夜汽車-2


蒸気機関車と花火の写し方。
夜の茂木駅のような暗闇では、黒い汽車は光をほとんど反射しません。
かたや花火の方は、自ら光を放ち数秒で消えていってしまいます。
両者はまったく露出が違う事になりますから、一緒に撮るのはどだい無理な話なのです。
下の写真についてまず説明いたします。
カメラはニコンF4。レンズは50ミリF1.4。フィルムはプロビア400F(RHP3をISO-800に増感)を使用しております。
まずシャッタースピードをバルブにセットし、レンズの絞りをF4にセットします。(これ以上絞りすぎると花火が細くなり不自然です)
アングルを決め、ピントを汽車に合わせ、レリーズを付けたカメラをしっかりした三脚にセットします。(三脚は重たいほど良い)
10センチ×20センチぐらいの黒い厚紙(遮光板)を2枚用意し、レンズの上半分を遮光し人がいなくなったタイミングでレリーズを押します。
8秒間、汽車の写真を写します。(これを前露光といいます)
8秒後に下からもう1枚の遮光板を入れます。(遮光したままの状態で花火が上がるのを待ちます)
花火が破裂した瞬間に上の遮光坂をはずし、4分の1秒ほど花火を露光しすぐ遮光します。
これを4回繰り返し花火の撮影が終わります。(少しずつ遮光板をはずすタイミングを変えることで、花火の勢いを写し込みます)
私は20年間、毎年のように隅田川・神宮の花火大会を撮影しながら、私なりの遮光板の使い方を会得しました。


茂木 2000年7月
多重露出で花火を4発写し込む。


「火の粉の共演」 茂木  2000年7月
上半分を遮光し前露光を8秒。機関士が持っていた懐中電灯を写し込む。
花火と火の粉が一緒に上がったので遮光板をはずし全体を4秒間撮影した。
花火と火の粉の共演がおもしろい写真になった。




「夜の発車」 茂木  2000年7月
花火と光跡を撮るつもりだったが、偶然にもストロボが入ってしまった。
後日、現像があがった時にビックリした。
バルブ撮影のマナー違反なので、ストロボを使った撮影はやめましょう。




「光の共演」 七井  2000年8月
50ミリF1.4開放。4分の1秒の流し撮り、車のライトと踏み切りの警報燈が光の波のように見える。
(RHP3を1600に増感)



「夜の真岡駅」  1998年8月
SLの蒸気が駅舎のライトアップに反射して、不思議な光景をみせてくれた。
50ミリF1.8を開放にして16秒間露光した。
(RMSを400に増感)




「残影」 真岡  2000年7月
駐車場のライトが前方を照らしていた。
暗から明への光跡を8秒の露出で狙ってみた。
バルブの露光は2の倍数が基本。後はしっかり三脚で固定すること。
50ミリF1.8を開放で撮影。(RHP3を800に増感)




「怒る機関車」 真岡  2000年8月
長時間露出で火の粉を撮ると、まるでSLが怒っているみたいに見えた。
50ミリF1.8を開放で8秒間露光した。(RHP3を800に増感)


低感度のフィルムで長時間露光すると緑ぽい写真になるので、高感度のフィルムを使ったほうが良い。
レンズの保護フィルターは必ずはずすこと。
ゴーストが出る原因は、ほとんどはレンズの内面反射とフィルターが原因だからだ。
夜間撮影のコツは、内面反射の少ない開放で切れるレンズを使い、じっくり撮ること。
わずかな光を逃さないで、しっかり露光することがコツだ。


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