東ティモールニュース

1999年3月前半


3月1日
Lusa, Jakarta
国連情報センター、軍派遣を否定

 ジャカルタの国連情報センターは、コンパスが報道した軍派遣について「不正確だ」として否定した。

3月1日
Lusa, Jakarta
フェルナンド・デ・アラウジョ、再び事務局長

 27日(土)に行われた「東ティモール学生抵抗」(レネティル)の会合で、フェルナンド・デ・アラウジョが再び事務局長に選出された。会合の参加者は65人。レネティルはメンバーが1700人いると主張している。
 アラウジョは東ティモールの政治勢力の間の和解が最大の課題だと述べた。

3月1日
Lusa, Washington
米国務省人権報告書

 米国務省人権報告書によると、東ティモールでは1998年の最初の8ヶ月で、37人が超法規的に殺害された。

3月1日
Sydney Morning Herald, Atabae, East Timorジョアォン・タベラス:オーストラリア人外交官を一人殺す

 インドネシア派民間人武装集団のリーダー、ジョアォン・タベラスは200人の集団メンバーに囲まれ、オーストラリアのせいで引き起こされる内戦で東ティモール人が大勢死ぬのを防ぐためにオーストラリア人外交官を少なくとも一人殺害するとの脅迫を繰り返した。
 2000人のアタバエの住民を前に、「できることなら紅白旗(インドネシアの国旗)のもとでオーストラリアと戦争をしたい」と語った。

3月1日
Australian Financial Review, Jakarta
オーストラリアが東ティモールの財政負担を期待される

 アミン・ライス信託党党首はダウナー外相と会見したのち、オーストラリアは東ティモールへの年間1億ドルの援助ができると語った。オーストラリアはパプア・ニューギニアに年間3億5千万ドルを拠出していた。 ポルトガルはガマ外相ができるかぎりの財政支援をするが、最初は国連の枠組みで、次いで二国間で支援すると表明している。東ティモールの行政にかかる費用は年間1億ドルから1億5千万ドルと見られている。

3月1日
AFP, Jakarta
300人のインドネシア人教師がデモ

 3月1日(月)、ディリで約300人のインドネシア人教師が配転を求めてデモを行った。もはや身の安全が確保できないという理由だ。「東ティモール教員同胞フォーラム」(East Timor Teachers' Brotherhood Forum)という名称で集まった教師たちのリーダー、ニコラウス・クンは、「東ティモールで働く教師たちは生徒からも現地住民からもひどく扱われている。他の州への配転を求めている。ここには教師に対する認知も尊敬心もない」と語った。また彼らは、東ティモールに残すことになるであろう財産などについて政府に補償を求めた。
 フォーラムの代表4人はジャカルタでハビビ大統領など政府高官に会っている。同様の要求はディリの病院で働く医師たちからも出されている。

2月27日
ロイター、ジャカルタ
シャナナ、真実和解委員会に否定的

 27日(土)、ロイターとのインタビューで、シャナナは非武装の国際的警察団をともなった国連による移行統治機構という考えを支持した。 またベロ司教が提案した南アフリカ方式の真実和解委員会構想については、過去を忘れ前進すべき時だとして、否定的な考えを明らかにした。「過去は過去だ。未来の世代のために平和を保証しなければならない」と述べた。

2月27日
ロイター、セシンブレ(ポルトガル)
ポルトガル・オーストラリア外相会談

 27日(土)ポルトガルで開かれたオーストラリア・ポルトガルの外相会談の結果、東ティモールの独立への移行をスムーズに行うことで意見が一致した。両国とも移行期の東ティモールに財政的支援を行うことを確認。また、国際的な軍事チームの駐留については、あまり実際的ではないとの意見でも一致した。

2月28日
AFP, Jakarta
バリ人移民が東ティモールから帰省

 28日(日)のアンタラ通信によると、95家族ものバリからの移民が東ティモールを去ってバリに帰省している。(帰省なのか逃避なのか難しいところ。)バリのヒンドゥ教教団職員は、「彼らは逃げて来たのではない。3月17日のパンチャ・ワリ・クラマというヒンドゥ教の大祭のために戻ってきたのであって、その後また(東チモールに)戻る」と言っている。
 しかし移民の一人、マデ・レバは、大祭には参加するおmのの、東ティモールの情勢が安定しない限り戻らないと言っている。彼は妻子とともに13年間も東ティモールにいた。「とにかく、両親も、故郷で暮らすのがいいと言っている」と語る。 アンタラ通信によると、すでに300台のトラックが東ティモールから西ティモールへ向かって家財道具などを運んだという。国境の警備ポスト所長は「先週から荷物を運んでいるのが増えた。毎日50台のトラックが通る」と言っている。

2月25日
BBC Summary of World Broadcasts
東ティモールに日本製地雷が?

 ポルトガルのラジオとのインタビューで、東ティモール民族解放軍司令官、ファルル・ラテック・ラエックは、インドネシア軍がドイツ製、日本製の新たな武器、地雷、爆弾などを導入していると非難した。以下はニュース(英文)の原文。


BBC Summary of World Broadcasts
Resistance warns Indonesia on deploying bombs, mines RDP Antena 1 radio, Lisbon, in Portuguese 1300 gmt 25 Feb 99

[Presenter] The Timorese resistance has accused Indonesia of introducing into the territory German-made bombs and other weapons. The military commander, Falur Ratek Laek [phonetic], told RDP International's programme Timor Loro-Sae about the instability in the territory, particularly in Dili. He warned that if the Indonesian civilian militias continue to act, then the resistance will not just stand and watch.

[Laek] They are arming a considerable number of men, Timorese, our brothers and now with their practices and attitudes they are fuelling and creating confusion, confusion and division among our people and in particular among youths, who are assassinated day after day. So, we, the guerrillas and I, as commander of Region 3, have sent my reservations and my concerns, via means at my disposal, to the military commanders. [Indistinct sentence]. If they insist on creating these divisions, I will not cross my arms and wait for (?everything to be destroyed).

From what I can see in the last few months they have been bringing in new material: bombs, anti-personnel mines and bombs which I believe are explosives of mass destruction, some of them made in Japan. The bombs are made in Germany, navy material which I believe was given by the German government [word indistinct] before Suharto's downfall. I already have in my hands all this materiel, all these products. The bombs, the mines - I don't know - but they have been setting up three machines on the southern coast of our region.

3月1日
 2月26日にヒラリオ神父が誘拐されたとのニュースを流しましたが、その後、彼は元気でいることがわかりました。

3月1日
AFP, Jakarta
マーカー特使、内戦はないだろう

 1日(月)、東ティモール担当の国連のジャムシード・マーカー特使は、内戦のシナリオにはあまり根拠がないと語った。また東ティモール人の意思の確認方法については、シャナナが提案した議会を選挙でつくりそこが採決するという案をひとつの案として検討していることを明らかにした。

3月2日
Sydney Morning Herald, Jakarta
エバンス元豪外相、シャナナと面会

 1日(月)、ガレス・エバンス元豪外相(労働党)はシャナナと面会した。労働党としては初めての面会ということになる。エバンスといえばインドネシアの主権を認めるオーストラリア労働党の政策をフロントで担ってきた人物であるが、シャナナは「当時の歴史的状況」として理解できると和解の言葉をのべた。

3月2日
Fortilos
民間人武装集団のメンバー、メンバーの妻をレイプ

 東ティモールの人権団体「法・人権・正義協会」(ヤヤサン・ハック)が発表したところによると、2月半ば、マウバラ方面で活動している紅白鉄隊のメンバー、マリアノが、あるメンバーの妻を深夜家に訪ね、レイプした。妻と夫の訴えによって明らかになった。
 事件のあった翌日、夫と妻は紅白鉄隊のところへ行き、訴えたが、逆に虐待された。

3月2日
South China Morning Post
インドネシア軍人家族の脱出始まる

 インドネシアの軍人と警察の家族がジャカルタまたはデンパサル行きの軍の定期輸送便の予約を満杯にしている。ハーキュリーズ(輸送機)による週1回の定期便は4月まで予約でいっぱいだ。
 一方、ムルパティ航空はカーゴ便をすでに拒否している。乗客のエクセス・バゲージで一杯という理由だ。(つまりみんな大量の荷物をもって乗っている。)それでも冷蔵庫やテレビを載せてくれと頼む乗客がいる。 インドネシア側の国境の町、アタンブアには5千人用のキャンプ地が設営されている。

2月28日
Bisnis Indonesia
メガワティ、人民主権が最も大事

[メガワティのコメントは東ティモールについての無理解をいつも表しているが、このコメントはやや注目か。]

 東ティモール問題はその州の住民にとっての正義という側面を無視することなく、すべての問い者にとって客観的な基準を通じて解決がはかられるべきだ。また東ティモールの若者たちは自分をインドネシア人と思っており、東ティモールはインドネシアから独立すべきでないと言っている。彼らもまた無視できない。もし無視されるとあっては民主的と言えない。民主党にとっては、人民の主権が最も重要なものだ。

3月3日
Suara Pembaruan
各国大使、次々とシャナナと面会

 3月2日、シャナナはフランス大使、スイス大使、ノルウェー大使と面会の約束があったそうだ。5日はオルブライト国務長官と会う。


3月2日
Lusa, Jakarta
オーストラリア大使、東ティモール視察へ

 4日(木)からジャカルタのオーストラリア大使は、事実調査団を率いて東ティモールを3日間訪問する。

3月3日
Lusa, Jakarta
東ティモールへさらなる軍を投入

 第9軍管区のダミリ司令官は、インドネシア人移民を保護するために東ティモールへの軍の増派を考えていることを明らかにした。

3月3日
BBC Summary of World Broadcasts
(Source: Radio Australia, March 1)
統合派指導者、国連軍監督下の武装解除を提案

 「統一・民主主義・正義のためのフォーラム」(統合派)の指導者バジリオ・アラウジョは、国連が双方の民間人の武装解除を監督すべきだと主張した。またあくまで住民投票には反対で「対話」による解決を主張した。

3月3日
Jane's Defence Weekly
ホルタの治安構想

 ホルタによれば、オーストラリア、フィジ、ニュージーランド、ポルトガルあたりが準軍組織の訓練にあたり、当座の治安管理にあたることができるのではないかということだ。またコスタリカ方式(準軍組織制度、非武装中立?)を採用し、常備軍は置かない、ポルトガルとイスラエルが協力して諜報活動の訓練を行い、小さな国としての国防を効果的に行う、という考えだ。

3月3日
AFP, Jakarta
国連事務総長、コンタクト・グループを呼びかけ

 ユヌス・ヨスフィア情報相は、国連事務総長が東ティモールについてのコンタクト・グループの結成を計画していることを明らかにした。グループには米、日、豪、ニュージーランド、英が入り、必要とあればカナダも加わるという計画だ。 

3月3日
Press Release by Maria Carrion and Allan Nairnシャナナ:米はインドネシア軍人の教育、援助をやめよ

 オルブライト国務長官との会見の前日、シャナナはアラン・ネアンのインタビューに答えて、米国はインドネシア軍人の教育、インドネシアへの武器売買をやめ、インドネシア軍諜報機関が東ティモールから撤退するよう求めるべきだと述べた。彼によれば、米国の軍教育・武器供与は、拷問、殺害、投獄といった東ティモールでの人権侵害に役割を果たした。
 米議会では今週、インドネシア軍人の教育をすべてカットする法案を議会に提出する予定だ。

3月4日
ロイター、ジャカルタ
アラタス外相、民間人を武装している

 オルブライト国務長官と会談したアラタス外相は、会談後の記者会見で、インドネシア軍はインドネシア派のグループを武装してはいない、「人民治安」と呼ばれる民兵組織を復活させているだけだと語った。ただし彼らを選択的に棍棒などで武装していると述べた。火器をもっている連中はインドネシア軍からのものではない、という。

3月5日
The Australian
食糧不足

 東ティモールで米などの食糧が不足している。東ティモールは米をインドネシアの州からの輸入に頼っているが、それもこの2、3ヶ月滞っており、ディリでは2日間米を買うことができなくなっている。
 ある東ティモール人の商人によると、80%の住民が独立を望むと知って罰しているつもりなんだと語った。また政府は公務員と軍人にだけ米を配っているとも言われる。

3月3日
Deutsche Welle, Cologne
ハビビ、住民投票を承諾か?

[ドイツのラジオ放送(英語)だが、他で確認されないニュースだ。]

 3月3日、ドイツのラジオ放送は、ハビビ大統領が総選挙前に東ティモールで住民投票を行うことを承諾するだろうと報じた。ハビビ大統領はドイツの人権委員会委員ゲルト・ポップ氏に語ったそうだ。またポップ氏によると、ハビビ大統領は、ドイツが警察・軍の再編のために専門家を派遣することも了承した。

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 その後のインタビュアーのテープおこし原稿によると、ハビビは、住民投票に反対なのかと聞かれて、「私は住民投票には何の反対もない。ただそれはわれわれの仕事ではない」と答えたということらしい。

3月5日
ロイター、シドニー
1975年ウィットラム首相の書簡

 ジ・オーストレイリアン紙(3月5日付)は、1975年、当時のウィットラム首相が侵略には反対だが東ティモールがインドネシアの統治下に入るのは賛成とする当時のオーストラリア政府の政策をスハルトに伝えていたことを明らかにした。書簡は当時のウールコット大使によってスハルトに直に手渡された。
 1975年2月28日付けの書簡は「われわれが望む解決は、その領土(東ティモール)がインドネシア領となるべきだが、こうした結果はその人民による適切な意見の表明を通じたものである必要があるだろうという意見で一致した。そうした行動を、前にも後にも、オーストラリア政府が支持したなどと受け取られるのを許すようなことがありえないことを、あなたは理解されるはずだ」などと書いている。

3月5日
Financial Times, Jakarta
米、インドネシアに軍事援助を再開か

 オルブライト国務長官はウィラント総司令官と会談し、インドネシア軍が東ティモールとインドネシア全域で人権侵害をやめるならば、軍事援助を再開しても言いと語った。
 一方、大統領の外交顧問であるデウィ・フォルトゥナ・アンワルは、インドネシアは住民投票には賛成しないが、代表者会議における間接的な投票によるものなら受け入れると述べた。それによると、東ティモールの村々が代表を送って議会を構成し、それがジャカルタと交渉して投票するというもの。

3月5日
ロイター、ジャカルタ
国務省職員の話

 オルブライト国務長官に同伴している国務省高官によると、米政府は、インドネシア軍の一部が統合派東ティモール人を武装していると信じている。また平和維持に関連して、地域の部隊でもいいし、国連軍でもいい、また混成でもいいと語った。 一方、シャナナは彼女との会談で、住民投票ではなくて議会をつくりそれが6月7日までに自治か独立かを決定するという考えを提示した。

3月6日
ビルボード
東ティモール出身の歌手、ドイツでプロモート

 サンドラ・ピレスは東ティモール出身の29才の歌手。今月ドイツからアルバムをリリースする。サンドラは両親についてポルトガルへ移住し、その後、オーストラリアへ。その後ウィーンへ行ってそこの音楽シーンに定着した。彼女のデビュー・シングルは「私はここにいる(Here I Am)」というEros Ramazzottiの「Adesso Tu」の翻訳もの。このバラードは昨年オーストラリアでシングル・チャート4位にまでなった。またテレビ番組「Laute Tolle Frauen」のテーマ曲もうたっている。この3月、オーストリアツアーを行い、その後ドイツにも行く。

3月3日
BBC Summary of World Broadcasts
[RDP Antena 1 radio, Lisbon]
国連がコンタクト・グループ

 今朝、インドネシアの情報相は、国連が東ティモールのためのコンタクト・グループの結成を決定したと発表した。ポルトガル政府の対応はどうか。外務省のセザル報道官に聞いた。
 [セザル]まだ国連は正式に決定していないはずだ。ただすぐにそうするだろう。議論はこれまでなされてきた。ガマ外相とダウナー外相の会談のときもその話はでた。コンタクト・グループは協定の履行を確実にする圧力団体として、また東ティモールに対する国際社会の関心、地域の安全保障への利害を代弁するものとして機能するだろう。ポルトガル政府は、それを東ティモール独立に向けた平和的移行を支援するものと考えている。

3月6日
Sydney Morning Herald, Dili
オーストラリア人への殺人脅迫、撤回

 統合派東ティモール人のスポークスパーソンであるバジリオ・ディアスは、東ティモール訪問中の駐インドネシア・オーストラリア大使、マッカーシー氏との会談で、オーストラリア人への殺人脅迫はフラストレーションの感情的表現であったと述べ、脅迫を撤回した。しかし同時に、彼はフレテリンゲリラがオーストラリア人を殺し、彼らに罪をきせることはありうると警告した。またソアレス州知事は、大使にオーストラリア人が危険にさらされたことに謝罪した。
 しかし一方で、武装統合派のリーダーのひとり、ジョアォン・タベラスは、反独立の彼らの闘いを支持したオーストラリア人だけは殺さないと条件をつけたと、ディリのインドネシア側筋は言っている。

3月5日
AFP, Geneva
国連人権スタッフ、来週インドネシアへ

 国連人権高等弁務官事務所は、来週にも、人権スタッフをインドネシアに派遣する。4年越しの交渉の結果、東ティモール決議などにも盛り込まれた人権スタッフの派遣がやっと実現することになった。もとはと言えば、前任のアヤラ・ラッソ人権高等弁務官が東ティモールに配置したいといって始まった話。インドネシアの猛反発でジャカルタに1名配置という妥協が成立した。
 派遣されるのはエジプトの法学者でサム・スルヤル(Sam Souryal)教授。2年の技術協力の枠組みで、人権侵害を告発したり非難したりする権限はない。ただし東ティモールへのアクセスは保証される。

3月5日
Action in Solidarity with Indonesia and East Timor (ASIET)
民主人民党政治囚釈放へ

 ムラディ法相は、ブディマン・スジャトミコ、ディタ・サリとその他の民主人民党政治囚全員の釈放を来週にも最高裁に申請すると発表した。軍も彼らの釈放に異論はないとのことだ。また法相は旧共産党関係政治囚にも同様の措置を考えている。(コンパス紙3月6日付より)

3月5日
米国務省リリース
オルブライト長官の東ティモールについてのコメント

 東ティモール問題の解決には移行期に関する忍耐強い合意の努力が必要で、そのためには暴力的な行動を慎まなければならない。また、米国は「平和・安定委員会」構想を支持し、シャナナが提案しウィラント司令官も同意した、民間人の武装解除が進展する必要があると思う。また兵力削減、国際的なプレゼンスが必要だ。さらには東ティモールが社会的、経済的に成功するためには地位に関する何らかの修正がなされなければならない。[どういう意味か?]そして東ティモール人の意思を確認する信頼できる方法が必要だ。住民の意思を繁栄した解決でなければ永続的とはならないからだ。

3月6日
AFP, Jakarta
シャナナ、統合派指導者らと会談

 6日(土)、シャナナは統合派指導者の東ティモール人たちと2時間にわたって法務省で会談した。シャナナは「結果はポジティブだった」とコメントした。
 一方、統合派の「政治・民主主義・統一フォーラム」のドミングス・ソアレスは「われわれは東ティモールにとってのあらたな時代を始めようとしている」と言った。
 また同派のドミングス・ポリカルポは、シャナナの釈放と交渉継続を提案したと述べた。「こうした対話を継続するのであれば、参加者は平等の立場を与えられていなければならない。したがって次までにシャナナが釈放されている方がいい」と語った。
 会談場所が法務省になったことについて、法務省によれば、両派にとって中立なところがいいとの判断からだという。

3月7日
AFP, United Nations
住民会議案、国連交渉で討議

 住民投票のかわりに住民代表者会議によって意思を確認する方法が妥協案として国連交渉で議論される可能性が高い、と国連の交渉に近い筋が言っている。シャナナがオルブライト国務長官との会談で提案したことだ。国連交渉は9日に高官協議、10日が外相会談となり結論が出される。

3月8日
Sydney Morning Herald, Dili
ディリで抵抗勢力の会議開催

 それまでは地下活動をしていた抵抗勢力の指導者たち60人がディリで会合をもった。そこではこの1月、インドネシア軍は民間人武装のために270万ドルを費やした、米の価格が5倍にもなっており輸送用のトラックがもはや輸送を行っていない、インドネシア人イスラム教徒たちが帰国を始めているといったさまざまな状況報告が行われた。
 CNRTのスポークスパーソンであるドミンゴス・ソアレス神父は、東ティモールにいるインドネシア軍が東ティモールを不安定化させる作戦を展開している、ジャカルタの中央政府はこうした事態を把握しているかどうか疑問だと述べた。ただ東ティモール駐留インドネシア軍は、独立という現実を受け入れるつもりはなく、多くの血を流した東ティモールから簡単には出ていかないつもりだと述べた。また神父は、インドネシア軍が900トンの米を差し押さえているとも述べた。 神父によれば、抵抗勢力はシャナナの指令にしたがっており、統合派東ティモール人に対する報復攻撃は行わない、「犯罪者は法廷で裁くことになる」と述べた。

3月7日
ソリダモル
ホルタの本「フヌ」が、再び店頭に

 ジョゼ・ラモス・ホルタの本「フヌ」(テトゥン語で「戦争」の意)のインドネシア語訳は2ヶ月前に発売されたが、最大大手の書店であるグラメディアが、爆弾予告などの脅迫を受けたため2ヶ月の間店頭から本を引き上げていた。今回、出版元であるソリダモルの説得によって、再び店頭に並ぶことになった。

3月5日
Lusa, Lisbon
ポルトガル語圏諸国、ミッションを派遣

 カポ・ベルデのジェスス外相によると、ポルトガル語圏諸国(CPLP)は数週間以内に東ティモールにミッションを送る予定であることを明らかにした。目的はCPLPが東ティモールの自決と独立の過程をいかに援助できるかをさぐるためだ。 CPLPはアンゴラ、ブラジル、ギニア・ビサウ、カボ・ベルデ、ミザンビーク、ポルトガル、サオトメ・プリンシペ。

3月8日
Lusa, Jakarta
インドネシア人教師の帰還問題

 8日(月)、インドネシアのユウォノ・スダルソノ文相はすでに3000人の教師が東ティモールからの移転を希望している。政府はまだ決定はしていないが、すでに55万ドルの予算を2400人の教師と15000人のインドネシア人の避難用に用意しているという。教師たちは生徒や民間人武装グループから脅迫を受けている。

3月8日
AFP, Jakarta
ホルタ:インドネシアは東ティモールを飢えさせている

 8日(月)、ジョゼ・ラモス・ホルタはインドネシアが東ティモールへの食糧供給をカットしており、国連主導で緊急援助を送らなければ飢餓は防げないと述べた。 インドネシア政府は食糧供給のカットについいては否定したが、オーストラリアの抵抗勢力筋によれば、飢餓は数週間以内にやってくる可能性があり、それはインドネシアがその支配を住民に受け入れるよう強制するためにやっていると言う。 オーストラリア政府は飢餓がおきるかどうか人を派遣して調べるが、インドネシア政府が意図的に供給カットをしているとは考えていないと述べている。

ソリダモル
3月7日
シャナナの本を出版

 ソリダモル(東ティモール問題の平和的解決のためのインドネシア連帯)は、3月7日、シャナナが軟禁されている家で「東ティモールの独立、インドネシアの自由」と題する本の出版記念会を開いた。本は210ページあり、シャナナのインタビュー、シャナナ自身の文章、そしてトリ・アグス(ソリダモルのメンバー)の文章などがおさめられている。トリ・アグスはピジャルの活動家として2年投獄されていたが、そのうちの3ヶ月をチピナン刑務所のシャナナのとなりの独房ですごした。

3月8日
AP, Jakarta
自治案、4月末まで延期

 8日(月)、アラタス外相は、今週その合意と提示が期待されていた自治案について、4月末まで延期すると発表した。自治案の法律、経済、財政、関税といった分野で若干の修正を行う予定だということだ。

3月8日
Deutsche Presse-Agentur
女性の日、デモで逮捕者50人

 国際女性の日(8日、月)、ジャカルタの国連ビルの前でデモをした女性たち50人以上が警察に逮捕された。女性たちは東ティモール、アチェ、イリアン・ジャヤなどにおける軍によるレイプ事件の補償を求めた。

3月8日
AFP, Jakarta
女性デモ逮捕者200人に

 8日(月)に行われた女性の日のデモの逮捕者が200人にまでなった。逮捕の第一波では59人が国連ビルの外で逮捕された。第二波では、国防省の裏口で150人ぐらいが逮捕された。彼らは軍のトラックで連れ去られた。彼らは「アチェ、アンボン、東ティモールでの女性に対するすべての暴力事件を調査せよ」と叫んだ。 また同じ日の朝早く、100人ぐらいの女性移民労働者が女性省の前で、外国で働く家政婦たちの保護を求めてデモを行った。「われわれは保護が必要だ。われわれは奴隷ではない。移民労働者よ、団結せよ」などと叫んだ。インドネシア移民労働者組合が組織した。
 
3月9日
Lusa, Lsibon
独立したら8800万ドルが必要

 インドネシアで教育を受けた東ティモール人経済学者、ルカス・ダ・コスタは、東ティモールが独立した場合8800万ドル(160億エスクード)必要だと語った。一方、リスボンのインドネシア利益代表部のハバス・ウグロソノ(外交官)は、東ティモールの現在の予算はダ・コスタが言うよりはるかに多く、2つの収入源からなりたっている。ひとつは州予算でそれは270億エスクードある。もう一つは中央政府からのものでそれについては今は数値がないという。

3月9日
Financial Times
自治案延期は、タカ派に有利

 アラタス外相は自治案の決定を4月末と切り直した。アラタスはニューヨークには行くが、インドネシア側で修正をするので待って欲しいと言うだけだ。インドネシア政府のレビュー・チームはフェイサル・タンジュン治安担当調整相(元国軍総司令官)がつとめる。
 ある西側外交官は「失望した。これまでハビビ大統領のリベラルなアドバイザー一団がしきってきたのに、彼らの手から離れてしまった」と言う。 国連側もこの延期に懸念を表明した。「アラタス氏には自治案をポケットに入れてもってきて欲しかった」とある職員は言う。 ポルトガルでも事態が後退するきざしだとの見方が強い。 外交官たちは、ハビビが今や反対方向に揺れていて、独立容認を取り下げることすらしかねないと言っている。
 
3月9日
ロイター、ジャカルタ
PST、2都市でデモ

 9日(火)、ジャカルタとスラバヤの2都市で「ティモール社会党」(PST)が自治案に反対するデモを行った。ジャカルタの国連ビル前には50人の学生が集まった。スラバヤでは米国総領事館前で150人が気勢を上げた。

3月9日
ロイター、キャンベラ
メガワティ、東ティモールの独立に反対せず

 9日(火)、オーストラリアのジョン・マッカーシー駐インドネシア大使は、メガワティがダウナー外相との会見で、インドネシアの大統領に選ばれたとしても東ティモールの独立に反対しないだろうと述べたことを明らかにした。マッカーシー大使は「彼女の考えはそうした重大な決定は新政権にゆだねるべきで、今の暫定政権がすべきことではないということだ」と述べた。また「彼女は自分が大統領になったとしても、もし東ティモール人が国連との協議過程において分離を選んだとすれば、そうした結果をひっくりかえすようなことはしないと述べた」という。

3月10日
Sydney Morning Herald, Dili
医者不足で治る人も死んでいる

 東ティモールのカトリック系クリニックで医療活動に従事している米国生まれの医者、ダン・マーフィー氏によれば、医者不足のため治る病気なのに日々50-100人が東ティモールでは死んでいる。出産のために母親が死んだり、下痢や栄養失調、結核などでも死んでいるという。「東ティモール以上に結核で死ぬ人が多いところはないと思う。人々は年をとって死ぬのではなく、予防可能な、治療可能な病気のために死んでいる」と語る。
 またマーフィー氏は、オーストラリアなどでは援助団体が支援の用意があると言っているにもかからずインドネシアが外からの東ティモールへの医薬品の補給を意図的にさえぎっている、と言う。
 カリタスのディリ事務所長、フランシスクス・パレト神父は、意図的操作の証拠はないが可能性はあると言う。ただ米の値段は確かにあがっておりほぼ倍になっている。そして住民が十分に米を買えなくなっている。 オーストラリアで東ティモールへの援助を組織しているアンドリュー・マックノータンは、オーストラリアからの医薬品はスーツケースなどによって小規模に運ばれている、援助する用意のあるところはたくさんあるが運搬手段がないことにみないらだっている、と述べる。
 マーフィー氏によれば、ヨーロッパから3トンの医薬品がジャカルタまでは到着したがジャカルタで税関を通っていない。インドネシア当局は援助団体に倉庫費用を支払うよう命じている。また東ティモールには23の教会系のクリニックがあって医療活動をしているが、ディリの総合病院はほとんど機能していないと言っている。

3月10日
Sydney Morning Herald,
マッカーシー大使、民間武装グループは恐れている

 先週東ティモールを訪問したオーストラリアのジョン・マッカーシー駐インドネシア大使は、キャンベラで東ティモールの情勢について概略以下のようにコメントした。
 治安情勢はおそらく掌握されているが、とりわけ統合派の勢力が強い西ティモールに近い3県では緊張が高まっている。しかし彼らはあまりプロとは言えず、訓練もされていなければ能力がある兵士でもない。彼らは自分たちがどうなるか非常に心配している。彼らとシャナナの対話が必要で、停戦がまず必要だ。医薬品、米、食料が不足しているが、インドネシアが意図的な飢餓化作戦をとっているかどうかについては証拠がない。メガワティは東ティモール人が独立を選んだ場合、その結果をひっくり返すようなことはしないつもりだと語った。

3月10日
Waspada(インドネシアの新聞)
インドネシア軍兵士2名誘拐される

 ディリ警察のウィドド報道官が発表したところによると、インドネシア軍兵士2名、7日(日)夕方4時頃、バウカウからディリへバスに乗って移動中、バウカウ県ベマッセ郡マドマ村付近で青年の一団によってバスが止められ、おろされて誘拐された。青年たちは兵士を殴打し、彼らの銃を押収した。軍が現在調査中だという。

3月10日
ETAN, press release
米でインドネシアへの軍事教育の制限を含む法案提出

 本日、米下院に「国際軍事訓練に関する透明性、責任法」(International Military Training Transparency and Accountability Act: IMTTAA)の法案が提出された。提出者は、Chris Smith(共和党)、Lane Evans(民主党), Nita Lowey(民)、Dana Rohrabacher(共)ほか47名の下院議員。可決すれば、インドネシアに対するほとんどの軍事訓練が禁止されることになる。 この法律は、議会が「国際軍事教育プログラム」(IMET)によって禁止した場合でも国防省が事実上訓練を提供し続けることを可能にしていた抜け穴を塞ぐものだ。

3月10日
Business Times (Singapore), Sydney
ホルタ、スハルトの関与を批判

 ジョゼ・ラモス・ホルタはABCラジオのインタビューの中で、スハルト元大統領とその仲間たちが東ティモールの最近の不安定な情勢の背後にいるとの見方を示した。そしてオーストラリア政府はスハルトのすべての国内の銀行口座を凍結すべきだと訴えた。
 一方、東ティモールは独立した場合、軍隊をもたず、通貨はユーロを使うことになるだろうとも述べた。

3月10日
AFP, Jakarta
2人のインドネシア人兵士誘拐、続報

 ディリの軍諜報部のパウルス軍曹が電話でAFPに答えたところによると、2人の兵士はオタミン軍曹とナシキン伍長で、バウカウ県スカララン村で20人ぐらいの若者集団によって誘拐された。若者たちは山刀やナイフで武装していたという。警察は現在調査中だが、現地の村人が3人の容疑者の名前を上げたという。

3月10日
AAP, Jakarta
インドネシア軍、誘拐者はCNRTだと非難

 東ティモール副司令官ムジオノ大佐は、2人のインドネシア軍兵士誘拐事件はCNRTが行ったものだと非難した。CNRTディリ事務所は、今や和解と調和を保つようつとめており、誘拐などすることはりえないと軍の主張を否定している。ムジオノ大佐も誘拐の目的は不明だと言っている。

[注:抵抗勢力側から先に、インドネシア軍が抵抗勢力に誘拐の罪をなすりつけるだろうとの推測が出されていた。事実そうなったかたちではある。インドネシア軍は過去も自分たちで仕掛けておいて敵のせいにするという作戦を何度もやってきたので。抵抗勢力筋によれば、現地合同諜報本部(SGI)と地域司令部(164ウィラダルマ司令部)の確執が背景にある事件だとの見方も成り立つようだ。つまり地域司令部はジャカルタに忠実な独立容認路線、合同諜報本部はそれに不満でひともんちゃく起こしたい、ということ。]

3月9日
AAP, Melbourne
東ティモールはユーロを使うのか?

 ジョゼ・ラモス・ホルタは今日、ポルトガル政府と討議した結果、東ティモールは将来ポルトガルの通貨エスクードを導入することを考えていると発表した。それは自動的に、ユーロの導入を意味している。

3月5日
Antara, Jakarta
シャナナ、東ティモールは総選挙から排除すべき

 シャナナはオルブライト国務長官と会談した際、6月7日のインドネシアの総選挙から東ティモールがはずされるように求めた。

3月10日
AFP, United Nations
外相交渉、結論先送り

 ポルトガルのジャイミ・ガマ外相、コフィ・アナン国連事務総長と1時間半ニューヨークの国連本部で会談したインドネシアのアラタス外相は、会談後記者会見した。 アラタス外相は、次回までに新しいアイデアをもってくる、合意は4月末までにできるだろうと述べた。
 また自治案見直しでインドネシアが後ろ向きになっているとのポルトガルの懸念に対して、「後ろ向きにはなっていない。事実に基づかない憶測でなされたガマ外相の発言は遺憾に思う」と述べた。
 アラタス外相によれば、8月に行われる国民協議会の前に海外にいる人も含めた東ティモール人との協議を行いたい計画だとのことだ。それで自治案が拒否されれば、インドネシアは東ティモールを手放す。
 しかしアナン事務総長が提示した「間接的な投票」にもとづく意思の確認についても、アラタス外相は「実際的ではない」という理由で受け入れられないと述べた。「なぜかというと、住民に選挙をさせるぐらいなら、なぜ直接質問をぶつけないのか」と言う。
 なぜその提案が好きじゃないのかと記者に質問されて、アラタス外相は「好き嫌いの問題じゃない。実際的じゃないと言っているのだ」と答えた。 またインドネシア政府は「代表性をもたない」選挙に同意したなどと批判されるのもいやだと言う。
 「なぜそうした批判にまで耳を傾ける必要があるだろうか。直接選挙させたらどうではないか。彼らの意見を直接表現させていいではないか」と述べた。 アラタス外相は、インドネシアは依然として住民投票には反対だと述べた。そして国連が東ティモールにチームを派遣して、「何らかの投票」を通じて東ティモール人(国の内外にいる)の意見を描き出すよう求めた。 アラタス外相は、東ティモール人の意見の確認方法について、今回の会談で合意に達する可能性もあるとした。会談は木曜日も続く。

[注:投票やるのかやらないのか、まったく煮え切らない感じではあります。別にぼくの翻訳がまちがってるわけではないと思うのですが、とにかく、あいまいさが残ります。]

3月11日
Fortilos, Jakarta
マウバラ・カルメル修道会の訴え

[マウバラでの避難民について現地の教会が地方政府・軍に対し公開書簡を送った。以下はその概要。]

 マウバラでの紅白鉄隊(ブシ・メラ・プティ)の襲撃によって住民が避難を余儀なくされ、マウバラのカルメル修道会に逃げてきた。彼らはできる限りの荷物をもって逃げてきていたが、翌日村に帰ってみると、家は荒らされ、ひどい場合には焼き討ちされていた。修道会はその使命から住民を受け入れ世話を続けているが、避難民は外で寝なければならないなど、状況はひどい。地方政府、軍司令部に善処を求める。

3月11日
Northern Star, Australia NSW
現地からの人道的援助の訴え

 東ティモールにいる記者を除く最後のオーストラリア人、イサ・ブラドリッジは、医薬品、食糧、建築資材などが難民のために必要だと、ノーザン・スター紙(豪、ニューサウスウェールズ州)を通じて訴えた。 ほとんどのオーストラリア人は先週東ティモールから避難したが、ブラドリッジさんは難民をできるだけ助けるとの気持ちで残っている。報道によれば毎日50-100人が治療可能な病気のために死亡している。
 ブラドリッジさんは「人々が殺されている。彼ら(マヒディ)は車に4・5人ずつ乗って、人々を脅すために銃を乱射している」と言っている。 「ディリには300人もの難民が来ている家があり、彼らを食わせなくてはならない」(おそらくマヌエル・カラスカラォンの自宅) 援助したい方は次のところへ。

Summerland Credit Union in Ballina
Account: S1: 32367
Name: H.O.P.E. in East Timor

3月11日
ロイター、ジャカルタ
ホルタ:交渉は失敗する運命だ

 ジョゼ・ラモス・ホルタは国連交渉は失敗する運命だと語った。彼はポルトガルや東ティモール人が主張している住民投票は交渉不可能なものであると述べた。 「インドネシアは国連をバカにしている。わざとぐずぐす遅らせているんだ」とホルタは言う。
 外交筋によると、アラタス外相は国連職員が東ティモールの町から町へと投票箱をもって渡り歩いて投票して回る案を国連に提示したらしい。

3月11日
ロイター、ジャカルタ
シャナナ・タベラス会談

 11日(木)シャナナと統合派武装集団のリーダー、ジョアォン・タベラスは会談し、将来について平和的な討論を行うことを約束することで一致した。会談後、二人で共同記者会見を行った。
 タベラスは「われわれは23年間敵同士だったが、議論した後、武器を置くことを合意した」と語った。
 会談は法務省で行われた。

3月11日
Indonesian Observer, Jakarta
メガワティ、東ティモールの防衛を主張

 9日(火)、ウィスマ・アンタラ・ビルでソリダモルが主催して開かれた東ティモールについてのセミナーで、闘争民主党のテオ・シャフェイ副議長は、メガワティは東ティモールの独立を容認するものだが、現在はまだインドネシアの一部であり、それを防衛する権利をもつと語った。
 テオ・シャフェイはもし国民協議会決定(併合を承認した)を取り下げるのであれば、そうした動きを支持する多数票がなければならないと言った。しかし政府は住民投票を許さない。
 彼はなぜ政府が東ティモールに広範な自治か独立かの選択しか与えないのか理解できないと言う。「もし東ティモールに住民投票を提案すれば、あたかもわれわれは植民地主義者であるかのようだ。もし住民投票を実施すれば、アチェでもイリアンでも同じことをしなければならない」とも言う。 テオ・シャフェイはさらに「ある州が自治をえるというのはいかなる基準でか。私はそれは単なるハビビ政権がパニックをおこしているにほかならないからだと思う」と述べた。

[この人も言っていることがはっきりわかりませんね。結局どうしろと言っているのか。単に不満を言っているだけ?テオ・シャフェイはかつての第9管区司令官。]

3月12日
BBC Summary of World Broadcasts
(RTP International TV, Lisbon, 10 March)
武装統合派指導者、武器はポルトガル時代のものだと語る

 武装統合派指導者ヘルミニオ・ダ・シルバ・コスタは、内戦がおきれば統合派は抵抗派を負かすのに十分な武器をもっていると豪語した。彼によると、ポルトガルが東ティモールを放棄したとき、ポルトガルはフレテリンに武器を残したが、彼らもまたポルトガル政庁から武器を200丁押収した。真新しいM-16銃などがあるが、それはフレテリンがインドネシア軍から奪ったもので自分たちがまた取り返したのだということだ。
 しかし住民が独立を選択した場合には、自分たちも独立を受け入れると語った。「フレテリンがこのプロセス(自治)を受け入れると言っているのだから、われわれが独立を受け入れないということがあろうか」と言っている。

3月11日
ロイター、国連
直接投票の方法

 ポルトガル・インドネシア外相会談は東ティモール人の意思確認方法として「直接投票」(direct ballot)を行うことで合意した。しかしその方法はいかに。 アラタス外相は、外交筋によると、国連が「移動式投票」(rolling ballot)を町から町へと行って回るということを提案したと言う。これだと1日ですまない。しかし記者会見では、アラタス外相は何週間、何ヶ月にも及ぶとはインドネシアは提案していないと答えている。
 一方、ガマ外相は、亡命東ティモール人は東ティモールにいる住民と同じ時に投票するということはありえない、しかしもしインドネシアみたいな大きな国で1日で投票ができるのであれば、なぜ東ティモールでも1日でできないのかと言いたい、と述べた。
 また国連事務総長も、「われわれもそう考えている」とのべ、短期間で投票をやってしまうことを希望していると言った。

3月11日
Lusa, United Nations
直接投票のスケジュール

 インドネシア・ポルトガル外相会談は直接投票を行うことで合意した。これから4月13-14日に高官協議、4月22日に外相会談を行って提示する自治案をつめる。まだ具体的な投票の方法、日程は決まっていないものの、アラタス外相は、約60万人の住民と数千人の海外にいる亡命者が投票すると述べた。ガマ外相は投票は7月までには行われる可能性が高いと述べた。

3月12日
South China Morning Post
by Jenny Grant in Dili
医者がいない!

 ディリの総合病院の集中医療室には発作におそわれた患者が横たわり、呼吸困難になり始めている。
 この病院には医者はおらず、勤務中の看護婦にできることも、しめった布で患者の額をぬぐってやることだけだ。
 最近ではディリ(8万人)の市民が病気になっても、午後2時までだったら医者がひとりいればいい。
 ジャワなどから来た15人の医療アシスタントはすでに逃げてしまい、5人が残っているが、そのうち2人は来月東ティモールを去るという。外科医はいない。 「非常に深刻なスタッフ不足だ。24時間の緊急体制がとれなければ非常に危険だ」とブディ・ムリオノ医師は語った。
 病院は、医師が患者の攻撃を受けて後兵士が見張りをしている。 病院職員によれば抗生物質、注射器、点滴器具などが必要だという。薬は4月まではもちそうだ。
 午後ともなると、女性たちがマラリアで熱を出した赤ん坊たちの面倒を見ている。また翌日治療が受けられるのを待って見捨てられた一角に横たわっている者たちもいる。
 建設労働者のアントニは、一月前墜落して脊髄を切ってしまった。それ以来熱があり彼のジャワ人(インドネシア人という意味で東ティモールでは使われる)のボスは彼のためにパナドル(鎮痛解熱剤)を」買ってあげるぐらいだ。 「この状況は本当にどうしようもない。熱はさめないし、他の患者が優先だと言う」と33才のアントニは、ハエが飛び回る部屋の古いマットレスの上に横たわったまま言った。
 赤十字国際委員会は5人の外科チームを東ティモールに送ることを申請したが、ジャカルタの厚生当局によって遅らされている。 外科手術の必要な患者はディリの陸軍ウィラフサダ病院へ行くよう言われる。しかし軍のテロにおびえた年月のあと、人々はその病院での治療を恐れている。 「みんなそこへ行くのを恐れて患者が私に手術をしろというのです。私は一般医であって外科ではありません。しかし
わたしに何ができるでしょう(やるしかないではないですか)」と北スマトラ出身のリド医師は語った。

3月12日
国連交渉合意についての各方面の反応

シャナナ
Lusa, March 12
インドネシアは東ティモール人の意思確認方法として「民主的で代表制による」協議の原則に合意するという重要なステップをふんだ。東ティモール人はこの決定的な時に政治的に成熟したところを見せることだろう。

ジョゼ・ラモス・ホルタ
Lusa, March 12
いかなる意思確認の方法であっても、「1人1票」でなければならない。投票は国連が行わなければならない。東ティモール人はインドネシア人を信用していない。

(同じく)
AFP, March 12
インドネシア人はまだ彼らを信用するにたる理由をわれわれに与えていない。私は彼らが約束することではなくて、現実の行動によって判断する。彼らの行動の方が目立っている。投票が正しく行われるかどうか疑わしい。実際、意思確認がどのように行われるか見てみよう。

ジョアォン・カラスカラォン
Press Release, March 12
万歳だ。しかしシャンペンをあけるのはまだ早い。国際社会はインドネシア政府がインフラを破壊するのをやめさせなければならない。またインドネシア軍とその準軍組織による平和とよき秩序に対する攻撃をやめさせなければならない。

ダビド・シメネス(CNRTディリ事務所)
Reuters, Dili, March 12
もしインドネシア軍がまだいる中で投票が行われたら、むずかしい。自治に賛成するよう人々を迫害するだろう。国際的な警察組織が来ればわれわれにとって有利だ。

ハワード豪首相
Lusa, March 12
歓迎だが、インドネシアはあまりに早く東ティモールを貧困のままおきざりにしてはいけない。平和維持軍は必要ないだろう。

3月12日
ロイター、リスボン
ポルトガル、東ティモール外交を喝采

 11日(木)の外相会談の後の記者会見では、クールで感情を表に出さないタイプのガマ外相ですら、笑みを浮かべていた。「ついに、東ティモール人全員が自由で民主的な方法で意思を確認される」と彼は言った。

[この記事はやや妙なもので、喝采するというほどの内容の発言をポルトガルから引き出してはいない。確かにポルトガルはうれしいだろうが、自制もきいている。むしろこの記事から読めるのはロイターのインドネシア寄りの皮肉な精神ではないかな。]

3月13日
Financial Times, Jakarta
オーストラリア軍、ダーウィンに待機

 オーストラリアは昨日、ダーウィンに待機する軍を倍増させると発表した。3000人の緊急配備可能な部隊だ。ジョン・ムーア国防相は、地域の一般的な安全保障ととりわけ東ティモールの情勢に対応したものだと述べた。 しかし政府関係者が個人的に記者に語ったところによれば、オーストラリアはインドネシア群島全体が選挙に向けて不安定になることに対する対応の意味もあるということだ。

3月13日
Financial Times
東ティモールの困難な状況

 ディリの病院にはもはや一人の外科医も残っていない。医者の数も半分になり、薬もわずかしか残っていない。国立学校の教師3660人のうち2950人が移転を求めている。
 店も半分は閉まっており船も少なくなって供給が落ちている。スペア・パーツなどがなくなって公共交通機関も難しくなっている。 東ティモール人はインドネシア軍が食糧運搬を妨害し、準軍組織をつくって避難民を作り出していると非難する。
 「東ティモールが独立の準備ができていないと思わせるためのキャンペーンをやっている。軍以外に対立の原因となるものはない」とプロテスタント教会のアルリンド・マルサル牧師は言う。
 外交官もまた、東ティモールの現在の困窮した状況のある部分はインドネシア政府部内のハードライナー(頑迷派)が、ジャカルタのリベラルな連中と外国、そして東ティモール人自身に、自治が独立よりいいのだということを説得しようとしてもたらされたものだと信じている。
 多くの移民は東ティモールが平和的に独立をはたしても出ていくと言っている。国籍を失うかも知れないし、公務員の給料もなくなる。商人にとってはクレジットやライセンスへの特権がなくなる。それによって東ティモール人はマージナルな地位へと追いやられてきたのだった。

3月13日
AFP, Dili
アナ・ゴメス、ディリへ到着

 13日(土)、ポルトガル利益代表部のアナ・ゴメス代表はディリに到着した。空港で「私は東ティモール人に、ポルトガルの国民全体がみなさんを支援していることを伝え、すばらしい模範を示してくれたことに感謝するために、ここに来ました」と述べた。
 彼女が到着する数時間前、インドネシア軍は騒乱鎮圧訓練を行った。町の中心街は交通止めされ、500人の兵士がデモ隊と衝突するという訓練を行った。

3月12日
Lusa, Baucau
バカウでインドネシア軍による発砲騒ぎ

 12日(金)、バウカウでインドネシア軍が空中に発砲し、住民をパニックに陥れた。その日の朝、バウカウ空港近くでインドネシア人のエンジニアと警官の死体が発見されていた。彼らと最後に一緒にいるところを目撃された2人のインドネシア兵は行方がわからない。現地のインドネシア軍は2人の兵士の失踪を独立派のせいにしている。

3月12日
Lusa, New York
国連は東ティモールに治安部隊を派遣せず

 ジャムシード・マーカー特使は国連は投票の際に東ティモールに部隊を派遣することはないが、「投票の前に派遣されるチームは独立派と統合派の和解を試みるだろう」と述べた。

3月13日
AP, Dili
インドネシア人兵士、役人の遺体発見

 13日(土)インドネシア警察は、分離主義者によって誘拐されたと考えられるインドネシア兵1人と役人1人の遺体が発見されたと発表した。 遺体が発見されたのはバウカウ空港の近くの浅い墓穴。彼らは8日(月)、バウカウからディリへバイクに一緒に乗って移動中に誘拐された。二人とも殴り殺された、と警察は発表した。さらに2人の兵士が行方不明だ。 抵抗勢力側は関与を否定している。
 このところ緊張が高まっているが、13日(土)にはカトリックの神父が刺されるという事件もおきている。

3月14日
AFP, Sydney
投票前にシャナナは釈放

 コフィ・アナン事務総長は、インドネシアは投票前にシャナナを自宅軟禁から解放すると約束していると述べた。12日(金)にインドネシアは事務総長に対し改めて、シャナナの釈放は東ティモール問題の包括的解決の一部だと述べたということを受けて、実際に投票が行われる前に釈放されることを望んでいると述べた。

3月14日
AFP, Dili
アナ・ゴメス、司教と会う

 14日(日)ベロ司教による早朝のミサに、アナ・ゴメスも出席した。聖体拝領には参加しなかったが、ポルトガル語でひとびとと言葉を交わした。500人がミサに来ていた。
 その後バウカウに発った。バウカウでもナシメント司教と会う予定だ。その他、マヌエル・カラスカラォン、統合派、独立派、国内人権委員会代表などと会う予定になっている。

3月13日
AFP, Lisbon
ベロ司教、国連派遣団を要請

 13日(土)、リスボンのラジオ放送のインタビューで、ベロ司教は「私はインドネシア軍を信じない。この領域に国際的なプレゼンスがなければものごとは進展しない」と語り、国連派遣団を要請した。
 ベロ司教はインドネシア軍が人々に自治案を受け入れるよう圧力をかけるのではないかと恐れていると言った。そして民間武装グループに武装解除し、インドネシア軍が撤退するよう呼びかけた。

3月13日
BBC Summary of World Broadcasts
[Radio Renascenca, Lisbon, March 12]
ホルタ、合意にまだ留保

 ホルタは直接投票についての合意を受けて次のように語った。 「問題はインドネシア軍がまだいるときに、軍の諜報組織がまた暴力を扇動しているときに、アラタス外相が意思確認の前にはシャナナは釈放されないと言っているときに、どうしてオープンで民主的な直接投票が可能なのかということだ。さらに有権者をどう登録するのかも決まっておらず、7月に投票を行うという」 「有権者となるティモール人を登録するプロセスが必要だ。もちろん他島からのインドネシア人移民で東ティモール人のようにしている人たちを有権者にすることはわれわれの利益に合わない。何万人もいる。国連は住民の登録には多くの経験がある。もっとも重要なことはインドネシア軍の撤退だ。少なくともすべての当事者が合意するレベルまでの削減をする必要がある。」

3月12日
AFP, Lisbon
ポルトガル、国連の役割を強調

 国連での直接投票の合意を受けて、ジョルジュ・サンパイオ大統領とアントニオ・グテレス首相は、合意を歓迎しながらも、国連の役割が重要だと強調した。大統領は民間人武装グループの武装解除を強調し、首相は国連がこの移行期間で決定的な役割を果たすという保証がなければならないと述べた。

3月15日
Lusa, Dili
旧ポルトガル公務員の年金

 インドネシアの銀行、ダガン・ヌガラ銀行のディリ支店長カルバニ・アグンによると、ポルトガル政府は毎月30万米ドルに及ぶ旧ポルトガル公務員の年金を送金してきている。ポルトガルとインドネシアの銀行取引ができないため北米の銀行を経由している。年金支払いは1990年代の初期に始まった。

3月15日
Lusa, Jakarta
シャナナ、熱を出す

 14日(日)、シャナナは金曜日以来の熱で具合が悪く、親戚や友人の訪問をすべてキャンセルした。病気はたいしたことはないと言う。

3月15日
Lusa, Lsibon
ポルトガル外務次官、関係国会議

 15日(月)からポルトガルのルイス・アマド外務次官は、アンゴラ、ギニア・ビサウ、国連、米政府、世銀などとの会議を3日間の日程で始めた。まず国連の平和維持担当のベルナルド・ミイェットと会談した。

3月11日
CDPM, Lisbon[CDPMはポルトガルの支援団体]統合派民間武装集団

[CDPM(マウベレ人民の権利のための委員会)が発表したメモがくわしく統合派武装集団についてまとめている。以下はその概要]

●ハリリンタル
 ボボナロ県アタバエが拠点。ジョアォン・タバレスが指導者。これはもともとインドネシア軍が対ゲリラ用に編成した準軍組織で、昨年10月のインドネシア軍の漏洩文書によれば、メンバーは121人。
 タバレスは侵略前からインドネシア側についていた。1975年10月、インドネシア領からのフレテリン攻撃に参加し、その功績によってボボナロ県の県長(bupati)の地位を与えられた。またボボナロの地方指導者協議会(ムスピダ)のリーダーもつとめる。重要な土地所有者。

●マヒディ
 アイナロの南、カサが拠点。カンシオ・ロペス・カルバリョが指導者。他のグループに比べてより残虐なのか頻繁に名前が登場する。とくにズマライのナギダル村への襲撃では少なくとも3人を殺害、一人は妊婦だった。ズマライからスアイへ6000人が逃げた。
 カンシオはマテウス・ロペス(カサのリウライ)の息子で、マテウス・ロペスはマヌエル・カラスカラォンが率いる統一和解運動の事務局長をしているアビリオ・オゾリオのかつての私設秘書。カンシオはクパンで勉強し、サンタクルス虐殺の際、軍諜報部(SGI)と一緒になってデモ参加者を捜して回った。1996年以降スハルトが退陣するまでクパンに住んで、法務省に勤めていた。 カンシオによればメンバーは1300人。ディリの他、リキサなど他のグループの「なわばり」でも活動している。

●紅白鉄隊
 バトゥボロが拠点。リキサの西、マウバラ地域で活動している。指導者はドミンゴス・ポリカルポ。

●アイタラク(とげ)
 アイナロが拠点。指導者はエウリコ・グテレス。

3月16日
Lusa, Jakarta
アラタス、投票は7月

 アラタス外相は15日(月)、東ティモール人の意思確認はインドネシアの選挙のあと、7月にやるのがよいと発言した。
 しかしアラタスは、意思確認は住民投票でもなければ、直接投票過程でもないと述べた。[注:何だこりゃ?直接投票って決まったんじゃないの?] またアラタスは、意思確認は国連が資金を提供し、いくつかの国が支援する、また7月に意思確認をやった場合、ハビビ政権には時間がないので国民協議会への提出は 10月になるだろうと述べた。

3月16日
South China Morning Post
インドネシア軍は爆弾製造を指導している?

 東ティモールを訪問中のポルトガルの利益代表部代表のアナ・ゴメスは、SGI(インドネシア軍の諜報組織)が爆弾製造知識を広めているとの情報を複数から入手したと語った。
 ディリの軍諜報部スポークスパーソンはこれを否定、SGIのメンバーは昨年東ティモールから帰郷していると語った。

3月16日
The Australian
メガワティ:東ティモールはインドネシアにとどまるべきだ

 シンガポールで記者たちに答えて、メガワティは彼女の闘争民主党は東ティモール問題についてより賢明で平和的な解決策を提示するだろうと語った。 「私の意見では、どうかこの点をしっかり理解してもらいたいのだけれど、現在にいたるまで東ティモールはインドネシアの27番目の州だということ。現地の住民は他の地域から来た人たちと混じっており、文化的にも交流が進み、結婚した人もいる」 彼女は東ティモールがインドネシア共和国から分離されるべきではないとの党の立場を繰り返した。
 ソリダモルのボナル・ティゴル・ナイポスポスは、「闘争民主党はスハルトのおかした憲法的なあやまちを認めてしまっている」と批判した。

3月15日
AFP, Tokyo
日本政府、国連合意を歓迎

 15日(月)、外務省の沼田報道官は「東ティモールの住民の意思確認の方法などについて進展がみられたことを歓迎する」とコメントした。

3月15日
South China Morning Post
ある女性の話

 ビ・ロウ・マリはふつうのゲリラとはちがう。オレンジ色の花柄のサロンを巻き、ジャケットを着て、ウールの帽子をかぶっている。そして新鮮な山羊肉にじゃがいもをまぜた煮物をつくっている。
 二人の子どもを残したまま、遠い山の中のキャンプで、この35才の女性は東ティモールの長い戦争の肉体的、精神的傷を負って生きている。
 ビ・ロウは1986年、アイタナのゲリラの拠点を襲撃されたときにインドネシア軍に右肩を撃たれ、そのときの弾丸がまだ肩に残っている。
 発砲されたとき、腕には赤ん坊を抱いていた。
 「襲撃のあと赤ん坊を捜しに戻ってきたときにはいなくなってたわ」 この10年間この地域で唯一の女ゲリラとして闘ってきた彼女は言った。 彼女が銃弾の傷について受けた唯一の治療は、ある木から抽出した汁だった。
 ビ・ロウの両親は1970年代に各地を席巻したインドネシア軍による抵抗勢力の掃討作戦で殺された。
 「もしインドネシア人が本気で戦争をやめるつもりなら、彼らを許せる。でも個人的には家族におきたことを忘れることはできない」 そう言って、彼女は泥にまみれたゴム靴を見下ろした。
 ビ・ロウの女ゲリラ友達は近くのラメラウ山地方にもいたが、インドネシア軍の偵察隊につかまり、拘禁中にレイプされた。
 こうしたレイプによって生まれた子どもたちはしばしばいろいろな修道会が開いている孤児院に渡されるのだと言う。
 例えば、近くのソイバダ村のドミニコ修道会のシスターたちは2才になる少年を自分たちの子どもとして育てている。両親がともにゲリラになって闘っているからだ。
 「この子の両親は山の中で闘っているんです」
 シスター・マヌエラは言った。
 「彼は母親が誰だか見分けられないし、彼が拒否されるのが心配で人々に(本当のことを)話すこともできない」
 岩山の頂上にあるむかしのポルトガル時代のセミナリオは日差しもきつく、100人の寄宿する生徒を十分に食べさせるお米がないと言う。
 「生きるためにバナナやとうもろこしを植えなくてはいけません。米は高すぎて買えないし。あと10キロしか残っていません」
 シスター・マヌエラは台所のテーブルで、米袋を示すしぐさをしながら言った。
 強雨のあとではソイバダは氾濫する川に橋がないため、行くことができなくなる。
 強い雨が午後にふると、次の週の分の米を買いにディリまで行けなくなるという。 村の女性たちは「ライン」(線)と呼ばれる地下組織を通じてゲリラに送る米と果物からつくった酒をつくっている。
 彼女たちは物資をゲリラのキャンプに運ぶ地下組織のメンバーに使わせている。ビ・ロウもそのキャンプにいて、それは山を2時間ほどあがったところだ。
 ビ・ロウは争いが終わる日を待ち望んでいる。彼女は友達にあずけた2人の残された子どもともう3年も会っていない。
 「私がやろうと思っていることのひとつは家族の再会ということ。この何年間か、私は多くのものを失ったと思う。でもしばらくは(ここを)手伝っていたいの」
 そう言って、キャンプ・ファイアのそばから半自動ライフルを遠ざけた。


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