東ティモール・ニュース

1999年2月前半

ディリの人権委員会委員、状況を語る
1月30日
AFP, Jakarta

 国内人権委員会ディリ支部のフロレンティノ・サルメント氏は、最近の東ティモールの情勢について電話で次のように語った。
 コバリマ県での襲撃では6人が死亡し2人が負傷。 スアイへの大量難民の発生は正しく、すでに5100人に達している。
 食糧は問題ないが、地域住民の食糧生産(農業)がおびやかされている。
 双方からの攻撃・報復が終わることなく続いている。インドネシアは併合派に不法に武器を提供している。
 しかし併合派が武装を求めるのも理解できる。なぜなら彼らは独立派によって迫害され、テロ行為を受けているからだ。すでに30軒ぐらいの家が焼かれている。一方、併合派も独立派を攻撃している。
 さらにディリの病院のある看護婦によれば、病院は火曜日より閉鎖されている。インドネシア人職員が命の危険を感じている。ある慢性の心臓病の子どもが死亡したときインドネシア人医師がなぐられたという事件があり、それで火曜日以後閉鎖している。

1月29日
South China Mornign Post (Hongkong)
CNRTによる独立東ティモールの経済展望

 東ティモール民族抵抗評議会(CNRT)が出した500頁に昇る東ティモールが独立した場合の経済的展望によると、今すぐ独立した場合、予算は毎年1億5000万米ドルの赤字になる。
 報告書をまとめたFrancisco Cepedaは準備のための移行期間が必要だと語っている。

1月30日
ガーディアン(イギリス)
東ティモール駐留軍、独立案に不満の示威行為

 昨日、ディリではインドネシア軍の駐留部隊が15分間ではあるが、何百発もの発砲を空中に行った。これは東ティモール人に対する威嚇行為であり、また政府が突然提示した独立容認案への不満を表明するものだったと解釈される。
 突然出てきて空に向かって発砲し、治安要員もそれを止めようとはしなかった。 マヌエル・カラスカラォン氏によると、軍は中央政府・軍中央指導部の言っていることとまったくちがうことをしている。
 カラスカラォン氏宅には250人の避難民が逃れてきている。

1月30日
コンパス紙
グス・ドゥル、メガワティは政府提案に反対

 インドネシア最大のイスラム組織ナフダトゥル・ウラマのアブドゥルラフマン・ワヒド総裁(グゥ・ドゥル)は、東ティモールに固執したところで短期的な利益はなかったが、それでも政府は東ティモールをインドネシアに入れようと決定したわけで、われわれはそれを尊重し、したがって東ティモールはインドネシアにとどまるべきだ、と語った。しかしシャナナ釈放については賛成した。
 またメガワティ党争民主党総裁は、声明文を発表し、ハビビ政権は正当性のない暫定政権であり、こうした重大な問題について決定を下す権限はない、東ティモールのインドネシアへの合併は政治的にも憲法的にも合法的で、1976年の法律7号(合併法)によって尊重されているとおり、東ティモール人の表明された意思を反映したものだったと述べた。
 

1月30日
日本政府の発表

1 今回の決定を含むインドネシア政府の努力を歓迎する。
2 インドネシア、ポルトガル、東ティモールという当事者間の対話を通じて平和的に解決されることを希望し、ひきつづき関心を持って事態を見守る。

1月29日
ソリダモル、速やかな住民投票を呼びかける

 ソリダモル(Solidamor: 東ティモールの平和的解決のためのインドネシア連帯)は、東ティモール人は自決権をもっており、インドネシア政府が彼らの決定権をうばうことはできない、したがって国民協議会が決定するとした政府案は不適切であり、東ティモール人が国連監督下で住民投票を行えるようインドネシア政府はただちにその調整に入るべきだとの声明を発表した。

1月31日
The Age
ラモス・ホルタ執筆「なぜ私がオーストラリア人になりたいか」

 ラモス・ホルタはオーストラリア国籍を申請したことの理由を、この自ら執筆した記事で説明している。オーストラリアが開かれた他文化社会である等々。
 しかし真相はよくわからない。

1月30日
AFP, Davos (Switzerland)
ギナンジャル調整相「東ティモールはコストがかかりすぎるというだけではない」

 スイスを訪問中のインドネシア政府のギナンジャル・カルタサスミタ経済調整相は、東ティモールは金銭的・物質的にコストがかかりすぎるというだけでなく、政治的にもそうだったと語った。しかしインドネシア政府の決定は、改革の一環として新しいページを切り開きたいということだ、インドネシアは世界で3番目に大きな民主主義国になるつもりだと語った。
 

1月29日
LUSA, New York
ポルトガル政府は国連の枠組みを最重視

 ニューヨークでポルトガル政府代表団を率いてインドネシアと交渉に入っているフランシスコ・ネベス氏は、金曜日(29日)、ポルトガルは現在の国連の枠組み以外の解決は無意味だと語った。しかしポルトガルは主権を主張するつもりはない。
 インドネシアは進行中の国連仲介の交渉において、新しい政策について提示していない。インドネシアはひとつの立場を公に打ち出しながら、交渉では別のことをやるという「二重性」におちいっており、ネベス氏も国連のジャムシード・マーカー特使もともに「解釈しがたい」事態だとのコメントを出している。 交渉は金曜日まで続く。

1月29日
LUSA, United Nations
1・2週間以内に両国外相が会合の可能性

 インドネシアの交渉団を率いているヌグロホ・ウィスヌムルティ氏は、1、2週間以内に両国外相が会談する可能性があることを示唆した。

1月29日
LUSA, Lisbon
ポルトガル、インドネシアの記者が相互に駐在

 ポルトガルの通信社ルサの記者、Paulo Alexandre Nogueiraがジャカルタに常駐することになった。一方、アンタラ通信の記者もリスボンに2月2日より常駐となる。両国の交渉において、信頼醸成措置の一環として決まっていた。

1月30日
BBC World News
ソアレス州知事、インドネシア人移民に残るよう要請

 アビリオ・ソアレス東ティモール州知事はインドネシア人が逃げ帰ろうとしていることを受け、残るように要請した。

1月30日
ロイター、ジャカルタ
サンタクルス墓地で独立要求集会

 約500人がディリ市内のサンタクルス墓地に集まり、独立を求める集会を行った。集会では墓地に花をささげ、自治案を拒否するなどと気勢を上げた。

1月29日
Indonesian Observer, Jakarta

 国会のアイシャ・アミニ第1委員会(政治治安)委員長は、アラタス外相から東ティモール政策変更について説明を受けるために外相を国会に召喚することを発表した。彼女は「独立が最優先ではないはず。まず広範な自治を与え、自立できるようにすべきだ」と語った。

1月29日
AFP, Tokyo

 29日(金)、外務省の岡田まさき副報道官は「日本はインドネシア政府の努力を歓迎する」「日本政府はインドネシア、ポルトガル、東ティモールの当事者間による対話によって平和的に解決されることを望んでいる。今後も多大な関心をもって見守っていく」と述べた。

1月29日
AFP, Jakarta

 マコタホテルの従業員が匿名でAFPに電話を通じて語ったところによると、29日(金)、ディリで合併擁護派の集会に2台のトラックで独立派の連中がやってきて外で「祖国を売るつもりか、銃なんか使わず、男らしく闘え」などと叫んだところ、中から10人ぐらいの民間のガードマンが出てきて、まず空に向かって警砲をうったのち、さらに彼らを追いかけて弾を発射したという。 負傷者はいない。

1月30日
Sydney Morning Herald, Jakarta
東ティモール/インドネシア人移民が逃げ出す

 インドネシア人移民たちが逃げ出している。ジャカルタへのフェリーは数百人が押し寄せたため3時間遅れでディリの港を出発した。またイスラム教徒の移民たち(=インドネシア人)はクパンへ所持品を発送しはじめている。

スアイ難民の悲惨な状況
1月30日
Sydeny Morning Herald, Suai, East Timor

  4500人の難民がスアイの町の教会と学校に避難しているが、悲惨な状況だ。昼間は太陽の下に立ちっぱなし、夜は外で寝る。水道は蛇口がひとつ。
 「水もなく、薬もなく、トイレットもなく、食糧もほとんどない」とコーディネーターのアドリアノ・ド・ナシメントは言う。「4日間も水浴びをしていない。下痢や呼吸器系の問題がすでに生じている。
 ガリタスという村で住民がインドネシア軍に武装された民間人に殺された。その遺体を収容にいったフランシスコ・ソアレス神父は、殺された女性は頭に銃弾のあとがあり、彼女の子宮が切られていた。

オーストラリアは平和維持軍を派遣しない
1月30日
The Age, Canberra

 ハワード首相は、ジョゼ・ラモス・ホルタがオーストラリアなどを含めた国際的な暫定行政機構をつくるべきだと呼びかけたのを受けて、オーストラリアはこれからも役割を果たしていくが、平和維持軍については約束できないと語った。
 すでにブーゲンビルの平和監視に8千万ドルを出しているので、これ以上の平和維持活動を約束することはできないという。

1月31日(書かれたのは数日前)
ETAN, USA
スアイの難民の状況についての匿名情報

 今や難民は6000人以上になっている。昨夜、3才にならない子どもが2人下痢で死んだ。
 テントが建てられ、10個のトイレもつくられた。新しい吸水パイプも敷設された。あるNGOが軍が破壊した水道を普及しようと活動している。
 下痢が蔓延している。インドネシア軍はいくらかの食糧を援助した。
 殺害事件がおきた町より東の地域では、ルイ・イメリアノ・ロペスに率いられた準軍組織が支配しており、インドネシア軍はこれらの地域の調査、遺体の引き取りなどを拒み、またこうした「盗賊」たちを取り締まろうとしない。
 赤十字国際委員会が昨夜到着し、カリタスなどと協力体制をつくっている。CAREは担当者がいなくて対応できていないが、本日中に戻る予定だ。赤十字国際委員会には食糧や医薬品のストックがまったくない。

リキサの難民

 約2000人がマウバラ、ロエス、カイラク地方からの難民としてリキサに避難している。多くは親戚にかくまわれ、大きな問題とはなっていないようだ。赤十字がチェックしている。

ディリの難民

 約2000人がアラス、アイナロからの難民としてディリに避難している。赤十字がモニターしている。

ディリの状況

 今日は静かだが昨日は騒動があった。多くの東ティモール人でない移民者たちが逃げ帰ろうとしている。反合併派のグループが移民たちを迫害しており、家に入って略奪したり、窓を壊したりなどしている。飛行機は来週の分まですでに満杯。フェリーも出発に3時間遅れた。
 武器は各県あたり500丁、合計7000丁が配られている。 準軍組織がマヌエル・カラスカラォンを含む指導者たちの家を襲撃している。CNRTはナイフなどで自衛しているが、準軍組織は自動式の銃までもっており、それらを白昼見せながら町を歩いている。
 先日のマコタ・ホテル事件では、アラタス外相らが提示した分離案をめぐって

1月30日
Antara, United Nations
ポルトガル・インドネシアの外相会談は2月末

 インドネシアとポルトガルの外相は2月末に会談をすることが決まった。ただし議題は自治案をどうするかであり、独立問題ではない。インドネシアは分離の考えを口頭で説明したが、文書で国連には提出していない。 一方、国連の政治囚に関する作業部会のメンバーでフランスのLouis JoinetとチリのRoberto Garretonの2人の国際法専門家が2月1-12日にインドネシアと東ティモールを訪問し、政治囚の状態についての研究を行う。シャナナにも面会する予定だ。

1月31日
Kompas Online, Dili
小学校教師と警察官撃ち殺される

 ボボナロ県リバボ村の小学校教師、Abel Martins (45)とバウカウの交通巡査、I Made Koji(バリ人)が銃で撃たれるという事件がおきている。
 アベル・マルティンスは正体のわからない青年グループに襲われた。彼はその青年グループに襲撃された隣人を助けようとしていた。
 東ティモールの警察の広報担当官の説明は以下の通り。 青年グループがある未亡人の家にやってきてドアを開けろと言った。女性が拒否すると彼らはドアに放火した。それで近所の人たちも驚き、マルティンスも出てきたが、彼は青年たちに止められた。彼らは顔をおおい、インドネシア軍のような服を着ていた。マルティンスは、泥棒するなら昼間の来いと言った。青年たちが撃ち殺すぞとおどすと、やるならやれと返答した。そして背後から左胸を撃たれ、青年たちは逃走した。
 またイ・マデ・コジ巡査は1月28日にデンパサルの家族に電話しようと電話局にいたが、突然背後から首を撃たれた。すぐにウィラフサダ陸軍病院に運ばれた。のちにバリに移送された。

1月29日
Antara, Dili

 29日(金)、ベロ司教はドミンゴス・ソアレス(神父?)が率いる「統一・民主・正義フォーラム」に、政治的指導者たちを中心にした派遣団を組織し、大統領、国会、国民協議会とインドネシア政府の提案を協議するよう提案した。 ソアレス氏は司教の考えを支持すると発表。東ティモールのゴルカルのメンバーも支持するとしている。

海外の社説をひろってみました。

ジャカルタ・ポスト、1月29日
 不可避で遅きに失した政策転換だ。インドネシアは開発を行ってきたが、「人はパンのみにて生きるにあらず」ということを忘れていた。国民協議会による決定が最善の策かどうかは議論の余地がある。政府が住民投票をさけたい気持ちはわかるが、東ティモール人が独立を望んでいるのか合併を望んでいるのかというこの間の最大の問題がこれではきちんと解決しない。

ボストン・グローブ、1月28日
 歓迎すべき兆候だ。インドネシアは経済危機以後外国からの援助にますます依存しており、国際世論に配慮しなければならなかった。ラモス・ホルタなどはインドネシア軍が住民を武装化していることで、インドネシアの態度に疑問を呈している。この武装化は、インドネシアが東ティモール人独立派に独立のコストは安くすまないということを示そうとするつもりなのだ。国際社会はインドネシア政府が約束を守るようにし、東ティモールの独立への移行を助けるべきである。

ワシントン・ポスト、1月30日
 ハビビ政権は国際社会の援助を必要としているため、東ティモールに着目した。しかし政党や軍にはまだ躊躇もみられる。それは民族的に多様な国家で前例をつくることになるからだ。
 しかしいずれにせよ東ティモール人はポルトガル植民地主義という歴史によって、独自の自決権を有する。インドネシアの提案は国民協議会が決定するということだが、東ティモール人が彼ら自身による住民投票を希望するのはむしろ正しい。それは単に手続き的な問題をこえて、問題の本質にかかわるからだ。

ビジネス・インドネシア、1月30日
 東ティモール人全体の意見がまだ問われたことがない。もし自治案が拒否されれば、インドネシアからの一方的な決定を受け入れるしかない。外交上は適切な政策かも知れないが、はたして賢明といえるか。そうなると内戦が起きるかもしれない。東ティモールの対立している当事者たちが政治家としての責務をはたすことを希望する。

ヘンダルディ(インドネシア法律扶助人権協会会長、シャナナの法律顧問) Kompas, Jan. 30
 東ティモールを手放すというのは簡単にはやれない。それは無関心、無責任という印象を与える。東ティモールの離脱は十分な時間をかける必要があり、東ティモールが独立できる準備をしなければならない。

フランス・セダ(スカルノ時代の蔵相、ハビビの経済顧問) Antara, Jan. 28
 インドネシアの憲法は州が住民投票を通じて分離することを許していない。またインドネシア国民は全体として、東ティモールが一定期間自治を行い住民投票をその後に行うという考えには賛成しないだろう。

ジョアォン・タベラス(合併派指導者)
Antara, Jan. 28
 独立は合併派の先駆者たちの理念を裏切ることだ。最悪の事態になるだろう。合併派は内戦になって流血の事態がやってくることをさけるために、あらゆることをするだろう。

カンシオ・デ・カルバリョ(武装合併派「インドネシア決死隊」の指導者) Antara, Jan. 28
  最後の血の一滴までインドネシアとの合併を擁護する。

リザル・スクマ(ムハマディアのスポークスパーソン) Antara, Jan. 28
 政府の決定は時期尚早でインドネシアにとってカウンタープロダクティブ(逆の効果)をもたらしかねない。

マルコム・フレーザー(元オーストラリア首相) AAP, Melbourne, Jan. 29
 状況は1975-76年から大きく変わっており、これらの状況の変化の中でインドネシアが東ティモールの独立を受け入れる用意があるのなら、私はそれを大いに歓迎する。

マリオ・カラスカラォン(インドネシア政府最高顧問会議メンバー、元東ティモール州知事)
BBC Summary (Radio Australia), Jan. 28
 最善の策とは思えない。なぜならこうした方法ではインドネシアの他州が追随するおそれがある。最善の策は5年から10年の自治をへて住民投票を行うことだ。合併派が報復するおそれもある。インドネシアは他にも多くの問題をかかえており、それらの解決のために東ティモール問題を犠牲にしたと私は見ている。

フランシスコ・ミランダ・ブランコ、グレゴリオ・ダ・クニャ・サルダニャ(サンタクルス虐殺の際のデモを計画したとして国家転覆の罪で有罪とされた政治囚でスマラン刑務所に服役中)
声明、Jan. 29
 歓迎する。しかしインドネシア軍は自らが武装化した統合派住民の武装を解除する義務がある。またインドネシア政府は東ティモールの恒久的平和の創出のために東ティモール民族抵抗評議会と協力しなければならない。

アクバル・タンジュン(ゴルカル総裁)
Antara, Jan. 31
 ゴルカルは東ティモールがインドネシアに残ることを望んでいる。東ティモール出身のゴルカルメンバーもみな合併を支持している。住民投票は必要ない。大統領が今回の決定にいたったのは、あらゆる努力をし、予算をつぎこんだにも関わらず、評価されなかったからだ。

ヘルマン・マンティリ(元第9管区司令官) Kompas Online, Jan. 31
 かつて東ティモールを統括する管区司令官をつとめたものとして、自治が最善の解決策だ。

2月1日
The Age, Canberra
インドネシア軍情報部、すみやかな撤退を提案

 インドネシア軍情報部は東ティモールの抵抗勢力に対して、彼らのかつての協力者たちが保護されるならば速やかにインドネシア軍を撤退させる用意があるとの提案を行った。
 オーストラリアの情報部は独自の情報活動でこの提案を先週末にはキャッチしていた。インドネシア軍情報部と抵抗勢力がすでに接触していた。
 インドネシア軍は2つの条件で即時撤退を行うという。第1に、インドネシア軍のメンツを保つため、抵抗勢力がインドネシア軍をうち負かしたというようなニュアンスのことを言わないこと、第2に、東ティモールの彼らの「友人」たちに支援の手をさしのべること。
 抵抗勢力側はインドネシアに対して何の保証もしなかったが、インドネシア軍が民間人の武装化を解かないで撤退することには反対した。
 こうした情報によってオーストラリア外務省は、インドネシアが自決権行使もないままに速やかに独立を東ティモールに与えるのではないかとの見方を強めている。

1月31日
Antara, Jakarta
スリ・ビンタン・パムンカス「シャナナが東ティモールに戻れば対立は解決できる」

 元野党国会議員で大統領侮辱罪で投獄されスハルト退陣にともなって釈放されたスリ・ビンタン・パムンカス氏は、シャナナが釈放されて東ティモールに戻れば緊張をやわらげることができるだろうと語った。チピナン刑務所でシャナナを含む政治囚たちとの断食明け行事で述べたものだ。

2月1日
Kompas Online, Jakarta
ユヌス情報相「インドネシア撤退後は国連が責任をもつだろう」

 ユヌス情報相は、1月30日(土)、東カリマンtン州の公務員らとの会合で、インドネシアが撤退した場合東ティモールの治安は国連の責任になるだろうと発言した。また合併派の人々に対しては、彼らがインドネシア国籍を望めばインドネシアとしては常に保護を与えると語った。

1月30日
Kompas Online, Jakarta
メガワティとグス・ドゥルは東ティモール分離に反対

 グス・ドゥル(アブドゥルラフマン・ワヒド総裁)は、短期的には利益はないかも知れないが、インドネシアは東ティモールを領土の一部に決定するとしたのであってそれは尊重されなければならないと語った。しかし最善の策は、依然として住民投票だとも述べた。
 メガワティは、東ティモールの合併は政治的にも憲法的にも正当なもので、東ティモール人民の願望を受け入れたものだと述べた。闘争民主党はパンチャシラと45年憲法にもとづいたインドネシア共和国の一体性を維持するために東ティモール住民の開発に邁進するとも述べている。

2月1日
Kompas Online
自制を求める東ティモール人たち

 2月1日の午前9時、ディリのサンタクルス墓地で開かれた独立派の集会にはティモール社会党(PST)、東ティモール民主共和党(PRD)、東ティモール独立支持活動家(APKT)といった団体が参加した。この3つのグループは治安を妨害しないよう住民に自制を呼びかけた。
 この3団体による行動は、CNRTの他の団体によっては支持されなかったようだ。 CNRTはすでにデモをしないよう住民に呼びかけていたからだ。あるCNRTの指導者は、街頭行動をしたこれらの団体は、CNRTの指導者の言うこともきかず、自分たちの宣伝のためにやったのだと述べている。
 一方、統合派のガルダ・パクシの指導者、アントニオはインドネシア軍司令部で、これに対するカウンターデモは行わない、対話が行われるのを待っている、と述べた。
 ベロ司教とナシメント司教は、第2回のダレの対話集会を企画している。これはソアレス州知事もカラスカラォン氏も支持を表明している。

2月1日
AFP, Jakarta
インドネシア政府、インドネシア人教師に対する帰国希望調査を始める

 国営アンタラ通信社の月曜の報道によると、インドネシア政府教育文化省は、東ティモールにいるインドネシア人教師に対して配転の希望について調査を始めた。同省東ティモール事務所のアンドリ・スタルジ所長は、まだデータ収集の段階で、東ティモールが独立したときに適切な措置がとれるようにしておくつもりだと語った。 少なくとも250人の教師が配転を希望している。

2月1日
Indonesian Observer, Jakarta
政府は帰国希望の教師にチケット配布を始める

 教育文化省東ティモール事務所のアンドリ・スタルジ所長は、移民の教師だけでなく東ティモール人教師に対しても希望者にはチケットを与えると語っている。 東ティモール州の教師の数は、幼稚園247人、小学校6649人、中学校1797人、高校 1042人、実技系学校523人。

2月1日
Radio Ireland
アイルランド政府、国連使節団派遣を支持

 アイルランド政府は東ティモールに国連の特別ミッションが派遣されればアイルランドは全面的にそれを支援すると発表した。世界で初めて。ミッションはインドネシアからの権力委譲をモニターするのが目的。

1月29日
The Independent
東ティモールが消された日

 1997年12月7日、侵略の記念日に、Connect-Irelandというプロバイダーは東ティモールをバーチャル・カントリーとするドメイン(.pt)を登録した。その国の行政の長はシャナナと登録された。
 その4ヶ月後には、ハッカーによる攻撃が始まった。最初は攻撃は稚拙なものだったが、だんだんと洗練され、最後にはプロバイダーを閉鎖させるほどの巨大な攻撃をしかけたというわけだ。
 最後の攻撃のときには、ダブリンのプロバイダーの小さな事務所に、目に見えない電子のパルスが電話回線を通じて洪水のように押し寄せ、「プラグをはずせ!」と誰かが叫んだ。プラグはただちにはずされた。 あわやこのドメインにアドレスをもつ人のコンピューターは真っ白、ということになるところだった。
 歴史上、もっとも効果的になされたサイバー・テロのひとつだった。東ティモールのページにアクセスすれば「なぜインドネシアは侵略するのが正しかったか」というページに自動誘導された。

2月1日
AAP, Jakarta
スアイの難民たちは無理矢理帰還させられている

 ラティ(Ratih)と呼ばれるインドネシア軍が武装化した併合派の民間人グループは、スアイ地方での攻撃をすでに停止したもようで、住民たちは無理矢理帰還させられているようだ。現地のヒラリオ・マデイラ神父は、状況はすでに平静にもどっており、市場も再開したと言っている。しかし、スアイの難民たちのコーディネーターをしているアンドリアヌス・ナシメントによれば、難民たちは強制的に帰還させられており、政府は彼らの面倒をみることを拒否しているという。「われわれはテロにあっているにもかかわらず強制的に帰らされている。もう降参した」と彼は言っている。

1月29日
RDP Antenna 1 radio, Lisbon
シャナナは暫定自治を2、3年にしたい

 ポルトガル人ジャーナリストによるチピナン刑務所でのインタビューで、シャナナは暫定自治期間を10年間から大幅に縮めて2、3年にしたいと語った。

1月31日
AAP, Canberra
オーストラリア労働党、東ティモールに領事館と航空路開設を求める

 オーストラリア北部準州選出のウォーレン・スノードン議員(労働党)は、政府に対し、ただちに東ティモールに領事館を開き、直接航空路を開設するよう提案した。それによって人道援助などに緊急対応できるとした。 スノードン議員は東ティモールの準軍組織を非難し、オーストラリア議会の外交委員会が東ティモールへの事実調査団を派遣することも提案した。

2月2日
Jawa Pos
グス・ドゥル、シャナナに今日面会の予定

 2月2日(火)、インドネシア最大のイスラム組織ナフダトゥル・ウラマのアブドゥルラフマン・ワヒド総裁(グル・ドゥル)が、チピナン刑務所でシャナナに面会する予定だ。
 統合派住民に対する保護を呼びかけてもらうのが目的のようだ。 グス・ドゥルは、インドネシア人として東ティモールの独立には反対だが、東ティモール人が自決を行使することには賛成だと述べた。住民投票については、それが最善の策というわけではないが、それよりよい方法は今のところ思いつかないと答えた。


2月1日
Lusa, Jakarta
アナ・ゴメス、マリオ・カラスカラォンに会う

 ジャカルタに到着したばかりのポルトガルの利益代表部のアナ・ゴメス氏は、元東ティモール州知事で現在最高顧問会議メンバーのマリオ・カラスカラォン氏と面会した。アナ・ゴメス氏はシャナナにも会うつもりだという。

2月2日
ロイター、ジャカルタ
ウィラント総司令官:民間人は武装していない

 ウィラント総司令官は「インドネシア軍は住民を武装化はしていない。実際、過去インドネシア軍の治安維持を助けた現地の組織は解散し、武器は押収されている」と語った。
 しかし、インドネシア軍を助ける準軍組織は武装化されている、と言う。(?、これでは同じではないか!)
 「そうした(準軍組織の)部隊は以前から存在しており、統合の賛成派、反対派ともに圧力をかけるためのものではない」と語った。同様の組織はインドネシアの他の州にも存在する。ただ東ティモールでは独立派の人たちはこのインドネシア軍よりの組織に入ろうとしないだけだ。

2月2日
Indonesian Observer
インドネシアはポルトガルのように突然には去らない

 ポルトガルは1975年に突然に東ティモールを去ってしまって、その結果、流血の内戦が起こり、インドネシアは介入せざるをえなくなった。
 ハビビの外交ブレーンであるデウィ・フォルトゥナ・アンワルは、「われわれはポルトガルが1975年に突然に東ティモールを放棄したほど、不道徳ではない。もし国民協議会が東ティモールを手放すことを決定すれば、われわれはきちんとそれをやる」と語った。

2月2日
AFP, Jakarta
グス・ドゥル、シャナナに会う

 今日、ナフダトゥル・ウラマ総裁のグス・ドゥル(アブドォルラフマン・ワヒド)がシャナナをチピナン刑務所に訪ねた。その後、グス・ドゥルは「私はインドネシア人として東ティモールがインドネシアにとどまることを望むが、東ティモールの運命は東ティモール人が決めることだ」と語った。
 同席したソリダモルのメンバー、イェニ・ダマヤンティはインドネシア軍による民間人の武装化を批判し、「民間人に武器をただ渡すなんてできないことだ。治安を守るのは警察の役目だ。独立派の住民は自衛する武器をもたないのに、インドネシア派の住民は武装化されている」と語った。

2月2日
Suara Pembaruan
合併支持派、ソアレス州知事に請願

 2月2日(火)、35人の合併支持派の東ティモール人が署名した声明文が、ディリの州庁舎でソアレス州知事に手渡された。
 署名したのはFransisco Lopes de Cavalho (CNRT/Apodeti), Thomas Gonzalves (Sukarelawanの司令官), Alexus Ximenes (UDT/GRPRTT)たち。声明文は、インドネシア内部における自治を支持するというもの。独立は東ティモールのひとつの政治勢力に勝利をもたらすもので非民主的だ、などと述べている。

2月2日
Lusa, Sydney
合併派東ティモール人の代表団がハビビ大統領に会見申し込み

 シドニー・モーニング・ヘラルド紙によると、100人からなる合併派東ティモール人の一団が、今週末、ハビビ大統領に会って東ティモールはインドネシアにとどまりたいとの意見を伝える予定だ。派遣団はソアレス州知事が率いる。

2月2日
Lusa, Jakarta
アナ・ゴメス、アラタスと会う

 2日(火)、ポルトガルの利益代表部のアナ・ゴメスはアラタス外相と会った。会見の前、アラタス外相は記者たちに対し、インドネシア政府はシャナナとの面会も含め、可能な便宜をはかるつもりだと語った。事態を完全に理解するために彼女の求めるものにはすべてアクセスを許す、という。

2月2日
Lusa, Dili
サンタクルス墓地で1000人デモ

 2日(火)、ディリのサンタクルス墓地で1000人以上が集まって「完全独立」を求めるデモを行った。通常は軍・警察はこの墓地での集会を許さないが、今回は介入しなかった。

2月2日
インドネシア国営テレビ放送
アビリオ・アラウジョ、アラタスに面会

 フレテリンを放逐された東ティモール人のアビリオ・アラウジョが明日、アラタス外相に会い、自治案への支持を表明する予定だ。

注:アビリオ・アラウジョはリスボン在住で、元フレテリン海外代表部の部長。シャナナやラモス・ホルタとの個人的確執、路線のちがいなどから抵抗勢力の主流派と対立。インドネシア側と協力するようになって、フレテリンを追放された。スハルトやアラタスとしばしば会っていた。

2月2日
Lusa, Jakarta
アラタス、国連平和維持軍などについて語る

 2日(火)、アラタス外相はポルトガル人記者たちに対して、インドネシアは突然に東ティモールを放棄したりはしないこと、国連に平和維持活動を求める可能性があることを示唆した。また東ティモール人が自治を受け入れるかどうかの決定については現在国連で討議中だとしながらも、住民投票という形式は拒否すると語った。

2月2日
Amensty International, Urgent Action
ASA 21/05/99

東ティモール
Custodio da Silva Nunes

 東ティモール州議会議員、クストディア・ダ・シルバ・ヌネスが、2月2日、拘束され、殴打されたとの報告が入った。彼はRatihというインドネシア軍が訓練し武装化している民間準軍組織によって逮捕された。インドネシアの刑事手続法では、警察しか逮捕権限はもたない。彼は今リキサ県、マウバラの警察に留置されているようである。

2月2日
ロイター、国連
ポルトガル、インドネシア外相会談、今週末

 アナン国連事務総長は、ポルトガルとインドネシアの外相を今度の日曜、月曜とニューヨークに呼んで会談を行う予定だ。今週金曜日には、自治案がまとまるのを受けて、「次の段階」について検討する。
 外相会談は2月末とされていたので、さらに早まったことになる。

2月2日
ロイター、ジャカルタ
アビリオ・アラウジョ、自治案を支持

 ジャカルタを訪問中の元フレテリン海外代表部部長、アビリオ・アラウジョは、「相互依存という考え、インドネシアは東ティモールを必要としないという考えには賛成だが、東ティモールの方がインドネシアを必要とするのだ。今日多くの文化を内にかかえるこの共同体の一部でありたいと思っている」と語り、自治案を支持した。
 「私はいつもすべての当事者が妥協をして、みんなにとって勝利と思えるような解決を計るべきだと思ってる。東ティモールにとって新たな章の幕開けとなった。すべての東ティモール人指導者は東ティモールの未来と住民の信仰のために和解する必要がある」と語った。

2月3日
AFP, Jakarta
シャナナの新たな処遇

 3日(水)、ムラディ法相は、シャナナの移転には1週間ほどかかると語った。シャナナがすむことになる家は、Jl. Percetakan Negara VII, No. 47, Jakarta Pusat, Indonesiaとなる。
 法相によれば彼の地位は囚人として変わりはない、しかしラジオ、新聞などを聞いたり読んだりできるだろう、ただし面会するには外務省の許可がいるということだ。

2月3日
South China Morning Post
アナ・ゴメス、民間人の武装を非難

 ポルトガル利益代表部(ジャカルタ)のアナ・ゴメスは、インドネシアによる東ティモールでの民間人武装を解除するようインドネシアに求めた。
 「それは緊張を高め、独立派の期待を高めた一方で、合併派には脅威を与えた。状況は実に深刻だ。民間人の武装はニューヨークで進んでいる交渉の方向に矛盾する。東ティモール人は状況が改善されるとの目に見える証拠を必要としている。それが見えないのだ」と語った。

2月3日
SCTV
400人の医師が引き上げられる?

 インドネシアのファイサル・ムルック保健相は、もし医師たちの安全が確保されなければ東ティモールから引き上げると語った。現在医師の数は400人。

2月3日
AFP, Jakarta
国連作業部会、シャナナと会う

 国連の恣意的拘禁に関する作業部会の委員4人が、シャナナと面会した。法律扶助人権協会のヘンダルディ会長が付き添った。作業部会委員は90分の面会ののち、コメントはしなかったが、ヘンダルディ会長は「シャナナの場合、東ティモールの独立のために闘っており、恣意的拘禁のカテゴリーに入る」と語った。
 恣意的拘禁に関する作業部会委員は他にも旧共産党関係政治囚や民主人民党政治囚などとも面会した。

2月3日
Antara, Jakarta
インドネシア国会、東ティモール分離におおむね反対

 国会内4会派のうち、ゴルカル会派、民主党会派、国軍会派の3会派が、東ティモールの分離に反対で、ただ開発統一会派だけが賛成だ。これは来る総選挙に東ティモールが参加すべきかどうかという点をめぐっての意見で、開発統一会派は東ティモールは選挙に参加すると混乱を招くと言う。

2月3日
Antara, Jakarta
米国務次官ハビビと会う

 スタンレー・ロス米アジア太平洋担当国務次官は、ハビビ大統領と2時間ほど会見し東ティモール問題について話した。コメントはなかった。

2月3日
Lusa, Macau
マカオで伝統的首長たちが会合

 来週マカオで、東ティモールの伝統的な首長(リウライ)たちが「リウライ参議院」を設立する。2月11-14日、ラモス・ホルタがこの設立会議にたちあう予定。マカオにすむ弁護士、マヌエル・ティルマンが発表した。

2月3日
AP, Dili
サンタクルス墓地でのデモ、三日目に入る

 サンタクルス墓地でのデモは三日目は200人が参加し、インドネシア軍の即時撤退を要求した。

2月3日
Antara, Jakarta
マリオ・カラスカラォン、シャナナに会う

 元東ティモール州知事で現在最高顧問会議のメンバーとなっているマリオ・カラスカラォンは、シャナナと面会した。独立問題については、彼は独立したいという気持ちだけでは不十分でそれなりの施策が行わなければならない、決定は来る国民協議会が行うべきだと語った。

2月3日
Lusa, Jakarta
シャナナ移送2月11日

 シャナナの法律顧問をしているインドネシア法律扶助人権協会のヘンダルディ会長は、シャナナが自宅軟禁へ移行するのは2月11日となると述べた。

2月2日
Amnesty International, Urgent Action
ASA 21/05/99

 前回のUrgent Actionで、Custodio da Silva Nunesという州議会議員が拘束され殴打されたと報じましたが、Gustave Mataさんのあやまりで、しかも彼は釈放されました。

2月4日
AP, Dili
ベロ司教、住民投票に10-15年を示唆

 ベロ司教は、東ティモール人の内部対立を和解にもちこむには10-15年かかる、住民投票は不可欠だが、早くても10年後だと語った。

2月4日
AAP, AFP
シャナナがファリンティルの武装解除を示唆

 シャナナは昨日、もしインドネシア軍が民間人の武装解除をすれば、ファリンティル側も武装解除に応じる用意があると語った。

2月4日
BBC Summary of World Broadcasts
東ティモール陰の内閣騒ぎ

 2月3日付けの西ティモールの新聞「ポス・クパン」が、東ティモールの陰の内閣についてのニュースを報道したことで騒ぎがおきている。
 陰の内閣はシャナナが大統領兼国軍総司令官、ラモス・ホルタが外相、マリ・アルカティリが行政相、ルカス・ダ・コスタが青年相、アナ・ペソアが女性相、マヌエル・ティルマンが法相、タウル・マタン・ルアクが国防相、ドミンゴス・ソルサが文相、首相はマリオ・カラスカラォンだそうだ。 これにはソアレス州知事も「なぜ私が入ってないんだ」と怒っている。陰の内閣の「噂」はディリでも広がっているようだ。

2月4日
Lusa, Sydney
ディリの病院が危機

 カトリック教会筋によると、ディリの総合病院が、深刻な薬品不足におちいっている。その結果、200人いた患者も今や数十人にへっている。

2月4日
Lusa, Sydney
ロペス・ダ・クルス、シャナナの完全釈放を呼びかけ

 合併派東ティモールとしてインドネシアの東ティモール担当大使となっているロペス・ダ・クルスは、シャナナの自宅軟禁はインドネシア政府の示したわずかばかりの柔軟性であるが、インドネシア政府はさらに柔軟性を示し、彼をあらゆる形態の拘束から自由にすべきだと語った。

2月3日
Lusa, Jakarta

 元東ティモール州知事のマリオ・カラスカラォンはシャナナと面会した後、シャナナが東ティモールの治安を安定させるため「安定委員会」を設置し、マリオ・カラスカラォンをその委員長にしたい考えであることを明らかにした。委員会は東ティモール人とインドネシア人軍人などから構成される。

2月4日
Antara, Semarang
国際赤十字、サンタクルス政治囚に会見要請

 赤十字国際委員会は、スマランのクドゥンパネ刑務所に服役しているサンタクルス関連政治囚2人、グレゴリオ・ダ・クニャ・サルダニャ、フランシスコ・ミランダ・ブランコに面会したいという希望を当局に送った。
 赤十字は彼らの家族もともに連れていきたい希望だ。 フランシスコは12年、グレゴリオは終身刑に服している。

2月4日
Antara, Jakarta
自治案では東ティモールは独自の選挙

 アラタス外相は4日(木)、インドネシア政府の自治案では東ティモールは独自の政党を結成し、独自の選挙を行うことができると語った。

2月4日
Antara, Jakarta
死んだインドネシア人兵士は1419人

 ハビビ大統領は、東ティモールで死んだ兵士の数を1419人と発言した。

2月4日
Solidamor
ソリダモル、アナ・ゴメスに会う

 2月4日、ジャカルタのハンダヤニ・レストランでソリダモル(東ティモール問題の平和的解決のためのインドネシア連帯)はポルトガル利益代表部のアナ・ゴメスを招いて夕食会を行った。
 アナ・ゴメスは、東ティモール人が自治案を拒否し、インドネシアの国民協議会が分離を拒否した場合、どうなるのかと疑問をなげかけた。 夕食会は、ガド・ガド、魚フライ、プテ豆のサンバル、いか炒め、ココナッツジュースといった料理。
 アナ・ゴメスはメガワティが勝利した場合の影響を心配していると語った。

2月4日
Lusa, Jakarta
シャナナは大統領に立候補しない

 4日(木)、シャナナは東ティモールが独立したら大統領には立候補しないと語った。そして内戦を避けるよう全東ティモール人に呼びかけた。 彼はむしろアドバイザーとしての役割を好むということだ。

2月5日
ラモス・ホルタの声明より(ポイントのみ)

 東ティモールの陰の内閣についての報道がなされているが、こうした議論をする段階ではまだない。東ティモールの暫定政府は、インドネシア合併派も含めて、東ティモールのあらゆるグループから構成されるべきだ。
 自分自身は外務大臣になるつもりはなく、むしろ外交分野での後進の指導にあたりたい。
 国語については、コンセンサスがそのうちできなければならない。当座、インドネシア語と英語が重要で、テトゥン語とポルトガル語もそうであろう。 合併派の処遇については、私自身が国内的にも国際的にも、彼らの人権を保護するための努力を惜しまないことを約束する。また中国系住民との調和もはかる。
 東ティモール人に平静さ、寛容、許しを求める。
 インドネシアが出ていくことについては、国連とこのような事態について協議していた。国連が暫定自治を3年ほど行うことが望ましい。

2月5日
ロイター、ジャカルタ
ウィラント、停戦に賛成

 ウィラント国軍総司令官と面会したスタンレー・ロス米アジア太平洋担当国務次官補は、ウィラントが東ティモールのエスカレートする暴力に対抗すべきだというシャナナの考えを支持していると語った。
 スタンレー・ロスは「彼は、すべての当事者が武器を置き、停戦を行って暴力に終止符を打つというシャナナの考えが気に入った。過去19年間で、私が政治的な解決の基礎ができたと楽観できたのは初めてのことだ」と語った。

2月5日
AFP, Jakarta
アナ・ゴメス、シャナナと面会

 5日(金)、アナ・ゴメスはシャナナと3時間面会し、東ティモールでの内戦をさけ、安定をえるための委員会をつくる提案について議論した。 シャナナによれば委員会は東ティモールのすべての派閥の代表者が集まり、和解をはたし独立の準備をする。

2月5日
Antara, Jakarta
ティモール・ギャップの石油試掘は継続

 5日(木)、インドネシア政府の鉱業エネルギー省の報道官は、インドネシアは東ティモールの地位が変わるまで試掘は継続すると語った。 ティモール・ギャップ条約は1989年に調印。A区域はインドネシア側に属し、もっとも資源が豊富だとされる。その中でUndan-Bayu区域は9億バーレルの埋蔵量があると推定されている。
 ティモール・ギャップに投資している外国企業は、Phillips Petroleum, BHP, Santos, Shell Australia。

2月5日
ジャカルタポスト
ハビビ:住民投票はない

 ハビビ大統領は「東ティモールがインドネシアになったのは住民投票によってではなく、国民協議会令によってであるから、住民投票はできない」と語った。
 国連での交渉が失敗すれば、政府は国民協議会に分離の提案を行う、という。
 またアラタス外相によれば、双方は4月までに自治案を完成させなければならない。それを東ティモール人にはかる。

2月5日
ETAN, John Miller, New York
ジャムシード・マーカー特使の記者会見(要点のみ)

[ジョン・ミラーはアメリカの支援グループのメディア担当。以下は国連からの独自の記者会見報告。]

 特別な地位にもとづく自治案は、いくつかのカッコが残ったが、基本合意に達し、ジャムシード・マーカー特使が記者会見を行った。 問題は、最終解決としての自治が自決権行使へいたる自治かだという。自治案はまだ発表段階ではない。マーカー特使は、その時がくれば公開して東ティモール人の見解を聞くことになるが、その方法はまだ決まっていない。
 これから東ティモール人との協議を強化していく。東ティモール人が自分たちの運命が頭越しの交渉によってニューヨークで決められると思わないようにだ。 案は東ティモールの憲法のようなものになるが、いずれにせよ、東ティモール人が決定することだ。
 国連の平和維持軍派遣については、議論はしなかったが、事務総長と外相の会談で議論されるだろう。ただ彼は民間人武装問題について懸念を表明した。しかしインドネシアは民間人を武装していないとの立場をとった。

[アメリカの支援グループは国連でコンスタンシオ・ピントとジョアォン・カラスカラォンの記者会見を開いた。特使の記者会見での質問はそのときのプレゼンテーションを参考にしていた。]

2月5日
BBC
インドネシア軍報道官、民間人武装を認める

 スドラジャット軍報道官はBBCに対して、「われわれは(準軍組織を)掌握しており、彼らに武器を貸している」と語った。ただ彼らがその武器を使って民間人を殺しているかどうか証拠はない、もしそれが事実だとしたら、謝罪しなければならない、とても不幸なことだと述べた。
 報道官は、武器は単に反乱から身を守るために彼らに貸しているという。 これより先、準軍組織のリーダー、カンシオ・ロペスは抵抗勢力の拠点を攻撃するのに武器を使ったことを認めている。その攻撃で民間人を含む6人が殺された。2日前、抵抗勢力と協力している民間人を4人殺害したことも認めている。

2月5日
BBC, Jakarta
カンシオ・ロペス、武装組織のリーダー語る

 インドネシア軍が武装した民間人グループ「マヒディ」のリーダー、カンシオ・ロペスは、BBCに対して、6人を殺害した攻撃でインドネシア軍からかりた武器を使用したことを認めた。彼によると、昨年12月末、インドネシア軍司令部から20個の中国製SKSライフルを受け取った。また抵抗勢力からうばったM-16銃(米国製)の使用もすでに認められたという。
 2日前にも4人の抵抗勢力協力者を殺害したことを認めた。しかし、それに対する反省は全くなく、東ティモールの独立を阻止するための決死の闘いだとしている。 カンシオ・ロペスはまた政府が正式に組織した民間防衛組織のリーダーもつとめている。
 実はスアイでの攻撃の後、インドネシア軍は彼に武器をもどすよう要請したが、彼はそれを拒否しているという。内戦にそなえて必要だという理由からだ。

2月5日
徐々に明らかになる政策決定の背景

 インドネシア政府の「分離」容認の決断はハビビが言い出したことだという発言が政府高官が次々と明らかにしている。(こういう場合、常に信用して良いかどうかと言う問題はあるが。)一般的な観測としては、彼の外交アドバイザーであるデウィ・フォルトゥナ・アンワル氏の影響が大きいのではないかと見られている。
 Far Eastern Economic Review (Feb. 11)は、ハビビがハワード首相の手紙を受け取った昨年末、決意をしたと書いている。彼はその手紙と外交アドバイザーたちのメモを政治・治安関係の7人の大臣に回し、分離案を検討するよう伝えた。そして1月 27日の閣議で、ハビビは20分間熱弁をふるったあと、もし自治案が拒否されるのであれば、できるだけ早い時期に独立させるのが公正で民主的なやり方だと結論した。そのとき、閣僚たちからは拍手がおきたという。
 デウィ・フォルトゥナ・アンワル氏は、「これは腹立ち紛れの決断ではない。現実的な解決策だ。東ティモールは虫垂で、国全体がそのために熱を出したようなもの。スハルト元大統領はそれを認めようとしなかったが、今や政治的な移行期となった今、問題を見るパラダイムが変わったといえる」と言っている。
 コーネル大学のベネディクト・アンダーソン教授は、オランダの国際ラジオ放送(2月5日)、ラジオ・ネーデルラントのインタビューに答えて、ウィラントの背景を次のように解説している。
 ウィラントは若いときにある場所(東ティモールの)に配置され、そこで処刑がよく行われていることに驚いた。そこで彼は現地の人々に彼がそこで司令官をしている間は処刑はやめさせるとと約束した。そして実際処刑はなくなった。しかし彼がよそへ配置されるとまた処刑は始まった。
 また国軍としても東ティモールでの出費が負担であったことが明らかになっている。非政府筋の情報によると、経済危機の前、国軍は東ティモールで1日当たり100万米ドルを出費していたという。(South China Morning Post, Feb. 6)

2月6日
ロイター、ディリ
新たに1000人の治安要員がリクルート

 インドネシア軍東ティモール司令部の司令官、トノ・スラトマン大佐は、総選挙および一般治安管理のために1000人の東ティモール人を新たな治安要員としてリクルートすることを明らかにした。
 これはインドネシア全土で4万人をリクルートするという政府の政策の一環であり、彼らは武装はされずに、警棒などを与えられる程度だという。

2月7日
AAP, Jakarta
豪法律団体、東ティモールの独立過程を支援

 オーストラリア法律資料インターナショナル(ALRI)のエインフィールド議長(連邦裁判所判事)は、東ティモールが自治になろうと独立しようと、さまざまな法的制度の確立など支援が必要であり、同団体はそれを支援していくつもりだと語った。

2月8日
AFP, Jakarta
1000人の準軍組織訓練開始

 8日(月)、1000人の新たにリクルートされた準軍組織が東ティモールで2週間の訓練を始めた。この組織はインドネシア語ではWanra(ワンラ)と呼ばれるもの。この組織は1年契約で入隊し、月額20万ルピア(30米ドル弱)の給与がもらえる。 またジャカルタ・ポスト紙によれば、マウバラ地域(ディリの西)では2600人が自分たちで武装している。

2月8日
Straits Times/Reuters, Dili
インドネシア人移民の状況

 1995年のセンサスによると、東ティモールにいるインドネシア人移民のうち、 26500人が西ティモール出身、5413人がスラウェシ出身、4390人が中ジャワ、5267人が東ジャワ出身となっている。
 ディリの総合病院に勤める13人のインドネシア人医師のうち、8人が移転を希望している。
 またバタフディンという市場の布売りは、多くの南スラウェシ出身者が逃げる準備をしていると語っている。
 インドネシアの統計局東ティモール事務所のケレンギ・メリアラは「私の妻は昨年 10月にもうここには住めないと言って帰った」と語っている。

2月8日
AFP, United Nations
東ティモール人の意思、「投票」で決める

 ポルトガルのガマ外相は、東ティモール住民の自治案に対する意見を聞く方法について、インドネシアが国連監督下のなんらかの「住民協議」という考えに原則合意したと語った。つまり、名前は違うが結局は住民投票にほかならない。
 アラタス外相の言い方は、インドネシアは「完全なかたちの住民投票」( full-fledged referendum)に反対というもので、実際には両国は国連監督下での「投票」(poll)に賛成した、とガマ外相は語った。

注:新聞では住民投票には反対だが、「投票」に賛成という言い方がなされていてわかりにくい。要するに英語で言うと、referendumは反対、何らかのpollならいいということか。つまり選ばれた人たちによる投票。これではまた例のインドネシア式民主主義ということになる。

2月8日
Indonesian Observer, Jakarta
グス・ドゥル、東ティモールは国家的失敗

 インドネシア最大のイスラム組織ナフダトゥル・ウラマのアブドゥルラフマン・ワヒド総裁(グス・ドゥル)は、東ティモールは国家的失敗だと発言した。
 「われわれはみな当初より現地では暴力が存在したことを知っている。どうして黙っていたのか。政府や軍を悪く言うことはできない」と語った。

2月8日
Indonesian Observer, Jakarta
インドネシア警察はインドネシア人を守る

 国家警察長官ルスマンハディ大将(警)は、6日(土)、ソロでのある会合で、東ティモールの域内を人道的目的で移動する教師や医者がいれば、警察が護衛する用意があると語った。
 統合賛成派・反対派がいるけれども、東ティモールの治安に問題はない、とも語っている。

2月8日
ロイター、国連
ポルトガル・インドネシア外相交渉の結果

 両外相は次のようなステップを踏むことについてインフォーマルな理解に達した。

●4月までに自治案をつくり、その後国連がそれについて東ティモール住民の意思を確認する投票を実施する。投票はインドネシアの新たな議会が招集される(8月)前に行う。
●東ティモール人が自治案を拒否した場合、インドネシアは東ティモールの分離を議会に提案する。
●その後インドネシアは数ヶ月をかけて撤退し、ポルトガルが漸次的に国連とともに行政を復活させる。制憲議会を選出し、独立するなら憲法を制定する。

以上。

2月8日
International Herald Tribune, Jakarta
東ティモールは選挙に参加しないかも

 国連交渉の前にインタビューに答えてアラタス外相は、東ティモールが今度の総選挙に参加しないことも考えていると述べた。そして対立するグループを集めて、自治案が受け入れ可能かどうかについて新たな「協議プロセス」に参加してもらうというらしい。
 またアラタス外相は、東ティモールはかつての地位、すなわちポルトガルが施政国となる非自治地域にもどるということになるだろうと語った。

2月9日
ETAN, NY
最終合意に至らず

[以下はアメリカの支援グループが外相会談後の記者会見でとったメモからのポイントです。]

 自治案を仕上げることはできなかった。
 アラタス外相は、東ティモール人によって「投票」が行われると合意したとの報道を否定した。
 次回の会合は3月9日に高官協議、10日に外相会談を行う予定。 ポルトガル外相は住民投票が最も民主的であると主張し、東ティモール人は問題の「主体」であると主張。マーカー特使も投票を望んでいるようであったが、他の方法も検討することができるだろうと述べた。
 アラタス外相は国連のプレゼンスも拒否した。少なくとも自治についての協議が始まるまで。国連の定期的訪問で十分だとの考えた。 また民間人武装についても、警察の拡大策として警棒などを「貸している」のであって、与えているのではないなどと政府の公式見解を繰り返した。

2月9日
Antara, Jakarta
ウィラント司令官、準軍組織はすでに解散した

 ウィラント総司令官兼国防相は、サカ、マキキといった準軍組織をすでに解散したと語った。今設立されている組織は、政府の政策によって合法的につくられたものであり、古いモデルの銃を装備している。
 「これは政治的理由によるものではないし、市民への圧力でもない。治安破壊分子(GPK)に対してインドネシア国軍を支援するためだけのものだ」、「東ティモールの状況を知らない人々はそこにインドネシア軍がいることを攻撃すべきではない」「住民がインドネシア軍にすぐに出ていかないように言っている」などと言っている。

2月8日
Lusa, Sydney
ベロ司教、国連の常駐を求める

 8日(月)、ベロ司教はすぐにでも国連のプレゼンスが必要だと訴えた。2、3人の国連からのオブザーバーがやってくれば、とりあえずプレゼンスを確立し住民からの信頼をえることができる、そういうことをしなければ国連が(住民との)協議を行う条件がうまれないと語った。

2月8日
Lusa, Zurich(チューリッヒ)
オーストラリア中銀総裁、ティモール・ギャップ条約は再交渉が可能

 マーク・ライナー豪中銀総裁は7日(日)チューリッヒで、東ティモールが独立したらインドネシア、オーストラリア、東ティモールの3者でティモール・ギャップ条約の再交渉が必要になるだろうと語った。ライナー氏によると、オーストラリアは独立した東ティモールとの共同採掘に当然ながら関心をもっていると言う。しかしながら、交渉は10年程度かかるだろうから、東ティモールは独立したとしても最初の数年間は石油収入はないことになると予測した。

2月9日
Lusa, Jakarta
マリオ・カラスカラォン、平和維持軍を呼びかける

 8日(月)、元東ティモール州知事のマリオ・カラスカラォンは国際的な平和維持軍が東ティモールに派遣されるべきだと語った。それにはインドネシア、ポルトガル、オーストラリアの軍隊が含まれるべきだ、そして東ティモールの武装組織は独立派も合併派も武装解除すべきだと語った。
 また国際的な平和維持軍は、その武装解除をモニターし、有権者の登録も行うべきだと語った。

2月10日
解説

メガワティの東ティモールについての発言

 メガワティの東ティモールについての発言が話題を呼んでいる。 同じように東ティモールの「分離」に反対を表明したと報道されたグス・ドゥルの方は、実際には住民投票を支持するという立場なので、東ティモール人が自決権を行使するという根本問題については事実上理解があると言っていい。
 メガワティは選挙の都合上、退役軍人のトリ・ストリスノ、エディ・スドラジャッド(いずれも元国軍総司令官)と近い。もっとも彼らは「正義統一党」なる保守的な政党を独自に立ち上げてはいる。民主闘争党の執行部にいる退役軍人テオ・シャフェイは、シャナナを逮捕したときの東ティモール司令官だった。 メガワティはこのところ、Sabam Sirait, Albersonなどリベラル派をわきにおいやり、Prof. Dimyatiなど保守派を重用していると言われている。東ティモールだけでなく、全体としてかなり反動的な方向を向いていると言えるかも知れない。

2月9日
ロイター、国連
インドネシアは住民投票を拒否し続ける

 東ティモール住民の自治案についての意見の確認方法として、ポルトガルのガマ外相は前日の報道で、アラタス外相が何らかの「投票」に賛成したと発言していた。
 しかし、結局、アラタス外相は「投票」にも反対していたことが明らかになった。アラタス外相は「住民投票とか、意見確認の方法としてそういう種類の形式をつかった東ティモール人自身による決定というものは、われわれがやろうとしている方法ではない」と語った。理由は内戦だ。
 しかしジャムシード・マーカー特使は、「民主主義に近道はない。ましてや民主的手続きをさらに縮めてやるなどというのは。それをいいかげんにでっちあげることはできない。その点に関しては、私は明確な立場だ」と述べた。
 ガマ外相は、東ティモール人の意見を確定するのに投票によらないことはありえない、「今や20世紀の終わりだ。民主主義は拡大している。国連が投票という民主的手続き以外で住民の意思を確定できる方法をもっているとは思えない」と述べた。

2月9日
Lusa, Sydney
ハワード首相「独立東ティモールは不安定」

 ハワード豪首相は、独立した東ティモールは内在的な不安定、経済的・戦略的脆弱さに悩まされるだろうと語った。彼は、自治案が東ティモール人に受け入れられるよう、努力がなされるべきだと語った。


2月10日
Lusa, Jakarta
シャナナ、民家に移送

 シャナナは午前9時35分に、サレンバ刑務所近くの民家に到着した。チピナン刑務所からは6キロメートル離れている。
 車の中から数十人集まった支持者と握手を交わした。支援者たちは「シャナナ万歳、東ティモール万歳」と叫んだ。しかしフェルナンド・アラウジョは移送は不十分、釈放されるべきだと語った。
 シャナナの家は一階建てで、白く塗られている。3メートルの高さのフェンスがあり、所有者はインドネシア政府の法務省だ。正式には刑務所の延長だということになっている。
 ムラディ法相がシャナナの手をとって新しい家を見せた。小さな居間にはイエスとマリアの絵が飾ってあり、テレビとラジオがあった。シャナナは電話を受けることはできるが、かけることは許されない。また訪問は受けられるが、訪問客の宿泊はできない。
 シャナナは急ごしらえの記者会見をし、東ティモール人の間に平和をもたらしたいなどと語った。

2月10日
AFP, Jakarta
ホルタ、インドネシアへ入れるか?

 ムラディ法相は、ラモス・ホルタが問題解決のためにインドネシアを訪問することを許す可能性があることを示唆した。「招待するわけではないが、可能性は閉じられていない」という表現だ。

2月10日
Kompas
インドネシア人移民たち、退去の準備

 レバラン(イスラムの断食明け祝日)をジャワなどで過ごしたインドネシア人移民たちはぞくぞくとディリに船で上陸しているが、彼らは東ティモールが独立するかも知れないとの観測から、土地や家を売るために東ティモールに急いでもどってきた。

2月9日
米国務省記者会見記録

 オルブライト米国務長官が2月28日から中国、タイ、インドネシアの訪問に出発する。
 インドネシアには3月4日に到着し、選挙、東ティモールの将来、経済再興などについて議論する。政府関係者、野党関係者らと面会する。 帰国は3月6、7日になる予定。

2月10日
Lusa, Lisbon
ポルトガル大統領、シャナナに電話

 シャナナが民家に移ってから数時間後、ポルトガルのジョジュル・サンパイオ大統領が電話をかけた。シャナナは、それが最初に彼が受け取った電話だと言ったという。

2月10日
ソリダモル[要約]

 2月10日、ソリダモルの顧問をつとめたマングンウィジャヤ神父が亡くなった。69才。
 マングン神父は1996年12月、インドネシアでは反対の世論が渦巻く中、オスロでのベロ司教・ラモス・ホルタ氏のノーベル平和賞受賞式に出席。昨年中頃、イェニ・ダマヤンティと東ティモールを訪問し、スタジアムに集まった住民の前で、東ティモール人の自決権を支持すると表明した。
 ソリダモルの顧問として、ソリダモルが企画した会議にはよく出席したが、昨年末のジャカルタでの国際会議には、「東ティモールについてもうしゃべるのはあきた。独立した東ティモールのためにいろんな委員会をつくって準備をしよう」などと言って出席しなかった。
 ソリダモルは東ティモール問題の平和的解決にとって重要な人一人を亡くした。さよなら、ロモ・マングン。独立東ティモールというあなたの理想はもうすぐ目の前ですよ。

ソリダモル一同

2月11日
ソリダモル[要約]

 2月10日、ジャカルタの民間ラジオ局(ラジオM 97)に女性の声で2度爆弾予告があった。このラジオ局は古典的なロックなどを流しており、若いビジネスマンなどが主な聴取者。
 おそらくその日の朝、在インドネシア東ティモール学生会(IMPETTU)の議長、マリアノ・ロペスのシャナナ移送についての生インタビューを放送したのが理由ではないかと考えられる。インタビューは朝はウィマル・ウィトラル、夜はペツィー・ウィディアクスワラと2度行われた。
 ラジオ局側は「合併賛成派の人のしわざかもしれない」と言っている。

注:記憶にまちがいなければウィマル・ウィトラルはゴルカルの重要メンバー。おつれあいのエルナ・ウィトラルはかつて消費者協会会長をつとめNGO界でも知られている。エミル・サリムとは近い。ペツィーは歌手。

[以下のレポートは問題となっている武装集団の詳細で、インターネット上に投稿されたものです。]

2月10日
ジョン・ローサの投稿[要約]

 合併派武装集団は2つある。
 一つはMahidin (Mati Hidup Demi Integrasi) 「統合決死隊」(とでも訳すか)で、Cancio Lopes de Carvalho(カンシオ・ロペス・デ・カルバリョ)がリーダー。彼はFrancisco Lopes de Carvalhoという「東ティモール民族統一和解運動」(住民投票支持派)の事務局長をしている人物の弟。アイナロ県カサ村のリウライの息子でもある。
 彼はサンタクルス虐殺のあとにインドネシア軍に協力する秘密組織をつくったが、これといった活動をしていなかった。しかしスハルト退陣後、アイナロ県で独立派でないような人々をリクルートしてカサ村で軍事訓練などを行った。
 1998年12月17日、インドネシア軍の支援をえてMahidinを設立。最初の行動は12月 26日、コバリマ県ズマライ郡ライメア村の住民を襲うことだった。
 12月30日、マヒディンはインドネシア軍から20丁の武器をもらった。中国製などであった。M-16銃も3丁もっている。
 1月1日、マヒディンはアイナロの軍司令部司令官、警察署長などが集まった中で正式な就任式を行って、正式な組織となった。 翌日から検問を始め、農民のCarlitoや7人の東ティモール大学の学生を逮捕し、尋問した。
 1月3日、アイナロのマヌタシ村で若者たちに向かって発砲し、2人を死亡させた。死んだのはReinaldo Arleans (21), Julio (23)である。4人が重傷を負った。
 1月25日、マヒディンはコバリマ県ズマライ郡ナギダル村を襲撃し、家を放火するなどした他、Angelina de Araujo (24)という妊娠した女性を殺害した。彼女の頭を銃で撃ったあと、腹部をナイフで切り開き、胎児をひきずりだしたという。この事件ではさらに2人が殺され、5人が重傷、3人が行方不明になっている。 もうひとつのグループはPana (Merah Putih)という(紅白隊とでも訳そうか)。リーダーはGraciano Filipeで、リキサ県長のLeoneto Martinsの後ろ盾をえている。この県長はプラボウォ時代からコパスス(インドネシア軍特殊部隊)の名誉隊員の扱いを受けている。
 またこれを支えている人物にマウバラ郡長のJose Afatもいる。彼はニンジャとして知られたガダパクシのメンバーでもあった。さらにインドネシア軍の第143大隊の支援もえている。拠点はリキサ県マウバラ郡ファトゥボロ村にある。
 このグループはマウバラ郡周辺の村々への攻撃の背後にいる。その結果、この地域からディリへ避難民が発生したのは知られている。ファトボロ村の村長も殺された。 彼らは紅白のはちまきをしめ、山刀、槍、弓、などを持ち歩いている。

2月11日
オーストラリアの支援団体から

 今朝のラジオ・ニュージーランドで、マット・ロブソン議員(東ティモール支援者の一人)が、メガワティの立場についてコメントした。 それによると、彼女は東ティモールがインドネシアに残るのを望んではいるが、東ティモール人の願望にシンパシーがないということではない。彼女はハビビが行きすぎた決定をしたことに反対しており、彼女自身は東ティモールが独立することも容認する考えでいるようだ。ただハビビがそれをすべきでない、という立場なのだ。

注:メガワティの発言の真意は確かによくわからない。この解釈だとハビビの元では東ティモールの独立はまともにやれないと思うのか、あるいはハビビがこれで得点を稼ぐのを阻止したいのか、いずれかを彼女は考えているように思われる。

2月11日
ソリダモル(プレス・リリース)[要約]

 ソリダモル(Solidamor: 東ティモール問題の平和的解決のためのインドネシア連帯)は、今日午前約1時間20分にわたって、インドネシア国内人権委員会と面会した。
 ソリダモル側からは民間人の武装問題をまず指摘した。 それについて国内人権委員会は東ティモールに代表を送って調べることにしているという。
 また平和委員会(各派からなる東ティモールの平和監視団体)構想について、人権委員会は、シャナナ、ベロ司教、ソアレス州知事とすでに議論した、これからハビビ大統領とウィラント総司令官と議論するところだと言った。人権委員会の考え方では、平和委員会はCNRT、教会、地方政府、国軍、合併派、独立派、著名人、人権委員会、そしてソリダモルから構成される。ソリダモルの誰がメンバーになるかはソリダモル次第だ。

2月11日
CBC Radio
ハビビ、東ティモール問題は2000年までに解決したい

 ハビビ大統領は、2000年の1月1日には、インドネシアは東ティモール問題という重荷をもたないようになっていたいと語った。

2月11日
ABC Radio
マウバラで暴力がエスカレート

 ディリの西50キロにあるマウバラでは、独立派住民に対する暴力がエスカレートしている。9日(火)にも6人の学生が殴られ、住民投票派の家12軒が放火された。 実行者はハリリンタル(Halilintar:インドネシア語で「稲妻」の意味)というグループに属する青年たちで、槍や弓、古い機関銃などで武装して道路をブロックしている。

2月11日
Lusa, Washington
米政府は国連交渉を支持

 ルービン米国務省報道官は、東ティモール人の関与の必要性を強調しつつ、国連交渉を支持すると表明した。米国はすべての当事者が受け入れる解決を支援する、とも語った。

2月11日
ジェリー・ファン・クリンケンの投稿[要約](Gerry van Klinkenはオーストラリアの大学講師でInside Indonesiaの編集長) *若干、私の解説も加わっています。

◆インドネシア軍の東ティモールにおける一般的構造

・インドネシア国軍(ABRI, Indonesian Armed Forces)は4軍よりなる。陸、海、空、警察。
・東ティモールは第9軍管区(Kodam Udayana ウダヤナ司令部)に属する。第9軍管区はバリに司令部をもち、インドネシア東部を広範にカバーする。
・第9軍管区において、東ティモールは第164軍分区(Korem)となる。司令部の名前はウィラ・ダルマ司令部(Korem Wira Dharma)。
・第164軍分区の下に、ほぼ県レベルに対応する軍小分区(Kodim)がある。
・軍小分区の下に、郡レベルに対応する軍分支部(Koramil)がある。
・最末端では、約450人の村落指導官(Babinsa)という軍人が角村に配置されている。

◆地域部隊と戦闘部隊

・地域部隊(territorial troops)とは、本来東ティモールの軍司令部の構造に属する部隊。
・非地域部隊(non-territorial troops)は、スラウェシなど他地域からローテーションによって東ティモールに配置されている部隊。・戦闘部隊(combat troops)は、国軍司令部(ジャカルタ)に属する特殊部隊( Kopassus)、戦略予備軍(Kostrad)のこと。
・地域部隊は、インドネシア軍の主張によれば、土木工事、農業支援などを行っているという。これはインドネシアでは「地域作戦」(territorial operation)という。米軍のcivic actionを模倣したものらいい。実際には、住民の中に入って生活して諜報活動、軽微な治安管理活動、思想統制などを行っていると考えられる。またヤクザのように小金を住民からせしめとっているとも言われている。
・地域部隊と戦闘部隊は、対立することもしばしば。サンタクルス虐殺は戦闘部隊がやったにもかかわらず、地域部隊の司令官が懲罰を受けた。

◆準軍組織

・準軍組織(militia)は、幅広くは「訓練された人民」(ratih)という。これは「民間防衛」(hansip)という範疇にはいる。hansipといえば、一般には、軍にやとわれた民間人警備員をさしていた。最近はあまり聞かない。hansipは内務省に雇用される形式をとるが、各軍の部隊に所属する。(ということは国防費用の一部は内務省予算だということか。)
・「人民治安」(kamra)、「人民抵抗」(wanra)といった言い方は、国民の国防への動員のカテゴリーである。
・これら準軍組織は、長い間インドネシア本国では存在しなかった。東ティモールでは昔から知られていた。
・今年1月、ウィラント総司令官は総選挙に向けての治安管理の一環としてratihを復活させた。

◆東ティモール

・1994年ごろから、いろいろな合併派の武装集団が東ティモールに登場した。 Makikit (Viqueque), Alfa (Lospalos), Saka (Baucau), Mahidi (Ainaro)などがある。最も恐れられたGadapaksiというのもある。正式には彼らはratihとされているはず。昨年10月にリークしたインドネシア軍の書類では、これらの武装グループの人数は4000人とされる。
・昨年12月5日、東ティモール司令官はkamra/wanraを独立派ゲリラからの攻撃から守るために武装すると発表した。
・2月、ウィラント司令官は、武装した民間グループはすでに武装解除したと発表。・Makikitはおそらくプラボウォがつくったもので、これらの「正式な」準軍組織とは関係ないかも知れない。

以上。


2月10日
Commission for the Rights of the Maubere People(ポルトガルの支援団体)
東ティモール駐留インドネシア軍の兵力削減問題[要約]

◆くいちがうインドネシア政府高官の駐留兵力数

 昨年6月国連事務局はインドネシア政府の公式発表として、駐留兵力を「7大隊」とする数字を引用しつつ、一方で15000と推計する筋もあると述べていた。(Working Paper A/AC. 109/2111)
 7月末にはハビビ大統領のイニシャティブで駐留軍の削減が始まり、まず400人、続いて900人が引き上げられた。
 その結果、東ティモール司令官スラトマン中佐は、12000人いた兵士のうち1300人が撤退したのだから、残りは10300人だと述べた。(AP, 8 Aug. 98)
 その後、アラタス外相は東ティモールには6000人の兵力があるといい、これはすべて地域部隊だと言った。(AFP, 26 Oct. 98)
 さらに驚いたことに、東ティモールを管轄する第9軍管区司令部報道官は、東ティモールには3000人の兵士しかいないなどと言っている。(Reuters, 30 Oct. 98)

◆リークした文書の示す数字

 昨年10月末、オーストラリアで発表されたインドネシア軍からの漏洩文書は、専門家や外交官が「オリジナル」と鑑定した。そこに示されている数字は8月当時のもの。
 それによると、東ティモール駐留軍は2種類に分けられている。ひとつは「有機的」(organik)、もうひとつは「派遣」(penugasan)というもの。
 「有機的」とはいわゆる地域部隊のことだと思われる。ほとんどはインドネシア人兵士である。744、745大隊は東ティモール人兵士からなると一般に言われているが、専門家はその名前のチェックから、士官も下士官もほとんどがインドネシア人であるとの結論にいたった。
 この「有機的」部隊は、7330人の兵士がいる。
 その他にも、補助兵?(milsas)が2566人。「人民抵抗」(wanra)と呼ばれる準軍組織兵が929人。軍に勤務する文民公務員が1563人。
 一方、「派遣」組に数えられるのは、通常は他地域に配備されているがローテーションで東ティモールに派遣されている軍。これは7938人。
 されにこれにも「人民抵抗」(wanra)が配備されており、その数が1200人。これらはSaka, Alfa, Makikit, Halilintar などの名前で集団をつくっている。
 「派遣」組は、1997年11月では6172人、1998年8月には7938人となっており、増加していた。

◆結論
・以上の数字を合計すると、1998年8月現在、東ティモールに駐留するインドネシア軍兵力は、21540人となる。
 これは住民40人に1人の割合。またインドネシアの州と比べても、7倍から9倍の高い駐留率となっている。

2月11日
Deutche Presse-Agentur, New York
コフィ・アナン、まだハードルがある

 コフィ・アナン国連事務総長は「進展は喜ばしいと思うが、それを祝福するということについては若干注意深くありたい」と慎重なコメントをした。

2月10日
Jakarta Post
国民信託党、住民投票を主張

 インドネシアの国民信託党(党首アミン・ライス)は、住民投票を拒否しているハビビ政権を批判した。それによると、東ティモールの併合を決定した国民協議会決定というのは、そもそも新秩序の産物であり、操作されたものであり、東ティモールの人道的側面をほとんど顧みることなく議会を通ったものである。 選挙の後民主的な政権がインドネシアにできたのち、東ティモール人が自らそこにとどまるかどうか決定すればよい。10年もまつ必要はなく3年から5年の移行期をへて行えばよい。

2月10日
Jawa Pos, Jakarta
統合派、国会で政府の政策転換を拒否

 東ティモールの13州の代表100人が、ジャカルタの国会を訪れ、第1委員会で独立案を拒否すると発言した。グループのリーダーはドミンゴス・ソアレス。
 ソアレスは今回の政府の決定は、「東ティモール人を売った」ものだと非難。ジョゼ・タバレスは「外国からの圧力に屈して、われわれに相談もせず、一方的に決めた」と述べた。
 ソアレスはまた統合は住民の多数が支持しており、マスコミの報道がかたよっているために統合派の声が伝わらないのだと語った。
 さらにソアレスは、国民協議会に決定をゆだねるという政府の政策にも反対した。

2月12日
Lusa, Jakarta
シャナナ、安定化キャンペーンを始める

 11日(木)シャナナと面会したドミンゴス・ソアレス神父は、シャナナがCNRTに「安定化」政策のプランをたてるように指示したことを明らかにした。
 CNRTは、21人の評議員がいるが、そのうち12人は東ティモール内部にいる。CNRTは「Independent」という名の月刊誌を出すことも計画している。言語はポルトガル語、テトゥン語、英語、インドネシア語を使う。

2月12日
Kompas
国内人権委員会、平和委員会を結成

 インドネシアの国内人権委員会は、政治的な活動をしない、人権の擁護のための平和委員会を東ティモールのためにつくる。委員会は政府、軍、若者など東ティモールのあらゆるグループを包摂するものとなる。シャナナもこの委員会にすでに同意しているという。

2月12日
AFP, Dili
フレテリン、対話を呼びかけ

 東ティモールのフレテリンの指導者、ル・オロは、すべての東ティモール人が平和のために集まって対話をすべきだと呼びかけた。
 彼は「今や合併賛成派・反対派に分かれる必要はなく、インドネシアが提示しているオプションに対して団結すべきだ。反統合派に対しても統合派のしていることに挑発されないよう求める」と述べた。

2月13日
Sydney Morning Herald, Dili
ゲリラは待機中

 東ティモール民族解放軍(ファリンティル)は、シャナナによる攻撃禁止命令のもとにある。ファルル・ラテ・ラエク司令官が率いる部隊は100人、解放軍全体では600人の兵士がいるという。
 しかし同司令官は「インドネシア軍は常にわれわれに作戦をしかけており、われわれは攻撃禁止の命令によってかなりきびしい状況におかれている。これまで攻撃はしていない」と語っている。
 彼の部隊は昨年11月9日にアラスのインドネシアの警察を攻撃し、36個の自動銃、手榴弾、3000発の銃弾をうばった。その後、アラスの住民がインドネシア軍につかまり拷問され、大量殺害までおきた。彼によれば、アラスでは50人もが殺された。インドネシア側はその事実を隠したままだと言う。
 ファルル司令官は1980年から1983年までインドネシア軍兵士となり、クララスの虐殺(1983)など、同胞たちが虐殺されるさまを見てきた。クララスの虐殺の後、森へ逃げてゲリラに加わったのだ。
 マテウス・サントスは彼の部隊の一員だが、昨年11月のアラス攻撃で捕まったインドネシア軍兵士のひとりだ。そのときは13人がゲリラに捕まったが、2人だけが東ティモール人だった。11人のインドネシア人兵士は返された。
 サントスは「おれはここが安全だからここにいたい。いつもインドネシア兵に殴られていた。おれがゲリラの協力者じゃないかと疑っていた。何年か前、妻と子どもをインドネシア軍に殺された」と語る。
 ディリの準軍組織のリーダー、エウリコ・グテレスは、合併派の安全が保証されないなら内戦になってでも闘うと言う。
 一方、ゲリラの指導者のひとり、ル・オルは、合併派が武装解除に応ずれば安全を保証する、「古い傷がひらくのを防ぐため全力をあげて彼らとの接触をはかっているところだ」と言う。「われわれの方こそ今までずっと停戦を求めてきたのであり、インドネシアがOKと言うなら、すぐに応じ、独立に向かって別なやり方で協力する」と。


2月11日
米教会協議会(NCC)、武装解除を求める

 米教会協議会(NCC)のジョアォン・ブラウン・キャンベル事務局長は、11日(金)、東ティモールにおける民間人の武装解除と国連のモニターを求める書簡を、国務長官、国連事務総長に送った。  書簡はまたインドネシア軍の撤退、撤退の国連による監視も求めている。

2月9日
Antara, Jakarta ウェタル島、緊急避難用に準備  ヘンドロプリヨノ移住相は、9日(火)、東ティモールで不測の事態が起きれば約2万家族を近隣のウェタル島に移さなければならないと、国会の移住委員会で答弁した。
 ウェタル島へはスピードボートで15分の距離。

2月13日 Kompas Online
ハビビ:総選挙前に東ティモールの地位決定
 ハビビ大統領は、2月12日(金)、東ティモール人は6月7日に予定されているインドネシアの総選挙前に自治案についての意見を決定できるだろうと希望を述べた。 ハビビ大統領は住民投票をやりたくない理由として、「もしわれわれが方法を決定すれば、責任が生じる、騒ぎになるではないか。彼ら自身で議論すればいい。彼らを 400年間統治したものと、国連と、あるいはオーストラリアと議論してもらえばいい。ただし総選挙前に決定してほしい」と述べた。  またもし東ティモール人が今分離を求めるのであれば、感謝するとも述べた。インドネシアは侮辱されるべきではないと。


2月12日
Lusa, Lisbon
ポルトガルの東ティモール予算、限度をつけず
 ポルトガルのアントニオ・ソウザ・フランコ蔵相は、東ティモールに対する緊急の出費については制限はないと語った。


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