力を合わせて-2

牽引定数と補機の話。
牽引定数とは、その機関車が停止した位置から引き出せる列車重量(牽引重量)の事で鉄道用語では10トン=1車と表示します。(50系客車の場合は空車3車(30トン)、積車(満席時)3,5車で計算する)
牽引重量とは、その機関車の牽引力を抵抗(走行抵抗、曲線抵抗、勾配抵抗などすべての抵抗)で割ったものであり、勾配抵抗が著しく大きい急勾配区間とか、車両の走行抵抗が増大する高速運転時には極端に低い値になります。

実例を上げて説明すると、C62重連で有名だった函館本線の長万部〜小樽間の「急行ニセコ」の場合、25‰の勾配を急行速度(67キロ以上)で走行するためC62形機関車の定数は25車(250トン)に抑えてありました、上り104列車(急行ニセコ)の換算32車を1両では牽けなかったために、この区間だけはC62が重連で運転することになりました。
高原のポニーで有名な、小型のC56形蒸気機関車の牽く「北びわこ号」(北陸本線の米原〜木ノ本間)は、急勾配区間がないため、この区間の牽引定数は26車(260トン)です。日本一の旅客機関車のC62形でも25‰の急勾配を67キロ以上で走るためには250トンしか牽けなかったのです。

真岡鉄道の場合は天矢場越えの25‰勾配区間があるためC12形の牽引定数=17車(170トン)、C11形の牽引定数=18車(180トン)に抑えてあります、重連運転」では合計で35車(50系客車×10両)を牽ける計算になりますが、50系客車が3両(3.5×3=10.5車)の「SLもおか号」の場合は補機の運用は必要は無く、真岡鉄道の重連運転はぶらさがりのイベント列車と思って間違いありません。
2両の機関車がもくもくと煙を上げて力走する姿は迫力があり、鉄道ファンを魅了する列車なのは間違いありません。



「夏空」
寺内-真岡間 6001レ 2002年8月



天矢場の25‰の急勾配を力走する6002列車。
 2001年6月



天矢場を駆け下る6001列車を、15分の1秒で流し撮る。
 2002年8月



益子駅を発車した6002列車は、小貝川の右カーブに向かう。
 2002年8月



茂木駅を発車する6002列車。
 2002年11月



この日は回送のつごうで双頭列車になった、八木岡のカーブを走る両機を望遠レンズで狙う。
寺内-真岡間 6001レ 1999年5月



いつもはぶらさがりの回送列車だが、この日はDD13の調子が悪くC11が後押ししていた。
折本-二高前間 回6100レ 2002年1月


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