集団の暴力をやめさせられないとして、平和維持軍の派遣を要請する手紙を国連事務総長に送った。
 IFETは19カ国の東ティモール支援活動家たちによって構成される。
 [東チモールに自由を!全国協議会はIFETのメンバーです。]

5月25日
Lusa, Jakarta
国連支援団長、ジャカルタへ

 東ティモール支援団長イアン・マーティンが木曜日(27日)にジャカルタに到着する。2日間滞在し、ディリに向かう。

5月25日
Lusa, Lisbon
準軍組織、ディリで活動再開

 独立派活動家のダビド・シメネスが電話でルサに語ったところによると、24日(月)統合派準軍組織がディリの4つの地区でジョアォン・ブラスという名前の独立派活動家をつかまえようと地区を封鎖するなどしている。
 国連東ティモール支援団のメンバーはルサに、支援団も事件がおきるだろうとの警告を受けたが、それからさらなる情報はない。
 ディリの住民によると、準軍組織はマスクをかぶりピストル、伝統的武器などで武装して、ピテ、スリkマス、デルタ・コモロ、ファトゥメタの4地区を包囲して、住民の地区への出入りをチェックしている。人々には家の中にいるように命令している。
 この準軍組織の行動は4発の発砲が聞こえたのちに起こっており、インドネシア軍がこれらの準軍組織を支援しているようだとその人は語った。

5月25日
ソリダモル
東ティモールから学生たちが避難

 東ティモール大学工学部の学生数十名が、現地の情勢不安を理由に西ティモールのクパンに避難した。学生たちのほとんどは東ティモール出身者ではないが、奨学生のころから東ティモールにいた者たちが多い。これによって西ティモール方面への難民は6690人になった。

5月25日
UDT Media Release
マヌエリト殺害犯人逮捕の報を拒否

 インドネシア警察がマヌエリト殺害の犯人を逮捕したという主張を拒否する。インドネシア警察はエウリコ・グテレスを逮捕しただろうか。エウリコ・グテレスと彼の仲間たちこそ、カラスカラォン家を襲撃し、マヌエリトを銃で脅し、家を破壊した者たちだ。
 「マヌエリトは数分後にこのことを電話で私に話してくれた。その10分が15分後にエウリコたちは再び家を襲撃し、マヌエリトの足を撃ち、引きずり出し、斬り殺した。エウリコを逮捕して初めてインドネシアは真剣にやっていると言える」 マヌエリトのおばにあたるガブリエル・カラスカラォンは言った。

5月13日
Publico, Jakarta
エウリコは逮捕すべきだ

 インドネシア政府の東ティモール問題担当移動大使、フランシスコ・ロペス・ダ・クルスは昨日、エウリコ・グテレスの逮捕、起訴に賛成との意見を明らかにした。 「インドネシアの法律は遵守しなければならない。4月21日の和平協定によれば暴力をふるったものはすべて逮捕されることになっている」
 そう彼は言った。
 彼の東ティモール統一戦線(East Timorese People United Front)は13州の指導者を集めているが、彼は武装集団の暴力については常に非難してきたと言う。「だから、統一・民主主義・正義フォーラムはわれわれの戦線には入っていない」ということらしい。
 暴力をふるったすべての者の中にエウリコ・グテレスは入っているかとの本紙の問いに対して、ロペス・ダ・クルスは「そうだ、エウリコ・グテレスは逮捕し判決を言い渡す必要がある」と答えた。

5月26日
Sydney Morning Herald
写真が語る暴力の歴史

 カトリック正義と平和委員会のバウカウ支部長イリディオ・グスマォンの写真アルバムにあるひとりの男は顔がない。今年3月に拷問され殺されたが、殺される前に顔は「取り外された」(首を斬られた?)のだ。独立支持者とみられるが、尋問した者もわからない。
 第2のケース。5月19日4人のインドネシア軍特殊部隊の隊員がバウカウのある家に入り男を殴った。殴られたのは745大隊のかつてのメンバーでルイス・ダ・コスタ軍曹。
 彼はそとへ引きずり出され、半自動ピストルで処刑風に背後から首を撃たれ、死亡した。妻は助けを求めて走って逃げた。ダ・コスタは5月13日にバウカウでおきた特殊部隊兵士との銃撃戦を行った部隊に関係があったのかも知れない。
 軍人同士のライバル対立、さら745大隊の兵士たちに向かってミニバスの屋根から降りるよう命令しようとした特殊部隊のインフォーマントが粗雑な扱いをしたとの訴えがあって、それが事件を引き起こしたと信じられている。
 グスマォン氏によると、ハードライナーの(頑固な)ディリのアイタラクを最近バウカウ方面のティム・セラとティム・サカの2つの準軍組織が追い払うという出来事があった。その時、エウリコ・グテレスはビケケへやってくるのに軍のヘリコプターを使わなければなからなかった。
 この2つの準軍組織は1970年代のアポデティとUDTにまでさかのぼる。 グテレスの極端なやり方は、バウカウの穏やかな自治支持派からは歓迎されていないとグスマォン氏は語る。
 25日(火)スアラ・ティモール・ティムール紙は警察がリキサ近くの海岸である警官の頭・足なし死体を発見したと報道した。警官はアルベルト・オリベイラで13才のおいを連れてリキサにバイクで向かっていた。おいは行方不明だ。
 また24日(月)に65才のコーヒー農家で頑固な自治派のボアベントゥラ・ドス・サントスが殺されたが、犯人は独立派の兵士だと非難されている。

5月26日
Indonesian Observer
ベロ司教、投票は日曜でいい

 インドネシア政府が投票日を8月7日に変えたい理由として、東ティモール宗教界がそう命じたなどと言っていることについて、ベロ司教は、そうした提案はしていないと語った。
 ベロ司教は自分とナシメント司教が日曜日を投票日としないように提案したなどと書いた記事をみて驚いたと言う。
 「カトリック教徒もプロテスタント教徒も投票の前に教会に行くだろうから、それが日曜であろうと関係ない」とベロ司教は語った。

5月26日
ロイター、ディリ
ある援助関係者:5%がすでに難民だ

 26日(水)匿名希望のある援助関係者は、8月の投票に向けてすでに住民の5%が難民となっていて、援助機関の手の届かないところにいると語った。
 その援助関係者によると54000人が家を追われ、インドネシア派の準軍組織がやっているキャンプに入れられている。36000人の難民は東ティモールの西部にいて準軍組織に食糧を完全に依存している。そして治安が悪いため、彼らに援助の手をさしのべることはできない。

5月26日
AFP, Jakarta
イ軍が訓練していたのは人民治安部隊

 アラタス外相は、国連チームが20日に目撃したというインドネシア軍による民間人の訓練は、カムラ・ワンラという人民治安部隊のことだと述べた。
 カムラ(Kamra)とは人民治安部隊(People's Security force)のことで、警察の補助的防衛団となる民間人のことである。
 アラタス外相はインドネシア軍は統合派を武装してはいない、彼らは自分で武器を手に入れていると語った。

5月26日
Deutsche Presse-Agentur, Dili
国連、自治派に警告

 国連支援団は自治派グループに自治についてのキャンペーンはキャンペーン期間が始まる前にはやってはいけないと警告した。国連支援団のことを自治推進派だとするような宣伝がなされていたことに国連は懸念を表明していた。

5月25日
BBC Summary of World Broadcasts
[Jawa Pos web site, 25 May 1999]
法相:国連は投票を「オブザーブ」するだけ

 昨日、ハビビ大統領は東ティモールにいるすべてのインドネシア国民は警察に武器を明け渡すよう呼びかけた。武器の明け渡しは国連文民警察官が監督する。
 またムラディ法相は、国連のオブザーバーは「オブザーブ」するだけであり、モニターするわけではないとくぎをさした。またムラディ法相は、アラタス外相とのいいあいにまで発展した投票日問題で、投票日はすでに8月7日に変えられたということをあらためて強調した。しかし、投票日は協定に書かれている項目なので国連とポルトガルと交渉する必要があるだろうとも語った。[いったいどっちなのだ!]

5月27日
Sydney Morning Herald
国連:警官は銃を携帯せず

 国連は文民警察官は武装しないとの伝統があり、今回も銃など携帯することは計画されていない。しかしオーストラリアと米国から、銃を携帯できるようにとの声があがっている。まだ正式には国連にもその提案は出されていない。

5月27日
BBC Summary of World Broadcasts
[Radio Australia, 26 May 1999]
ディリ周辺に数千の難民

 ディリ周辺には推定で12000人の難民がいる。みな民家やキャンプにひそかに暮らしている。人道団体は援助物資の配給ネットワークをひそかにつくりあげている。

5月26日
インターネット情報
西ティモールの状況

 西ティモールを含む東ヌサ・トゥンガラ州全体には東ティモールからの避難民が 8000人ほどいるようだ。
 西ティモールのベルという国境近くの地域では紅白鉄隊が自由に動き回っており、時にはインドネシア軍のエスコートを受けている。彼らは東ティモールからの独立派の難民を見つけては、東ティモールに送り返し、殺したりしているようだ。
 紅白鉄隊のメンバーは月々25万ルピアもらっているほか、敵の首をひとつとれば 200-500万ルピアもらえる。ベシカマ村では紅白鉄隊は土地のインフォーマントをやとって独立派の避難民1人を見つければ25万ルピアをやっている。
 また紅白鉄隊がもらっている金は偽金だとの確認できない情報もある。

5月25日
Radio Renescenca, Lisbon
警官の数が不十分

 CNRTディリ事務所のダビド・シメネスは2万のインドネシア軍がいる状況では280人の文民警察官ではまったく不十分で、3000人は欲しいと語った。

5月28日
ソリダモル
統合派武装集団の計画

 東ティモール女性連絡協議会(Fokupers)が統合派の人物からある文書を入手した。それは統合派武装集団の今後の計画が書いてあるもので、統合派は最後まで独立派を攻撃し続けるつもりのようだ。統合派武装集団の計画とは以下の通り。

●インドネシア軍とインドネシア情報局(Bakin)の協力をえて独立派のリストが「レッド・ブック(赤本)」としてできあがっている。8月の投票の結果自治が拒否されるようであれば、彼らをみな殲滅する。
●独立派が勝利した場合、ただちに大量虐殺を行う。
●統合派武装集団はインドネシア政府から3210億ルピアを資金として受け取った。
●統合派武装集団はモタ・アイン地区(国境付近)で日野のトラックを数台、1500丁のライフル、14セットのトランシーバー(コロラ製)、手榴弾、ピストル、バズーカ砲などを受け取った。
●インドネシア軍はクパンの空軍基地を統合派援護の拠点と決定している。
●インドネシア軍の兵士たちが軍籍を離れて、統合派武装集団に合流するつもりでいる。(自治案が拒否された場合。)
●統合派武装集団の勢力は5000。
●統合派は和解会議の第2回会合を拒否する。
●8月に東ティモール大学が登録を開始した場合、統合派も2000人を学生として送り込む。

[注:こうした文書が本物かどうかというのは吟味が必要。この文書であやしいのはまずBakinというえらく古くさい情報部が登場していること。さらにはインドネシア政府からもらった額などがあからさまに書いてあること。]

5月28日
Lusa, Lisbon
ポルトガル、移行期間用予算を決定

 ポルトガル政府は27日(木)216億エスクード(1億1500万ドル)の東ティモール移行期間用予算を承認した。この援助計画のコーディネーターはビトル・ベリシアス師がつとめ、彼は外務次官の地位を与えられる。
 またポルトガルのオブザーバー・ミッションの長として、国連代表部のナンバー2(公使?)、ジョゼ・ジュリオ・ペレイラ・ゴメスを指名した。

5月28日
Lusa, Dili
新たなインドネシア軍作戦

 ダビド・シメネス(CNRT)によると、バウカウ近くのブイバル村でかなり大きなインドネシア軍による作戦が行われ、一人が殺され、一人が負傷した。
 ディリの警察筋はブイバルでの出来事を確認し、マナトゥトゥ近くで老人が一人インドネシア派武装集団によって刺し殺されたと言っている。

5月28日
IPS, United Nations
米、手続き遅れ

 クリントン政権が文民警察官の派遣に議会の承認が必要なことから、国連の文民警察の東ティモール派遣が遅れる可能性がでてきた。
 ソマリアでの失敗の後、クリントン政権は平和維持の意味合いをもつ警官などの派遣について、議会の承認をえなければならないという大統領の指示(1993年)が出されている。議会の承認をえるにはその2週間前には提示しなければならない。
 もし手続きが遅れれば投票日程にも影響を与えかねないと国連高官は心配している。 ヒューマン・ライツ・ウォッチのシドニー・ジョーンズは「この法律があることは非常に不幸だ」、1日でもはやく行かないと全体のプロセスが危険にさらされると語った。

5月28日
AFP, Jakarta
東ティモール人青年がローカル・スタッフに殺到

 アンタラ通信社が28日(金)報じたところによると、数百人の東ティモール人青年がジャカルタの国連事務所に殺到した。4000人を雇うという東ティモール支援団のローカル・スタッフに応募するためだ。国連スポークスパーソンのウィムハースト氏は、独立派であれ統合派であれ、国連を支援する者は歓迎すると述べている。

5月28日
AAP
バウカウの事件、1人死亡

 バウカウで青年が1人インドネシア軍に射殺された。 ジュリオ・カエタノ・シメネス(15才)は宗教的な行列に参加していたが100人以上のインドネシア軍兵士に取り囲まれたため逃げたところを、背後から撃たれ、頭を撃たれて死亡した。
 重傷者が2人、4人がバウカウの軍司令部に連れて行かれた。 家族によると、バウカウの南5kmの地点でインドネシア軍と機動隊(警察)が作戦を行っていることと関連しているとしか考えられない。

5月29日
Sydney Morning Herald
ヨスフィア、バリボ攻撃指揮を認める

 ユヌス・ヨスフィア情報相はデビド・ジェンキンス(シドニー・モーニング・ヘラルド記者)に1975年のバリボ攻撃を指揮したと語った。しかしオーストラリアの記者は見なかったと語った。
 オーストラリアの元国立犯罪局の議長、トム・シャーマンによる事件の報告書では、ヨスフィアを作戦を指揮した可能性がもっとも高い軍人とだけ記述していたが、本人が初めて認めたことになる。
 ヨスフィアはバリボ攻撃ののち10日間か2週間ぐらいそこに滞在した。しかしその間、ジャーナリストの姿は見ていないし、また殺害の報告も聞いていないという。

5月28日
East Timor Human Rights Centre, Melbourneアタラ村の被害について

 メルボルンの東ティモール人権センターがアタラ村の犠牲者のリストを発表した。また21人の失踪者のリストもついている。
 新聞などによると、5月16日にエルメラ県アツァベ郡アタラ村で、住民が朝のミサをしようとしていたところを、襲撃された。村人たちはコーヒー農園の方へ逃げて、そこで何人かが殺された。また5人の家が放火された。
 犯人はティム・パンチャシラで、インドネシア軍が攻撃を援助していたとの証言がある。

5月29日
ロイター、コトラウ(東ティモール)
統合派:独立ならば内戦だ

 東ティモールの地方議会の議員をつとめるリカルディノ・サルメント・ドス・リオスは、ディリから12km南に位置するコトラウの村での統合派の式典で、「独立がやってくれば、内戦もやってくる。君たちは8月8日は正しく投票しなければならない」と演説した。
 式典の参加者約20人は血と酒のまじった飲み物を飲んで、インドネシアとの統合を宣誓した。
 国連は政府役人がかかる身分で投票キャンペーンに参加してはいけないとしているが、この土曜日の式典には県長、県警察の署長、県レベル軍司令部の司令官が参列していた。
 県長のスプラプト・タルマン(ジャワ人!)は「われわれは紅白旗を一緒に維持しなければならない」と150人の聴衆を前に演説した。そして「自治派が勝てば、それへの賛成者であろうと反対者であろうと、私は彼らを保護する。しかしもし自治派が負ければ、何が起こるかはわからない」と語った。 
 そしていかなる暴力も許さないとも語った。「外からの宣伝に気をつけなければならに。もし挑発者を見つけたら、殺してはいけない。争ってもいけない。警察に報告するのだ」

5月30日
UDT Media Release
特殊部隊の国連スタッフ暗殺計画

 東ティモールの抵抗勢力の指導者たちは、インドネシア軍特殊部隊が、国連スタッフが東ティモールの村落部で行ったとき彼らを暗殺し、それをファリンティルのしわざとみせかける計画をもっているにちがいないと考えている。
 東ティモール内の指導者たちによると、すでに特殊部隊の隊員25人と地域編成部隊の250人が警察になって、東ティモールに上陸しており、国連スタッフに近づいている。
 軍は警察を信用しておらず、警察がCNRT指導者たちをかくまっていることも不快に感じている。

5月29日
Australian Broadcasting Corporation
レアンドロ、自宅に戻る

 4月18日から警察の保護下におかれていたCNRT事務所のレアンドロ・イザークが今日、自宅に戻った。国連が東ティモール警察と協議して、自宅に戻ることが可能になった。

5月30日
AFP, Jakarta
メガワティの発言

 この日曜日に発売された雑誌『タイム』がメガワティの東ティモールに関する発言をのせた。
 「東ティモールは複雑な問題だ。慎重な対応を要する。私はむしろ地域の安定という観点から考えたい」
 「ハビビ政権のまちがいはその突飛な政策にあり、それが解決よりもむしろ問題をつくりだしている」
 「東ティモールでは殺害が増えている。それは最後には国を不安定化させる、とりわけ今わが国が経済危機に直面しているこの時に」 そういって、彼女は東ティモールの投票を「リスキーな」(危険な)政策だと表現した。

[注:彼女の言い方は、ちゃんと原文にあたらないといけないが、軍の論理を反映している。地域の安定、国全体の不安定化、といった用語が中心であるところにそれが見える。彼女はテオ・シャフェイなど東ティモール政策については軍守旧派の意向をかなり受けているようだ。]

5月31日
The Australian
メガワティの周辺

 東ティモール政策について闘争民主党は何をすべきか意見がまとまっておらず、彼女の公の発言を聞いても、彼女が政権をリードしたときどうするかはまるでわからない。
 ハビビ大統領が独立容認発言をした2日後、1月29日、闘争民主党の中央委員会は独立という選択肢を強く非難した。そしてメガワティは「東ティモールのインドネシアとの統合は政治的にも憲法的にも、合法的だった」と述べた。
 しかし彼女の側近であるラクサマナ・スカルディは、国際協定は遵守したいと語った。しかし「国際協定が存在するとしてもそれが実効的かどうかみたい。東ティモールに内戦がおこる可能性もあり、われわれはそれに責任があることになるからだ」とも語った。
 また投票の時期については「早すぎる、クレージーだ」などと言っている。
 オーストラリアの外交官たちは、メガワティは投票をひっくりかえすようなことはしないと保証したと言っている。
 しかし闘争民主党内部の人間は、彼女は受動的な立場をとり、公に国民協議会が何をすべきか言わないだろうと見ている。彼女の決断は選挙の結果によるところが大きい。
 ただ、彼女が勝利した場合、最初のころはインドネシア軍に圧力をかけることはしたくないだろう。彼女の東ティモールについての発言はインドネシア軍の軍人たちへの気遣いからだとも言われており、わざとそうしているのだとの意見もある。
 闘争民主党の副議長で憲法学者でもあるディミアティ・ハルトノは、併合は合法的であり、「投票は無効だ。われわれは交渉をやり直すだろう。自治には賛成だが、分離には賛成できない」と語っている。
 スカルノ時代外相をつとめメガワティのシニア・アドバイザーになっているルスラン・アブドゥルガニは、インドネシアの東ティモール侵略を「第一級の政治的失敗」でありメガワティは単に歴史を理解していないだけだ、とまで語る。

5月30日
Channel 9,SUNDAY Program (Australia)
オーストラリア軍SASによる特殊部隊訓練

 ロス・クルトハート記者はオーストラリア軍のSAS(特殊部隊)がインドネシアの特殊部隊(コパスス)をジャングル戦について訓練している証拠を明らかにした。 その訓練では東ティモール抵抗勢力の元ゲリラを強制して、彼らの待ち伏せ攻撃のテクニックなどを教えさせた。しかし、情けないことに、訓練中の「待ち伏せ」によって二人のSAS隊員が負傷し、ヘリコプターで救援しなければならなかった。
 番組はあるひとりの元ゲリラで政治囚の男がいかにこの訓練に強制的に出させられたかを語っている。
 番組は情報公開法によってオーストラリアが訓練したインドネシア軍兵士について開示を求めたが、国防省はこれを拒否した。これまで政府は、インドネシアとの諜報関係はBAKIN(形式的には文民系の諜報機関、情報調整本部)の高官レベルでしか存在しないとしてきた。
 しかし、ディリでクルトハート記者は、オーストラリアのこの極秘国防諜報機関がインドネシア軍司令部を訪問しているとの証拠をえた。 もしオーストラリアの情報将校がインドネシア軍のもっともセンシティブな作戦本部に入ることを許されているとしたら、オーストラリアはその見返しにいかなる情報を彼らに提供しているかが、当然問題となる。

5月31日
ワシントン・ポスト社説
「東ティモールの警鐘」(Alarm Bells in East Timor)[要約]

 東ティモールは25年近くそのために闘ってきた自決のチャンスを逃してしまうことになるかも知れない。もしそうした結果になれば、その植民地宗主国、インドネシアの責任だ。インドネシア軍は現地のインドネシア派の民兵たちと共謀しているか、あるいは彼らに対するコントロールをなくしているか、いずれかだ。
 インドネシアのような自由と独立のために闘った第三世界の国が、それ自身、植民地主義におちいったことはあまり知られていなかった。また冷戦中、人権と民主的権利のための闘いにおいて、アメリカの重要な地域的同盟国であったこの国が、ティモール人の権利を侵害し続けたことも知られていなかった。
 東ティモールをインドネシアの植民地のままにしておきたいと思う者たちの戦略は、国連による投票を台無しにしてしまうというものだ。それで迫害、暴力、追放、殺害などが起きている。
 インドネシアの介入を利益と考える東ティモール人を代弁する民兵組織がその主な実行者だ。軍はわきで見ているだけ。プロフェッショナルな軍隊としては、不名誉な態度だ。もし状況が改善されなければ、有効な自決行為のチャンスはなくなってしまう。
 ウィラント将軍はインドネシアの東ティモールに対する責任についてはあまりやる気がないようだ。国連はがんばっているが、アメリカ政府の怠慢もあって、荒れ狂う民兵たちに対してより信頼できる国際的なプレゼンスとなるであろう平和維持軍をまかなう資金もなければ、そうしたマンデート(任務)も与えられていない。ポルトガルとオーストラリアが、やがて生まれるこの国の資金をまかなっている。東ティモールは晴れがましい独立の祝杯を受けるに値する。

5月31日
ロイター、ジャカルタ
インドネシア警察、増派

 31日(月)452人のインドネシア警察官がジャカルタから船で東ティモールに向け出発した。警察の発表によると、すでに東ティモールにいる4000人の警察に対し、 2500人がさらに増派される予定だ。

5月31日
ロイター、ジャカルタ
ウィラント、軍事要員賛成

 ウィラント国軍総司令官は31日(月)、国連が東ティモールへ軍事監視要員を派遣することに賛成であると発言し、すでにインドネシア側からその数を45人と提案したことを明らかにした。
 「インドネシア軍は中立を保つ努力を誠実にまた公明正大におこなっており、彼らはそれを直接に見ることができる」
 そうウィラント司令官は語った。

新刊本、ベロ司教(英語)

 アメリカのジャーナリストで東ティモール専門家、アーノルド・コーエン氏によるベロ司教伝が発売されている。コーエン氏はベロ司教のアドバイザーもつとめている。昨年12月に大阪外国語大学で行われた東ティモールシンポジウムにも招待された。

From the Place of the Dead : The Epic Struggles of Bishop Belo of East Timor by Arnold S. Kohen, Dali Lami (sic)

Hardcover - 352 pages 1 Ed edition (May 19, 1999) St Martins Pr (Trade); ISBN: 031219885X

5月31日
AFP, Jakarta
イアン・マーティン、シャナナと会談

 31日(月)イアン・マーティン国連東ティモール支援団長はシャナナと会談した。会談の内容は明らかにされなかったが、治安問題と次の和解会議(Dare-II)について議論したという。

[Dare-IIとはカトリック教会が音頭をとって統合派・独立派の和解をすすめる会議で、第1回が東ティモールのダレで行われた。第2回をベロ司教がオーストラリアで開催したいと言ったのをインドネシアが拒否。ジャカルタか東ティモールでならいいということになり、そのかわりホルタらのジャカルタ訪問を認めるということになった。したがってジャカルタで行われる可能性が濃厚。]


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